100年俳句計画9月号(no.214)


100年俳句計画9月号(no.214)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
宇摩のサトイモ 宇摩のあかつき


特集
日暮屋の蕎麦を食べよう!プロジェクト
第1弾 耕し&種蒔
文 あねご



好評連載


作品

百年百花
 片野瑞木/山澤香奈/きむらけんじ/高須賀あねご


新100年への軌跡
 俳句/中山奈々/浅川芳直
 評/都築まとむ/樫の木


選者三名による雑詠俳句計画
関悦史/阪西敦子/桜井教人


へたうま仙人/大塚迷路

自由律俳句計画/きむらけんじ



読み物
愛媛県美術館吟行会/川又 夕
Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(翻訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵
お芝居観ませんか?/猫正宗
百年歳時記/夏井いつき
近代俳句史超入門/青木亮人
mhm通信/若狭昭宏
句集の本棚

読者のページ
俳句ポスト365
一句一遊情報局
マラソン部報告
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




宇摩のサトイモ
宇摩のあかつき

 九月になると愛媛県の秋の風物詩「いもたき(いもだき)」が各地で行われます。私が暮らす愛媛県宇摩郡土居町(現・四国中央市)の特産品と言えば里芋。土居町でも「土居のいもたき」が河川敷沿いで開催され県内外からのお客さんで賑わいます。この季節、愛媛にお越しになるときは是非とも愛媛の秋を味わってみてください♪
 さてさて地元っ子のはずの私ですが「いもたき」は専ら「おうちDEいもたき」です。何たって土居町に住んで居りますから、ご近所さんから新鮮な里芋を【タダ】でたくさん頂けるのです。面倒でも手がねちょねちょになっても「おうちDEいもたき」一択です! 秋は毎日のように楽しめる美味しい美味しい地元の特産品。野菜たっぷり、ついでにお隣香川県のさぬきうどんも入れちゃえばサイコーの一品です!


目次に戻る


特集

日暮屋の蕎麦を食べよう!プロジェクト


第1弾 耕し&種蒔
文 あねご


まずは、腹ごしらえ!
 八月八日、待ちに待ったこの日。絶好すぎるほどの蕎麦の種まき日和となりました。
集合の午前十時を待ちかねるように参加者が思い思いの服装で東温市のクールスモールに集結してきました。祖谷渓谷の蕎麦打ち職人の後継者に嘱望されたという今回の企画の中核を担う日暮屋さんとマーペーさんご夫妻、なにかにつけて長靴を履いてやってくるねこ端石さん、前回の俳句米プロジェクトでは田んぼを提供してくださったきとうじんさん、炎天下にあっても白く輝いておよそ畑に似合わないしんじゅさん、今回の企画の畑の管理責任者の寒鴉さんこと烏天狗さん(新しい俳号「寒鴉」がぜんぜんしっくりこない)。そのお目付け役の笹百合さん、マラソンの練習に来たのかと思うような軽快な服装で場違いな雰囲気満載のキムさん。野鳥観察でお世話になっている鯛飯さんは西条からやってきました。そして農家の生まれですと参加表明してくださったひでやんさん、クールスモールの敷地内で迷子になっていた輝女さん、年中快適な温度で仕事をしているmhmの奉行こと佐川さんは最初からテンション低め。そして腹ペコあねご。
 朝食抜きだったので敷地内にある「あさつゆマルシェ」という産直市でパンを買って食べていたらなんと、混雑を避けて種まきの前にそうめん流しに行くとのことであわててパンをしまって一路風穴へ向かいました。
 正しくは東温市の上林森林公園入口にある「上林水の元そうめん流し」と言います。登り道になってからも道幅はけっこう広く楽勝じゃがねと思いよったのもつかの間で道幅は急に狭くなり、急カーブの連続で近くて遠い道のりでした。十時半というのにすでに満員御礼状態でつゆ椀を持って行儀よく並んで待つことになりました。お昼時には長蛇の列になって一時間くらい待つこともざらだそうです。待ちきれない寒鴉さんは盥にそうめんを五人前くらい入れてもらってベンチですすっていました。順番が来て席について冷水に乗って流れてくるそうめんを掬ってまずひとすすり、う〜ん、楽し〜い!美味し〜い!

流すより盥に入れて冷素麺 ひでやん
末席に名を連ねそうめん流しかな きとうじん
蜻蛉来てそうめん流し見つめてる 笹百合
ドラマーの如き手さばき素麺喰ふ しんじゅ
隣席に遠慮し素麺流しかな ねこ端石
そうめんの流れに掬う浅緑 鯛飯
素麺と化し天空に羽衣の流れ 日暮屋又郎
妙齢の女ら流しそうめんへ マーペー

 下流域でそうめんを待っているしんじゅさんたちのために五つ六つとスルーしては掬う、気配りも忘れない。つゆは甘めで薬味は葱、玉ねぎ、茗荷、大葉、麺は白い中に一筋の緑の麺が彩を添えて見た目にも涼しげでけっこうな量を食べれました。隣の家族連れは私たちが座る前からのお客さんで私たちが食べ終わってからもまだ食べ続けておりました。

山百合をかすめて風穴の只中 きとうじん

 せっかくここまで来たのだから腹ごなしにほんの数分先の風穴へ。ここは岩穴から四季を通してほぼ一定の風が吹き出しています。夏には外気との温度差で霧が発生するそうです。周辺はひんやりとして肌寒く感じるほどであたりには紫陽花がまだ咲いていました。

涼を取る風穴の風白く見ゆ 輝女
滴りの揺らぎや風のぬける穴 日暮屋又郎
一つ葉を龍の駆け抜けたる青 しんじゅ
涼風至る渓水はちからを得たり マーペー

 ここで私は電話がかかってきてそれから先へ進むことができませんでした。数歩歩くと圏外になって切れてしまいます。

鳥兜また上司から着信 あねご

 風穴名物のヒマラヤの青い芥子はもう終っていて花びらが淋しく1、2枚残っている程度だったそうです。この後の炎天下での作業を思うとこの場を去りがたく足取り重く車に乗り下界へと下りていきました。

いざ、畑へ!
 畑は高畠華宵記念館の近くにあり、1反という広さで約三百坪、荒れ放題で腰の高さくらいあった草を烏天狗さんが事前に機械で鋤きこんで畝を作ってくれていました。蕎麦は荒地に振りまいてもできると聞いていましたが、刈り取る時に作業がしやすいように、とのことで畝を作って蒔くことになりました。種は日暮屋さんのこだわりの二種類を蒔くことになりました。
 一つは、祖谷の在来種で、実際に日暮屋さんが祖谷で育てていた種を冷凍保存していたもの。もう一つは、北海道産の「ぼたん」という品種。祖谷の種が上手く育たなかったときの保険として、用意されていました。
 なんでもやってみたい人は早速長靴で畑に入り、慣れない鍬を振り回して種を蒔く溝を作っていったり、蒔いた種に軽く土をかけていきましたが、中にはひたすら暑さと闘うだけで精一杯の人もおりました。

炎昼の種にぶつくさぶつくさと きとうじん
蕎麦を蒔く男の腕の太きこと 笹百合
何時だっててっぺんに太陽蕎麦の種蒔く ねこ端石
炎天をみな無口なる蕎麦の種子 鯛飯

 鍬を使っている背中や首筋はジリジリと音を立てているような強い日差しが照りつけていました。畝に溝を入れても蒔いた種に土をかけても笹百合さんには誰もかないません。ずっと後ろからやってきてサクサクサクサクと軽快な音を立てて鍬を使ってさっさと私を追い抜いていきました。俳句も畑もリズムが大事です。

そばの種蒔いて生命の愛ほしく 輝女
星粒のような真夏の種を蒔く チャンヒ

 頭の中ではすでに日暮屋さんが蕎麦を打ち、これまた日暮屋さんが一週間寝かせて作ったこだわりのつゆで蕎麦をすすっているところを思い描いてよだれが出そうになりました。と、どこかで「ちゃんがらすに蒔いて〜!」とあきれたような声が聞こえてきました。適当に蒔いてもせわないできると言われて蒔いたのですが適当が過ぎたようでした。素人には適当の適度がわかりませんでした。そうこうしているうちに種蒔き終了となり、烏天狗さんの飼っている山羊のモミジも入って記念撮影。

返事せぬ山羊に乳房蕎麦を蒔く しんじゅ

 マーペーさんが冷たい麦茶を、笹百合さんが自家製の黒西瓜をふるまってくれ喉を潤しました。労働の後の麦茶と西瓜は格別な美味しさでした。
 日暮屋さんの蕎麦へのこだわりで蕎麦を深く知ることができそうですが、説明を聞きながらもやはりその美味しい蕎麦を堪能している場面を想像してウットリして、説明もついうわの空になってしまいほとんど憶えていません。

節気二つ飛ばして秋に入りにけり ひでやん
立秋のやせ畑に在来種の底力 日暮屋又郎

 その四日後の久々の雨の日、烏天狗さんからのメールには畝にちょっと歪んで発芽した二列の蕎麦の芽の写真がありました。九月には早々と蕎麦の花が楽しめるそうです。そして十月には収穫し、種を参加者で分け合って持ち帰り日暮屋さんの指導のもと「磨き」とかいう泥の匂いなどを除く作業に入ります。

蕎麦の花待ちて野良の昼下がり マーペー


目次に戻る


百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2015年度 第二期 第二回


「知恵の輪」 片野瑞木

秋天に高く真鍮呼子笛
集合写真はいつもはしっこ猫じゃらし
三合の新米炊いて宣教師
温故知新や八朔の酒甘し
知恵の輪を鳴らす遊びや草の花
爽やかに鳴き砂鳴かぬを詰る
稲の花形美しき詰将棋
三日月やお稲荷さまの多き町
荷下ろしを終えて流星へと急ぐ
年下の先輩無口昼の虫
秋虹の先が世界の終わりとは
無月なる終着駅に白き猫


脱ぎたてとおぼしき蛇の皮を見つけた。しっとりと柔らかく、端がクシュクシュ丸まっていた。そっと伸ばすと1メートル以上あった。




「モルフォ蝶」 山澤香奈

八月や祖父の義足に履かす靴
新涼の切符は右のポケットへ
海静か秋の向日葵骨めきぬ
朝顔を数えてからの月曜日
カピバラの飲む水にある鰯雲
展翅する窓の向こうの秋の声
二百十日の剥製の獣の目
標本の虫は知らない野分かな
プラネタリウム燕どの星へ帰る
流星の崩れた後のモルフォ蝶
葡萄頂く仲良きことを褒められて
手に温きジンジャーエール天の川


もうすぐ子どもたちの夏休みが終わります。どうやって早起きすればいいのか(自分が)。




「妄想2」 きむらけんじ

神木に極道が手を合わせて行った
げんこつ握ってテーブルに置く
花壇にスコップ突き刺したまま逝った
表札二つ揚げて誰も出て来ぬ家
誰ひとり幸せにできないで釘打っている
愛してくれぬならただの糞袋と思う
糞ころがしにもきっとある向き不向き
捻挫の足投げ出して堕落しておく
嵐の夜を由緒正しき金魚といる
くたびれて野菜畑に猫といる日
毎日洗う顔がだんだん古くなる
どこまでも飢餓海峡は色の無いまま


自由律俳句結社「青穂」同人。第1回尾崎放哉賞他。現在、本誌「自由律俳句計画」選者。特技:妄想、泥酔。自由律、定型にかかわらず活動している。




「尼寺」 高須賀あねご

尼寺へ苔の花咲く道標
結界の幣めく揺れる木下闇
木下闇実験動物慰霊之碑
向日葵に死にたいときがありました
元シェフのデミグラスソース海の家
夜店をはずれ反抗期の踵
三味線に初めて触れる夏休
蛇の子の斜めに滑る奥座敷
待ち伏せて茶寮にたたむ日傘かな
冷奴すったもんだがありました
羅に運ばれてゆく活け作り
夕立や父と来るはずだった店


赤いものを一つ身につけ節目の中学の同窓会。早逝の友を偲び、泣き笑いの二時間はあっという間に過ぎた。「あねご」からひさしぶりに「まみちゃん」に戻った二時間でもあった。




目次に戻る



新 100年の軌跡


2015年度 第二期
第二回


 二日酔ひ 中山奈々 

朝ぐもり我に宿らぬピーナッツ
自棄酒の最後まで酒山椒魚
病床にある金沢の冷し酒
丑湯より戻りて飲兵衛の顔に
河童忌や飲みきる前に注がれゐる
断酒ではなく節酒なり土瓶割
ウイスキーの瓶が綺麗と毒消売
起し絵に酒の匂ひを嗅がしたり
紹興酒の棚に吊られし蠅叩
ミニトマトすべて眩しき二日酔ひ
少なければ酒注ぐ箱庭の川
心臓となるまで呑むやゼラニューム
朝蝉へきのふの女渡しけり
吐瀉物を隠すなら夜の紫陽花へ
虫干の六林男呑んだり眠つたり


中山奈々
 1986年生まれ。俳句甲子園をきっかけに高校2年より作句。「百鳥」「里」所属。




 肩 浅川芳直 

冷房車出てよみがへる雨の音
白シャツの肩のみ乾く駅は夕
燈涼し坂ゆるやかに濡れて白
潮風の攻勢梅雨を走りだす
夏潮の飛沫句帖を抱きてゆく
鳥憩ふとき見つめゐる梅雨の海
疼きだす白き海坂さみだるる
雨後うつろ海は赤潮生みつづく
神野紗希ゐる梅雨晴の光かな
青き灯を洩らして書庫の明易し
迅雷の九階トイレにほひ気味
七夕の雨や即席を待つ
先輩の風邪の二日目心太
またたけば光のすぢに心太
まだ封を切らぬ洋菓子送り梅雨


浅川芳直
 平成4年生。「駒草」所属(平成10年〜)。蓬田紀枝子、西山睦に師事、世古諏訪に親炙。東北大学大学院在学。




共感 都築まとむ

ミニトマトすべて眩しき二日酔ひ 中山奈々
 中山さんの句、今回は難解な句が多く見られた。その中から特に共感した句を選んでみた。
 二日酔いの朝はとにかく情けない。身のおきどころのないくらいの倦怠感と頭痛、吐き気。世の中で一番惨めなのが自分なのだと後悔する。喉がやたらかわく。冷蔵庫を開けスポーツドリンクをラッパ飲み。ふと目に止まるミニトマト。その活き活きした赤さはまるで自分を責めているかのように光るのだ。ひとつ口に含んだとたん、いかん!!また吐き気が……。

白シャツの肩のみ乾く駅は夕 浅川芳直
 この白シャツは夕立とかではなくて、汗で濡れていた句と読んだ。「肩のみ乾く」が正に実感。まだ背中とかお腹は湿っているのだろう。「駅は夕」で人の動きや暑さからのがれられる安堵の気分も見える。
青き灯を洩らして書庫の明易し 浅川芳直
 「青き灯を洩らして」が真夜中をイメージさせる。「書庫」以外の場所はすでに眠りに入っているのだ。気がつくとまた書庫で徹夜してしまった。やれやれこれで何日めだ? 作者のため息が聞こえてきそう。


都築まとむ
 1961年愛媛県八幡浜市生まれ。第3回選評大賞優秀賞。



五月雨に濡れよか酒に溺れよか 樫の木

紹興酒の棚に吊られし蠅叩 中山奈々
 「二日酔ひ」は読後に酔いが回りそうな作品。掲句は「紹興酒の棚」、「蠅叩」から中国の田舎の酒舗を想像した。酒瓶はどれも土埃を被っていそうだ。
ミニトマトすべて眩しき二日酔ひ 中山奈々
 「ミニトマト」に感じる「眩し」さは「二日酔ひ」の倦怠感・罪悪感のため。その感情が「すべて」で強まる。
吐瀉物を隠すなら夜の紫陽花へ 中山奈々
 「夜の紫陽花」は公園の大きな暗がり。「吐瀉物を隠す」ことで「紫陽花」から猥雑さが臭ってくる。

白シャツの肩のみ乾く駅は夕 浅川芳直
 「肩」は湿り気を帯びた余情を感じる作品。掲句は「白シャツの肩」の乾きで時間の経過を描く。「駅は夕」で夕方の駅の雑踏に飲み込まれる「白シャツ」が見える。
夏潮の飛沫句帖を抱きてゆく 浅川芳直
 「夏潮の飛沫」から波は荒々しい。「句帖」を濡らさぬように「抱きてゆく」人の丸まった背中が見える。
青き灯を洩らして書庫の明易し 浅川芳直
 「青き灯」は蛍光灯か。「書庫」に流れる時間は濃密で外部とは切り離されているが、気付くと朝は来ている。


樫の木
 1965年愛媛県生まれ。大分県在住の家具職人。第5回選評大賞優秀賞。


目次に戻る



超初心者から中上級者まで楽しめる
100年投句計画

 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。選者は、関悦史さん、阪西敦子さん、桜井教人さんです。

 「へたうま仙人」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は大塚迷路さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。
(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)
写真:藤


選者三名による雑詠俳句計画


先選者 関悦史

 前回の自分の挨拶文を見たら「雨続き」となっていましたが、えらいもので一ヶ月経つとちゃんと夏になる。なり過ぎる。暑い。一番涼しいはずの夜明け頃でも二十五度くらいあって、エアコンが切れるとすぐ目が覚めてしまう。外に出ると恐怖感すら覚えますが、しかしまた津波被災地のいわき市支援ツアーに行くことになっている。今度は東電福島第一原発の近くまで行く予定。ろくに報道されないまま危険な作業が進んでいるようです。


終戦日大地は骸から成れる ひでやん

 季語が「終戦日」なので、一義的には大地が戦死者・戦災死者の骸から成っていると取るべきなのでしょう。しかし「大地は骸から成れる」の部分だけで見ると、生命が海から上がってきて以来の全ての骸を指しているようにも見える。これはそのくらい大きな把握。
 つまり「骸」の質や数量に微妙な食い違いがあるわけですが、その結果として、生命の長い進化の果てが「終戦日」の骸の山だったという認識も入ってきます。



夏木立淋しい影の交差点 紗蘭
 「淋しい」と感情を直接説明、指示してしまっている句ですが、「夏木立」「交差点」の明るくて、縦、横、高さ揃った空間構成を引き立たせる「影」の修飾としては効果を上げていると思います。

母老いて西日に透けてゐたりけり 凡鑽
 老母という素材は陳腐化しやすく、詠むのが難しいのですが、半ばあの世のものと化したかのような「西日に透けて」の独断的把握は衝撃性と説得力があり、無駄なことを言わない「ゐたりけり」も決まっています。
虫干しや城の見取り図馬蹄形 瀬戸 薫
 グーグル検索したところ「馬蹄形城郭」なるものがあるらしい。古い図面を虫干しているのでしょうが、描かれているイメージを明示しながら、それを隠喩や機知で意味に粘着させず、適当に無愛想なのが長所。

ひとつひとつ陸の孤島となる日傘 遊人
 「ひとつひとつ」「孤島」と言っているわりに心情のべたつきもなく、点在する日傘の涼やかさが印象的。「陸の孤島」が交通の不便さをいう出来合いの比喩である点がやや引っかかりますが、「陸」は必要なのでしょう。

香水のどつとかたまるエレベータ 池田喜代持
 香水の強烈なにおいがはた迷惑という句はたまに見かけないわけではないのですが、この句はさほど非難している雰囲気でもなく、とんでもないことになったと驚き、おかしがっているところが余裕につながっています。



梅雨明や廊下に移す煙草盆 杉本とらを
二年生お姉ちゃんぽく金魚玉 富士山
よく動く桃の毛ほどの蟻の足 多満
神楽坂フランス人の水を打つ 幸
夏蝶の翅より夜の始まりぬ みちる
熱帯夜舗道の猫の寝返りす もね
大いなる寝癖のままや夏休 ゆりかもめ
噴水や人は水より生まれ来し のり茶づけ
水面へと仕掛花火を去る煙 ソラト
パジャマでは乳房の重し桜桃忌 未貫



先選者 阪西敦子

 トルコキキョウに比べて、向日葵が小ぶりだ。普通の、八重の、レモン色の、三種何れも葉が少ないので、モンステラを補充。勤め先の仕事に絵画教室用のモチーフを買う任務がある。この日は向日葵三十本を抱えて帰社、向日葵の重さによろめく。こんなことでもなければ知らなかった事だ。葉のついたままのキャベツを求めてスーパーも巡る。明日は休み明け。髭のついたとうもろこしとトマトと茄子と南瓜をリュックに詰めて、混み合った地下鉄で出勤の予定。


梅雨晴や葉陰に猫の在る空気 紗蘭

 雨に閉ざされていた屋外にすっと空間ができて、物は物の形を取り出す。葉には葉の、葉陰には葉陰の、猫には猫の手触りというか、手ごたえのようなものが戻る。雨によって馴らされていた空間にも起伏が出来て、葉影には「猫の在る空気」が生まれた。葉影の猫でもなく、その空気という非常に間接的なものを詠みながら、梅雨晴のある空気感を描き出している。



かなかなの鳴けば小さき姉あはれ 青萄
 姉の数人いる中の年の近い方の姉。かなかなの鳴くころ日暮れが殊に早くなり、さらにその鳴く時間帯がもっともそれを思わせる。誰かに守られているのではなく、下の面倒を見なければならないが、まだ小さい姉に訪れる心細さ。

二年生お姉ちゃんぽく金魚玉 富士山
 姉の句再び。入学したての一年生にとって二年生はかなりのお姉ちゃんである。学校の要領もよくわかっている。それに比べてぼくはといえば、「金魚玉」。唐突な登場ではあるが、何かの雰囲気を掬っている。

大いなる寝癖のままや夏休 ゆりかもめ
 出かけなくても良くて、家でご飯を食べて、家で何かをして、出かけたとしても近所で。日々直すことがなければ、寝癖は日々大きくなり、直し方もすこし忘れる。「大いなる」は大きさでもあるが、開放感でもある。

通学路からんと乾く夏の朝 西条の針屋さん
 通学時はすでに日の出から何時間かが過ぎていて、道は明るく乾いている。通いやすければやる気がでるかというと、そういうものでもなくて。「からんと乾く」というフラットな物言いに秘められた複雑な悲喜。

金魚玉歯科受付に置かれけり 人日子
 ただそれだけのことだけれど、思うことの多い句である。金魚にというより、歯科というものに対する人々の思いが複雑なのかもしれない。行きには金魚を羨む気持や、嘲笑われる気持、帰りには恐れを見られた気恥ずかしさ。



B・BもC・Dも女優ビール飲む 藍人
醒めてなほ向日葵畑の真中なり 野兎
地下足袋の小鉤はずして合歓の花 もね
緑陰の堀をぬけゆく宅配便 小雪
おそろしき緋なりブーゲンビリアなり 緑の手
葛餅やきなこを弾く黒き蜜 喜多 輝女
研ぐほどにしなる牛刀巴里祭 うに子
サングラス悲しい色になると母 和音
トラクターと道を分けあふ合歓ひらく 春告草
三重の塔半透明の夏の雲 北伊作



後選者 桜井教人

 奈良国立博物館特別展「白鳳」を見に行った。一番見たかったのは薬師寺東塔の水煙。
通常は塔のはるか上にある水煙が、手の届く目前にある。一面に三体の飛天が彫られ、その飛天の纏う天衣の意匠が水煙全体の文様と一体化している。圧巻だった。初めて薬師寺を訪れたとき、この時代の人々は見えないところにこそ丁寧に手を入れたという話を聞いた。その話が三十五年の時を経て心に落ちた。教育にまで目に見える数値的実績を求める今を、この時代の人はどう評価するのだろう。

特選句

校門を出でて取り出すサングラス 八十八五十八
 教員か保護者かそれとも出入りの業者なのか。学校というある種の聖域を離れてからサングラスを取り出すという心理的な対比をもつ場面設定が面白い。「取り出す」という複合動詞の選択も実に適切。

肺呼吸を知る前の自分へ泳ぐ ソラト
 水の中にいるとき、森の中にいるとき、不安感と共に不思議な安心感を感じることがある。人間の持つDNAが何かを思い出すのだろう。その感覚を捉え、客観的に表現した手法は見事。「泳ぎ」の句として斬新。

原爆を浴びたる道に蚯蚓死す 鯉城
 ただの蚯蚓の死から、一瞬のうちに十万人の生命が失われた事実に飛躍し、その現実を読み手に突きつける。生命にどう向き合うのか、向き合わなければならないのか。十七音で表現出来ることの大きさをこの句に学んだ。


並選句
短冊の切れし風鈴ひとつ鳴り 杉本とらを
俳号に鬼の字つかふオーデコロン 青萄
よく喋る末っ子に吹く白南風 迂叟
秋麗憂いおびたる眉の君 レモングラス
砥石刳る唄に吹かれる栗の花 富士山
ジャズピアノ流るることも梅雨の景 藍人
夏盛る闇から匂う極彩色 多満
どうせ死ぬそれがどうしたかき氷 小市
ボート屋の主なんだか猫背なり 幸
吾一人居らぬ気のして涼しさよ みちる
仲見世に浴衣姿の異邦人 かのん
露けしや音符の森に迷い込む 野兎
人影の揺らぎて過ぎる酷暑かな 南亭骨太
白日に踏みしだかれて蛍かな 凡鑽
葉桜や化粧を落とす名子役 ヤッチー
野分立ち猛禽低く旋回す 青蛙
亡き犬の画像見つける夏の夜 恵馬
振り向かずキャリー引く手に梅雨明ける 小雪
バス停の屋根バリバリと夏の雨 ほろよい
噴水や天国の門と地獄の門 ゆりかもめ
へこたれるな弱音を吐くな雲の峰 一走人
買い物かごを抱えて走る夕立に ぴいす
軍靴を聞かぬ国なり沖縄忌 おせろ
噴水の反対側で待つアポロン 緑の手
せせらぎに迫り出すデッキ夏の蝶 八木ふみ
緑陰のベンチは無人遠汽笛 のり茶づけ
くちなしのそぼ降る雨に香りけり 喜多輝女
白南風や声出しあつてとるフライ 雨月
風死すや世の戯言の棄つ路傍 元旦
食うて寝て走りて笑ろて夏座敷 うに子
犬かきの初めてできた犬の夏 和音
病ひたる猫を照らすや金魚鉢 しんじゆ
胸に抱く小さき髑髏や梯梧咲く あおい
あめ玉のビタミンカラー百日草 明日嘉
ないしょ話三つ並んで夏ぼうし 春告草
言い訳を露店に残す夏燕 西条の針屋さん
老鶯も痴呆なるかな深夜鳴く カシオペア
馬と騎手静かに休む夏木立 瀬戸 薫
秋されば来年のこと始まれり ひでやん
馬の腹波打って夏真っ盛り ターナー島
戦災忌なりをんをんと照りわたる ターナー島
合歓咲くや昨日ジャンジャカ降った雨 青柘榴
夏山のみやげに白い歯を見たよ 松ぼっくり
庭先の花が咲かない日々草 あーたん
籐椅子の父のいびきのよく聞こえ 松尾千波矢
あたらしき女の腿を蚤の這う 台所のキフジン
甦る肺のくまぐま夏の露 哲白
デモ行くと暑中見舞や真知子さん 未貫
食卓へ夏野一片持ち帰る 遊人
蛸壷や港に置きし夏の月 ちろりん
品さだめ売れ残りたる小鯵買ふ 人日子
紅蓮ややはらかく笑む人と遇ふ 真魚
仕事終え喉の欲する砂糖水 エノコロちゃん
山滴る鳥の声聴く仁王門 北伊作
夏の星誰もがちさき光もつ アンルリカ
喜寿となるならひのごとく冷奴 池田喜代持
卯の花やいまだ己を知らずして まんぷく
一という無限大なる中の夏 ミセスコナン




関悦史(せきえつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

阪西敦子(さかにしあつこ)
1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

桜井教人(さくらいきょうと)
1958年愛媛県生まれ。松山市公立小学校教員。いつき組。子規顕彰松山市小中高校生俳句大会選者。第2回大人のための句集コンテスト優秀賞。第24回、29回俳壇賞候補。



目次に戻る


へたうま仙人


文 大塚迷路

 初秋とは言えど夏の残党は容赦ないですのう。皆様いかがお過ごしですか?
 一ヶ月ほど前から猫が玄関に迷い込んでをる。雄猫年齢不詳名前はまだ無いぢゃ。
 黒猫は縁起が良いという学説が一部であるらしく、ちょっと信用して宝くじを買ったが、ハヅレた。
 まったくもってぢゃ。
 数日前からご近所の先住野良雄猫に連日ちょっかいを出され、彼は目下連戦連敗ぢゃ。さすがに今日は助け舟を出したが、それでも無残ぢゃった。あまりの不甲斐なさに自己嫌悪に陥ったのか家出をしておったが、夕飯の頃には舞い戻っておった。まったくぢゃ。どうも噂では第二のスパイナーも出没しておるみたいぢゃ。やれやれぢゃ。
 わが周りもこのように俄かにキナ臭くなってきた。全世界に飛び火せなんだらいいが、と憂う昨今じゃ。
 今月も、そんな周りの状況にもどこ吹く風で句が迷い込んで、いや、舞い込んできたぞ。緊張しつつ弛緩しつつ、最後まで突っ切ってくだされ。


じいちゃんは体脂肪ゼロ夏の朝 誉茂子
玉の汗かけども減らぬ体脂肪 誉茂子
 体脂肪ゼロのじいちゃんを見てたくましいと見るか、気の毒と見るか、複雑ぢゃ。
元気にラジオ体操をしていらっしゃるのか、早朝から暑い中、骨と皮だけになっていらっしゃるのか。どちらにせよいつまでもお達者で、ぢゃ。
 玉の汗以上のものを摂取せんことが肝要ぢゃが、まあ、本格的な秋になってから節制すればまだまだ良いことなので、喰えるうちにたんまり溜め込むことぢゃ。

ともかくもセビーチェ食べて夏を待つ ケンケン
夏めくやキミと一緒に暮らしたい ケンケン
 国内の料理でさえ踏破していないのに、各国の料理にまでは手が回らんぜよ。セビーチェはペルーの料理らしいが、どれ、車検から帰った雲に乗って食しに行ってみるか。
 なんとなく人寂しゅうなるのは秋よりも断然夏の初めぢゃな。夕暮の浜辺は一人で歩く所ではないぞ。お一人で歩いておられる方は大抵は海草拾いぢゃ。
 で、初秋の候、キミとは一緒に暮らせられたのかの?

ほほづきを黄色赤色食べ比べ 真帆
 食用ほうずきはとてもうまいと聞いた事はあるが、今だ食したことがないのぢゃ。
 あの苦さを知っているだけにちょっとの抵抗はあるが、今年の秋は食してみようと痛切に思ったぞ。それにつけても中七の3・4のリズムが良いのう。黄色から赤色に手が伸びていく様子が時間差で生き生きとしとるぞ。赤色黄色、黄色赤色。ちょっとしたリズムの違いぢゃが、そこがわかっておる所なんぞニクイ限りぢゃ。

三角巾にニキビの種を隠しけり KIYOAKI FILM
赤き肌に少なき砂糖や夏旱 KIYOAKI FILM
 「ビキニ姿の和尚さん」いや「ビキニ姿のお嬢さん」ではなく「ニキビ」ですか。
 ワシも紀元前ではニキビ小僧ぢゃったが、それはそれで悩み多きお年頃ぢゃったのう。「ニキビの種」に微妙な心境が見え隠れするような気がして来るような気がせんでもないぞ。
 過酷な旱の中、塩を噴く肌にはさすがに砂糖分は少なくなっておるぢゃろうなあ。お肌が水膨れになる前に炎天下から速やかに退去してくだされ。

台風をよびこむ孫にしぶい顔 柊つばき
 おるぞおるぞそんなヤツ。意味ない時意味なく意味ないものを呼び込むんぢゃ。素麺流しの谷で落武者の霊を呼び込むとか、平成ジャンプコンサート打上げの居酒屋で彦六と小さんの違いを説くとか、親友の彼を呼び込むとか、とにかくおるぞ(おっと、そこのキミのことではないぞ)。
 それが孫となるとちと考えもんぢゃが、「しぶい顔」に愛情を感じるのは身内ならではの事ぢゃ。孫ではなく嫁ぢゃったらちと景色は違ってくるがの。

草いきれ敵も味方もありません 小木さん
加川良とよしだたくろう草いきれ 小木さん
 こっちから見ればあっちが敵で、あっちの敵から見ればこっちが敵で、まったくもって愚かな倒錯の世界がそこにあるのう。
平和を望む気持ちに、右も左も下も上も斜めもないと思うんぢゃがのう。蒸せるような草いきれの中を兵共はまだ彷徨っておるのぢゃろうか。
 最近の両氏のことはあまり存じ上げんが、確かに昔の両氏は「草いきれ」ぢゃ。ふふ。暑苦しいのがちょうどいい感じ、ってカンジ!

さよならの代打の一打夏の雲 大阪野旅人
貴船神社や水音さらさら星祭り 大阪野旅人
 その昔に天秤に掛けられた我身をこの句で思い出し、局地硬直したおのこも居るぢゃろうて。「さよなら」と言われた私が代打だったのか、奴が代打、実はレギュラーだったのか、今更どうでもいいようなことながらどうでもよくないことかもしれんのう。「夏の雲」が逞しいようで切ないぞ。
 貴船神社に登る短い石段は儚い星祭りのイメージと重なり合うぞ。右手からの川の水音の残響が峡谷に吸い込まれるのぢゃ。そして星祭りは静かに来年へと歩み出すのぢゃ。

梅雨あける冥王星の素性かな ひでこ
幻聴か軍靴の音や蝉しぐれ ひでこ
 冥王星は、紆余曲折の末に準惑星になったと聞いた事があるが、冥王星にとってはそんな事関係なく、今日も太陽の周りを律儀に回っておる。梅雨あけも、人間のいろいろな目算に関係無くいつかは巡ってくる。素性は一つの要素に過ぎんのかものう。
 軍靴の音に蝉しぐれがオーヴァーダヴしていく様が不気味か勇壮か。平行線がもどかしいのう。
引っ越しの第一便は額の花 坊太郎
頂上の神の祠や夏木立 坊太郎
 ドアを開けたら宅配便で鉢の額の花が入った箱を手渡された。ずっと待っていたのに第一便はこれ。新婚か同棲の始まりかのう。甘酸っぱいだけではないこれからの生活は七変化かもしれんのう。
 夏木立の更に上にある頂上の高さが気持ち良いのう。祠といえば神とわかるのがもったいないといえばもったいないが、祠に吹く風が心地よく沁みてくるぞ。今年の夏も平安に過ぎたんぢゃろうな。


 おっと、今月は追放者がおらなんだ。厳しい残暑にのた打ち回っていたのかもしれんのう。
 お盆を過ぎてから朝晩はずいぶんと秋の気配がしてきとるんで、そろそろアクセルを踏み込まんといけんぞ。なあに、暑さ寒さも彼岸ぐらいまでぢゃ。
 ぢゃが、くれぐれも油断召されるなよ。



へたうま仙人
 年齢 卑弥呼がおっぱいを飲んでいた頃、ワシは青春真っ只中ぢゃった。
 好きなもの 霞のシャーベット(PM2.5抜き)
 嫌いなもの 上手な俳句
 将来の夢 大器晩成


目次に戻る


自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 久しぶりに目の覚めるようなCMを見た。朝日新聞主催の高校野球選手権大会のPRCM(この原稿が出る頃には終わっているのですが)。とにかく制服の女子高生たちがあの♪「栄冠は君に輝く」に合わせて踊りまくる。そのオソロシイまでにユニークな振り付けに目を奪われた。気になったので調べてみたら、振り付けはプロではなく、出演している女子高生たち自身だった。なるほど革新は、既成の枠にとらわれないところから生まれる。俳句も、然りと思う。



こんなところまで人住んでをり山滴る 喜多輝女

 「滴る」は、岩肌や崖から水がしずくとなって滴る……いかにも涼しげな夏の季語。「山笑う」とか「山眠る」というような山全体の状況を表す言葉(季語)としては、「山滴る」ということになる。まさに山全体から滴るような涼気あふれる山奥に見つけた人家。こんなところにも人が住んでいるという驚きが、涼しさと一緒に素直に伝わってきます。「山滴る」という定型ではやや扱いにくい6音がみごとに納まって、姿形のよい自由律になっています。


誰も彼も仏蘭西語めく津軽ゆく うに子
 たしかに津軽弁は、仏蘭西語めいているような気もする。関西弁は、よく言われるように伊太利語めいて、なら沖縄弁は……と憶測が広がっていく。「仏蘭西」「津軽」の漢字表記が、ちょっとタイムスリップしたような旅を感じさせて趣があります。

生まれ変わるなら噴水 小野更紗
 噴水に生まれ変われば何がよいのか、冬は結構ツラそうだし……とか考えだせばキリのない疑問を迷いのない言い切りで一蹴してしまっている。そこにこの句の強さがある。言い切れば、噴水以外でも成立するのかと言えば、そうでもない。微妙なバランスの上に成り立つ何か……感覚としか言いようがないけど。

疎遠の母を思いつつ端居する ケンケン
 端居するような縁先が、特に都会では少ないけど、疎遠になっていく母と端居する自分との間に、同じ時間が流れているのかもしれない。心の中にさわやかでほの悲しいような風が通っていくような味わいがあります。

少しずつ胎児育ちゆく立夏 和音
 すべての生命が躍動し始める季節「立夏」と胎児の育ちゆく気配との、まさに過不足のない取り合わせが絶妙です。「少しずつ」という表現も、決して慌てることのない自然の摂理とよく融合しています。

西日浴しているフラミンゴ もね
 フラミンゴはラテン語で「炎」とある。ただでさえピンクめいているフラミンゴ、その群れに強烈な西日が一面に当たる……まさに炎のようなみごとな色彩ではないかと思う。日光浴ならぬ「西日浴」がおもしろい。



何もない手を握っている 藍人
振り払っても振り払ってもまくなぎ もね
ネオンゆびさしネイルに見蕩れてゐる 青萄
うざいったら纏わりついてくる私の汗 多満
きゅうりの花にさびた手押しポンプ 一走人
いつまでも手を振る母という女 しんじゅ
夏山のみやげの白い歯 松ぼっくり
色なき風に音ありサーカスのテント跡 恋衣
蝉の初鳴きは勇気が要る 青柘榴
懐かしきもの三つもあればそこも故郷 真魚


並選
愛想笑ひせむサングラス 杉本とらを
両親に詫びのメールや稲光 KIYOAKI FILM
黒南風やあの人の名の消えし会報 迂叟
車前草の花茎を見定めひっかけ相撲 レモングラス
警備車両の青ペンキ匂う 小市
金魚掬う泣きながら追う 幸
あるときふと思ひ出せない母の貌 みちる
百回聴いた「イマジン」 誉茂子
明日の天道虫に嫌われる 紗蘭
庇へぬ肩へ夕立は優し 野兎
六十五歳にして年金生活者になりきれない 南亭骨太
夏休み淋しきステゴザウルス動き始める 凡鑚
うたたねの顔に黒し笑ひの白しハンカチ ヤッチー
収穫は弁当箱でミニトマト 恵馬
半夏生おきぬけの眩暈 ほろよい
東窓から南まどまで虹 ゆりかもめ
にいにいの声なき声 小木さん
けだるく朝をまつ 緑の手
大風吹きに戸を開けたような男 のり茶づけ
必要のない嘘をつく必要性 雨月
冷房強し手配写真並ぶ小部屋 元旦
守られて戦争反対を叫ぶ ソラト
白球夏空へ憂鬱の海碧く あおい
足長蜂や殺虫剤にもがきおり カシオペア
耳掻きについてくる昨日 台所のキフジン
朝日浴びくねくね踊りめめず死す 鯉城
時間は前へ進むので安心 遊人
くそくそくそ〜っ暑い夏 ちろりん
もくもくと正蜘蛛の糸 人日子
熱帯夜女性器に見えてくる来る競技場 エノコロちゃん
暴れ馬の蹴っている青空 北伊作
まあっ、いいか!還暦すぎの出もの腫れもの まんぷく
台風の忘れ物鍋いっぱいのカレーかな ミセスコナン



きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「青穂」同人。句集『圧倒的自由律 地平線まで三日半』(象の森書房)、写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。



【100年投句計画】投句方法
 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可)、俳号(なければ本名の名前のみ)、本名、電話番号、住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句まで、詰め俳句は季語を一つのみお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙人」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。


詰め俳句11月号掲載分の問題(9月20日締切)

 次の(  )の中に共通する秋または冬の季語を入れて下さい。

鳥籠に鳥よく歌う(   )
(   )棘ある木々の並ぶ径


それぞれ締切は、9月20日(日)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがきFAXでも投句できます。


さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。(俳句ポスト365のページ参照)


目次に戻る


美術館吟行9:愛媛県美術館
白川義員写真展「永遠の日本」吟行会


文 川又 夕


 海日和の強気な太陽の下、写真展「永遠の日本」吟行会を行った。写真展初日の七月二十五日に集ったのは、あねご、恋衣、鯛飯、チャンヒ、toku229、猫正宗、未悠、夕、若狹。
 鮮やかな朱色の看板を通り過ぎ、美術館へ入ると冷房がよく効いていた。写真展の内容は日本全国の山、滝、渓谷、湿原、海などの風景写真。人の脚で立ち入れない場所には、ヘリコプターや軽飛行機を借り上げて撮影したというそれらの作品は名景であり、絶景だった。

春の夜を眩しく深く死に触れて チャンヒ

 鮮やかさは眩しさとなって目に焼き付く。補正していない原色の景色は命の始まりと終わりを感じさせる。

寒月や無垢の瀑布の静かなる 若狹

 まっすぐに落ちる『梅花皮の滝』は無垢そのもの。瀑布(滝)は夏の季語だが、写真に収められた瀑布は秋、冬が多く、「静かなる」迫力を秘めていた。

古酒召したか巨人ら千鳥足の跡 猫正宗

 美術館吟行で面白いのは、完成した作品がもう一度新しい作品となるところ。猫正宗氏は『滝ノ拝』の滝のくねりを酔っ払いに見立てた。

小走りに拍手へ白靴夏帽子 あねご

 写真展初日ということで、白川義員氏のトークショーが開催された。素晴らしい作品を生み出した白川氏の「生の声が聴きたい」観客を、あねご氏は夏らしく詠んだ。

変わらない晩夏が僕を馬鹿にする 未悠

 世界中で撮影を続ける白川氏は多くの苦労を重ねてきたとのこと。特に世界基準と異なる日本での撮影は困難を極めたそうだ。その苛立ちをマイクに乗せる姿を、未悠氏は的確に切り取った。
 作品にはぎっしりと本人の解説が付いていた。その土地の美しさはもちろん、撮影が巧く進まないエピソードも盛り込まれ「知らない世界を探訪する」旅人の心持ちを感じることが出来た。

春寒を凪ぐや峙つ太陽柱 若狹

 トークショーは作品を渡り歩きながら行われた。それと共に多くの観客が動くため、通り過ぎた後は凪いだ海のようになる。
 その瞬間『屈斜路湖の太陽柱』の輝きが増した気がした。

ひたすらの紅葉はただブナの山 toku229
流星の零れて混ざる水の森 未悠

 美しい風景には素直な言葉が似合う。

錦秋の覆いかぶさる層雲峡 toku229

 朝焼け、夕焼け、火山の噴火、そして紅葉。作品の多くを彩る朱色はとても強い色だ。

翼のごとき忽那七島夕焼ける 鯛飯

 鯛飯氏は作品を更に美しく詠んだ。厳しい自然の華々しさについ目が行き、瀬戸内の写真は穏やか過ぎると思ってしまうが、この句を添えれば「一枚の作品」として胸を張れる。

鳥の目に世界は朱色風は死す 夕
冷ややかに淋しきまでに岩尖る 恋衣
朝焼の橋杭岩を果てとせむ 鯛飯

 人気の『橋杭岩暁天』競作。岩の読み取り方で人生観が垣間見えたら面白い。

朝焼の波の形に言葉など チャンヒ

 季語の強みが活かされた一句。『新舞子浜夜明け』を語る時、確かに言葉は蛇足かも知れない。だからこそ季語が光る。

オリオンは夜明けに抗しただ独り 猫正宗
颱風や生まれ変はりの夜が明ける 夕
黎明を祈りの岩へ雁渡し あねご

 石垣島の『永遠の日本の夜明け』を鑑賞し、それぞれ詠んだ。星がまどろむように姿を消していく中、確かな輝きを放つオリオン。そして新しい空。

 冷房で冷えた躯へ、再び真夏の日射し。春夏秋冬の乱舞していた美術館を出た途端、今は夏なのだと思い知らされた。
 写真展「永遠の日本」。鳥の目で季節を旅し、日本を旅することの出来る扉がそこにある。

地を揺らし火を噴き地より生るる月 恋衣


川又 夕
俳句甲子園OBOG会会長。
句集『嫁入り支度』。



取材協力:「白川義員写真展」実行委員会(愛媛県、愛媛新聞社、テレビ愛媛)、愛媛県美術館


次回美術館吟行会
いずれも『100年俳句計画』編集室までお申し込み下さい。(TEL089-906-0694)

スター ウォーズ展 未来へつづく、創造のビジョン
日時: 9月19日10時〜
場所:愛媛県美術館
参加無料(入館料は別途)
申込締切:9月17日

http://www.iyokannet.jp/



目次に戻る


Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.26


Storm in the Andes
Above the tree line we now
Chase endless winter

終わりなき冬追ふごとく吹雪かな


(直訳)
アンデスの雪嵐
われら今 森林限界の上にありて
終わりなき冬を追ふ



 We spent a week in Chile at 3000 meters, suffered a twisted knee and a fever but are home safe, looking for new adventures.

僕達は、チリの標高3000m(ポルティージョ山)にて、膝の捻挫と高熱に苦しみつつ一週間を過ごしたが、無事に帰国した(次なる冒険を探しつつ)。(訳:朗善)



ナサニエル ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2013年7月より山梨へ移住。


目次に戻る



JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第54話
「ベース オン トップ」ポール チェンバース


弓の弾く音に黒々と過ぎる月 チャンヒ

 「ベース オン トップ」は我が青春のシンボルであり若き日の感動の1頁である、と語ったのはジャズ評論家の故本多俊夫氏である。氏はベーシストとして52〜54年の3年間、米国進駐軍として我が国に駐在していたピアニストのハンプトン ホーズとのセッションで腕を磨いた。そして、50年代末にこのアルバムに出会うこととなる。

桐一葉昨日のことを諭したり 俊坊

 「ベース オン トップ」のA面1曲目はジェローム カーン作曲の「イエスタデイズ」である。ポール チェンバースはジャズでは珍しく終始ベースをアルコ(弓弾き)で演奏する。関東の評論家、本多氏はこのプレイを「スイング ジャズ華やかなりし頃、ベースの弓弾きソロにユニゾンで鼻歌をつけるという特殊な技法で非常な人気を獲得したベーシスト、スラム スチュアートも百万ドルのベースと云われたものである。が、同じ弓弾きでも、ここで聞かれるチェンバースの弓弾きは次元が違う。『一体どう次元が違うのだ?』と質問されたら、昔の百万ドル ベースの方はエンターテイメントとして、ショーとして面白かったが、チェンバースのそれは芸術なのだと答える事にしている」と評している。
 一方、関西の評論家である故粟村政昭氏は「ベース オン トップはジャズ喫茶の人気盤の一枚で立派な出来だったが、彼のアルコ ソロだけは何時間聞いても悪趣味だった」と酷評している。さあ、聴いてみましょう!! あなたはどっち派!?

JAZZベース愁思の咽び軋みたり  いしき

 本多氏の云う「我が青春のシンボル」をこのアルバムの1曲に絞るとすればスエーデン民謡の「ディア オールド ストックホルム」である。躍動感に溢れているが、何処か切なく哀しい。本多氏はベーシスト時代に、この曲をレコードからアセテート盤に録音し、チェンバースのフレーズを隅々まで完璧にコピーしたそうである。

鬼灯の三千界へ点すおと 破障子

 55年、チェンバースはマイルス デイヴィスに認められ、彼のオリジナル クインテットのメンバーとなった。チェンバースとピアノのレッド ガーランド、ドラムスのフィリー ジョー ジョーンズから成るそのクインテットのリズム セクションは、かつてのカウント ベイシーお抱えの百万ドルのリズム セクションに譬えられた。以降、チェンバースは約10年間にわたるマイルスとの共演で名実ともにその地位を不動のものとする。

根のごとき指や指板に初嵐 南亭骨太

 新世代を代表するベーシストの一人となったチェンバースの周りには同世代の才能に満ちたミュージシャン達が集い始める。トランペットのフレディー ハバードやアルト サックスのキャノンボール アダレイとの熱いセッションを記録した「ゴー」は、その象徴である。



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の毎月第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。

次回のJAZZ句会は、9月13日(日)17時より。テーマは、小島のり子カルテットat JAZZ BLEND(ライヴ)です。句会への参加を希望の方は、本誌44ページの句会カレンダーを参照してください。


このコーナーで紹介した俳句とエッセイ、堤宏文さんの写真とを組み合わせた『JAZZ HAIKU vol.1』(マルコボ.コム)を発売中。


目次に戻る



ラクゴキゴ


第54話
『仔猫』〜 噺を引き締める一つの台詞〜


 船場の大きな問屋さんへ、口入屋(現在の職業紹介所)から、おなべという女衆さんがやってきた。
 美人ではなく、ズケズケと物を言うのを見て、番頭は別の女衆さんに変えてもらおうと追い払おうとするが、店の奥から御寮人(おかみさん)が出てきて、この娘でええやないかと、奉公人として働くことを決める。
 顔は不細工でもこのおなべ、とてもよく働くので重宝がられ、おなべおなべと可愛がられる日々を送っている。
 ある日、店の若い男連中がよもやま話をしていると、誰かがおなべの妙な噂を話し始める。
 夜中に外にある便所に用を足しに行くと、月明かりの下にひょいと飛び出たのがおなべ。
 昼間の姿とは全く違い、今来た方をギロッと見て、月を見上げうれしそうな声で「ヒ、ヒ、ヒ」と笑ったという。
 その話をすると、他の男も「実はわしもそうや。夜中におなべがろうそくの火影でゆらゆらゆれる自分の顔を鏡で見ながらヒヒヒ……と笑たんや。」と話す。
 ワーワーという声に番頭が飛びこんで来て一喝。すると番頭は旦那に呼ばれ、旦那も「実は……」とおなべの別の顔について話し始める。
 これは一度たしかめねばなるまいと、おなべの持ち物を調べることになった。
 おなべの留守につづらの中を見てみると、そこには何と獣の毛皮が血みどろになって何枚も入っているではないか。
 このまま店へおいとくわけにはいかんと、番頭おなべを呼びつけ、別の理由をこじつけて去ってもらうように話すうちにおなべは気付いてしまう。
 「あれを見られたら仕方ない。実はワシの父親は山猟師、生き物の命を取るのは悪いことじゃと分かってはいてもやめないことから親の因果が子に報い、ワシは猫の生き血の味を覚え、仔猫をとって喰らうようになってしもた。
 村におられんようになって大阪へ出てきた。田舎へは帰れんのでここへおいてくれ、もう二度としない」と懇願するおなべ。
番頭「昼間あんなに明るいあんたがなあ……猫かぶってたんかいな」



 サゲは「猫をかぶる」。かぶる(食べる、かじりつく)の洒落です。
 四十分近くの長編で、船場の大きな店のシステム(旦那、御寮さん、番頭、若い衆、丁稚、女衆さんの序列)などがよく分かります。
 この季節にピッタリの怪談調な部分もあり、暗い雰囲気も漂いますが、おなべの人柄と番頭のあわて具合や優しさがにじみ出て、逆にほのぼのとしたり、じわっと胸に来るものがあったりして、僕は大好きな噺です。
 若い奉公人が便所の噺をする件で、「便所の戸を開けて窓越しに表見るっちゅうと、さっきまで降ってた雨が上がったぁねん。月が出たぁんねんで。雨後の月っちゅうねんなあ。雨の上がったあとの月ちゅうのは、悪わるう冴えるもんや……」という一節があります。
 この「雨の上がったあとの月ちゅうのは、悪わるう冴えるもんや」の台詞が、この噺をぐっと引き締める役割をしています。
 それまでのドタバタの爆笑話から一転し、お客は「あれ? 何か雰囲気変わったぞ。どうなるんかいな?」と思うのです。
 長い間何人もの手によって練り上げられた落語というのは、やはりすごいものだと感じられずにはいられません。
 ぐっと噺の世界に入りこみ、終盤には「番頭さん、気持ち悪いことするおなべだけど辞めさせないで……」と、何故かおなべに肩入れしている自分に気付きます。
 そう。愛すべきキャラのおなべなのであります。

背筋凍るうわさ話や雨後の月


目次に戻る



ホンヤクサイホンヤク


翻田 訳蔵

 俳句初心者、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。


今回の俳句
 びいと啼く尻声悲し夜の鹿 松尾芭蕉



 妻を求めて鳴く声が哀愁を帯びているので、鹿は秋の季語だそうです。
 まずはGoogle翻訳(英→日)から

Deer ass voice sad night chirps her and Bii

 再翻訳

鹿のお尻の声悲しい夜は彼女とBIIをチャープ

 「尻声」は、あとへ長く引く声ということですが、「お尻の声」と訳されてしまいました。放屁ということでしょうか? 「chirp(チャープ)」とは、チューチュー(チーチー)鳴くとか、かん高い声で話す、楽しそうにしゃべる。悲しい夜は鹿の屁の音を聞きながら彼女といちゃいちゃしなさいということでしょうか?

 続いて、エキサイト翻訳(英→日)

BII and shirikoe hi where it cries, deer at night

 再翻訳

BIIおよびshirikoe ハーイ それが泣くこと、鹿 夜 の所

 ハーイ? イクラちゃん??

 最後に、Yahoo!翻訳(英→日)

Make びいと calling 尻声悲; a night deer

 半分訳すのを諦めています……。 
 では、再翻訳

びいとを尻声悲を呼んでいるようにしてください;夜鹿

 夜鹿さんからの注意事項でしょうか?

 それでは、この3つを受けて一句。


夜の鹿悲しい夜の放屁かな 翻田訳蔵


目次に戻る


お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第35回『朗読劇 月光の夏』
(劇団東演公演、原作脚本:毛利恒之、演出:鈴木完一郎、原田一樹、出演:南保大樹、岸波万里子、根岸弥生、他、'15年7月15日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール)

 かつて二人の若き学徒兵が、特攻前に最後の望みとして弾いた小学校のピアノ。当時の教師、吉岡公子の証言は反響を呼び、廃棄されようとしていたそのピアノは、修理保存されることとなった。やがて、その学徒兵の一人が生きていることが分かるが、彼は頑なに当時のことについて口を閉ざす。ピアノの話は嘘ではなかったのか。そんな噂がのぼり始める頃、彼が口を閉ざす理由が明かされ始める。ピアノを弾いた後、ともに二人は特攻に飛び立つが、彼はエンジン不調のため帰還。再度の出撃を求めるが、福岡の振武寮へと転属させられる。そこは、特攻で死ななかったもの、死ねなかったものの幽閉所であった。「死んでこそ軍神、一度軍神と目された者が生きているという事実があってはならない」と。外部との連絡を一切断たれ、戦死も、自死もできない兵士たちは、次第に生ける屍のようになっていく。振武寮でのことは、戦後も彼に負い目と傷を与え、当時のことを封印しようとしたのであった。しかし、彼はピアノを弾きに四十年以上を経て戻ってくる。舞台には、あの夏を、これまでの来し方を振り返るように、あの日、友が弾いたベートーヴェンのピアノソナタ「月光」が流れる。

君知るや夏の月光の激情

 男優二人、女優二人、ピアノ奏者一人。シンプルな道具立ての中、朗読劇という形で語られる本作。そのシャープさが本作を語るには合っていたように思います。
 奇しくも安保関連法案が衆議院を通った日の上演。かつて事を起こすため、立派で正しく美しい言葉が語られ、それによって踏みにじられたものがあったということは、頭の片隅に置いておいてもいいのかもしれません。

WEBサイトに玉音放送百合白し

 9月の松山市民劇場は前進座公演『芝浜の革財布』(9月18日)落語『芝浜』の舞台化です。ぜひご観覧を。



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。


目次に戻る



百年歳時記


第28回 夏井いつき

 有名俳人の一句を紹介鑑賞するページは世に数々あれど、「市井の逸品」とも呼べる一句を取り上げ鑑賞する記事はそんなに多くありません。
 百年先に残したい佳句秀句奇々怪々句を見いだし、皆さんと共に味わおうという連載は、名づけて「百年歳時記」。夏井いつきの目に触れた様々な作品を毎月ご紹介していきます。


すまん親父未だ門無しなる門火 まるにっちゃん
 いきなり切り出される「すまん親父」という台詞に、のっけから引き込まれます。その興味に、ささやかな疑問符を投げかけるのが、中七「未だ門無しなる」という措辞。「門無し」って何?という思いに、答えを差し出すかのように出現する「門火」という季語に、成る程そういうことでしたかと肯かざるを得ません。
 金稼いで立身出世して立派な跡継ぎになるつもりだったんだけどな、親父よ、俺はまだ門のあるような家を手に入れてないよ、許してくれよ、と灯す「門火」は、まさに亡くなった父の魂を迎える火であります。「未だ門無しなる」という措辞によって、最後の「門火」に焦点が絞られることで、作者の思いが率直に伝わってくる作品です。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』8月14日放送分)

漁網乾く西日の破産管財人 マイマイ
 「漁網乾く」ですから、繕っているのか、現在は使われてないのか、いずれにしても強烈な「西日」に堆く積まれた「漁網」です。
 上五「漁網乾く」だけだと、漁に出られない日が続いたとも読めるのですが、最後の「破産管財人」という言葉に驚かされます。「破産管財人」とは破産した人の財産を管理する仕事ですから、この「漁網」も差し押さえられたモノかもしれません。破産したのは、一個人の漁師でしょうか。漁業を営む会社が倒産したのか、漁業の町そのものが破綻するという展開も、あり得なくは無いのが昨今の時勢。様々な破産のイメージが季語「西日」の中にあぶりだされてくる、現代性を持った恐ろしい一句でありました。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』7月31日放送分)

猿の爪のごとく黒き夜百物語 ねこ端石
 「猿」の一字から始まりますから、当然読み手の脳内には「猿」の姿が浮かびますが、すぐに「爪」という部位に焦点が絞り込まれ、おー「猿の爪」かと思った瞬間に「〜ごとく」と比喩を表す一語が入り、さらに「黒き夜」が出現する。この畳みかける語順が、読み手の脳内にさまざまなイメージを掻き立てます。
 「猿の爪のごとく黒き夜」という夜の描写、巧いですね。「猿の爪」の黒さをよくよく見たことはないのに、こんな爪を知っているかのような錯覚を起こさせるのがこの句の不敵な企み。さらに下五にて出現する季語「百物語」は、上五中七の世界を一気に巻き込んで、腥い猿の息をも思わせるリアリティで読者を翻弄します。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』7月24日掲載分)

冷し中華まず小賢しきチェリーかな 雪うさぎ
ハネムーン見送って冷し中華でも 妙
 前句、「小賢しきチェリー」という一言にノックアウトされました。「冷し中華」の上に乗ってる缶詰めの、あのニセモノっぽい「チェリー」。私も大嫌いなんですが、それを「小賢しきチェリー」と言い放ってくれるなんたる小気味よさ!何故あんたがここに乗ってんの?みたいな嫌味も、そのまま俳句になっちゃう痛快感!
 後句、ハネムーン見送った後に蕎麦食べてもいいんですけどね、この場面での「冷やし中華」って絶妙ですよね。「ハネムーン」という言葉の華やかさ、「見送って」しまったあとのささやかな虚脱には、国籍不明で色とりどりの「冷やし中華」という食べ物が妙に似合います。こんな取り合わせもありか!と楽しくなった作品。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』8月7日放送分)

ハンカチになったかもめを胸に挿す ぼたんのむら
 「ハンカチ」が夏の季語であるのは、汗を拭くという用途が第一義として認められているからだろうと考えられます。が、「汗拭い」ではなく、敢えて「ハンカチ」という季語にこだわってみると、そこには幾ばくかのお洒落感覚も入ってくるに違いありません。
 掲出句は、まさにそのお洒落な部分をうまく詩の言葉に転換した作品。夏らしい爽快感が一句の魅力です。それを演出しているのが「ハンカチになったかもめ」という表現。この比喩から「ハンカチ」が「かもめ」のような白であることや、「かもめ」の羽のようにピンと「胸」ポケットに挿されていることが読み取れます。涼やかな比喩が、爽快でカッコイイ「ハンカチ」を描きました。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』8月7日掲載分)


*百年歳時記は、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』や
 松山市公式サイト『俳句ポスト365』(http://haikutown.jp/post/
 などに投句された俳句を紹介します。


目次に戻る



会話形式でわかる
近代俳句史超入門


第15回
文 構成 青木亮人

 大学で俳句を研究する青木先生と、その教え子で俳句甲子園の出場経験もある大学生の俳子さんが雑談を交えながらの近代俳句史超入門。

高浜虚子をいかに知るか

 二人は大学の教室で高浜虚子について論じあっています。

作家と作品の関係
青木先生(以下青) おぉ、もうこんな時間ですか(腕時計を見る)。朝からずっと話していたので気付きませんでした。
俳子(以下俳) ほんとだ、三時……おやつの時間ね。私、うなぎとじゃこ天でいいわ。
青 それ、主食じゃないですか。
俳 じゃあ、労研饅頭と別子飴でお願いします。
青 またマニアックな愛媛のお菓子を……お腹は空きましたが、言いたかったのはおやつタイムじゃなくて、虚子について話すといくら時間があっても足りない、ということです。
俳 早送りしましょうか? 走馬燈の人生のように……
青 亡くなる直前の体験みたいな不吉なことを言わないで下さい。とにかく、虚子は近代俳句で最も影響を及ぼした俳人なので、それを語るとなると色々話す必要がありますし、彼の「写生」「花鳥諷詠」にしても、その論のみ読んでも分かりにくい。俳句作品とセットで読まないと「写生」のあり方をつかむのが難しい上に、彼の人生の過ごし方と「写生」作品が通底するところも少なくない。それで話が長くなったのですが、一つ注意してほしいのは……
俳 磯のアワビの片想い?
青 何の話ですか。磯の波間から虚子に片想いしてどうするんだ……そうじゃなくて、論や作品を正しく知るには作家の人生や信条を知らないといけない、そう思ってはキケンということです。作家を知るのが正しい作品の読み方と考えるのでなく、作家について多くのことを知るほど、その作品や論を深く知ることができるよ、ということです。
俳 分かるようで分からない……「正しく知る」と「深く知る」は違うんですか?
青 ざっくりいうと、作家の人生や信条等を知ればその作品を正しく読めるというのは思いこみで、逆に作家のことを知らずとも作品を全て読めるというのも思いこみです。前者は作家至上主義、後者は読者至上主義といえるでしょう。作家のことも知った上で、作品そのものも読めなければいけない。虚子は小説家の夢が破れた後に俳句を仕事にした職業俳人であり、また戦時中から敗戦後にかけては肝の据わった過ごし方をした……等々の知識は、例えば「大空に伸び傾ける冬木かな」(解説1)の直接の句解に反映せずとも、句を深く味わう上で役立つということです。冬の寒々しい情景を「客観写生」する、つまり同情や悲観等の感情移入をせず、「栄えるのも結構である。亡びるのも結構である。私は唯ありの儘の自分の姿をぢつと眺めている」(虚子「落葉降る下にて」、前々回参照)という醒めたまなざしが冬の荒涼とした風景を見出したと同時に、中七「伸び傾ける」には奇妙な力強さがある。粘着質に近いまなざしの強さというか、中七に「伸び 傾ける」と動詞を二つ押し込んで「冬木」の姿態を詳しく描き出そうとしたところに実は虚子の強引な腕力があるのですが、それは戦時中の彼の身の処し方と通底する押しの強さがあります。逆に、虚子の経歴や俳論をいくら知っても、「伸び傾ける」の奇妙な強さに気付かなければ単に知識で終わってしまう。作家の情報をいかに作品につなげつつ、読解を深く掘り下げることができるか。しかも、それを「正しい読み方」と性急に決めつけず、「深い読み方」として捉えよう、ということです。
俳 先生……
青 ?
俳 お腹が空きました。俳句のお話、もっとお聞きしたいのですが、お昼ご飯を食べていないので頭が朦朧と……私の頭の中はじゃこ天でいっぱい……(白目)
青 む、それはいけませんね。実は私もなかなかの空腹でして……では、学内の食堂で何か食べましょう。

食堂へ
(二人、席につく)
俳 もぐもぐ……じゃこ天うどんは最高ですね。
青 このカツカレーもなかなかいけますよ。カツカレーを考案したのは千葉茂という元巨人軍の野球選手とされていて、実は彼は西条市出身なんです。
俳 先生って暮らしの役に立つかどうか分からない微妙な雑学に詳しい……あ、そうだ! 思い出したんですけど、虚子さんのお話の初めに仰っていましたよね。「作品、選句、結社経営」全てに優れたのが虚子さんだったと。今までのお話は主に作品だったと思うんですが、他の二つはどうなんでしょう?
青 雑学好きとしてはカツカレー史を熱く語りたいところですが、我慢して虚子に戻りましょう。彼は「ホトトギス」を率いて専業俳人として成功した人物でしたが、その虚子に対する批判としてありがちなのは、「虚子は文学者として成功したのでなく、結社経営の上手な実業家として成功したに過ぎない、戦略家だった云々」というものです。おそらく、「ホトトギス」雑詠欄における虚子選の凄さが分からなかったり、虚子句に宿る眼差しの強さを感知できない場合、そういう評になると思うのですが……個人的には、「ホトトギス」雑詠欄を通読すると、虚子選はどう考えても凄いと感じるんですけどね。

俳句と商売
俳 前にも言ったと思うんですけど、子規さんが織田信長のように颯爽とした英雄とすれば、虚子さんは徳川家康を彷彿とさせる老獪な政治家タイプに感じるのよね。だから子規ファンの方が多いような気が。
青 確かに。ただ、子規は日本新聞社から月給を貰っていた一種のサラリーマンだったため、俳句の世界では純粋に「文学」を追究すればよかったのに対し、虚子は俳句を生業にしなければならなかった事情があります。だから全国各地に赴いて句会を開き、土地の人々と関係を築いて「ホトトギス」会員を増やしたり、頻繁に短冊や掛軸の頒布会を行って収入を潤す必要があった。「ホトトギス」雑詠欄を読んでいると、社会的地位のある人やスポンサー的立場にあった実業家の句を実力以上に評価し、上位に据えていることも多い。子規の場合は金銭と「文学」の結びつきを拒否できる環境にありましたが、虚子はそういうことを言っていられなかった。虚子の短冊や軸が今も各地に多く遺されているのも、商売の一つとして書きまくったからなんですよね。
俳 先生はそんな虚子さんをどう思います? 子規ファンの私からすると、気持ちは分かるけれど爽やかじゃないなあ……と感じてしまうんですが。
青 個人的には、俳句を商売にしながらも、あの神がかった選句眼を発揮し続けた上に傑作を詠み続けたことが逆に凄い、と思うんですけどね。結社経営がうまいだけであれだけの弟子は集ってきませんよ。その点、俳人虚子の凄みは「ホトトギス」雑詠欄の選句抜きには考えられません。
俳 じゃこ天うどんのおいしさは七味唐辛子抜きには考えられない、という感じでしょうか。
青 いや、じゃこ天なみの存在感ですね。うどんが俳句作品、じゃこ天が選句、だしは「ホトトギス」。どれか一つ欠けてもじゃこ天うどんは成り立たないのと同じ……と、ヘンな例えですが。
俳 なるほど! 今日のお話で一番分かりやすかったです。ふむふむ。
青 今まで色々お話して、じゃこ天うどんが分かりやすかったとは……次からは心の傷を癒やす意味も込めて、話題を変えて「ホトトギス」と虚子についてお話しましょう。
(続く)


青木亮人(あおき まこと) 1974年、北海道生まれ。現在、愛媛大学准教授。著書に『その眼、俳人につき』(邑書林)など。



解説


解説1
「大空に伸び傾ける冬木かな」 大正十五(1926)年、丸ビル発行所の東大俳句会での出句。句集『五百句』所収。
本文に戻る 解説1



目次に戻る



まつやま俳句でまちづくりの会通信


第54回 文 若狭昭宏

第30回古川町久兵衛会夕涼み大会

 7月18日(土)古川集会所広場にて「第30回古川町久兵衛会夕涼み大会」が開かれた。催し物にはカラオケ、バンド、ビンゴゲーム大会等の最後に俳句選句会。投句箱を設置して、mhmメンバーで選句と簡単な句会ライブを行った。
 今回参加したメンバーはキム チャンヒ、若狭、しんじゅ、蓮睡、紫羽の5名。代表挨拶がてら、若狭から句作について、最近あった楽しい思い出や、今日の夕涼み会のこと、季語よりフレーズが先にあると作りやすいことなどを久兵衛会の方と掛け合い漫才のようにしながら説明した。
 古川の子ども達はやる気があり、入り口付近で射的の受付をしていた中学生の女の子が進んで投句してくれたかと思うと、やって来る他の子達にも勧めて皆で投句してくれた。特にサッカー部の少年は一人で7句も8句も出し、水泳をやっている女の子はじっくり俳句の詠み方を質問しながら渾身の句を捻り出した。
 投句が始まって間もなく箱が一杯になり、若狭&しんじゅの二名はせっせと選句に移ったが、最終的に300句ほど集まっただろうか。小学生までの子どもの部と、中学生以上の大人の部に分け、10句ずつ入選とし、その中から最優秀を一名ずつ選出した。残念ながら、受賞者の発表時には帰っている子どもが多かったが、大人の部はほぼ全員が残っており、中には中学生が三名も入っていた。是非松山の俳句界にデビューしてもらいたいものである。ちなみに、選句をしていると、絶対に俳句経験者であろう抜群に上手い方がいて、二人揃って特選に選んだ。蓋を開けてみるとその方は「前町内会長」さんで、入賞発表の直前にあったカラオケのトリを飾り、俳句も最優秀と、流石と言わざるを得ない。
 尚、各入選句は愛媛銀行古川支店に掲示していただけるとのこと。

子どもの部 最優秀賞
あせかくとあたまのにおいかぶとむし
椿小学校 二年生 しみずたかふみ

大人の部 最優秀賞
木の下へ庭師ごろりと三尺寝
林 一孝


平成27年度第13回四国地域福祉実践セミナーin徳島 阿波市
セミナー句会「地域のちから五七五」

 今年も蛇頭さんを通じて、一泊二日の福祉系ビッグイベントに俳句の選者としてmhmから一名出席することになった。前々回はキム チャンヒさんが出席し、入賞者にはキムさんの俳画がプレゼントされたため、今年も期待されていたに違いない。が、そのキムさんは残念ながら日程が合わず、代わりに現在聾学校で勤務しており今後も福祉に長く携わる予定の若狭が行くことに。
 このセミナーでは東北大学大学院の教授である大橋謙策先生をお呼びして、「福祉でまちづくり」についてお話を聞く他、南海トラフ大地震等に関わる防災について、高齢化社会の包括ケアについてなど、分科会ごとに実践的な情報を交換していたが、参加者の学びに対する姿勢や意欲に驚いた。
 色々な話を聞く中で、よく高齢者の筋力をつけるために運動をさせるが、その筋肉にするための食事にも意識しなければいけないということや、高齢化で聴力が衰えると、うつ病や認知症等判定されるという流れがあるため、早い段階で補聴器を使用し始めることで改善されるのではないかなど、少し考え方を変えるだけでガラリと多くのことが上手くいく可能性を感じることができた。
 この考え方というのは、俳句そのものは勿論「俳句でまちづくり」にも大切なことである。俳句が爺婆の道楽? では高校生の大会を開こう。子ども向けの大会や賞ばかりが盛り上がっている? では大人のための大会やコンテストを作ろう。一貫して続けにくい? では中学校や大学にも俳句を広めよう。俳句はお金にならない? うーむ、難しいけど漫画や番組などメディアに進出したり、コラボレーション企画を立ち上げたりしよう等々。今後も目から鱗の発想が生まれてくるだろう。
 俳句の選はホトトギス同人の西内千秋さんとともに行い、福祉に関連しつつ有季定形に近い句が多く選ばれた。また、授賞式の際には個人的に時間を頂き、特別支援学校で俳句の授業をした経験から、「できない」と思っていた子どもの自信、子どもが俳句を詠めたことでの保護者の考えの変化、これから子ども・保護者・教員の関係がより良くなったケースを伝え、俳句を切り口に盲・聾等、福祉に関わる世界を開拓していきたいと発表した。

特選
真夏日を忘れて熱き福祉論  阿波市 加藤ハルコ

特選
孫に服すとんと着せて夕端居  阿波市 鈴田孝志

夏草の一本にある強さかな  阿波市 三木隆夫
福祉とは生涯響く風鈴の音  四万十町 渡辺恵子
君生きる傘寿の夏に影は濃く  四万十町 森野幸世
心太地域で暮らすまちづくり  琴平町 高橋朋子
セミナーに行ってくるよと墓参り  徳島市 日開野博
八月の空にいのちのきしみあり  四万十町 杉内加恵
阿波の路に札所横目に夏セミナー  東京都 大橋謙策
日傘さし小さな日陰ひきづりて  琴平町 田中君子


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。



第14回まる裏俳句甲子園キャッチコピー募集
来年1月10日(日)開催のまる裏俳句甲子園のキャッチコピーを募集します。応募締切は、9月25日(金)。
詳しくはhttp://e-mhm.com/まで


目次に戻る



句集の本棚





『遠望』 菅家瑞正 著

 著者の第二句集はおおぶりの題材が健やかに広やかに詠まれている。
  花合歓のうたかた咲きと申すべし
  誰も知らざる萍の下の水
  全幅も全長も滝凍りけり
  山並のよろしき国のどんどかな
  峡の田の半分占めて百足稲架
  山のもの畑のものや在祭
  手で洗ひ藁で洗ひて赤蕪
  一天は青より碧し寒椿
  みづうみに水の張りつく大暑かな
  一本の川千本の曼珠沙華
 妻や子を詠んだ句も素直な愛情を感じる。
  若草に坐つてごらん妻よ子よ
  夜の音を妻の言ひたる時雨かな
  行春や妻に買ひたき花鋏
  妻とゐて寒と名の付くものの中
 望郷の念が詩情を醸す一冊である。「泉」同人。
(書評:岡田一実)

ふらんす堂(2013初版)
定価 2476円(税別)
全215ページ



『向日葵の午後』 岡本紗矢 著

 著者の第一句集は大きな想像から細やかなリアリティの追求まで多彩な句で彩られている。
  薪の火に遠き吹雪を想ひをり
  命なき安らぎのあり内裏雛
 「遠き吹雪」を想い内裏雛の「安らぎ」を想う。
  黒板が遠き渚に見えて夏
 想いが広がれば「見えて」くるものもある。
  馬鈴薯の皮剥く明日も次の世も
  飽食と飢餓を隔てる冬の海
  薄闇をちくちく切るや蚊喰鳥
  生きて地に死なば夜空に踊るかな
  草野球山火事を見る五回裏
  綺羅星や難民の地へ飛ぶ毛布
  金亀子壁にぶつかりつつ空へ
  向日葵の花粉散り敷くおのが葉に
  あめんぼう突つ張りながら流さるる
 想念の世界だけではなく写実の力強さも感じられる一冊である。
 序を矢島渚男、栞を鳥居真里子。「梟」同人。
(書評:岡田一実)

ふらんす堂(2014年初版)
定価 2200円(税別)
全184ページ



このコーナーで紹介した句集は、100年俳句計画編集室にて閲覧できます。


目次に戻る



俳句の街 まつやま
俳句ポスト365


協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


優秀句
平成27年7月度


【南風】
《地》
わたつみを嗅ぎて白南風なほ熱し 有櫛水母男
船足を南風に任せ握り飯 しげる
ねっとりと錆びつく錨海南風 間野ぷうちゃ
鉄亜鈴臭きえんぴつ南風吹く 神楽坂リンダ
黒糖にわづかの塩気南風吹く 凡鑽
イスパニアに血と金の旗海南風 初蒸気
海南風遺跡に埋まる明の銭 樫の木
黒南風や那覇空港は灯油の香 灰色狼
白南風に一帆の行く一行詩 登美子
孕みたる蝶の体温南風吹く めいおう星

《天》
砂売りが幾度も通る南風 田中ブラン


【目高】
《地》
緋目高の心臓太陽の律動 樫の木
緋目高のみづ怖がつてゐる尾びれ 三島ちとせ
川あれば子ら子らゐれば目高ゐる 江戸人
甕壁に目高の鼻のぶち当たる 木好
目高散りさみしき昼に囲まれり 葦信夫
身ごもれる目高と笑はない少女 とおと
抹香のごとく目高の餌降らす 神楽坂リンダ
今日突然見なれぬ目高現るる 井上じろ
めだか殖ゆ肉屋に貰ろて医者に遣る 有櫛水母男

《天》
水騒ぐ目高生まれたかもしれぬ 勿忘草


【登山】
《地》
登る吾に縄文杉は去ねと言う 理酔
登山道朽ちた鎖の臭いかな 理子
修験者の跳びし裂け目や登山道 金子加行
次の歩の位置をまさぐる登山靴 樹朋
登山靴へ次々纏わる小さな死 初蒸気
強靭な登山靴ひたひた迫る 登美子
登山馬を遣り過ごす間の花図鑑 紀貴之
歯磨きの猛者犇めける登山小屋 奈津

《天》
豪雨の登山ふれたれば遭難碑 理酔


【百物語】
《地》
百物語固唾のやうに蝋融けて このはる紗耶
聴き慣れぬ声美しき百物語 今野浮儚
伽羅匂ふ口百物語終へてより とおと
かわきりの百物語くどやくどや 破障子
百物語戻りし席にすでに吾 白豆
氷漬けのははの半眼百物語 登美子
百物語こゑにうつすら海藻が Y音絵
百物語尽きて畳のぶよぶよと 西田克憲
抽斗に二千三百物語 ひでやん

《天》
猿の爪のごとく黒き夜百物語 ねこ端石


【葛餅】
《地》
葛餅の切りくち凛としてうつろ はまゆう
葛餅や井戸の木桶に袖濡らし 今治の代行運転
葛餅は夜の小雨の味がする 竹内青雨
葛餅のひとつは富士のやうに立つ まどん
葛餅や鎌倉にけふ日陰なし 今野浮儚
これがあのごろごろ水の葛餅か あるきしちはる
葛餅や山門に礼僧に礼 酒井おかわり
葛餅や葬らるるによき日蔭 Y音絵
わたくしの忌の葛餅をくださいな 紆夜曲雪
葛餅の冷たいんだか鈍いんだか クズウジュンイチ

《天》
低気圧来て葛餅のうすにごり くろやぎ




俳句ポスト365作品集2015

冊子のお問い合わせは……
 松山市役所 観光 国際交流課
 TEL 089−948−6556



9月の兼題

投句期間:8月20日〜9月2日
蓮の実 はすのみ【仲秋/植物】

蓮は、花が終わると漏斗状の花托となり、蜂の巣のような孔が並び、種子は黒く熟す。やがて熟しきった実は巣孔の中から飛び出して水中に落ちる。実は食用にもなり甘い。

投句期間:9月3日〜9月9日
秋風 あきかぜ【三秋/天文】
「しゅうふう」とも読む。秋に吹く風のこと。「秋の風」。初秋の頃になると、肌身に冷気をもって吹きすぎるので、この風に心のさびしさを託して詠まれることが多い。

投句期間:9月10日〜9月16日
秋の雲 あきのくも【三秋/天文】
一般に「鰯雲」と呼ばれる巻積雲や、刷毛でさっと塗ったかのような巻雲、高い空に薄く広がる巻層雲など、6000メートル以上の上空に現れる上層雲が多い。

投句期間:9月17日〜9月30日
栗 くり【晩秋/植物】
ブナ科の落葉高木。また、その実。主に山地に生え、果樹として栽培もされる。栗の実の毬は初秋の頃は薄い緑色だが、晩秋には暗褐色となって裂け、中の光沢のある実をのぞかせる。


《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)

9月21日(月)〜9月25日(金)の週は、「俳句ポスト365」の更新をお休みさせていただきます。この週における新たな結果の発表、ならびに9月23日(水)の投句締切や、その翌日の募集兼題の切り替わりはございません。


※募集の兼題は変更される場合があります。「俳句ポスト365」のサイトで最新の情報をご確認ください。



目次に戻る



一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成27年7月度


【研】
包丁は研げておるかと睨む鱧 紫水晶
包丁を研ぐ水鈍し海霧深し 天玲
草刈の手には研がれた鎌がある 富士山
研究と称し七色かき氷 だんご虫
研究室の部下と上司と水羊羹 ポメロ親父
彫刻刀研いで空木の影深く 睦月
漆器涼し白蝶貝を研ぎ出せば 鯛飯
小鈴鳴る小鋏を研ぐ多佳子の忌 篠原そも
ジョバンニの星研ぐ雲や大南風 ほろよい

《天》
夕立に鳴る研修のヘルメット 樫の木


【行水】
隣の子呼んで行水はじまりぬ のせがわかんた
丸刈りの後の行水金盥 みいみ
行水の八ミリ映像母若し ミセスコナン
ぐわらんと金盥伏せ行水果つ 紫水晶
行水の水を清しき風へ捨つ 緑の手
行水の孫の五人が残す砂 マイマイ
行水や声と飛沫は上の階 雪花
行水や西に傾く水瓶座 きのと
行水の夜の匂いになりにけり 人日子
行水の髪を束ねて飯を炊く 青花
百年の木桶めでたし行水す 更紗
改憲や行水の湯に浮く羽虫 ふづき

《天》
行水にベル一目散に庭隅へ 小雪


【山滴る】
山神と雲睦たる山滴る 朝日
山滴る空の余白を奪う木々 樹朋
獰猛な蔓からみあい山滴る 露玉
山滴る午後は寺への道普請 篠原そも
姥捨ても鬼住む山も滴れり 一走人
山滴る高野山に八の峰座する 逆べッカム
山滴る神の産道めきて川 ドクトルバンブー
山滴るや天馬の羽の湿り居る 緑の手
山滴る猪神様が歩く森 かなた中三
我は鬼なり滴る山を踏みしめる ひまわり
人の時間仁王の時間山滴る 樫の木

《天》
山滴るわが身も杉の香を放つ ターナー島


【白蟻】
惣領の驕り白蟻への油断 ポメロ親父
茶の間騒然妊娠と白蟻と ※俳号なし
白蟻の食らう檀家の財布かな 大五郎
話し疲れ通夜の灯へ白蟻 妙
喪中明け白蟻へ明け渡す家 ドクトルバンブー
かつて饂飩屋だつた壁を白蟻沁み出でる 緑の手
玄室の壁画をなぞる羽虫立つ 富士山
白蟻や膝から崩れゆく巨像 笑吉
白蟻やピサの斜塔は不味かった 八幡浜発
父島に雪降るごとく白蟻来 西条のユーホ吹き
白蟻の腹に木屑や人に膿 ちいち

《天》
白蟻の屍重ねて開かぬ竈 ケソラ


【破】
破顔一笑歯形のついた箱眼鏡 みいみ
村芝居また破落戸の役廻り ポメロ親父
破水から三十時間夏の天 雪花
父の日の妹の恋素っ破抜く 妙
約束は破られ百合の花黒し てん点
破壊の日浮人形の黒焦げて のり茶漬け
占領下白シャツ破れやすきかな 篠原そも
庭先のガーベラ明日への突破口 西条のユーホ吹き
虹二重霊山踏破せし者へ 鯛飯
発破音こだまして夕虹の遥か きとうじん

《天》
漁網乾く西日の破産管財人 マイマイ



※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

投句締切:9月13日

季語ではない兼題です。「岩」という字が詠み込まれていれば読み方は問いません。季語は当季を原則として自由に選んでください。

菊の酒 きくのさけ【晩秋/人事】
菊の節句である9月9日に、長寿を願って飲む酒。中国の故事が由来の風習であるといわれる。

投句締切:9月27日
秋の服 あきのふく【三秋/人事】
秋の季節に合った服装全般についていう。和服でも洋服でも白っぽいものが多い夏から、秋の落ち着いた色のものへと変わる。

新麹 しんこうじ【晩秋/人事】
新米でつくった麹。麹とは、酒、味噌、醤油などを醸造する原料となる米や大豆などの穀物に麹黴を生やしたもので、麹づくりには伝統的な技法が使われる。



《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


目次に戻る



100年俳句計画マラソン部主催
楠 真美さんをお迎えしてランニング入門開催




 これからのランニングシーズンに向け、実業団(デオデオ)陸上部で活躍された楠真美さんをお迎えして、ランニング入門を開催します。しかも松山大学成瀬(ぶるうす)先生のご協力により、会場は松山大学久万ノ台グランド陸上競技場。マラソン部部員さえもが驚愕する、本格的な練習会です。
 マラソン部のメンバーはもちろんのこと、全くの初心者も大歓迎です。日頃運動不足の方、ランニングに興味ある方は、ぜひご参加下さい。

日時 9月19日(土)13時集合
集合場所 JAZZ BLEND
 松山市中央2丁目1238
 井村歯科医院の久万川を挟んで東隣

当日スケジュール
13時 JAZZ BLEND集合
 楠真美さん&フレンズと100年俳句計画マラソン部&応援団他の顔合わせ
13時15分 松山大学久万ノ台グランド陸上競技場へ移動(約1.3kmをランニング等で)
13時30分 成瀬ゼミ生&松山大学教職員アスリート倶楽部メンバー&一般参加者との合流→楠コーチ クリニック
 走る前に行う準備運動(ストレッチ等)
 ランニングの基本動作(フォーム)
 試走(楠コーチによる個々へのアドバイス)
 ランニング後の身体のケア
15時 クリニック終了&交流会参加希望者移動
15時15分 久万ノ台温泉で入浴 着替え
16時 楠コーチを囲んで交流会at JAZZ BLEND
19時 お開き
※運動の出来る格好でお越し下さい。
※雨天の場合は、JAZZ BLENDにてランニングフォームのクリニックなどを行います。

参加会費
 クリニックのみ…お一人1000円
 クリニック&交流会…お一人3000円
 (交流会のみの方もお一人3000円)
※久万ノ台温泉入浴料(大人お一人470円)は各自でご負担ください。

申込先
 100年俳句計画編集室(担当 キム)
 電話 089(906)0694
 E-mail magazine@marukobo.com



楠 真美さんプロフィール

1975年、現西予市生まれ
野村町立大和田小
野村町立野村中学校(バレー部)
愛媛県立野村高等学校(バレー部→陸上競技部)
 ※インターハイ、国体、都道府県対抗女子駅伝出場
  四国選手権1500m優勝 ジュニアオリンピック7位
広島大学 教育学部教科教育学科 体育教育学専修
 ※日本学生選手権 1500m2位
  (800m、1500m、5000m 中四国学生記録)
  全日本大学女子駅伝 広島大学出場
(株)デオデオ 女子陸上競技部 フランチャイズ事業部
愛媛県立宇和島水産高校 保健体育講師
西予市教育委員会文化体育振興課 社会体育指導員
(総合型地域スポーツクラブ担当)

【資格】
中高保健体育教諭一種免許
コオーディネーショントレーニング ブロンズライセンス
日体協スポーツリーダー アシスタントクラブマネジャー

【戦績】ベスト
800m:2分11秒46 1998年静岡国体
1500m:4分21秒45 1999年広島県選手権
3000m:9分22秒19 2000年パーボ ヌルミ ゲームス(フィンランド)
5000m:15分38秒17 2001年織田記念国際陸上 優勝(広島)
ハーフマラソン:1時間09分34秒 2001年全日本実業団ハーフマラソン(山口)
マラソン:2時間49分12秒 2006年東京国際女子マラソン(東京)…実業団引退後

2000年千葉国際駅伝 優勝 4区
2001年北京国際女子駅伝 5位 3区
2000年フランス国際リオンハーフマラソン 優勝



目次に戻る



100年俳句計画 掲示板



NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  9月8日(火)11時40分〜

あいテレビ(TBS系列、全国)
 『プレバト!!』
   隔週木曜 19時〜20時49分
※組長がゲストの俳句ランキングづけで出演! 放送日番組欄を要チェック!

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「山ぶどう/秋の朝」9月6日〆
   「不知火/雁渡し」9月20日〆
 インターネットでも配信中。詳しくは番組webサイトへ。
  HP http://www.baribari789.com/
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)、住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム チャンヒのイラストポストカードが贈られます。


執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」
※ 毎週日曜発刊タブロイド判8ページ

朝日新聞愛媛俳壇(夏井選)
 投稿は葉書1枚に5句以内(未発表句)。裏面に作品と共に住所、氏名、電話番号を明記。朝日新聞松山総局(790ー0003 松山市三番町4ー9ー6 NBF松山日銀前ビル)まで。

愛媛県《吟行ナビえひめ》句&写真
 俳句選者:夏井いつき
 写真選者:キムチャンヒ
【募集期間】毎月1日〜 25日前後締切
【応募先】http://www.iyokannet.jp/ginkou/
【問い合せ】愛媛県観光物産課
TEL 089ー912ー2491

本阿弥書店「俳壇」(1月号より連載)
 『十二か月添削教室』
 10月号 9月14日発売
*誌上で俳句を募集しています。


句会ライブ、講演など

俳句王国がゆく公開収録
 9月5日(土)主宰 夏井いつき
開場…13時 開演…13時30分
会場…姫路市市民会館(姫路市総社本町112番地)
※〔出演〕夏井いつき(俳人)、尼子騒兵衛(漫画家)、金子貴俊(俳優、タレント)、一般俳人のみなさん 〔司会〕U字工事(タレント)、田中紀英キャスター


家族で楽しむ文化芸術♪ えひめブンカニア2015(主催 愛媛県)
 9月13日(日)10時〜
 場所…ひめぎんホール(メインホール)入場無料、参加賞あり。
※県民プラザ(1Fロビー)では、あねごさんによる俳句教室が開講されます。


いのちの電話創立30周年記念句会ライブ
 9月13日(日)14時〜
 場所…松山市民会館(中ホール)
 出演 夏井いつき、キムチャンヒ
 参加無料、賞品有り(キム チャンヒのライブペイント含む)※詳細は13ページ


四国九州沖縄地区研究協議会愛媛大会「伝えることば+ことばのちから」
 9月19日(土)13時〜16時20分
 場所…南海放送本社テルスターホール(松山市本町1ー1ー1)
 参加無料(事前申込、要 整理券)
 新井満さんの基調講演やパネルディスカッション。組長もパネリストとして出演します。〔問合せ〕南海放送テレビ事業部 089-915-3817


筆の里工房句会ライブ 「五七五 書」に挑戦しよう!
 9月20日(日)13時〜
 熊野筆で有名な筆の里工房。夏井いつきと美文字研究家 青山浩之のダブル講師による楽しい講義。〔問合せ〕筆の里工房 082-855-3010


宇田喜代子 黒田杏子の道後俳句塾2015
 9月26日(土)13時〜 俳句塾
 講師 宇田喜代子、黒田杏子
 9月27日(日)10時〜 吟行会
 講師 宇田喜代子、黒田杏子、相原左義長、夏井いつき
 申込締切【8月30日(日)】
 申込 子規博友の会 089-931-5566


目次に戻る



魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

俳句甲子園へ!
紗蘭 こちらメルボルンは寒季真っ只中です。今年も俳句甲子園、会場に行くことはできませんが、オンラインで観戦するつもりです。選手の皆さん、応援しています!
編 遠いからね〜。今年もインターネット中継あるから応援してね!

西条の針屋さん 今回の金子兜太先生の言葉、胸に響きました。俳句甲子園の決勝戦には行きます。
編 言葉というか書ですかね。俳句甲子園に情熱を捧げる高校生が無事大人になれる世の中であれかし。

続 俳都松山宣言
ゆりかもめ 先日、キャラバン東京会場へ行ってきました。夏井さんのトークが対局トーナメントの選手にプレッシャーをそれとなくかけているのがおもしろかったです。それに応えて選手の方々の優秀なこと! 見応えがありました。
編 松山での最終決戦は10月31日(土)! 猛者中の猛者が集まるからさらに見応えありますよ〜♪

投句計画に寄せて
元旦 いつも悩むんですよ〜。雑詠に投句するか、へたうまのほうに投句するか。そう言いながら仙人のコメントが好きなので、ついついへたうまに走ってしまいます(笑)。それでいいのか??? でも今回は思い切って雑詠にしてみました。
編 新風 教人さん入りましたしね。

雨月 兼光さんへ。手術をされたとのことびっくりしました。お大事にしてください。選句欄、今までありがとうございました。最後に天にとっていただきとても嬉しいです! ありがとうございます! またどこかでお会いできることを楽しみにしています。
編 組長と共に全国いろんな会場に同行してます。お声がけ下さい♪

八十八五十八 雑詠2句目 瓶ヶ森をカメ、石鎚山をヅチと呼ぶのも登山用語の一つなのでしょうね。二つの山とも愛媛県人としてはあこがれの山です。
編 一般の認知度的には…? いざとなったらルビ振ります!「瓶ヶ森」、「石鎚山」ってね。

俳句新聞いつき組
うに子 いつき組新聞届きました。花の句座…句も選評もうっとり。そして唯一つを選べない自分がもどかしくなりました。選ぶことは難しいです。
編 どれもいい句ですからねえ。最後は特に気に入った数句だけを並べて決選投票的に選ぶとか。

俳句王国公開収録in草津
ケンケン 私の住む滋賀県草津市で「俳句王国がゆく」の公開収録があった。いつき組組員も出演した。そして私の俳句も、草津市をPRする「ご当地俳句」として紹介された。全国番組での記念すべき、俳句作品デビュー、うれしいな〜。
編 全国デビューおめでとう! 9月5日(土)の姫路収録では組長も出演であります。

デキる男の俳句ライフ
恵馬 繁忙期から全然投句ができずに焦っていましたが仕事を一時間早く行って色々考える時間をつくりました。時間はあるものでなく、作るものだとまたまた実感。
編 これぞ真理……けど、耳が痛い!

光の松山城
喜多輝女 7月18日〜8月7日まで「松山光の城」という松山城をイルミネーションで飾るイベントが開催されます。PM6時30分〜9時30分まで。7月18日〜20日、8月2日、7日はロープウェイが夜間の無料運行をするそうです。皆さんお誘い合わせで夜の松山城へいらっしゃいませんか?
編 もう期間過ぎてしまったけども、城山の麓までは見に行きました! 東雲神社への上がり口も綺麗な光の道になっておりましたねえ。

台風と生活
柊つばき 孫たちは学校が休みになることを願っていますが、大人は少しでも被害がないことを願っています。今年は台風が多いようですね。
編 高知は大丈夫だったでしょうか。

さみし
北伊作 組長の句が本誌から消えて何年経たでしょうか……残念です。月刊誌ですから五句は載せて頂きたいものです。
編 俳句新聞では放歌高吟あるんですけどね……ううむ。

季語の写真館
真帆 鬼北の三角ぼうしで試食販売していた。悪玉コレステロール値下げ、美肌効果、老化を遅らせる。食べるとマンゴーの味おいしい。私も鬼灯野菜として作ろう。



目次に戻る



鮎の友釣り


206
俳号 みちる

あつちやんさま ご指名謝謝。私AKBのファンだったので、この俳号にビックリ。本人は男と知ってガックリ(笑)。しかし前回の「友釣り」で感激。

俳号 みちる。本名です。満の字を当てます。「みつる」と読み間違えられるので、平仮名にしたらと組長から言われ納得。しかし最近「本当はみつるさんだったのね」と別の人から言われ愕然。句集の最後に本名「満」としたのが良くなかった?
近況 退職して埼玉に戻り、新しい仲間を探しています。あつちやんも、そんな中で知り合った貴重な人です。今年の課題は「自分の句」を作ること。おれはうまいという気持ちと下手だという気持ちが数時間から数年ごとに交代する躁鬱症。今は鬱です。

写真 写真は孫と。

次回…恋衣様へ 松山では、吟行にマル裏に、怠け者の私をあちこち引っ張り出していただき、ありがとうございました。組長と共に俳句の楽しさを教えてくれた恩人です。


目次に戻る



告知



HAIKU LIFE 100年俳句計画
第5回
大人のための句集を作ろうコンテスト
作品募集

主催 マルコボ.コム 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

 第五語回「大人のための句集を作ろう!コンテスト」(通称「大人コン」)の作品募集がスタートしました。
 「大人コン」は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』が開催する俳句コンテストです。
 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

「受賞作品が句集になるってホントですか」
 最優秀賞作品は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』の付録冊子として読者諸氏に広く読んで頂きます。付録とはいえ、お洒落なデザインの句集だと評判です。
 受賞者には一切の金銭的負担をかけず、読者にとっても安価な句集をどんどん生み出していきたいという志を一つの形にしたのが、この企画なのです。

「俳句マガジンを購読してないんですが、コンテストへの応募はできますか」
 どなたでも応募できます。購読の有無は一切関係ありません。勿論、応募は無料です。

「審査は誰がするのですか」
 本コンテストの受賞者は、「大人コン」選考会員の投票によって決まります。「大人コン」選考会員は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』購読者の内、各総合誌等の俳句賞受賞者あるいは最終選考に残った実績のある人たち等によって構成されます。第四回の有資格者は三十二名。年々選考会員数は増えていくことになります。
 多くの目利きの力を借りて「百年先の未来に残したい作品と作家」を見い出し顕彰していくことが「大人コン」の目的。我こそは!という皆さんのご応募を、心からお待ちしております。

既作新作を問わず81句の作品集を募集。
最優秀賞作品は句集にし、本誌付録として配布します。

募集要項

応募資格
15才以上(高校生以上)の方なら、本誌購読の有無に関係なく、どなたでも応募できます。

応募方法
1:Eメールでの応募の場合
応募用のエクセルファイルに必要事項を全て入力し、Eメールの添付ファイルにして、応募して下さい。
応募用ファイルのダウンロード先
http://81ku.marukobo.com/

2:郵送の場合
B4判四百字詰め原稿用紙に81句とその表題、俳号、本名、年齢、住所、電話番号を必ず明記して応募して下さい。

締め切り 2015年12月10日(水)必着

賞 賞状および応募作品による句集20冊
*賞品句集は縦横135ミリメートル 36ページとなります。句集は本誌付録として配布します。

発表 本誌2016年4月号誌上(予定)

送り先
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16ー1
有限会社マルコボ.コム
月刊俳句マガジン『100年俳句計画』編集室Eメール:81ku@marukobo.com



選評大賞2015

今年も選評大賞を行います。300字以内でビシッと決まった選評をお寄せください。審査は例年通り、堀内統義、中西淳、夏井いつきの3名が行います。
 多数の応募をお待ちしております。

最優秀賞(賞金1万円)他
締切 10月20日必着

応募方法
 選句の対象となる句
  2014年10月号〜2015年9月号までに掲載された「百年百花」「100年の旗手(3月号まで)」の中から、心を打たれた俳句を1句選んで、選評をお寄せ下さい。

 記載事項
  掲載句1句(掲載号、作者名を必ず明記)
  選評 20字×15行(300字)以内厳守(多すぎても少なすぎても減点の対象となります)
  俳号、本名、住所、電話番号(必ず明記)

 最優秀賞 賞金1万円(来年の「大人のための句集を作ろうコンテスト審査委員会」への参加資格も得ます。)

 優秀賞(数名) 賞金3千円

 締め切り 10月20日(火)必着

 応募先 100年俳句計画編集室まで、ハガキ、封書、FAX、メール(magazine@marukobo.com)でお送り下さい。

送付の際、件名、タイトルに「選評大賞2015」と明記下さい。
ご応募の際、他の投稿とは別にお願いいたします。
結果は12月号にて発表します。



5年半ぶりに読者を交えた
編集会議を開催します!

日時:9月11日(金)19時〜
場所:マルコボ.コム
   松山市永代町16-1
内容:マガジンでやって欲しいこと、やりたいことを好き勝手に話し合う。
対象:本誌年間購読者
申込先:100年俳句計画編集室
E-mail:magazine@marukobo.com



俳句新聞いつき組
7月新規ご購読お申し込みの方には
3号(2015年7月号)よりお届けします!
※4号は2015年10月中旬発行予定です!

2015年「花の座」決定!&「蛍の座」ノミネート20句

大好評「プレバト!!」番組の前説芸人さんを紹介!

そのほか内容充実のフルカラー全8ページでお届け!

※ひとつ前の号からの購読も可能です。事前にその希望の旨をお伝えください。

A4サイズ8ページフルカラー仕様
参加登録料(※初回のみ)1,000円(税込)
年間購読料 3,500円(税込)/年4回発行
*年1回、夏井いつきの句集シングル付録あり。

まずは無料の0号「創刊準備号」と購読のご案内をお送りいたします!
※0号「創刊準備号」を既にお持ちの方は、0号に掲載しております案内にしたがって購読料をお支払いいただくことで、正式な購読の申込となります。

ご購読のお申し込みは……

「俳句新聞いつき組」購読希望の旨、本名(ふりがな)、俳号(無ければ不要)、郵便番号、住所、電話番号、生年月日を明記して、下記のいずれかの方法で申し込んでください。

 ハガキで申し込む
  790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
  有限会社マルコボ.コム
  「『俳句新聞いつき組』購読申込」係

 FAXで申し込む
 FAX番号:089−906−0695

 メールで申し込む
 kumi@marukobo.com
 (件名を「いつき組購読申込」としてください。)



目次に戻る

編集後記


 本紙の企画で「俳句米プロジェクト」と題して、半年間お米作りを行ったのは2011年のこと。4年ぶりの農業企画として、蕎麦作り企画が始動。その第1弾が今月号の特集である。
 炎天下に土の上に立っていること自体、ずいぶん久しぶりな体験。毎日を人工物に囲まれて、パソコンやスマートフォンなどから逃れることの出来ない生活をしていると、畑に立っているだけで新鮮な気持ちになった。
 ……なんて知った風なことを言ったが、蕎麦作りには何の関係もなく流し素麺を堪能し、風穴にて下界の酷暑をしばし忘れ、実際の農作業は1時間ほど。寒鴉さんがトラクターでこしらえた畝に、日暮屋さんの持参された蕎麦の種を手分けして蒔いただけ。今のところ農業体験というよりも、レジャー感満載の企画。このあと過酷な草取りなど、本格的な農業企画になるのかと思いきや、日暮屋さん曰く「蕎麦はほっとけば出来ますよ」とのこと。ホントかなぁ。
 既に蕎麦の芽はすくすくと育っており、今月末には花も咲くという。そして次回蕎麦打ち企画は、その蕎麦の花の吟行会。遊んでばっかりの企画なのです。興味のある方は編集室まで。
(キム)


目次に戻る

次号予告 (215号10月1日発行予定)


次回特集

第18回俳句甲子園観戦記 8月22日&23日に開催された、第18回俳句甲子園の模様をお伝えします。


HAIKU LIFE 100年俳句計画
2015年9月号(No.214)
2015年9月1日発行
価格 617円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子