100年俳句計画 2018年11月号(No.252)


100年俳句計画 2018年11月号(No.252)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。






目次


巻頭リレーエッセイ
七瀬ゆきこ

特集
クロヌリハイクコンテスト 入賞作品発表



好評連載


作品

百年百花
 中町とおと/十亀わら/桜井教人/クズウジュンイチ

新 100年の旗手
 薄荷光/さとし

新 100年への軌跡
 俳句 川嶋健佑/板尾奈々美
 評  平山南骨/十亀わら


読み物

美術館吟行/天玲

小西昭夫の愛誦百句/小西昭夫

JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭

らくさぶろうの呑む呑め呑もう句/らくさぶろう

mhm通信/若狹昭宏

近代俳句史超入門/青木亮人

鑑(み)るという冒険/猫正宗

岡田一実の句集の本棚/岡田一実

The HAIKU's Glass/古川千栄子

クロヌリハイク/黒田マキ


読者のページ

100年投句計画
 選者三名による雑詠俳句計画/桜井教人、阪西敦子、関悦史
 自由律俳句計画/きむらけんじ
 詰め俳句計画/マイマイ
 100年投句計画 投句方法

短歌の窓/渡部光一郎

百人百様E-haiku/菅紀子

100年公募計画

疑似俳句対局/美杉しげり

THE BEATLES 213 PROJECT/夜市

100年俳句計画 掲示板

鮎の友釣り

告知

編集後記

次号予告





巻頭リレーエッセイ



掴んだ豆は、離さない
七瀬ゆきこ

 何の番組だったろう。
 「郷ひろみが54歳にして、利き手を変えた」という。これだ!と思った。
 利き手を変えると、肩凝りや腰痛が改善され、体の歪みも直るという。
60歳を過ぎても五十肩と呼ぶ、右肩が痛い。
 荷物をいつも右肩にかける。パソコン入力は、左手が「A」しか打たない。圧力鍋もそこそこ重く、右手を酷使してきた。
 還暦にして、タッチ交替。

 「利き手を変える」 ことに、壮大なロマンを感じる。
 今まで使われなかった指が、違う動きをする。その事で、刺激された脳は、違う働きをするだろう。声まで変わるかも知れない。
未知なる世界に、ワクワクする。
 それにしても、何と安上がりな自己再生。これはもう、月が無いことも愛でるという、ヤクザな俳句のおかげとしか思えない。
 不器用に運ばれる、豆が今から愛おしい。


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特集

新聞を塗りつぶしたら五七五

クロヌリハイクコンテスト


入賞作品発表

 本誌にて好評連載中の「クロヌリハイク」。
 その初の試みとして、「クロヌリハイクコンテスト」(愛媛新聞販売所協同組合主催、愛媛新聞社、ウイークリー愛媛リック、マルコボ.コムの共催)を開催しました。
 8月末までの募集期間内に、愛媛新聞と生活情報誌リックの誌面から自由に制作をする「自由部門」には325作品、指定の誌面を使用して制作する「課題部門」には479作品の応募がありました。
 9月、審査委員長黒田マキさんをはじめ、主催、共催関係者による審査を行い入賞作品を決定しました。
 来る12月8日には、愛媛県松前町のエミフルMASAKIにて表彰式を行います。


自由部門 最優秀

コマクサさん(60)愛媛県
復興へ 明かり一つ の おでん店


課題部門 最優秀

高橋亜弓さん(56)愛媛県
光差す 5月 よ ラ ラ ラ 深呼吸


自由部門 優秀

鈴木牛後さん(57)北海道
できる だけ 2 月 を つなぎ留め ている

渡辺 瀑さん(58)愛媛県
ひょうきん な 妹ばかり ミカンと る

ゆめだるまさん(62)愛媛県
戦争に正義はない と せ み し ぐ れ

野村颯万さん(11)愛媛県
秋 白 し 古代の マッチ 擦 る 児童

まさこさん(50)愛媛県
2 丁目の 夏の思い出 200円


課題部門 優秀

樫の木さん(53)大分県
咲き誇る 光 の中を 落 花 かな

千吉良 岳さん(56)青森県
光差す 庭 に う ち 水 急ぎ たり

久我恒子さん(59)栃木県
天 は 夏 井上 君 に ある 翼


自由部門 佳作

岡田久美子さん(64)愛媛県
ひげのあるミイラ 1月 に 発掘

伊葉小夏さん(14)愛媛県
カラフルな浴衣 灘町商店街

丸山 修さん(82)愛媛県
犬 と猫 布団に入れて 寝正月

岩渕晃三さん(80)愛媛県
時鳥の声が聞ける コード付き

森永 唯さん(12)愛媛県
サツマイモ 生徒 の 畑に 横に寝 た

宮口真由美さん(54)神奈川県
どんぐり が ネコ に 誘われ 回って る

山本久美子さん(62)愛媛県
ひととき の 思い出 つくって 村の 夏

熊縫まゆさん(51)愛媛県
6月の ミケランジェロと 西郷どん

岡田まみさん(57)愛媛県
梅雨 日差し 安 い シャツ 着 て さっそうと

碓井咲奈さん(9)愛媛県
夏休み 子ども が アート だ 緑色

水鏡さん(37)愛媛県
ばら ほろり 必要なの よ おろか さが

奈良香里さん(42)愛媛県
放課後の 無言 なる 新緑の窓


長尾邦博さん(68)愛媛県
しか た な し す こ し お く れ た 墓参り

野中晃子さん(76)愛媛県
まっかなソース 夏のおひさま たいらげる

安さん(43)愛媛県
子規と 漱石 徹夜し た 声 二重 虹


課題部門 佳作

西田梨花さん(17)京都府
過ぎて ゆ く 若葉の 色 の 鮮やか さ

菅原みどりさん(63)愛媛県
春の 日 や 長 湯に 心 ゆったりと

小木さん(65)愛知県
したた り の いつでも 呼吸 ゆったりと

北山裕貴さん(37)愛媛県
古代米 鬼 を招いて た べた 夏

土井探花さん(41)千葉県
北 の 地 の 古代 の あり に ある 翼

小市さん(67)埼玉県
堀端で 日傘の 色 を 眺め を り


審査を終えて

 飲みの席でキムさんと盛り上がり、クロヌリハイクの連載が始まって5年が経ちました。まさか、コンテストをすることになろうとは夢にも思わなかったわけでもないです。夢には思いましたが、まさか実現するとは思っていませんでした。まずは、愛媛新聞社と愛媛新聞販売店のみなさま、そしてマルコボ.コムの多大なるご理解とご協力に感謝します。
 さて、審査を終えての感想ですが、「これはもう、うかうかしていられない……」という思いです。応募者の作品が発案者の私の作品をかる〜く超えているではないですか! 俳句が上手な方はさすがにいい句が出来ていますし、俳句初心者という方もなかなかの作品を送ってくれました。また、応募者の半分は愛媛県外からということで全国区なコンテストになりました。ほんとうに嬉しく思っています。あとは、これを続けていくことだと思っています。100年後、俳句も新聞も筆ペンもまだまだ健在で、未来の人が黒く塗り塗りしているところを想像するとわくわくしてきます。みなさん、これからも新聞に埋もれている俳句をどんどん発掘していきましょう!

審査委員長 黒田マキ


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美術館吟行


第48回 番外編


観光DE支援in大洲! てんこもり吟行会顛末

文 天玲


 平成30年西日本豪雨災害。被災地の一つ、大洲市に住む私にも、たくさんの句友からご心配やお見舞いをいただいた。みなさんその節はありがとうございました。中でも、蕎麦句会などでお世話になり、ご自身もおば様が野村町で被災された日暮屋さんから、「松山に住む我々も、何か力になりたい」とお申し出をいただき、「それならばぜひ、大洲に吟行に来てください!」とお願いした。
 災害から1か月、膨大なごみやがれきは街から姿を消し、徐々に再開や一部営業をはじめる店も出てきたものの、客のこない観光施設、莫大な損失を負った商業地の痛手は大きい。それでも大洲には、俳人たちに自信をもっておすすめできる、素晴らしい吟行スポットがたくさんある。&大洲の良いところを知りつくし、その魅力を最大限にお伝えできる俳句仲間も。俳句でつながった私たちは今こそ楽しく飲み、食べ、詠い、持続可能な支援をスタートさせようではないか! ……みたいなことで話がおこったように思う。かくして「観光DE支援in大洲吟行会」が決行された。

9月17日(敬老の日)午前9時40分
大洲駅集合
 参加者は松山より日暮屋、マーペー夫妻、南行ひかる、キムチャンヒ、堀アンナ、あつむら恵女、宇和島より更紗、大洲同行隊は『穂積書道教室俳句部』より瀑、京子夫妻、其蜩、浜なでしこ、東行、天玲。

午前10時00分 トゥデイズ ギャラリー
 肱川本流に面したトゥデイズ ギャラリーで冷たいお抹茶をいただく。柱には1mを超える浸水の跡。
清流の壁の横染み伽羅の香  浜なでしこ
ギャラリーのお菓子は秋の風に溶け  チャンヒ
新涼や抹茶茶碗は小さき舟  更紗

午前11時00分 大洲八幡神社
 博物館学芸員でもある其蜩の名解説はさながら大洲版ブラタモリ。大洲藩総鎮守 八幡神社の常磐井禰宜も出てこられ、お話を。
神官の浅葱袴に秋日射  其蜩
神社道呼び戻される鵙の声  あつむら恵女
電信の黎明の地を葛の花  マーペー
大名行列の残像蜩の杜  更紗

午後0時00分 昼食ビストロサンマルシェ
 浸水の著しい地区にありながら、いちはやく再開をはたしたお店で洋食ランチ。

午後2時00分 如法寺
 如法寺は大洲藩ゆかりの禅のお寺。其蜩の案内で、プチ座禅体験も。
山門へ続く飛び石曼珠沙華  日暮屋又郎
経堂をぐるぐる回すつくつく法師  南行ひかる
座禅組むまだ法師蝉鳴いている  チャンヒ

午後3時00分 羅り瑠れ櫓でカフェタイム
 いつき組スイーツ男子の台頭?
アイス二種男子の心鷲掴み  浜なでしこ

午後4時00分 大洲城 〜伊予灘ものがたり歓迎旗振り
 大洲城職員、俳号:高山さんのご案内&大洲藩鉄砲隊、俳号:桜餅ちゃんの手伝いを得て、みんなで観光列車伊予灘ものがたりへの歓迎旗振り。肱川より吹いてくる秋風がここち良い。

午後5時50分 少彦名神社
 世界危機遺産に指定されている、懸け造りの参籠殿。駆け足で外からだけ見学。
少彦名眠る深山の爽気かな  其蜩
懸け造りの荒ぶる堂を金風  マーペー

午後6時30分 鵜飼船乗船
 本日のメイン、鵜飼。舟に乗りこめば、格別に美しい夕焼け、そして始まるしりとり句会。
篝火と川面を進む鵜飼船  東行
遡上する風に潮の香鵜飼船  日暮屋又郎
 この日の鵜らは調子良く、次々と鮎をつかまえ観客を沸かした。しりとり句会は二巡目に。

午後8時30分 下船〜三味のお出迎え
 大洲城をながめ、下船場に近づくにつれ、遠くから三味の音が。はたして俳句部、実結さんによるサプライズのお出迎えであった!
鵜飼船三味の音遠し石灯籠  堀アンナ

 今回、ふつうの観光では味わえない、かなり濃厚な大洲巡りとなった。手前味噌ながらわが俳句部、渾身のおもてなし(というか、それぞれが職業や特技を喜々として披露)の甲斐あって、参加者からは、「感動した! ぜひ次回も」の声もいただいている。吟行句50句の投句を得、その名も「大洲てんこもり吟行句会」として、ネット句会も進行中。
 最後になりましたが、大洲市へご寄付いただいたまつやま俳句でまちづくりの会、有志の方々に感謝申し上げます。なお、その後も地震や台風災害で被災された、全国のすべての皆様の安寧を、心よりお祈りいたします。

秋天の果てなき高みへとうたおう  天玲

天玲
穂積書道教室俳句部 部長


秋天や天守に高く旗振り隊  南行ひかる

吾へ向かう烈火の如き荒鵜かな  瀑


次回吟行会 10月28日(日)
愛媛美術館「石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ」吟行会
朝10時現地集合
参加費無料(入館料は別途)
事前に100年俳句計画編集室までお申し込み下さい。
TEL 089-906-0694


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大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠

百年百花


2018年度 第二期
最終回


しづかな遊び
中町とおと

しつとりと塩豚仕上がりて秋夜
からあげや酢橘搾るにまづ嗅いで
温め酒受けゐて左利きと気づく
手のなかに鳴らす胡桃や坂は暮れ
秋天や用途不明のコンセント
吊革に秋思の指を掛くべきか
かりがねをかぞへて飽きてコロッケパン
肚に頭を突つ込んでゐる鵙の贄
小鳥来る日々の失語のうたかたに
木犀に歪んでとてもきれいな息
掴みたる肩を林檎と思ひけり
けむり茸きみは知らない遊びだよ

気がつくと食べ物の句を作ってしまいます。秋です。
さて、4か月間お読み頂きありがとうございました。またお会いしましょう。


冬茜
十亀わら

瞬きの間に秋蝶は空の色
信仰や天を二手に秋の蝶
陽に晒す礼拝の指秋深む
子を抱え秋薔薇抱え行商す
髪ほどけば秋のになってゆく
石榴割り食う逆上のささやかに
黄落や日土辞典に探す思慕
猟犬の黒き口輪や暮の秋
青を解くオスマンの帆や冬に入る
要塞や時雨に傾ぐ石畳
波郷忌の眼鏡に月を浮かべけり
冬茜この芯ならば火は尽きぬ

1978年生。トルコで暮らしても自分は自分でしたが、
俳句を詠むことで新しく降り積もっていくものがあるはず、と思っています。
ありがとうございました。


綺麗な○
桜井教人

木槿咲ききつて未来を売る仕事
銀河濃きこと未だ知らぬ机かな
運動会一夜星屑受けテント
騎馬戦の蹠を空に見せて終る
小鳥来る海の欠片のやうな庭
空澄むや綺麗な○を描く先生
秋の虹睡魔の二人除いては
顕微鏡糸瓜の花粉すぐ厭きて
忘れ物する子に吹かすひよんの笛
教室に秋陽の満ちてさみしき掌
木の実降る正門閉ぢて風の音
十三夜螺子のひとつとしての責

頑張ったということだけで褒められるのは子どもの特権だ。
綺麗な○を描こうと頑張っている私も誰かに褒めてもらいたい。


女物
クズウジュンイチ

歯車をギヤーと表記きりぎりす
砂利道は早く暮れをりすいつちよん
こほろぎの闇をバイクが開けてゆく
叱責の空を小鳥が多く行く
ぱさぱさと秋の蚊なにもせず戻る
月は中天抱瓶の胴に魚
秋の蚊のしまひは水を飲んでゐる
びらびらと茸が溶けて雨の熱
銀杏が砕けて多分オートバイ
ささくれの茸ばかりでとの曇る
烏賊干すやうに風当てて女物
金木犀ラクロスをしてみたりして

お世話になりました。


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読者投稿による3ヶ月連載作品集

新 100年の旗手


(2018年10月号 〜 2018年12月号 2/3回目)


エネルギー保存の法則
薄荷光

稗や稗魔法少女となれ今夜
指先を染め秋の蚊のポテンシャル
十月に綿めく稚魚の屍骸かな
読経が途絶える蘭がじつと見る
檸檬切る子宮切除のごと悲鳴
冷ややかや犬の毛が水底を這ふ
雀蛤になり豆乳をにゆうと吸ふ
猪は魚となりて穏やかな余生
玉子ふわふわ夜学終ひの笑顔かな
舞茸が美味しいねそれだけの夜

 石川県金沢市出身。現在、加賀千代女出身地の白山市在住。メダカの飼育と俳句に明け暮れる日々です。


再燃
さとし

いい医者の白衣の下の冬着かな
轍なき凍土つぎつぎにめげる
風のひとつひとつに冬物語
ガゲナウの厨に匙菜とどきおり
満たされぬ寒さなりけり眼鏡拭く
梨皿に添えぬ手水銀を振る手
本だなのいつもの絵ほん薪焼べる
切るはずの髪はそのまま寒芒
ずるり網ひいて唄うや盲鰡
砂山の稜に触れたるポンチョかな

 岡山県出身。俳句同人「燻」所属。岡山三人俳句主催。風呂あがり、生野菜、静かな場所、あまり笑わない人が好き。


2018年度 第4期連載者募集中
締切 2018年11月15日(木)
応募内容
 2019年1月号に掲載できるタイトル付の10句
応募先
 Eメール magazine@marukobo.com
 件名に必ず「100年の旗手応募」と明記して下さい。
      (郵送またはFAXでも受け付けております。詳しくは編集室までお問い合わせ下さい。)


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新 100年への軌跡


2018年度 第二期
最終回


春眠 きらきらひかる
川嶋健佑

「春眠」9句

きさらぎが来る海が溢れて眠い
零れる春灯と睡眠に入る
夢の中まで便箋匂う春だ
睡眠の中を磯巾着がいる
背骨正位置に朧夜に寝転ぶ
留守番をさせられている満天星だ
春よ風は少しだけ遠くに吹く
春光しっとりと穏やかに寝息
水面に梅ひらき軽くなる錨

「きらきらひかる」6句

朝は静かに柿を切る五等分
歯を磨く水がどんどん澄んできて
秋澄んで庭一面に干すタオル
秋色になるまで磨く白い皿
黄落を掃けばどんどん降ってくる
童話読み終え丁寧にひかる月

川嶋健佑(かわしま けんすけ)
 大阪市出身。愛媛県松野町在住。船団の会、里、大阪俳句史研究会所属。つくえの部屋発行人。


それからのこと
板尾奈々美

パンケーキオンザクリーム秋深し
ゆるやかを描く背中や冬の朝
海色のマフラー編んであげましょう
鯨町二丁目三−二に魚
ちゅるちゅるのリップ見せびらかして雪
誕生花見つける初冬の花屋
次ページに冬蝶を恋人にする方法
SEのような咳聞く五限かな
冬葵うわさ話は聞き流す
不器用と器用の指の居て炬燵
それからのことは誰にも小春風
暗転のわずかをストーブが臭う
風花や明日はラーメン屋はしご
オリオンの窓辺にひたひたのチャイティー
すゅいすゅい夜の白鳥はさみしい

板尾奈々美(いたお ななみ)
 一九九九年生まれ。松山大学経営学部在学中。愛大俳句研究会所属。



未婚の五十男には
平山南骨

 川嶋さんの「春眠」は自由律といって良いのだろうけど、そう捉えてみると、全句に季語が律儀にはいっているのがこそばゆい(しかも、掲載月を無視するかのように「春」)。また、悉く意味として捉えることを拒絶されているのだが、なんとなく心地よさを感じてしまった。
 つづく「きらきらひかる」は定型で、この評釈文を書いている時点で当季。「春眠」のインパクトが大きかったゆえにフツーに感じてしまうのだが、「柿を切る五等分」なんてことが一句目にしれっと書かれていて油断できない。

 板尾さんの「それからのこと」は乙女力全開みたいな風情で、未婚の五十男には目のやり場に困るような句群だった。特に「ちゅるちゅるのリップ見せびらかして雪」は、「雪」以外の全ての言葉がむず痒く、いたたまれなかった。濡れたような唇と雪との配合は良いのではないかとは思うけど。そういったなかにあって「暗転のわずかをストーブが臭う」は安心して読める一句であった。まずはテント芝居などを連想したのだが、日常にもそんな場面はありそうだ。

平山南骨(ひらやま なんこつ)
 1968年生まれ。2005年より作句開始。「鷹」同人。


軽くなる錨、炬燵の指
十亀わら

水面に梅ひらき軽くなる錨  川嶋健佑
 錨が軽くなることはないが、水面に梅が開いて漂っていることで、まるで錨が軽くなったかのように思うという錯覚。「ひ、ら、き」という平仮名の音の間と、「軽くなる」の浮遊感が一句の魅力となっている。
きさらぎが来る海が溢れて眠い  川嶋健佑
 「来る」の後を切って読んだ。如月の季節がやってくる。波に揺られているのだろうか。海が溢れてくるような感覚に眠くなる。「溢れて」が良かった。
 三句目「便箋匂う」が和歌のようで艶がある。六句目満天星の比喩と、人物の留守番の回想が重なっていくようで面白い。後半は「どんどん」が二つ重なった。

不器用と器用の指の居て炬燵  板尾奈々美
 炬燵は人が集まるものであるから、いろいろな指も集まってくる。何か手作業をしていて、一人は不器用で一人は器用なのだろうと想像した。炬燵ならではの風景であり、何をしているところかなどの情報を思い切って省略して一句にしたことが成功している。
すゅいすゅい夜の白鳥はさみしい  板尾奈々美
 どう発音するのだろうか? 夜の白鳥と断定されると、それはさみしい鳴き声に思えてくる。「すゅいすゅい」のような音はありそうでなかなかない。ただ、夜の白鳥はすでに「さみしい」イメージを内包している気はする。
 七句目「次ページ」が上手。せっかくだから冬蝶にもう一度出てきてほしかった。八句目「SEのような咳」が可笑しい。川嶋さん、板尾さん、連載お疲れ様でした!

十亀わら(そがめ わら)
 1978年愛媛県生まれ。「100年俳句計画」「いつき組」。2005年俳句界賞。


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小西昭夫の愛誦百句


第5回


空は太初の青さ妻より林檎うく  中村草田男

 空は太初の青さである。世界の始まりを思わせる空の青さのもとで妻から林檎を手渡されたのだ。だれもが『旧約聖書』創世記のアダムとイブを連想するだろう。作者がアダムであり妻がイブである。アダムとイブがまだ原罪を背負う前、楽園でのびのびと暮らしていたころを思わせる。草田男と妻をアダムとイブに重ね、神との約束を破る直前の二人を十七文字に定着させた。永遠の幸福感を獲得した実に美しい俳句である。
 この句には「居所を失ふうところとなり、勤先きの学校の寮の一室に家族と共に生活す」の前書きがある。林檎を禁断の木の実と読むと、それを食べれば知恵の苦しみが始まるのだが、林檎を受け取ったところしか書かれていない。だからだろうか、再生が約束されたような輝きがある。『来し方行方』所収。
 一九〇一年中国厦門生まれ。昭和四年「ホトトギス」と東大俳句会に入会。高浜虚子に師事し、同九年同人。加藤楸邨、石田波郷、篠原梵らと共に人間探求派と称される。同二一年「萬緑」創刊。著書に『中村草田男全集』等。芸術選奨文部大臣賞、芸術院賞恩賜賞受賞。一九八三(昭和五八)年没。


秋刀魚焼くレモンのような月が出て  西村和子

 秋刀魚はまさにわれわれ庶民の味方なのだが、この句の秋刀魚は特別美味そうだ。
 秋刀魚はどこで焼いているのだろう。「レモンのような月が出て」いるのだから戸外だろうか。だとすれば、七輪で焼いているのだろうか。秋刀魚は火に脂を落とし火を噴き上げながらもうもうと煙を立てて美味そうな匂いを立てている。余談だが、「七輪」という名前は「七厘」とも書き、その由来は「物を煮るのに値七厘の炭で足りる意から」(「広辞苑」)きているのだという。
 もちろん、もう戸外で秋刀魚を焼くことができない時代だったかもしれない。その場合は台所の窓から月を見たのであろう。
 どちらにしろ、この句からは焼いたばかりの秋刀魚に添えられた大根おろしと黄色いレモンが鮮やかに見える。それがいかにも美味そうなのだ。『夏帽子』所収。
 西村和子は一九四八年横浜市生まれ。昭和四一年「慶大俳句」に入会、清崎敏郎に師事。平成八年、行方克己と「知音」創刊。句集に『夏帽子』『心音』『かりそめならず』『季語別西村和子句集』他。他の著書に『虚子の京都』『季語で読む源氏物語』他。俳人協会新人賞、俳人協会賞、俳人協会賞評論賞、桂信子賞、小野市詩歌文学賞を受賞。東京都在住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文 白方雅博(俳号 蛇頭)

第92話
ジョン コルトレーン & ジョニー ハートマン


 「何ともリアルなネーミング」と、とある週刊誌に紹介された焼鳥屋「こけこっこ」は、ジャズ ミュージシャンの愛した居酒屋だった。「♯&♭」の花形テナーだった「西村コルトレーン」こと故西村昭夫氏もその一人で、氏と出会うために僕はその店に通った。

大き掌のコルトレーンや冬あたたか  加藤いろは

 強面だったからかな〜。ヒゲの店主と世間話を交すまでに半年、いや一年近く要した。なんて今思うと不思議だけれど、やがて僕は店のBGM担当となっていた。店にラジカセを持ち込み、マイルスやコルトレーンのテープを再生した。

冬の夜息を合わせしスローバラード  サテンドール

 マスター(店主)のお気に入りは断然「ジョン コルトレーン&ジョニー ハートマン」で、ネタを焼きながらA面3曲目「マイ ワン アンド オンリー ラヴ」を口ずさんだりしだしたので「誰が歌って良いと言った」とカウンター越しに返すのが常連客の間で流行ったりもした。そうだ、サテンドールさんも常連のお一人だった。

美し過ぎる君と堕ちゆく冬の蝶  南行ひかる

 なので、西村コルトレーン似(私見です)で、ハートマンをこよなく愛するジャズ俳人歌手「ジョニー大橋」こと南行ひかるさんにお会いすると、当時の映像がオーバーラップする。この句はB面2曲目「ユー アー トゥ ビューティフル」がモチーフ。「マイ ワン〜」とともに「ジョニー大橋」の十八番。

サックスのあえて唄わず冬の鵙  夜市
サックスの歌い返せば昇る月  チャンヒ

 今回のメインテーマを鮮やかに捉えてくれた2句である。ハートマンの至高のバリトン ヴォイスと高音域を生かしたコルトレーンのテナーサックス。この二者が唄わず歌わせ、或いは唄い歌わせながら絶妙の会話(物語)を紡いでゆく過程。そして、ハートマンの後方で淡々と静かに、時に雄弁に歌唱を彩るコルトレーンの凄みも詠み込まれている。

ジャズなのにまるで鯨の恋の歌  いしき

 久々参戦のいしきさんが、いきなり大魚を釣り上げた。文句なしの一番人気句。ハートマンが邦人ジャズマンをバックに「マイ フェイヴァリット シングス」や「グリーンスリーヴス」「サマータイム」「コートにすみれを」などコルトレーンゆかりの名曲を歌い上げた今回のサブテーマ「ハートマン・シングス トレーンズ フェイヴァリッツ」。このアルバムの恋の歌も含め、甘いだけじゃない鯨級のハートマンのスケール感を詠んでくれた。


Today's Turntable
『ジョン コルトレーン&ジョニー ハートマン』1963年/impulse!
『ハートマン・シングス トレーンズ フェイヴァリッツ』1972年/gambit


「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の毎月第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は月曜日の21時〜22時。

次回JAZZ句会のお知らせ
11月25日(日)13時より、JAZZ BLENDにて開催。
テーマ ミュージシャンは女性ヴォーカリストのティファニーです。アルバムは「アメイジング グレイス」をメインとします。参加希望の方は、本誌の句会カレンダーを参照してください。


このコーナーで紹介した俳句とエッセイ、堤宏文さんの写真とを組み合わせた『JAZZ HAIKU』vol.1〜vol.4(マルコボ.コム)を発売中。


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らくさぶろうの

呑む呑め呑もう句


第4回

選句、文 らくさぶろう


今月のお品書き
レモン

レモンといえば雑誌の「ザ テレビジョン」ですが、あれ何で表紙を飾るスターは必ずレモン持っているんでしょ? 最初は薬師丸ひろ子だったようです。爽やかさの象徴ですかね。ちなみに長渕剛は一回目二回目は持たなかったそうですが、三回目は二つ持って写したそうです。よく分かりません(笑)
 9%の缶チューハイが人気なようで、中でもやはりレモン味が売れてるようですが、調子に乗ってクイクイ呑むとエライことになるので要注意。でもうまいからね、乾杯!

始発まで返杯せむと切る檸檬  有瀬こうこ
 おいおい、何杯目? 僕は学生のころ東京で始発まで呑んだのはいいが、新宿から小田急線に乗り、登戸という駅(新宿から約15分)で降りなければいけないところ、熟睡してしまい、気が付けば箱根だったことがあります。
 この句は、あまりベロンベロンに酔った二人というよりは、そうでもないように見える。やはり「檸檬」がそうさせるのか。

ぐるーりと檸檬ホーセズネックかな  明惟久里
 ブランデーとジンジャーエール、そこへレモンの皮をぐるぐるとあしらえば出来あがり。レモンの皮を馬の首に見立てているおもしろいカクテル。一度バーで先客が呑んでいるのを見たことがありますが自分で注文したことはありません。「ぐるーり」が良い音感を作り出しました。

檸檬切る夜を深酒してみたし  一走人
 歳をとると、なかなか深酒出来ることは少なくなりました(あ、ワタシですよ、一走人さんゴメンなさい)。呑み物もしくは料理に使うレモンを切りながら、「このレモン入れた酒で遅くまで呑んでおりたいものだ」と考える作者。ひょっとしたら下戸の人の憧れかも……とも読めて面白い。

手に残るレモンの香ごと飲み干せり  空山
 なんとも爽快でキレのいい句。切ったのか絞ったのか、呑み物を口に持っていくとレモンの香が鼻に。その“香り”ごと呑み干す。グラスに残る氷のカラカラという音が聴こえてきそうです。

祝杯や檸檬の島に嫁ぐ日の  ソラ
 岩城島かはたまた生口島か。祝杯をあげているのは新婦はもちろん、家族、親戚、友人たち。うれしい一杯のウラに、これまでの想い出や色々なことがこみあげ、レモンのようにほろ苦い気持も見えてきます。
 「父ちゃん、泣いたらいかんよ」と母ちゃんの眼にも涙。

三日月のレモンの残るハイボール  ロックアイス
唇にソルトレモンの香のビート  ほろよい
唐揚にレモン女将は島育ち  久我恒子
レモン切るペティートナイフ波止場の夜  美和子
ちょっとママ、レモンが少し多くない?  冬のおこじょ
チューハイに足す唐揚げのレモンかな  洒落神戸

今月の呑(どん)!!
細々里の酒に檸檬を絞りたり  暮井戸
 「細々里」って何だ?と思ったら、作者より「シシリア」であると。知らなかった! いい宛字ですね。句はものすごくシンプルなのですが、「細々里」という字でこんなに句がぐっと立ち上がるのかと感心しました。暮井戸さんのおたよりには「レモンチェロかも」ともありました。なるほどなるほど。

 今回、投稿がぐっと増えてうれしい。今回は唐揚げにレモンを絞るか絞らないかの句が多かったようです。あと、「呑む」句を選んでおりますのでご了承を。


募集の兼題「湯豆腐」…1月号掲載予定
 呑みたくなるような一句をお待ちしております!!
 今月の「呑」に選ばれた方には「ハタダ金時のさぶ」をプレゼント!! 投句に俳号、本名、住所、電話番号を書き添えて、編集室「呑む呑め呑もう句」係までお寄せください。
 メール nomu@marukobo.com
 フォーム http://www.marukobo.com/nomu/
 投稿締切 11月20日

お詫び
前回「秋刀魚」に掲載した作品の作者が誤っておりました。正しくは以下のとおりです。訂正の上、お詫び申し上げます。

嫁の名を呼び捨てにして焼き秋刀魚  久我恒子


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mhm通信


第91回

文 若狹昭宏


まる裏俳句甲子園

 この10月から本格的に準備が始まった第17回まる裏俳句甲子園。現在の予定では、来年1月13日(日)にお馴染みの子規記念博物館で開催を計画している。近年色々な災害が多発し、愛媛も大雨で大変な被害が出ているが、まちづくりの会としてお見舞い申し上げるとともに、俳句を通してみんなでまた元気を出しあっていけたらと強く願っている。

 毎年恒例で募集しているキャッチコピーは、短い期間での募集であるため、過去には応募数一桁などということもあったが、有難いもので今回は21名から26作品をお寄せいただいた。mhmスタッフがキャッチコピー案を考えなくてはならないようなこともなく、ご応募いただいた作品だけで、選ぶ際にじっくり吟味できる集まり具合だった。まる裏についてアンテナを張ってくれている方が増えているに違いない。
 選考はmhm定例会参加者の投票で行われ、最優秀作品が選ばれた。
 今回も、まる裏らしい脱力感のある素敵な作品が多く、惜しくも選ばれなかった作品には、クラウド坂上さんの「平均47歳の子規に会う」という、俳句甲子園の応援句「夏草や17歳の子規に会う」を受けたと思われるものや、でらっくまさんの「オトナは裏でアツくなる」、らくさぶろうさんの「どうです、裏でもよかったらあるよ。」などがあった。
 そして、最終的に非常に僅差で今回のキャッチコピーに選ばれたのが、有瀬こうこさんの「勝ったら酒だ!負けても酒だ!」だった。酒飲みしかいない会ではないのだが、この雰囲気と押しの強さに皆が惹かれてしまった。勝敗よりもその後の懇親会がメインっぽいところが何とも大人のためのまる裏俳句甲子園っぽい。作者は去年初めて愛媛に上陸したとのことなので、是非毎年足を運んで愛媛の美味い酒と俳句を楽しんでいただきたい。
 まる裏の運営について現在検討していることに、受付の手順や動線が分かりにくい、時間に追われている、などの課題がある。掲示やプラカードでの誘導、受付の整列など、例年以上にシステマチックにするとともに、予選の一部を削ってエントリーやチーム紹介の時間に充てるなど、まだ仮ではあるが、変更が行われるだろう。
 ご参加の皆様には、基本的にエントリー受付は代表者のみが行えば良いことや、弁当&懇親会の受付は当日お金を払って受付が完了することなどについて、ご理解、ご協力をお願いしたい。また、その弁当と懇親会についてだが、毎年先着順での受付、ご案内をしており、定員が埋まれば、締切予定時間よりも早く受付を締め切っている。そのため今回はEメールで仮申込をできるようにした。仮申込希望の方は、氏名、俳号、電話番号、お弁当の有無、懇親会の有無、(あれば)チーム名をmhm_info@e-mhm.com宛にお送り下さい。

 既に広告費をいただいているチーム、企業の皆様ありがとうございます。今回パンフレットのサイズを変更する予定ですので、それに伴って広告の枠のサイズも変更する可能性がございます、ご了承くださいませ。


 mhmでは松山市内外問わず会員を募集中です。原則、毎月最終金曜日19時からマルコボ.コムにて定例会を行います。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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会話形式でわかる

近代俳句史超入門


近代俳句史超入門
第32回

 大学で俳句を研究する青木先生と、その教え子で俳句甲子園の出場経験もある大学生の俳子さんが雑談を交えながらの近代俳句史超入門。


尾崎放哉 1 経歴

 青木先生と俳子さんが大学教室で話しています。


自由律のイメージ

青木先生(以下青) 質問。酒と放浪はお好きですか?
俳子(以下俳) 前回と同じ轍は踏まないわよ! 「好きです」と答えたら「自由律の海へ飛びこみなさい」とか言うんでしょう。
青 勘がいいですね。自由律の尾崎放哉と種田山頭火は放浪と酒のイメージが強いのでお聞きしました。お後がよろしいようで……。
俳 誰も出番を待っていないのに先生が退場してどうするんですか。自由律、きちんと教えて下さいよ。


幼少から大学まで

青 尾崎放哉(1885-1925)は鳥取の生まれで、尾崎家は両親ともに武家の家柄。父は戊辰戦争に従軍し、維新後は裁判所の書記長も勤めた名士です。晩年は書画や俳句に親しむ教養ある士族でした。母方も著名な医者の家系で、放哉は恵まれた環境で育ちます。
俳 突如のノンストップ説明、面食らいますがな。放哉さん、お坊ちゃんねえ。私の父など庭に黙って座り、蟻の列を錆びた包丁で叩き続けるだけの人生なのに。
青 与謝野鉄幹の逸話じゃないですか(1)。晶子ばかりに注目が集まるのでグレた鉄幹の哀愁漂う日常……お父様を妙な嗜好の持ち主にしないように。
俳 バレましたか。しがない環境の私と違い、放哉さんはいいなということよ。
青 確かに放哉は恵まれていました。幼少時から本に親しみ、穏和で成績優秀、エリートコースの第一高等学校から東京帝国大学法学部に進学した秀才で、野球やボートにも熱中するスポーツ好き。中学校の頃から文学創作に励み、文章や和歌、俳句を詠んだりします。
俳 文武両道の秀才! 私も町内で評判の才女ですよ。「道後周辺の戦慄」と噂されています。
青 それは吟行と称して深夜の住宅街をギラギラした眼で徘徊したり、平日の公園で菅笠に脚絆姿で呻吟するからじゃないですか(2)。
俳 い、いいのよ。それで放哉さんは帝大に入って、どうなったんですか。
青 酒と厭世気分にハマり、失恋も味わいます。
俳 青春ねえ。
青 彼の場合は度が過ぎるんですよ。酒浸りになり、流行の宗教や哲学にのめり込み、寺に参禅までする。結婚相手が従兄妹なので周囲に反対されて断念。酒癖は最悪で、いつも大人しいのに酔うと誰彼なく罵倒する。成績は急降下、卒業も追試合格という体たらく。
俳 私、パス……結婚したら凄いことになりそう。


大学卒業後

青 その方がいいかも。後に放哉と結婚した女性は相当苦労したようです。ただ、彼はラッキーでした。当時は帝大卒でも楽に良い職に就けない時代なのに、放哉は卒業後に勤めた会社をすぐ辞めた後、帝大法学部長の穂積陳重らの斡旋で東洋生命保険会社に再就職します。穂積は宇和島藩家老の家柄で、国家を担うレベルの法学者。渋沢栄一とも仲が良かった大物です。難なく再就職できた放哉は、伸び代のある保険会社の幹部候補生として超高給取りの名士になる可能性があった。
俳 「あった」……また辞めたんですか? 
青 すぐには辞めなかったのですが、勤務態度が最悪。同郷の女性と結婚し、会社が重要と見なした大阪支店の次長に栄転しますが、朝から酒浸りで、酒の匂いをさせて昼から出社して好きな本を読んだり、茶屋遊びも覚える。奇行も増え、忘年会の会費を通行人にチラシのように配ったとか。保険会社の虚々実々の人間関係が嫌だったようですが、悪行の数々で辞めることに。
俳 忘年会の会費、私も何枚か欲しかったなあ。
青 そこに反応しなくても。
社会人失格のダメ放哉を心配したのが帝大時代の友人で、朝鮮の保険会社支配人の話を放哉に持ちかけます。
俳 凄い。酒浸りの友人に支配人を持ちかけるなんて、私だったら躊躇するかも。
青 その友人も保険畑で、朝鮮の会社も渋沢栄一グループでした。第一高校から帝大で培ったエリート人脈は濃い関係なので、それが放哉を救ったわけです。


半島、大陸へ

俳 で、また失敗したと。
青 そう。支配人就職の条件が禁酒なのに出発前夜に飲み、朝鮮に渡っても泥酔を繰り返す。放哉は日本時代の借金を連帯保証人の友人に任せ、朝鮮でも借金を増やして友人に払わせ続けます。案の定クビになり、このままでは日本に戻れぬ! と満州で事業を興そうとするも肋膜炎で入院。
俳 ザ、万事休す。
青 ええ。妻と心中を相談するほど追い詰められますが、折しも関東大震災が起こったために帰国します。
俳 お酒は人生を壊すのね……私、毎日の寝酒に五合ほど飲むと目が冴えて困るので、少し減らします。
青 もう破綻しかかってるじゃないですか。


寺男に

俳 高知の祖父の血が流れているためか、酒がおいしくて。ヒヒ。帰国した放哉さんはどうなったんですか。
青 「羅生門」(3)の老婆みたいな声を出しますね。放哉は妻と別れ、堅気の生活には戻らず、京都の一燈園に入所します。
俳 一燈園?
青 宗教的な奉仕団体で、神様を崇めるのではなく、奉仕活動を通じて懺悔し、無所有の暮らしをするというもの。放哉なりに半生を懺悔し、真面目に生きようとするのですが……。
俳 やはりダメだった。
青 そうです。病身に肉体労働は厳しい、酒を飲む、帝大出身を鼻にかける等々で一燈園に居づらくなり、京都知恩院の塔頭に寺男(4)として移り住みますが、酒絡みで和尚と喧嘩し、塔頭を飛び出す。神戸の須磨寺に向かい、堂守に収まったところ、仕事が楽だったので句作の時間が出来たことを喜びます。栄養失調で視力が落ちてきたことを感じつつ句作に励み、〈一日物云はず蝶の影さす〉等の秀句を発表し始めますが、寺の内紛に巻き込まれてアウト。次に福井の寺に向かうも寺が破産してアウト。
俳 身から出た錆とはいえ、負の連鎖感が凄いですね。
青 それに反比例するように句が飛躍的に輝きを増すんです。彼は東洋生命保険の大阪支店で人間関係がこじれ出した頃から荻原井泉水の「層雲」に投句し始め、須磨寺時代には「層雲」で注目の作家となり、最晩年の小豆島時代になると師の井泉水や会員たちが絶讃するようになります。
俳 島に渡ったんですか?
青 福井の寺も追い出された後、放哉は好きな海を見ながら死にたいと願い、「層雲」のツテを頼り小豆島に渡り、西光寺の奥ノ院「南郷庵」の堂主になりました。ほぼ無収入の庵でしたが、放哉は長生きを望んでいなかった。それよりも煩わしい人間社会や労役一切から解放され、独りで自由に暮らせるのが無上の喜びだったようです。好きな海も見えるし、朝から晩まで句作三昧。肋膜炎がひどくなり、自力で起き上がれなくなった時、井泉水が本州の病院への入院を勧めますが、放哉は断ります。自分を詩人として死なせてほしい、好きな海を見て死にたい、と。
俳 さすがにかわいそう。
青 南郷庵に入る時には生活道具一切を用意してもらい、島でも酒で人間関係をこじらせたり、島からの大量の手紙や句稿の費用もほぼ援助によるもので、最期まで放哉らしかったともいえる。彼と話す人は近くのお婆さんぐらいで、小豆島に渡って約半年で亡くなりました。その短期間に、自由律の最高傑作が量産されたわけです。
(続く)


解説
(1)与謝野晶子の自伝小説『明るみへ』(大正五年)に見える話。鉄幹は才能、声望ともに妻に大きく離され、相当荒んでいたらしい。
(2)俳子の寄行は本連載第一回等で垣間見える。
(3)羅生門=芥川龍之介の小説で、荒廃した都の羅生門に棲む老婆が死人の着物を剥いで生計を立てる話。教科書に採用されることが多く、屁理屈をこねた後に下人に着物を奪われるシーンが有名。
(4)寺男=寺で様々な雑用をする男。


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100年投句計画

選者三名による 雑詠俳句計画



先選者 関悦史

 身近のレンタルビデオ屋は大体なくなってしまったし、DVDプレーヤーも壊れたままだしで、映画を全然見ていない飢渇状態が何年も続いていたのですが、柏(私の住む土浦から電車で四十分、上京の途中に寄れる)にキネマ旬報シアターというミニシアターがあるのを知り、『顔たち、ところどころ』というのを見てきました。フランスの田舎の、老女と青年のロードムービー。これで面白くならないわけがない。期待以上の出来でした。




ああ寒いデパ地下のもやしは高い  或人
 口語調がとても効いている句です。「高し」にしたら駄目になる。「デパ地下」も「コンビニ」等と同じような適当に縮められた略称なので、俳句に入れることを嫌う人はいるでしょうが、これもこの句では必要な言葉でしょう。日常の感慨をそのまま出したかに見えて、俳句特有の二物衝撃的な文体が形成されており、その点極めて意識的です。「寒い」「高い」と直接関係ないこと同士の交点に、人間がちゃんといます。




ロールパンぽこぽこ焼きぬ鰯雲  ゆりかもめ
 雲と食べ物の取り合わせはそれほど珍しい手法ではないのかもしれませんが、「鰯雲」と焼けていく「ロールパン」の間の「ぽこぽこ」がいい。愛嬌があるだけでなく、乾いた秋の空気感までがいきいきと表れています。

微睡みて夕餉お造り敬老日  しのたん
 世話される老人から見た句でしょう。うとうとしている間に夕餉となり、刺身が出てくる。それが殊更ありがたいとかではなくて、敬老の日以外も同じように無為のようで満ち足りた時間を享受できている安息感あり。
昼の月間合いをはかる猫と犬  おせろ
 たまたま犬と出くわした猫は瞬時に警戒するものですが、犬の方も気づいている。猫もすぐには逃げていないが、いつでも跳び去れる体勢という面白すぎになりかねない素材が適切に言い止められ、「昼の月」もクール。

秋風に虫の骸をみる双子  24516
 生物の「骸」とそれを見る「双子」というやや異様な素材はピーター グリーナウェイ監督の映画『ZOO』のようで不気味な耽美性がありますが、この句はそれに溺れず「秋風」で日本の風土に抜けているのが長所。

蜩や恩師の妻となりし今  ラーラ
 ドラマチックな素材は他人事で月並になりがちなのですが、恩師と結婚した自分というのは珍しい。夫がそれなりに年上となるはずなので、死期は離れるであろうという寂しさが、自足とともに「蜩」に担われています。




身の内のカフカの不安穴まどい  不耳男
越南やCMの最後はトマト  須賀風車
鰯雲トロンボーンがことに下手  松田夜市
そう言えば青の際立つ雲の峰  ケンケン
テトリスの長棒を待つ秋の昼  次郎の飼い主
月夜烏土偶は薄き眼をひらく  一斤染乃
式神の影千年や秋の声  斎乃雪
駅前にタクシーの列秋の雨  洒落神戸
星月夜神話をめぐる時間軸  ちゃうりん
テーピングされし左手星月夜  花節湖


関悦史(せき えつし)
 1969年茨城県生。「翻車魚」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。2017年第二句集『花咲く機械状独身者たちの活造り』、評論集『俳句という他界』刊行。共著『新撰21』『俳コレ』他。



先選者 桜井教人

 先日の人間ドックで初めて腹部CT画像による内臓脂肪面積を測定した。危険域とされる数値を少し上回り、内臓脂肪型肥満だと判定された。医師に自分はそれほど甘い物たくさん食べるわけではないし、アルコールも飲まない、ウォーキングだってしていると訴えた。医師は静かに「原因があるから結果があるんです」と言った。素直に反省することにした。半年後には家にあるタニタの体組成計の内臓脂肪値を標準にしてみせると密かに誓った。




休んでは鳴る杖の鈴秋薊  のり茶づけ
 読み返す度にこの句の世界が身体の中心から隅々まで行き渡るようになって来た。取り分け優れているのは見事に成功した擬人化だ。四国在住ならこの句は秋遍路の句だと分かる。金剛杖は遍路においてはお大師様の分身であり、毎日きれいに洗い、寝泊まりする部屋に置く。鈴の付いた杖カバーをするのが習わしだ。鈴の音が時々休むのはお大師様も疲れているからだという作者の優しさと秋薊の紫色の優しさは、遍路もそうでない人も救う。




花野発大花野行臨時便  藍人
 きちんと想像できる景の描き方が巧みだ。特に「臨時便」の設定が上手い。この花野が正に旬であること、訪れる人や空気感まで読み手に景を描かせる。「大花野」がどんな所なのか、楽しみや期待感も与えてくれる。

菊の香や菩薩の指に風の道  クラウド坂の上
 屋外とも読めるが私は屋内と読み、観音菩薩の指を思い浮かべた。堂内の静寂の中にふと風の揺らめきを感じる出来事があったのだろう。菊の香をのせた風は、菩薩の指の間を通って道をつくる。風の道も悟りへの道も微かなものかも知れない。
月呑みし木乃伊の肺の煌煌と  次郎の飼い主
 空海は金星を呑み込んで悟りを開いた。この木乃伊も月を呑み込んだ聖人なのか。呑み込んでなお肺の中で煌々と輝く月。季感の是非を超える詩の質をもつ句。小さな虚と実の微妙な境目に位置するところが巧妙。

螻蛄の鳴く小雨の通夜の集会所  南亭骨太
 ごく平凡に見せかけているが非凡な写生力だ。特に後半の三つの情報の過不足のなさは見事。天候、時間、場所等必要な情報を読み手に与え景を確立する。客観的に写生することにより詩の質がより高くなっている。季語の選択、連体形の使い方も確かな技術。

星月夜神話をめぐる時間軸  ちゃうりん
 空間的広がり、時間的な広がりの両方が楽しめる句。月のように明るく光る星を見ながら神々の話をしているのだろうか。神話の世界も宇宙の時間軸から見ると、ほんの一瞬なのかも知れないなどと考えさせてくれる。




まだ母の一部のやうに寒露の子  青海也緒
休暇明け業務を咀嚼する胃石  風来松
さやけしや香具師の上腕二頭筋  中山月波
黍の穂や風は多産の気を孕み  笑松
鬼やんまより複眼を飛ばされて  不耳男
嫌われて秋天の青もてあます  西原みどり
月夜烏土偶は薄き眼をひらく  一斤染乃
秋風に虫の骸をみる双子  24516
スプーンに木星の味秋の薔薇  有瀬こうこ
たべさせるやうに夕陽へ赤のまま  緑の手


桜井教人(さくらい きょうと)
 1958年愛媛県生まれ。愛媛県公立小学校教員。いつき組。子規顕彰松山市小中高校生俳句大会選者。第2回大人のための句集コンテスト優秀賞。第24回、29回俳壇賞候補。



後選者 阪西敦子

 刷り込みなのか、それともそもそもそういう季節なのか、夏になると本を読むことを思い立ち(読書感想文の影響だろうか)、秋になると本を読む事を思い立つ(「読書の秋」の影響だろうか)。冬と春には意外とそういうことがない。夏と秋には境目がないのだけれど、どちらも直前と初期にやる気が漲り、夏はどちらかといえば自分と遠いものを、秋は自分に近いものを求める気がする。といって、アガサ クリスティーは年間を通して読む。


特選

スプーンに残る滴や後の月  かのん
 後の月、月がふたたびの明るさを得る夜と言ってもいいだろう。中秋の名月から一めぐり、気温も下がり夜も長くなって、より明るく感じるくらいかもしれない。洗ったばかりのスプーンに残る滴も夜のなかでその存在を強めるのである。

銀碗へグリーンカレー涼あらた  くらげを
 タイカレーの代表ともいえるグリーンカレー、その名に比して、辛い。銀の碗に入れるようなことはあまりない庶民的食べ物だと思ってきたけれど、器が変われば少し気も新たになる。さらりとしたソースも涼を運ぶ。

秋の朝いつもの道に行ってみる  とべのひさの
 何度も何度も揺り戻し、ようやく本当に秋の静けさが来たような気がするある朝、それでも簡単には信じられなくていつもの道に何となく出てみた。今年の夏から秋への移行らしくもあり、また秋はいつもそうやって来たようでもある。


並選

心臓のカタチに怯む鰯雲  桂奈
ジョバンニの手に銀貨一枚天の川  藍植生
糸瓜や逆らひつつも風に揺れ  芳香
ひつじ田を走り回れば怒鳴り声  レモングラス
爽やかをいっぱい吸って死にました  冬のおこじょ
秋の蝶巡りめぐりて羽を閉じる  ぺぷちど
一歩二歩ころぶ新米炊きあがる  野中克歩
立ち位置のまだ定まらぬ九月かな  みやこまる
芋虫やクルクル回る万華鏡  松浦麗久
欠けている備前の湯呑み鰯雲  ハルノ花柊
孤独ってこういう感じ檸檬かむ  ゆき
秋晴や髪をきりりと女子高生  すみ
稲妻や夜勤の医師の生欠伸  凡鑽
コスモスの花粉で風しか聞こえない   七瀬ゆきこ
朝冷や玄関の下駄蹴飛ばして  明惟久里
蕎麦の花それがあるから今がある  花紋
打水や入日の跡のうすく濃く  人日子
天高し尻尾立てたる日陰猫  童夢U世
花火消え残る火星や川の音  八かい
電線の弛み穏やか春休み  大阪野旅人
秋の蝉雨の上がるを待ちかねて  ひでやん
うそ寒や肩書きとれし名刺出す  ちろりん
秋蝶の産卵管の垂れしまま  内藤羊皐
刺す毬を剥ぐも歯痒き野良の栗  青柘榴
秋刀魚焼く一人一匹五匹焼く  ミセスコナン
水秋カッターナイフの切れなくて  未貫
秋霖や風呂沸きましたと喋る壁  あいむ李景
秋霖や倒れしままの竹箒  小市
できそうなヨガのポーズや秋の雲  ぴいす
戦争を黙くし伯父逝く秋の風  波野
こほろぎや家族ラインの受信音  一走人
微睡みて夕餉お造り敬老日  しのたん
案山子のごと立ち仕事する荒男  KIYOAKI FILM
名月に琴爪付けてみたりけり  ヤッチー
コスモスの咲く倒れても踏まれても  テツコ
運動会雨男対晴れ女  和音
ナガサキの像両腕のひつじ雲  一斤染乃
蜩やおひさまを曳き鳴いてをり  喜多輝女
やんはりと馴染みしページ山眠る  久我恒子
骨上げの息の揃ふや秋澄めり  小川めぐる
補助輪のカゴいっぱいにコナラの実  立志
ふかし藷見る犬を吾の背が見る  薄荷光
終活のノートに余白小鳥来る  さより
稲妻や容易く脱げしワンピース  彼方ひらく
松籟や武庫の河畔を色鳥来  ぐずみ
重力のなき寝姿に蚊遣の香  柊月子
デラウェア州探しつつ桃を食む  元旦
案山子にて終はる交換日記かな  土井探花
祝福の光の如く秋の海  アンリルカ
青空に萩の乱れとなりにけり  どんぐりばば
ちゃん付けで母に呼ばれて秋桜  倉形さらさ
鵙日和一刀彫の仁王像  彩楓
種ありの葡萄の種に安心す  空山
家計簿や計算合わずそぞろ寒  巴
立秋の紙の風鈴無を鳴らす  まんぷく
蛍草伏し目がちなる地蔵尊  哲白


阪西敦子(さかにし あつこ)
 1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。


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100年投句計画

自由律俳句計画


きむらけんじ


 大相撲9月場所の幕下で「極芯道」という力士が優勝した。どんな事情か知らないけどちょっとアブナイ四股名じゃないの……と首を傾げていたら、たまたまTVで見た本人は、前向きの明るい好青年だった。ひょっとしてこの四股名、注目を集めるための親方の計算なのか。なら、みごとに引っかかったことになる。もうこうなりゃ横綱「極道」じゃなかった、横綱「極芯道」になるまで注目することにします。
追伸 第二回尾崎放哉賞は11月末が締切。詳しくはhttp://www.hosai-seiho.net/




眉毛太く描いて交渉に行く  多満
 交渉事に臨むというのはビジネスの世界では日常茶飯事ではありますが、そんな時は、ネクタイを締め直したり大きく深呼吸したりと男の世界を想像しがちです。が、揚句は「眉毛太く描いて」ですからこれは女性……その時点で意表をつかれてしまいます。そうか、女性の場合は眉毛太く描くことで気合をいれるものか、とあらためて納得させられます。まあ女性によっては口紅の色を変えたりヘアスタイルを変えたりいろいろあるのでしょうが、「眉毛太く描く」は、まさに緊張する交渉への強い決意をよく表しているといえます。過剰な修飾語など一切ない凛とした短律の句スタイルが、強い印象を与えています。




クレーンのフックに不動の蜻蛉  小市
 巨大で無機質な人工物と小さな生き物との対比。こういう場合、いかにも作意が表に出すぎて失敗することが多いのですが、どうでしょう。中途半端な感情表現を極力排することで静止画像のような緊張感が生まれています。

秋刀魚には短い皿である  のり茶づけ
 皿の長さに収まらない秋刀魚のいわゆる日常の一コマを、感情を抑えてきわめて客観的に見ているというスケッチ画のような様相です。あたりまえのような主観を入れないことで反って味のある余韻、余白を醸し出しています。

転がつてまた結び目を探す十月  次郎の飼い主
 単に毛糸玉のようなものが転んで……というより、夏という季節が終わりなんとか人生をリセットしたはずなのに、またしがらみとか難題が……というように読むのがよいのでしょう。比喩に面白味、深みがあります。

パイナップルくるむ琉球新報  ケンケン
 よく知られている『黒葡萄包む「山梨日日」に(中村与謝男)』と構図はおなじ。類似句ですがここはコンペの場ではないのであえて選句させてもらえば、揚句はパイナップルと琉球新報の取り合わせが新鮮でよく効いています。

月光にみるみる透き通っていく母  彩楓
 月光を受け透き通るとは言い得て妙。もう何事にも執着することもなくただ淡々と日々を老いてゆく母をみごとに言い表しています。最終段階に入ったいわゆる母と子の関係に、月光の演出が効いているといったところでしょうか。




無花果を齧るごと獣めく  風来松
秋の日の影はみな朦朧体  みやこまる
「捨てられる」と母「捨てたい」と妻  凡鑚
無花果、誰に謝ってるんだ  松田夜市
泣き叫ぶ大人の近くに居る  花紋
縊死の姉は十六夜に隠る  内藤羊皐
背後からつかまえるカマキリ  一走人
錆びた非常階段昇れば不自由な空  ちゃうりん
煮ても炒めても秋  有瀬こうこ
秋雨を一本の風  緑の手


並選

水澄めりランナー放たれり  青海也緒
夕化粧アリスの時計は歪んだまま  桂奈
分け入らば葛の蔦通せんぼ  藍植生
秋遅ければ冬早し  芳香
長々と発表会の試着続ける  レモングラス
天高し飛打球は三秒で空の色  冬のおこじょ
韮の花咲く妻の誕生日なにをしていいのやら  ぺぷちど
散骨は天の川にお願い  藍人
笑気ガスの消費期限  中山月波
秋霖や壊せグラウンドの水溜  松浦麗久
白杖を指揮棒にして歩く彼岸花の道  クラウド坂の上
あたまで考えない曼殊沙華  小木さん
ふりむくことふえる秋  ゆき
レモンの木があって後添いは楽し  七瀬ゆきこ
明日もかき氷食べる九月  とべのひさの
中東の三日月燻る  明惟久里
初めての入院の夜俳句甲子園  ねもじ
足垂れ並び涼みをり  人日子
生物の限界近づく摂氏四十度  八かい
テレビを見ているだけの現実  大阪野旅人
背の縮む秋一年一センチ  ちろりん
義兄の遺品棄ててしまったなあ夜長  青柘榴
隣家の雑草の高さと見比べる  ゆりかもめ
地震ありし空に秋の虹  ミセスコナン
侘助には不足の美というものがある  暮井戸
ブラックホールに秋雨注ぐ  KIYOAKI FILM
檸檬キュット搾る香りパット充満  ヤッチー
秋の蚊のような意地と未練があればなぁ  テツコ
月光の注ぐ音を聴く  和音
平成最後の年台風多産也  喜多輝女
夜寒の閨に夫  久我恒子
雨音に耳が怯える  南亭骨太
汗をかいても太る  小川めぐる
歩調のワルツめく良夜  立志
コスモスはあたしサボテンはあんた  24516
愁思のある日口紅は耳朶に達した  薄荷光
激情を秘めきらめく漣  さより
靖国と高野山へ麻原の骨  ぐずみ
寿限無じゅげむ長き夜  洒落神戸
ひそひそ話漏れ聞く木犀  元旦
アメリカンモカキリマンジャロ星月夜  倉形さらさ
まぶたがぴくぴくする夜長  花節湖
これはこれとして秋季大運動会  ラーラ
檸檬植え我道を行く  空山
あれは月かと車窓に指差すスーパームーン  マカロン星人
雨になる秋の蛍は  きさらぎ恋衣
悟りし者に幸あれかしと復般若湯  まんぷく
妻は何故嫌うか彼岸花  坊太郎


自由律で再挑戦を!

ふるさとの磯道づたひ雲の峰  みつよ
大粒の雨過ぎてより残る虫  みつよ


きむらけんじ 1948年生まれ。第一回放哉賞他。自由律俳句結社「青穂」同人。句集『圧倒的自由律 地平線まで三日半』(象の森書房)、写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。


自由律を動かせ
第二回尾崎放哉賞
作品募集

応募締切
2018年11月30日(金)必着

投句料
 一般の部 2千円(2句1組、何組でも可)
 高校生の部 無料(2句1組まで)


 一般の部 大賞 賞状、10万円 ほか
 高校生の部 最優秀賞 賞状、クオカード5千円分 ほか

送り先
 〒825-0005 福岡県田川市糒1908-6 高木 架京 宛

主催
 自由律俳句結社「青穂(せいほ)」

詳細は http://www.hosai-seiho.net/


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100年俳句計画

詰め俳句計画


選者、問題作成 マイマイ


今月の問題
次の(   )の中に共通する秋または冬の季語を入れてください。

切り口の縞茫漠と(   )かな
しんしんと(   )を通ふ海の水



切り口の縞茫漠と愁思かな
しんしんと愁思を通ふ海の水
 小木さん。字の中に「秋」は入っているのですが……。この形で歳時記に載ってはいないようです。級外。

切り口の縞茫漠と寒の雨かな
しんしんと寒の雨を通ふ海の水
 KIYOAKI FILMさん。前句リズム的に「かな」は要りませんね。後句も長律。内容的には「通ふ」がよく分からない。7級。

切り口の縞茫漠と刈田かな
しんしんと刈田を通ふ海の水
 内藤羊皐さん、花節湖さん。どんぐりばばさんは冬田。前句稲刈り跡が並んでいるのを「縞」といったのかもしれないが、無理があるか。後句、海の水を入れちゃあ駄目じゃろう。6級。明惟久里さんは枯野。前句、「切り口の縞」が何か分からない。後句は海岸近くに荒れ果てた土地があって、潮が満ち引きしているのだろうか。やはり分かりにくい。同じく6級。すみさんは千草。前句、「切り口の縞」って何だろうと思っているところに「千草」という「秋の名も無き草々」を持ってくると更に謎が「茫漠」としてくる。後句、海水で育つ陸上植物は限られているので「千草」とは合わない。同じく6級。七瀬ゆきこさんは芭蕉。画像検索で芭蕉の切り口を見てみましたが、確かにあの葉が幾重にも重なっている断面は「縞」っぽい。後句、芭蕉は海水では育たないのでは? あいむ李景さんは糸瓜。なるほどそこはかとない「縞」がありますねえ。でも海水は吸わないと思う。いずれも5級。のり茶づけさん、ひでやんさん、喜多輝女さんは枯木、暮井戸さんは冬木。前句、まあ年輪は「縞」ですね。後句、季語「枯木」は冬になって葉を落した木のことで、決して「枯」れてはいないのですが、海水を注いでいたら本当に「枯」れますよ。同じく5級。

切り口の縞茫漠と夜長かな
しんしんと夜長を通ふ海の水
 ちろりんさん、桃子ママさん。前句、「切り口の縞茫漠と」と来たところで読み手は当然その答えを次の言葉に求めるのだが、それには答えず時候や天文などの季語で肩透かしを食わせ、謎は謎のまま放置する作り。これはこれで一つの手法だが、謎すぎる。後句は海峡や入り江などを想像するといい感じだが、夜長の「長」が利いているかどうか。4級。中山月波さん、矢野リンドさん、坊太郎さんの夜寒、元旦さん、きさらぎ恋衣さんの寒夜、みやこまるさん、河原撫子さん、大阪野旅人さん、青柘榴さんの霜夜は後句、それぞれ「寒」「霜」の字を配して身体的実感が呼び起こされるところが「しんしんと」と呼応していていい。3級。レモングラスさん、藍人さんの良夜、空山さんの雨月、冬のおこじょさんの無月、ゆきさんの既望はそれぞれ名月あるいは十六夜の月に関連した季語。その特別な夜の感慨が後句のスパイスになっている。同じく3級。人日子さん、彩楓さんの小春は「しんしんと」から「夜」という発想に行かず意外性があった。同じく3級。一走人さんは秋思。前句、心象が入ることで更に謎が深まるが、中途半端よりはこれくらい分からない方がいいかも。後句、心の空洞にも水が流れているようでしみじみしている。2級。

切り口の縞茫漠と酢茎かな
しんしんと酢茎を通ふ海の水
 次郎の飼い主さん。ううむ、酢茎に縞? 後句は酢茎を海の水に漬け直す? 理解を越えている。5級。童夢U世さんは網代。歳時記に「湖、川筋、入江などで(中略)水中に小柴や小竹を立てつらねて、魚を誘導し、その道の終りにどをかけて魚を簀の上にあげる、素朴な漁法」(日本大歳時記)とある。切り口は小竹のことかもしれないが「縞」とは? ちょっと分からない。後句は河口などを思えば静寂で美しい。4級。一斤染乃さんは蘆火。これは蘆刈をする人が蘆に火をつけて暖をとることを言う。とすると前句の「切り口」は当然、蘆の断面ということになるのだろうが、「縞」という感じじゃない気がする。後句は火と水の対比が面白い。蘆は汽水域に生える植物で当然海水の行き来があり、「通ふ」に臨場感がある。3級。

切り口の縞茫漠と氷かな
しんしんと氷を通ふ海の水
 藍植生さん、芳香さん。前句、氷の断面をしげしげとながめたことは無いが、きっとこんな氷はあるのだろう。後句は「通ふ」が分からない。4級。しげこさん、桂奈さんは銀河。銀河の切り口?と思ったが前述の「謎を謎のまま放置する作り」の取り合わせかもしれず悩ましい。後句は銀河に海水が染み込む? 分かりにくかった。同じく4級。影武者さんは深雪。前句、実際に切ってその断面を見ているのでしょう。後句は海水で雪が解けませんか? 同じく4級。さとしさんは凍露。前句、凍った露を切ってみた? 研究者の一句みたいです。後句、露が凍った海岸近くに潮が満ちてくる情景ととれば不自然さはない。3級。猫楽さんは夜霧、ほろよいさんは狭霧。例の「謎を謎のまま放置する作り」の取り合わせだが、「茫漠」としているのは「霧」のせいだと一つ謎がとけた。後句は情感がある。同じく3級。倉形さらささんの時雨も前句謎が多い。後句、位相の違う水の出会い。同じく3級。

切り口の縞茫漠とはらこかな
しんしんとはらこを通ふ海の水
笑松さん。はらこに縞ありましたっけ。後句、はらこは鮭の腹の中で直接海水に触れるわけではないので「通ふ」が言い過ぎている気がする。5級。立志さんはわらさ、きなこもちさんは秋刀魚、青海也緒さんは鮪、小市さん、斎乃雪さん、24516さんは鯨、とべのひさのさんはクジラ、或人さんは勇魚。魚系の季語が続きます。どの身にも縞やそれに近い構造はあるので前句、成立している。後句も魚(あるいは鯨)の体内を海水が「通ふ」という把握は新鮮で面白いが、泳いでいる魚を思うとき「しんしんと」という表現にやや疑問がある。2級。その点、松浦麗久さんの鮃は海の底で獲物をじっと待ち構えている静的な時間があるわけで「しんしんと」に説得力がある。1級。


今月の正解

切り口の縞茫漠と海鼠かな
しんしんと海鼠を通ふ海の水
 クラウド坂の上さん、美和子さん、ミセウ愛さん、八かいさん、ゆりかもめさん、ヤッチーさん、久我恒子さん、プリマス妙さん、薄荷光さん。前句、海鼠の「縞」は凝視すると逆にぼやけてくるような不思議な「縞」ですね。後句、海底の静謐さがよく表現できていると自画自賛。初段。


解答募集中!
次の(   )の中に共通する新年の季語を入れてください。

砂利踏んで(   )を行く鼓笛隊
(   )や鷺とペンギン並び立つ

 このコーナーは『新日本大歳時記』(講談社)を参考にして、選者が勝手にランク付けをしています。
 新しい季語などを投稿される際は、歳時記、季寄せ名を併せて明記していただけると助かります!

10月20日締切 結果は12月号に掲載


マイマイ
 2003年11月頃よりラジオに投句を始める。割と生活派俳人だったが、最近は?? 第1回、第4回百年俳句賞(旧大人コン)優秀賞受賞。2013年句集シングル『翼竜系統樹』上梓。将棋推定初段。棋友募集中。宇宙と生命を題材に詠んだ句集『宇宙開闢以降』マルコボオンラインショップにて発売中。


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100年投句計画 投句方法



雑詠俳句計画
自由律俳句計画
詰め俳句計画

 「雑詠俳句計画」では、寄せられた投句を一括して、各選者が選句します。各選者に宛てて個別の投句を行うものではありません。

1月号掲載分締切 11月20日(火)

投句方法

 投句先コーナー名
 俳号(無ければ本名の名前のみ)
 本名
 電話番号
 住所

 以上の必要事項を書き添えて、編集室「100年投句計画」係までお寄せください。メールの場合は、件名を「100年投句計画」としてください。
 「雑詠俳句計画」「自由律俳句計画」はそれぞれ2句ずつまで投句できます。また、「詰め俳句計画」は季語1つのみを投稿できます。
 各コーナーの投句は、ひとつにまとめて送っていただいても構いません。

メール宛先
magazine@marukobo.com

投稿専用ページ
http://marukobo.com/toukou/

さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。(「100年公募計画」のコーナー参照)


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短歌の窓


選者
短歌誌『未来』会員 渡部光一郎


特選

透明な棘をびつしり葉に茎に胡瓜の花の咲いてをるなり  小川めぐる
 びっしりはえた胡瓜のトゲはけっこう痛いですね。キュウリなりの意志のあらわれなのでしょう。下句、「をるなり」でみごとに詠いおさめました。平明にして詩情ゆたか。


並選

先生は先生だから好きだった銀杏紅葉のあの通学路  ラーラ
 「先生は先生だから好きだった」上の句が殺し文句。下句もほとんど動かない。

間違えてゴミ分別を間違えてまた間違えて今日も暮れ行く  暮井戸
 事実関係は分からないが、作者の混乱や焦燥感が「間違えて」のリフレインによってよく表現されている。これもまたひとつの手法。

お岩木は津軽の林檎見渡して雪積む頃にまた来よと言ふ  藍植生
 「お岩木山」は津軽平野をいつも見渡している。雪降ったらまた来いよー。難点は「林檎」かな。

その上は人住みしてふ絶海の孤島に夏の月照らすのみ  風
 きびしい詠み口がとてもいい。


評のみ

混濁の意識の中に手を上げて祖母の指ししは未来にありき  きさらぎ恋衣
 あるいは祖母の臨終だろうか。祖母が混濁した意識のままに指したのは未来(ここでは天国とも受け取れる)だったかもしれない。ここで未来に「ありき」としたのはやや疑問。下句を「祖母指したるは未来なりしか」とするのもひとつの案。推敲を。

名も高き安達太良山の紅葉は裾まで下りて今盛なり  芳香
 絵はがきのような歌。びしっと決まっている。「名も高き」というのはなかなか使えないが、ここではそんなに邪魔になっていないように思う。(読者によってはいいと思われないかもしれないが)

等分にいつもは分けているけれどタルトタタンは君にあげない  中山月波
 「君」は作中主体にとって何だろう。子か。それ以外の家族か。あるいは恋人か。今日は(たぶん好物の)タルトタタンはあげないよーだ。しあわせなひとときか。

マルシェにてずっしりとしたキャベツ買う虫にお腹にやさしい味の  青柘榴
 虫食いのないものより、虫にも人の体にもいいキャベツを買う。虫食いはむけば問題ない。

貴婦人と呼ばれる鳥の赤い足セイタカシギと言う名なんだね  一走人
 「名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思う人はありやなしやと」(在原業平)一般的には都鳥=ユリカモメだ。困ったことにシギも足の赤い水辺の鳥なのでややこしや〜。

勝利せしリレー競技の果てるなり 追い抜かれし子の無念を思う  ゆき
 もう一首に(追い抜きしリレー競技の吾子ありて)とあるから抜いて勝ったのは自分の子だとわかるが、この一首だけだと、上句の「勝利せし」の主語がなくて少しわかりづらい。一案として、「吾子勝ちてリレー競技の果てしのち抜かれし者の無念を思う」くらいではどうだろうか。あと、上句と下句の間の一字空けはいらない。再考してみてください。

沖縄にうるう年のよに現れる神の手と言うしあわせの雲  ミセスコナン
 「うるう年のよに現れる」というたとえは少し変えた方がいいかもしれない。「神の手」という雲を具体的に描写した箇所がほしい。

ひいばばのおはように言うおはようと曾孫初めておはようと言う  彩楓
 「おはよう」の不思議なリフレイン。「おはように言うおはようと」は普通の表現とは言いがたいが、これはこれで面白く読めてしまった。

君の名の「さん」のとれないまま立夏チャンスは逃げず僕が逃げてる  クラウド坂の上
 歌意はよくわかるが、ちょっと詰め込み過ぎかも。「『さん』のとれないまま立夏」というのだけでも歌としてはじゅうぶん成立する。「チャンスは逃げず僕が逃げてる」は言わずもがななので、省略した方がよい。

もの落とすすぐに拾わずぼうとするご覧のあなたお気になさらず  青海也緒
 「もの落とすすぐに拾わずぼうとする」のは自分だろうか。自分とあなたの関係はなんだろうか。お気になさらず、とはどんな感情からきた言葉なのだろうか。(お気になさらないで)なのか(気にしない)のか。なんだか謎が多い。


自作の短歌(2首まで)を下記までお送り下さい。締切は毎月20日。
専用フォーム
http://www.marukobo.com/tanka/
専用Email
tanka@marukobo.com


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自作の俳句を英語に訳そう!

百人百様 E-haiku



文、訳例 菅 紀子


ラザニアの仕上げの色のパセリかな
Cook the Lasagna, finally sprinkle with parsley.
ケンケン

紀訳
parsley
color of the final touch
on lasagna


身にまとう夏シャツ近江ブルーなり
Wear a summer shirt, Omi-blue.
ケンケン

紀訳
a summer shirt
I wear is
Omi-blue


冬りんごおとぎの国は夜育つ
winter apples
the fairy lands
grow up at night
久我恒子

紀訳
winter apples
the fairy land
grows at night


懐手試食の麺の煮えはじむ
hands in pockets
tasting noodles
begin to boil
久我恒子

紀訳
hands in pockets
the noodles for tasting
begin to simmer


胡麻はぜるコロポックルの笑い声
Dehiscence of sesame
The voice at
Koropokkur's laughter
ほろよい

紀訳
roasted sesames
jump with laughter
of Koropokkur

お便り
ほろよい 英語でもコロポックルなのですね……びっくり!


冬兎おしり素敵に走り去る
Winter rabbit、my cute bottoms , running.
KIYOAKI FILM

紀訳
a winter rabbit
runs away
showing its charming back


我が父は地球創りし冬林檎
My father、earth of the creater.
KIYOAKI FILM

紀訳
a winter apple,
my Father is the creator
of the earth


金風よダビデにハートの目の光
oh autumn wind
David has the Heart's Lights
in the eyes
チャンヒ

紀訳
autumn wind
heart shaped light
in the eyes of David


秋思とは無限に彷徨うバレリーナ
blue in autumn is
that endless wandering
ballerina
チャンヒ

紀訳
autumn blue is
a ballet dancer
wandering infinitely


夏草の深く小さき遊牧集
thick summer grasses
the little haiku collection
""Yubokusyu""
明惟久里

紀訳
summer grasses deepen
a slim anthology "Nomadic herding"


不知火のかげすつくりと沖天す
the light of sea fire
rises into the air
straitly
明惟久里

紀訳
the shadow of
phosphorescent light stands
right upward to heaven

お便り
明惟久里 今回の1句目は金子兜太先生への、2句目は石牟礼道子さんへの追悼句です。


秋の浜空にサックス吹く少女
at autumn beach
the girl who plays a sax
to the sky
彩楓

紀訳
autumn beach
a girl playing the saxophone
toward the sky


砂浜に犬走らせて海は秋
the sea is autumn
the dog run free
in the sandy beach
彩楓

紀訳
allowing the dog to run
in the sand beach,
the sea in autumn


秋の空一に止まる強さかな
autumn sky,a strength of will to remain at one
すずき徳三郎

紀訳
autumn sky
the Chinese character with one and stop
represents the strength

お便り
すずき徳三郎 映画「フォレスト ガンプ」より、「正」しいという字は「一」に「止」まると書く。一つのことに徹底的に拘り、どんどん境涯が開けていく生き方に感銘。


映画への家族への愛描き秋
draw a love for movie and family,in autummn
すずき徳三郎

紀訳
autumn
love of films
love of families

お便り
すずき徳三郎 映画「カメラを止めるな」前半のスリルと後半の圧倒的心地よさにやられました。


Column
大文字と小文字について

 英語の基本的なルールだと文頭は必ず大文字にします。では俳句を英訳して3行詩にしたとしましょう。その場合、毎行頭を大文字にしますか? 3行の内容が一文の続きだったとしてもそうしている英語俳句もあります。逆に3行共小文字で始めるものもあります。私の所属しているHail Stone Haiku Circleの英語俳句を見ると1行目の1文字目のみ大文字にしているものが多いようです。カットの円い俳句はその作品集から(テキスト版では図版省略)。大文字で句の冒頭がわかりますね。でもこれも決まったルールがあるわけではないようです。たとえば全て大文字で始めると、何か大袈裟な感じがするとか、重いとか、詩の文字のビジュアルなイメージの問題かもしれません。重厚感を与えたい時には効果的かも。しかし最低限の基本はあります。固有名詞の語頭は必ず大文字です。


菅 紀子(かん のりこ)
(有)クラパムコモンカンパニー代表。通、翻訳、メディアによる姉妹都市交流コーディネーター。社名は夏目漱石が下宿したロンドンの地名から。歩道短歌会同人。人文学修士、翻訳修士。松山大学非常勤講師。(Hailstone Haiku Circle blog ICEBOX Contributor)(漱石と彼のライバル重見周吉、日系移民研究)

自作の俳句およびそれを英語俳句にしたもの(2句まで)を募集!
応募先
 WEB http://www.marukobo.com/eigo/
 Email eigo@marukobo.com

1月号掲載分締切 11月20日(火)


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今回のお題句に対する投句から次のお題句を選び繋げてゆく

疑似俳句対局


選者 美杉しげり


今回のお題句
名山は雲したがへて秋茜  久我恒子

 候補句紹介の前にひとつ。(お題句から漢字をいただく場合)「複数の字をいただいてもいいのですか」という質問をいただきました。もちろんOKです。たとえば「山」一字でも良いですし、「山」「名」「雲」と三字をいただいても構いません。


候補句

深山蝶翅の目玉の顫ひかな  冬のおこじょ
 今月の一番乗り。蝶の羽の斑紋を目玉に例えているのが楽しい。
一人ずつ生い立ち語る登山かな  クラウド坂の上
扇型に山削がるるや神渡し  青柘榴
神無月素知らぬ顔の山の神  八かい
山寺や紅葉且散るちる五大堂  藍植生
ボージョレーヌーボーナプキンを山に折る  椋本望生
 お題句から「山」をいただいた皆さん。山という語には、どちらかというと重い印象があるのですが、椋本望生さんの句のように軽やかに詠むこともできるのですね。
 
茜さす君の抱けり夏帽子  花 節湖
夕焼の茜にしかと佐田岬  健次郎
赤蕪を漬ける甘酢も茜色  大槻税悦
 意外に少なかった「茜」。どこか懐かしさを伴った語で、詠まれた句もそんな印象。

小春日や耳行儀よき秋田犬  久我恒子
 お題句から「秋」をいただいた句。これが季語として使われていると、実際の俳句対局では減点となるわけですが、「秋田犬」なら大丈夫。こんな技もあります。
 そういう意味で「惜しい!」二句。それぞれお題句から「名」「したが」をいただいているのですが、「秋」が季語として使われているので、減点となりそうです。
淡し陽と浮名を流す秋桜  柊月子
秋嵐恐怖したがへ過ぎ去りぬ  斎乃雪

敗荷や名乗るほどではありません  誉茂子
ジ.エンドは旅名子役通草割る  桂奈
名月にふり返る径三十年  ぐずみ
名月や雲を見下ろす竹田城  洒落神戸
 俳諧味があったり、取合せが個性的だったり、しみじみ系だったり、それぞれ味わいの違う「名」の句。洒落神戸さんは「名」と「雲」の二字を詠みこんで。(竹田城、いつか行ってみたい!)

冬雲や小さく壁を蹴る角度  青海也緒
石鎚の嶺越す雲や秋の色  二宮損得
三日目の一人のカレー鳥雲に  中山月波
出雲より届く差入れ神の留守  笑松
影のごと軒に雲水初時雨  凡鑽
あの雲は芋虫の吐く糸なのだ  薄荷光
 「雲」を選んだ皆さん。面白い句が並びました。青春性を感じる青海也緒さんの句、きちんと景を詠んだ二宮損得さんの句、美味しくて少し侘しい中山月波さんの句。笑松さん、凡鑽さんの「出雲」「雲水」という変化球も楽しい。芋虫の句は、いかにも薄荷光さんらしい発想が素敵。

 今回は「したがへて」から、ひらがな三文字をいただいた句が多かったですね。
 「したが」「たがへ」「がへて」の三パターンから、「がへて」を選んだのは、ひでやんさん。これ、意外に少なかったです。難しいですもんね。
まちがへて踵をかへす月下かな  ひでやん
 続いては、「したが」。お題句のように「したがへ」と詠んだのは小川めぐるさんと、ちゃうりんさん。野分の中をゆく親子、犬とゆく枯野、それぞれ映像が見えてきます。
子が我をしたがへてゆく野分かな  小川めぐる
黒犬をしたがへ今日は枯野かな  ちゃうりん
 「したが」別バージョン。皆さん、上手くアレンジされてますねえ。短い時間で、よくこんなの思いつくなぁと感心してしまいます。
台風が来ていましたが実施した  スギもとたかし
友と呑む蒸したがざめの殻つつき  一斤染乃
編みあげむショールあしたが来るまへに  佐藤香珠
 そして「たがへ」三句。
翅の色たがへ縺れる揚羽蝶  あいむ李景
夢たがへ山一面の鳥兜  七瀬ゆきこ
約束をたがへて駅のしぐれかな  星埜黴円
 あいむ李景さんの蝶は雄と雌でしょうか。似ているようで微妙に違う色が奇麗。七瀬ゆきこさんの句は、「夢たがへ」と「山一面の鳥兜」の不思議な取合せが魅力的。
 星埜黴円さんは「安住敦の『しぐるるや駅に西口東口』が念頭にある」的なコメントを書かれていましたが、いえいえ全く違う世界を描いておられると思いますよ〜。


次回お題句
月皓皓いらねえこんなはしたがね  すみ

 さて、次回お題句は俳句対局の持つ連句的な楽しさがある、この一句。舞台か映画の一場面のよう。
前回お題句から「したが」をいただいていますが、「はしたがね」という言葉をよく見つけましたよね。「月皓皓」が漢字で、他はひらがなという表記も効果的。
 次回は漢字からいただくなら「月」「皓」。ひらがな三字なら……かなりいろいろ遊べそう。どんな句が届くか、楽しみに待っております。


美杉しげり
 第8回俳句界賞受賞。数年前から小説も書き始め、短編「瑠璃」で第21回やまなし文学賞佳作。美杉しげりはその時からのペンネーム。


毎月25日頃に、投句フォームにてお題句を発表します。投句締切は毎月末日。

疑似俳句対局投句フォームアドレス
http://marukobo.com/taikyoku/


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THE BEATLES 213 PROJECT


第14回
「ジェット! ザ ビートルズ」

文 夜市


 ビートルズ唯一の2枚組アルバムとなった「ホワイトアルバム」。名曲がたくさん入っているけれどアルバムとしての完成度には問題あり、とよく言われます。たしかに1枚半ぐらいにまとめてくれればもっと聴きやすかったのになあと思わないでもありませんね。まずはポールの作品から5曲を選んで特集してみました。


バック イン ザ U.S.S.R.

ジャラララとジェット気流の冬飛行  越境島
 ど真ん中のロックンロールに、タイトルはチャック ベリー、コーラスはビーチボーイズのパロディー。あちこちに登場するジェット機風の効果音など随所にポールの遊び心があふれています。

ペーチカであの娘と聴くよバラライカ  時計子
 ソ連ぽいもの(ボルシチ、キャビア、テレシコワ、鉄のカーテン!など)を詠み込んだ句をたくさん寄せていただきました。エンディング近くで鳴りだすトレモロギターがバラライカぽく聞こえるのも面白いですね。

サーフィンでモスクワに着くロックンロール  ロックアイス
おふざけが過ぎやしないか秋の空  れんげ畑


オブ ラ ディ、オブ ラ ダ

人生は続く鍵盤叩く秋  花伝
 イントロの冒頭部分はジョンがやけくそ気味にピアノの鍵盤を叩きつけたものなんだとか。メンバー間の感情のもつれを物語るエピソードとしてよく知られています。けれど曲調は底抜けに明るくてオプティミズム満載。「オブラディ オブラダ、人生は続いていくよ!」と。

無月でも踊れオブラデイオブラダで  風十六九
 ジャマイカのリズムがゴキゲンなこの曲。繰り返すラ行のアクセントにスカを感じる風十六九さんの一句です。

新緑や動物たちが歌い出す  越境島
 てんとうむしのサンバかよ、とさまぁ〜ず風に突っ込みを入れたくなってしまいました。

ホットレモン集へばいつのまにか歌  久我恒子
虹も立つ行こうおきらくごくらくで  猫正宗


ブラックバード

真夜中のふいの沈黙黒つぐみ  猫正宗
 当時ポールは黒人女性の公民権運動を支持していて、黒鶫はその象徴ではないかとも言われます。「傷ついた翼広げて、やがて自由へと飛び立つのだ」という歌詞に込められたメッセージに胸を打たれます。

月影や爪弾くギター風となり  斎乃雪
 ステップを踏みながら、ツーフィンガーと呼ばれるギター奏法で弾き語るポール。この曲ならば弾けますという往時のギター少年がけっこうおられるのじゃないでしょうか。

Dead of Night 夜鷹よ俺も星になる  マーチン
隼やいかな夜もよき朝になる  明惟久里
黒き血は自由の匂ひ冬の蝶  冬のおこじょ


バースデイ

熟れトマトぶつけぶちまけバースデイ  ツバメ号
 なんだか玩具箱をひっくり返したようなハッピーバースデイですよね。ツインリードのギターリフとリンゴの強烈なドラミングによるあっという間の2分42秒です。

吾亦紅パティボイドとオノヨーコ  暮井戸
 レコーディングスタジオに家族や友人が数多くたむろして、コーラスにまで加わっていたというこの時期。吾亦紅の季語にはそのことに対する作者の思いが託されていると読みました。


ハニー パイ

銀幕の彼女毛皮を脱ぎ捨てて  時計子
 アメリカに渡って映画スターになってしまった彼女に対する喪失感。もしかしてドライブ マイ カーの続編なんでしょうか。デキシーランドジャズ風のレトロなサウンドに乗せてポールが切なく歌います。

流星を見失うなりハニーパイ  立志
神渡し届かぬものに夢の先  久我恒子
アジサシがゆくよ裏声で歌うよ  猫正宗


第16回 兼題曲 シングル特集(中期編)

 恋を抱きしめよう
 デイ トリッパー
 ペイパーバック ライター
 レイン
 イエス イット イズ

 兼題曲を詠んだ俳句を左記までお送り下さい。

専用フォーム http://marukobo.com/beatles/
専用Email beatles@marukobo.com
締め切り 11月20日


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100年俳句計画編集室セレクト

100年公募計画



掲載は応募締切順。
選者は順不同、掲載名は敬称略。
各公募情報の詳細につきましては、主催者発表の最新情報ならびに問い合わせ先でご確認ください。


春夏秋冬(しき)笑顔まつやま福祉五七五《秋》

主催 松山市社会福祉協議会、マルコボ.コム(ふくし句会、ハイクライフマガジン「100年俳句計画」)選句
募集内容 福祉をテーマにした秋季の句を、専用フォーム(http://www.marukobo.com/egao/)より応募。
締切 平成30年11月4日(日)
賞 「松山トリコ」 大賞(松山市社協会長賞)1点=道後温泉湯玉トートバッグ、優秀賞3点=ブックカバー、入賞4点=紙の湯カードケース
詳細問合先 電話 089-921-2111(松山市社会福祉協議会)


第7回 星野立子新人賞

主催 公益財団法人 上廣倫理財団
募集内容 20歳以上50歳未満(応募締切時)対象。未発表50句。※別途「星野立子賞」(女性対象、刊行済句集を応募)の募集も有り。
宛先 〒248ー0002 神奈川県鎌倉市二階堂231ー1 「星野立子賞」事務局
締切 平成30年11月30日(金)※必着
選者 岸本尚毅、中西夕紀、星野高士
賞 星野立子新人賞2名(男女各1名)=賞状、記念品、30万円
詳細問合先 電話0467-22-9676(「星野立子賞」事務局)


第2回 尾崎放哉賞

主催 自由律俳句結社「青穂」
募集内容 「一般の部」自由律俳句2句一組2000円。何組でも可。「高校生の部」投句料無料2句まで。
宛先 〒825ー0005 福岡県田川市糒1908ー6 高木架京宛
締切 平成30年11月30日(金)※必着
選者 自由律俳句結社「青穂」役員
賞 「一般の部」尾崎放哉大賞1名=10万円、優秀賞5名=1万円、入賞10名=クオカード3千円分 「高校生の部」最優秀賞1名=クオカード5千円分、優秀賞10名=クオカード2千円分、特別賞5名=愛媛県愛南町特産品
詳細問合先 メールsupport@hosai-seiho.net(尾崎放哉賞 事務局)
http://www.hosai-seiho.net/


第17回 えひめスポーツ俳句大賞

主催 公益財団法人 愛媛県スポーツ協会
募集内容 指定の競技等のいずれかに関する作品。応募無料。【俳句部門】高校生以上の一般の部と、中学生以下のジュニアの部。一人5句まで。【ハイブリッド部門】俳句と写真を組み合わせた作品。
応募フォーム(https://www.insnet.ne.jp/hp/etaikyo/haiku/entry.html)、または指定のハガキを使用。
締切 平成30年11月30日(金) 当日消印有効
審査員 松本勇二、岡周子、平岡千代子、川本征紀、宮内幸男、土居忠博、小池真一
賞 部門ごとに「えひめスポーツ俳句大賞」=賞状、盾、副賞、ほか各賞あり。
詳細問合先 電話089-911-1199(公益財団法人 愛媛県スポーツ協会)
https://www.insnet.ne.jp/hp/etaikyo/


第18回 石田波郷記念「はこべら」俳句大会

主催 公益財団法人江東区文化コミュニティ財団
募集内容 波郷を偲ぶ俳句1句、雑詠1句、計2句一組1000円。何組でも可。
宛先 〒136ー0073 東京都江東区北砂5ー1ー7 江東区砂町文化センター「はこべら」俳句大会 係
締切 平成30年12月10日(月) 必着
選者 石田郷子、上田日差子、鈴木しげを、コ田千鶴子、能村研三
賞 石田波郷記念「はこべら」賞1名、石田波郷記念館賞1名、各選者特選3句、入選10句
詳細問合先 電話03-3640-1751(公益財団法人江東区文化コミュニティ財団 江東区砂町文化センター 石田波郷記念館)


第8回 瀬戸内 松山 国際写真俳句コンテスト

主催 松山はいく運営委員会、松山市
募集内容 写真と俳句を組み合わせた作品。【自由句部門(日本語、英語)】お題「海」を写真または俳句で連想させるもの。【課題句部門(日本語、英語)】課題写真に対して、俳句のみを応募。
締切 平成31年1月14日(月)必着
選者 【日本語部門】森村誠一、夏井いつき、キム チャンヒ、山口亜希子 【英語部門】デビッド マクマレイ、キット ナガムラ
賞 【自由句部門】日本語、英語それぞれ、最優秀賞1点=3万円分相当賞品、優秀賞2点=3千円分相当賞品 【課題句部門】日本語、英語それぞれ、最優秀賞1点=1万円分相当賞品、優秀賞2点=3千円分相当賞品
詳細問合先 電話06-6222-5224(朝日カルチャーセンター 瀬戸内 松山 国際写真俳句事務局)
メール matsuyamahaiku@gmail.com(松山はいく事務局)
http://matsuyamahaiku.jp/contest/


右城暮石顕彰吉野川全国俳句大会

主催 本山町
募集内容 未発表の四季雑詠2句一組1000円。規定の投句用紙(コピー可)を用い、何組でも可。
締切 〒781ー3601 高知県長岡郡本山町本山568ー2 本山町立大原富枝文学館内「右城暮石顕彰吉野川全国俳句大会」事務局
締切 平成31年1月31日(木)当日消印有効
選者 辻桃子
賞 右城暮石賞、高知県知事賞、高知県文化財団理事長賞、選者賞(特選3句、入選20句)。応募者全員に入選句集進呈。
表彰式 平成31年4月14日(日)/本山町プラチナセンター ふれあいホール 当日句会、記念講演あり。
詳細問合先 電話0887-76-2837(「右城暮石顕彰吉野川全国俳句大会」事務局)


夏井いつきの一句一遊

協力 南海放送

南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句宛先
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/

投句募集中の兼題
11月4日締切  漢字「産」、目貼
11月18日締切  蒸飯、霜降かます

9月度「天」獲得句

荒鷹
餌に爪痕なく荒鷹の第一夜  マイマイ

赤のまんま
泥猫の水飲んで去る赤のまま  人日子

漢字「胃」
台風は働く海は胃液めく  登り人

月光
月光を今日の終わりとして豪奢  ラーラ
肉球に月光やさし処分棟  93sのプッコラ

掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとにしたものです。俳句ならびに俳号が実際とは異なっている場合がありますのでご了承ください。


俳都松山
俳句ポスト365

協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/

11月の兼題
投句期間
11月1日〜11月14日 枇杷の花
11月15日〜11月28日 雪兎

9月度「天」獲得句


穂を出さぬうちに抜かれる稗のばか  ことまと

無月
ねこねずみからす無月の歌舞伎町  根子屋彦六


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鑑(み)るという冒険


映画篇 演劇篇

文&俳句 猫正宗


第七十三回
 『カメラを止めるな!』&『髪をかきあげる』『川底にはみどりの魚がいる』/『柳橋物語』

 やっと観ました噂の『カメ止め』。何を書いてもネタばれになるんですが、言えば簡単、やるのは無茶な撮影とワンアイディアで押し切った勇気と無謀さが素晴らしい。もちろん評判通り面白かったのですが、二館から始まった上映が、今や一九〇館以上、四十七都道府県制覇という、聖林大作並みの扱いになる作品かというと、多分違う。本来なら一部好事家が探し当てて96分楽しんだら、その内何人かがお気に入りとして記憶する。そんな映画だったんじゃないかしら。SNSの拡散力と「何にも言えないけど、面白いから観に行け」といった単純な呼びかけが、逆にスクリーニングにならず万人の興味を惹くと同時に、その面白さを自分だけの秘密のように感じた結果、仕掛けに対するリピーター込みの観客動員となったのかも。
 その拡散を担った中には著名人も大勢いました。そこには、埋もれそうな面白いものを伝えたいという意識とともに、現場という最前線で、金もコネもない中、知恵と熱意で戦っている人たちに対するエールという側面もあったのではないでしょうか。
 そんな風に作られた他の作品にも、本作と同じ位面白いものがまだまだあって、僕達が見つけられてないだけなのかもしれません。
 こんな感じで書いてますが、僕だって映画館で観られるのは月に一、二本(あ、九月は一本も行けなかった)。安全牌を選びがちです。
 でも、本当はちゃんと自分で見つけられなきゃいけないんだよね、きっと。映画も自分もただ消費されるだけのものにしないためには。
 蛇足、ヒロインを演じていた秋山ゆづきさん。不覚にも引退されたと思ってました(恥)。
 コツコツ積み上げてきたところにスポットが当たって本当に本当に良かった。

荒星やどの人生も最前線

 『髪をかきあげる』『川底にはみどりの魚がいる』('18年9月28〜30日、シアターねこ)の二本を上演したサラダボールは、東京で旗揚げ、活動した後、本公演の演出で主催の西村和宏氏が、香川の四国学院大学で演劇コースを開設時コース立ち上げの教員として採用されたのを機に拠点を香川県に移し、今、“拠点四国”を掲げ活動中。お仕事で、という側面もあるのでしょうが、文化受容度も経済的にも明らかに格差がある地方に来て演劇活動をするということは、必ずしも簡単ではないと思います。因みに、本作の作者である鈴江俊郎氏も拠点を京都から愛媛に移しているようです。ライブなどの全国ツアーで素通りされがちの、つまり概ね全国ですらないこの愛媛で何故彼らは演劇をするのか。きっとここも最前線の一つなのでしょう。
 さて本公演が、こちらから踏み込んでさえなかなか行き先が見えにくい、あるいは行き先を見つけていかなければならない作品であったのに対し、松山市民劇場の例会『柳橋物語』(前進座公演、原作:山本周五郎、脚色:田島栄、演出:十島英明、'18年9月26日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール)は黙って座っていれば思うところに連れて行ってもらえる作品でした。このどちらをも観られる、選ぶことができるということが大切だと思うのですが、それは地方にとって、まだまだ贅沢で代え難いことなのかもしれません。

紛いものでもここにいるよと螢


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岡田一実の

句集の本棚




少年期
キム チャンヒ 著

発行 マルコボ.コム(2018年初版)
36ページ
定価 本体700円+税

 著者の第二句集。あとがきに「子供たちに楽しく読んでもらえるような俳句をつくってみたい、そんな思いで作った作品集です」とある通り、全ての漢字にルビが振られている。
台風が来そうな海の貝でいる
 「海」の上は「台風」の到来を感じさせるに十分な風が吹き雨が降っていると想像する。しかし海底は静かで「貝」にとって「台風」は関係ない事象なのかもしれない。「貝」には「貝」以外でいる選択肢はおそらくない。ところが「貝でいる」という措辞にはあえてそういう姿を選択しているような風合いがある。あるいはヒトである作中主体が「貝」の姿になっているともファンタジーとして想像できるが、大荒れの「台風」に備えて「貝でいる」ような奇妙さが詩の核としてあるのだろう。
冬草の昼を揺らして猫がゆく
透き通る冬日を草の伸びる音
春潮は地球を覆う薄い水
水彩の海に水母の友となる
晩夏とは大きな影のことだろう
水の澄む気配 命の去る気配
祈る手のほら八月の鳥となれ
 『100年俳句計画』編集長。


水瓶
対中いずみ 著

発行 ふらんす堂(2018年初版)
156ページ
定価 本体2,700円+税

 著者の第三句集。清らかな詩情と確かな把握によって洗練された輪郭を描く。臨場感を伴った詩的飛躍は季語の本意や本歌にアクセスしつつイマココに繋がる新鮮な感覚として読者に届く。
何かよきものを銜へて雀の子
魚そよぐやうに竹の葉降りきたり
 「竹の葉」の降ってくる景色を見た時に「魚」が「そよぐ」ようだという感覚の鋭敏さ。鮠のような細い「魚」がひらひらと「そよぐ」ように泳いでいる、そのように「竹の葉」の降るのを感じている、という二重の比喩が無理なく響き合う。
新涼や蟹の骸を蟻それて
全き葉一枚もてる芭蕉かな
水引に雨粒あたることわづか
一面の落葉に幹の影が乗り
大木のかたがはに雪比良に雪
 一方向の風ばかりが吹いたのだろうか。「大木」の「かたがは」だけにやけに雪が積もっている。雪が付いている木の質感と付いていない部分の質感。そこからふと気付いて遠方の「比良」と「雪」を見遣る。異なった位相の「雪」がリフレインとして綯われ、複雑な味わいを奏でる。
水を見てゐて沢蟹を見失ふ
菊挿すやさつとやみたる山の雨
黄あやめの全く濡れぬところかな
青蘆の花のごとくに昼顔は
一房の花の中なる一蕾
をみなへし樋の一隅雨噴ける
 「静かな場所」代表、「椋」会員。


岡田一実(おかだ かずみ)
 第3回芝不器男俳句新人賞にて城戸朱理奨励賞。第32回現代俳句新人賞。「らん」同人。句集に『境界 border』(2014)『新装丁版小鳥』(2015)。2018年8月30日新句集『記憶における沼とその他の在処』(青磁社)上梓。


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今月の俳句カクテル

The HAIKU's Glass


文&カクテル 古川千栄子
協力 Riff


散紅葉最後の恋と言ふてまた  南行ひかる

サトウカエデの炭でろ過をするテネシーウイスキーのジャックダニエルをベースに、リンゴのリキュールとディタ(ライチのリキュール)で甘いがさっぱりとした味わいに仕上げた。さらにリンゴの皮で紅葉を切り、散紅葉に。最後の恋って少し憧れる。


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新聞記事に隠された俳句を発掘する

クロヌリハイク


黒田マキ


春 を見つけ 月5万円 で生活 す (2018年10月11日 朝日新聞より)

明浜と三瓶で、 アジが上がって る。 (2018年10月11日 愛媛新聞より)

月 世界 道は自分で切り開 け (2018年10月12日 日本経済新聞より)

菊 の 日 に 「ハズキルーペ」を尻に敷く。 (2018年10月6日 デイリースポーツより)

結婚と出産を経て 月旅行 (2018年10月10日 愛媛新聞より)


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100年俳句計画 掲示板



テレビ、ラジオ

テレビ愛媛
 第15回はぴかちゃん歯いく大賞特別番組
11月25日(日)14時00分〜14時30分
 夏井いつきが選者です。

NHK 総合テレビ(四国四県域)
 「四国 おひるのクローバー」内 隔週火曜
 『夏井いつきのムービー俳句!』
11月6日(火)、20日(火)11時30分〜

TBS系列局 全国ネット
 『プレバト!!』
毎週木曜 19時〜
 夏井いつきがゲスト出演者の俳句ランキング付けで出演! 放送日の番組欄を要チェック!

南海放送
 松山市政広報番組『大好き!まつやま しあわせ実り庵』
毎週火曜 20時54分〜21時(再放送 日曜11時40分〜11時45分)
 夏井いつきがナビゲーターとして出演

南海放送ラジオ
 『夏井いつきの一句一遊』
毎週月〜金曜 10時〜10時10分
 投句募集の詳細は「100年公募計画」を参照。

FMラヂオバリバリ
 『俳句チャンネル』
10月より放送時間が変更されました
毎週火曜 10時30分〜11時00分(再放送 水曜22時〜22時30分)
投句募集兼題
「鴨、えのき茸」…11月11日締切
「縄跳び、海鼠腸」…11月25日締切
 WEB http://www.baribari789.com/
 mail radio@baribari789.com
 FAX 0898(33)0789
 投句には本名、住所をお忘れなく!
 「天」の句にはキム チャンヒのイラストポストカードが贈られます。

各番組の放送予定は変更される場合がございます。新聞やWEBなどで最新情報をご確認ください。


選句、執筆

松山市『俳句ポスト365』
http://haikutown.jp/post/
 投句募集の詳細は「100年公募計画」のページを参照。

テレビ大阪俳句クラブ
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」(夏井いつき選)
 毎週日曜タブロイド判8ページ

朝日新聞愛媛俳壇(夏井いつき選)
 投稿は葉書1枚に5句以内(未発表句)。
 裏面に作品と共に住所、氏名、電話番号を明記。
 朝日新聞松山総局(〒790ー0003 松山市三番町4ー9ー6 NBF松山日銀前ビル)まで。


講演、イベント等

豊田北高校句会ライブ
11月1日(木)20時〜
 ホテル椿館 (愛媛県)

俳句を詠もう2018 〜思いのままに5☆7☆5〜 in坊っちゃん劇場
11月4日(日)13時30分〜17時
 坊っちゃん劇場(愛媛県)
 申込受付は終了しております。
 問合先 伊予銀行広報CSR室、廣川 電話 089(941)1141(代表)

愛媛県立西条高等学校 夏井いつき句会ライブ
11月8日(木) 14時40分〜
 愛媛県立西条高等学校体育館(愛媛県)

愛媛県立伯方高等学校創立70周年記念講演 夏井いつきの句会ライブ
11月9日(金)12時30分〜
 愛媛県立伯方高等学校体育館(愛媛県)

松山北ロータリークラブ創立40周年記念講演
 夏井いつき句会ライブ『絆〜俳句で繋ぐ人々の輪』
11月10日(土)15時〜
 大和屋本店(愛媛県)

第15回はぴかちゃん歯いく大賞表彰式
11月11日(日) 13時30分〜(予定)
 テレビ愛媛ロビー(愛媛県)
 夏井いつきが選者です。
 問合先 愛媛県歯科医師会 電話 089(933)4371

朝日カルチャーセンター新宿講座 実践 おウチで俳句
11月12日(月)16時〜18時
 朝日カルチャーセンター新宿教室(東京都)
 講師…夏井いつき ※テキスト付。
 問合先 朝日カルチャーセンター新宿教室 電話 03(3344)1941

済美平成中等教育学校 家藤正人の句会ライブ
11月13日(火)14時30分〜
 済美平成中等教育学校(愛媛県)

ニフレル3周年記念 夏井いつき×NIFREL
 生きのも五七五 スペシャルライブ
11月17日(土)13時30分〜15時30分
 NIFREL(ニフレル)(大阪府)
 対象…18歳以上
 定員…60名
 参加費…1000円(入館料別途)
 申込…メールまたは往復はがき(11月9日必着)
 問合先 NIFREL事務局 電話 (0570)022060(ナビダイヤル)
 
朝日カルチャーセンター中之島教室
 夏井いつきの句会ライブ 〜俳句 五七五の楽しみ〜
11月18日(日)13時〜15時
 朝日カルチャーセンター中之島教室(大阪府)
 問合先 朝日カルチャーセンター中之島教室 電話 06(6222)5222

松山市立垣生小学校句会ライブ
11月19日(月)9時30分〜11時20分
 松山市立垣生小学校(愛媛県)
 講師…家藤正人、八塚秀美

第44回大阪府小学校国語科教育研究大会記念講演 夏井いつき句会ライブ
11月21日(木)15時35分〜
 柏原市立柏原東小学校(大阪府)

「俳句王国がゆく」岡垣町 公開収録
11月23日(金 祝)13時30分〜15時30分
 岡垣サンリーアイ ハミングホール(福岡県)
 申込…往復はがきで
 【往信用裏面】郵便番号、住所、名前、電話番号
 【返信用表面】郵便番号、住所、名前
 【返信用裏面】未記入のまま
  〒811ー4233 遠賀郡岡垣町野間1丁目1ー1 岡垣町生涯学習課「俳句王国がゆく」係
 締切…10月31日(水)必着
 入場無料
 問合先
 NHK北九州放送局 電話 093(591)5002
 岡垣町 生涯学習課 電話 093(282)1211

第33回国民文化祭おおいた2018
 第20回横光利一俳句大会表彰式内 夏井いつき句会ライブ
11月24日(土) 14時30分〜
 ウサノピア大ホール(大分県)
 入場無料
 問合先 宇佐市実行委員会(宇佐市 文化 スポーツ振興課内) 電話 0978(27)8174

鉾田市公民館芸術文化鑑賞事業講演会 夏井いつきの「ほこたで俳句」
11月28日(水) 18時30分〜
 鉾田市立大洋公民館(茨城県)
 申込…往復はがき(1通2名まで)
 締切…11月13日(火)必着。
 問合先 鉾田市大洋公民館 電話 0291(39)3305

第34回リビングネットワーク全国大会 夏井いつき句会ライブ
 11月29日(木)16時50分〜
 松山全日空ホテル(愛媛県)


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鮎の友釣り


第244回


俳号 谷口詠美(たにぐちえみ)

前回…土井探花さんへ 宇宙から人の世のリアルな営みまで幅広く、地に足のついた奥行きのある御作品。オリジナルの発想と措辞、愛ある眼差し。探花ワールドのファンです。まる裏は日程的に遠い。でも、チームダイオウイカの夢、腕を磨いて叶えます。待っててね……。

写真 2年前の高校卒業式。愛しき生徒達と。(テキスト版では写真は省略)

俳号 健康回復、夢実現を祈念して、気学の先生に頂きました。言は永久に美しく。俳人らしいお気に入りの号。

自己紹介 古典の授業に熱中すると俳句脳が家出。知識を脇におき、ぼーっとモノと語る時間、言葉が降りてくる空間が好きな、自称ナマケモノ俳人。「クラス句会」「名句で句会」の授業は、生徒達の感性が輝く特別な時。実践記録や句の背景を加え句文集を出すのが夢。五月に博多座でタカラジェンヌの教え子の舞台を見て、思いがけずミュージカルにハマっております。

次回…大槻税悦さんへ 俳句甲子園税悦杯で、太っ腹な企画に賛同、宝塚でもお目にかかり、そのお人柄に魅了されました。作風も大らかで、すーっと心にそよ風が過ぎります。俳句に通じる向日性、エネルギーを持っておられるかっこいい句友です。次はまた是非松山のイベント、句会、そして宝塚でご一緒しましょう。


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告知



JAZZ HAIKU Vol.4 ドラム編

蛇頭こと白方雅博さんのエッセイとJAZZ句会メンバーの俳句、マミコンこと堤宏文さんの写真で誘うJAZZの世界。マルコボ.コムオンラインショップにて発売中。
ISBN978-4-904904-39-8 C0092 ¥700E 定価 本体 700円+税
仕様 135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷、表紙PP加工

http://shop.marukobo.com/


あなたの句集を 20,000円〜 制作します
 完全デジタル入稿、30冊制作の場合。価格は税別。

仕様 135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷、表紙PP加工

2018年 第4期 11月30日 (金) 申し込み締切 (原稿締切12月5日)

詳しくは http://www.marukobo.com/style/
通常の句集Styleの倍のページ数による「句集Style-W」の募集も行っております。
お気軽にご相談下さい。





春夏秋冬(しき)笑顔
まつやま福祉
五七五

主催
 松山市社会福祉協議会
 有限会社マルコボ.コム(ふくし句会、ハイクライフマガジン『100年俳句計画』)選句
協賛
 ITTO個別指導学院


福祉をテーマにした秋の五七五募集

年4回、福祉をテーマにした五七五を募集します。
人に優しくなれるような、五七五をお待ちしています。

第3回締切 2018年11月4日

2017年度 秋の五七五 会長賞
秋霖や母を誘ひて飛鳥乃湯  撫子


応募方法
インターネットの応募フォームにて応募してください。
専用フォーム http://www.marukobo.com/egao/

賞品「松山トリコ」
 大賞(松山市社協会長賞) 道後温泉湯玉トートバッグ(1点)
 優秀賞 ブックカバー(3点)
 入賞 紙の湯カードケース(4点)

発表
ハイクライフマガジン『100年俳句計画』12月号ほか

問い合わせ
電話 089-921-2111





1月号特集
帰ってきた! 俳書道の部屋
作品募集

応募締切 12月2日(日)(必着)

「俳書道の部屋」は、2009年7月号から12月号まで連載された人気コーナー。ハガキ(またはハガキサイズの用紙に)お題の俳句を独創的な書で書き、その書を競う企画です。選者は天玲さん。多数の応募お待ちしております。

お題「初日さす硯の海に波もなし  子規」

応募方法
 ハガキ大の紙にお題の俳句を筆で書き、宛名欄に郵便番号、住所、俳号、本名、電話番号を明記して本誌「俳書道の部屋」宛にお送りください。

送り先
 〒790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
 有限会社マルコボ.コム 100年俳句計画「俳書道の部屋」係





勝ったら酒だ! 負けても酒だ!
(有瀬こうこさん作)

第17回まる裏俳句甲子園

日時 2019年1月13日(日)
  予選 9時30分 集合 本戦 13時00分〜 (12時30分開場)
場所 松山市立子規記念博物館(松山市道後公園1-30)

入場料 500円
エントリー料 700円(エントリーには別途入場料500円が必要です)

 事前に当日お弁当と懇親会の仮申し込みを受け付けしています。
 ご希望の方は、氏名、俳号、電話番号、お弁当の有無、懇親会の有無、(あれば)チーム名をmhm_info@e-mhm.comにお送りください。

当日パンフレット広告募集中(1口3000円〜)
お問い合わせ  Eメール mhm_info@e-mhm.com
電話 (089)906-0694 マルコボ.コム内(担当:キム)





生まれてから現在までの代表句募集!

 応募締切 11月4日(日)必着

専用応募フォーム http://www.marukobo.com/3ku/
専用メールアドレス 3ku@marukobo.com

12月号特集は毎年恒例、皆さんからお寄せいただく自選3句を掲載する「代表句集」です。代表句は、来年制作予定のスケジュール帳にも掲載予定です。沢山の方の参加をお待ちしております。

募集内容
 対象者 本誌をマルコボ.コムで定期購読されている方のみ
 「あなたの生まれてから現在までの代表句3句」一人一俳号
 「コメント」コメント全体で100字以内を厳守

お名前、俳号(ふりがな)、年齢、住所、電話番号を必ず明記の上、
郵便、メール、FAXで、宛先、件名を「代表句集2019」として本誌編集室までお送り下さい。
また、インターネットの専用応募フォームもご用意しています。





第八回 百年俳句賞

主催 マルコボ.コム
共催 朝日新聞社

優秀賞決定
「白の濃淡」森本樹朋氏
「からうじて」川又 夕氏
「水匂う」尾花マーペー氏
「勇者の剣」初蒸気氏
(エントリー順)

この4作品から最優秀賞が決まります。
最優秀賞の発表は、百年俳句賞表彰式当日に行われます。





百年俳句賞表彰式&100年俳句計画大忘年会のお知らせ

 この場で第八回百年俳句賞 最優秀賞を発表いたします。最優秀賞のプレゼンターは、第一回最優秀賞を『根雪と記す』で受賞された鈴木牛後さんです。
 そして後半は、恒例の大忘年会。どなたでもご参加いただけます。たくさんのご参加をお待ちしております。

 当日はマミコンこと堤宏文さん率いるジャズバンド「堤宏文&ストレートフラッシュ」のミニライブ有り!

日時
2018年12月1日(土)
18:30〜21:00(予定)
 正式な時間は追ってご案内いたします。

場所
いよてつ島屋 9F ローズホール
愛媛県松山市湊町5丁目1−1
089-948-2111(代表)

会費
 大人  6,500円
 大学生以下  4,000円
 小学生以下  2,500円

参加申込締切
 11月19日(月)必着!

参加方法
 忘年会参加希望の旨と、住所、氏名、俳号、会費区分(大人/大学生以下/小学生以下)、連絡先電話番号を明記して、ハガキ、FAX、Eメール、または電話にてお申し込み下さい。ご家族等複数でお申し込みの場合は、代表の方の住所、連絡先電話番号に加え、全員の氏名、俳号、会費区分をお知らせ下さい。

投句、投稿に添えてのお申込はお控えください。
 受付対応が遅れる場合があります。

お申し込みをいただいた方には11月上旬頃より順次、ご案内のハガキを郵送いたします。
締切までにお申込いただいた方で、11月26日(月)までにハガキが届かない方は、お手数ですがマルコボ.コムまでご連絡ください。

問い合わせ、申し込み先
(有)マルコボ.コム
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
TEL 089-906-0694
FAX 089-906-0695
E-mail bounen@marukobo.com


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編集後記


キム チャンヒ

 本誌に初めて「クロヌリハイク」が登場したのは2013年8月号。当初から人気のコーナーであったが、隔月の連載であったため「密かな楽しみ」的な読み物だった。しかし、2016年末に句集スタイルの本にまとめたことから徐々に火がつき、愛媛新聞社などの協力も得て、ついにはコンテストの開催となった。
 クロヌリハイクの魅力は、兎にも角にも見た目の面白さ。そして、分かりやすさ。さらには、記事を書いた記者の思いとは関係なく浮き出される俳句の意外性。出来上がった俳句の出来が面白いほど、読者はクロヌリハイクの世界に魅了されてゆく。
 僕は俳句はエンターテイメントだと思っている。読者が俳句のための勉強なんてしなくても、ぐっと伝わる五七五こそが素晴らしい俳句だと思う。しかし、日常的に使う簡単な言葉で、深みのある俳句を作るのは思いの外難しい。
 クロヌリハイクは、そんな難しいことを考えなくても、簡単にそれを達成できる。クロヌリハイクには写生の仕組みや高柳重信の挑んだ分かち書きの要素が含まれているからではないかと考えている。
 クロヌリハイクの可能性は、まだまだ広がっている。


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次号予告


253号 12月1日発行予定

毎年恒例! 生まれてから現在までの代表句特集



お得で便利なマルコボ.コム直販定期購読! 巻末の案内をご覧ください
お申し込みの方へ、毎月末頃に最新号を送料無料でお届けいたします!
(住所変更の際は必ず編集室までご連絡ください)

『HAIKU LIFE MAGAZINE 100年俳句計画』は以下の書店でもお買い求め頂けます。

愛媛県
 明屋書店(一部店舗のみ)
 ゆらり内海(愛南町)
 原田書房(今治市)
 子規記念博物館(松山市)
 紀伊國屋書店松山店
 ジュンク堂書店松山店


HAIKU LIFE MAGAZINE 100年俳句計画
2018年11月号(No.252)

2018年11月1日発行

編 集 水谷雅子
    有谷まほろ
    松本昌子
    山澤香奈

編集長 キム チャンヒ

発行人 三瀬明子