100年俳句計画11月号(no.204)


100年俳句計画11月号(no.204)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
♪てやてやふんへい♪ 山蜜柑


特集1
俳都松山宣言


特集2
愛大俳句研究会秋季合宿 IN 高知県
武井 望




好評連載


作品

百年百花
 眠/夏井正人/キム チャンヒ/井上さち


100年俳句計画作品集 100年の旗手
 てん点/幸/杉本とらを


百年琢磨 平敷武蕉

新100年への軌跡
 俳句/ローストビーフ/藤田夕加
 評/マイマイ/瑞木


選者三名による雑詠俳句計画
関悦史/阪西敦子/加根兼光


へたうま仙人/大塚迷路

自由律俳句計画/きむらけんじ



読み物
えっ?日暮屋が句集を出すってよ!
Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵
お芝居観ませんか?/猫正宗
百年歳時記/夏井いつき
近代俳句史超入門/青木亮人
もうひとつの俳句のまちづくり/岐阜県大垣市役所 高田雅章
mhm通信/暇人

読者のページ
俳句ポスト365
一句一遊情報局
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




♪てやてやふんへい♪
山蜜柑

♪みな〜と朝市てやてや♪
 秋祭りが近づき『てやてや音頭』を耳にするようになる頃、段々畑がみかん色に色づき始める。
 と同時に何か気忙しい日々となるのだが、俳句に出会ったお陰で農作業は季語を体感でき、何て幸せ(ちょっとオーバー)と思ったりする。
 接木や草刈が季語と知った時の驚き。
 何より、夫の言動にむしゃくしゃした時、俳句で憂さを晴らす術を習得。
長き夜の夫の福耳地獄耳
 俳句は一向に上達しないが、四季の移り変わりを感じ取る余裕は育ってきたように思う。
 今日もスーパーマーケットでは♪てやてやふんヘイ♪と祭り気分を盛り上げる。
 保育所帰り、一緒に買い物中の孫は踊り出し私は口ずさむ。秋を満喫中のばあばと孫二人、黙って見過ごして頂きたく候。


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特集1

俳都松山宣言



 去る8月25日、俳句甲子園17回大会を記念してシンポジウム「俳都松山宣言 〜十七音が世界を変える〜」が行われました。
 パネルディスカッションや俳句対局のエキシビションマッチなどを通じて、新しい俳句の可能性を提案しました。
 今この時期に、俳都として宣言することの意図など、松山市都市ブランド戦略課主任田中雄平氏に寄稿して頂きました。


過去ではなく、
100年後の未来へ向けて。
「俳都松山」を宣言する。
松山市都市ブランド戦略課  主任 田中雄平

 松山は自他ともに認める「俳都」です。この事は誇るべき街の特徴、都市ブランドだと言えます。私達、市職員はこの都市ブランドを活かすべく、俳句ポストや俳句甲子園等、俳句を街の特徴として結び付ける様々な事業を市民の皆さんと一緒に実施してきましたが、意外にも、これまで「俳都」という言葉を大体的に発信した記録はあまり有りませんでした。
 こうした状況を前にして、松山の更なる活性化に向け、街の情報発信を意識する担当職員としては、「俳都」という都市ブランドを積極的に発信しない事は、とてももったいない事の様に思いました。また、当課が実施した調査によると、若者の中では俳句=松山という結びつきが意外と強く無いことがわかりました。俳句人口が減少していく昨今、このままでは、俳都という言葉も、いつかは過去の呼称として忘れ去られていくのではないか…。そんな事を感じ、松山の街づくりに関わる職員として、少し焦りを覚えていました。
 そのような中、俳句甲子園が17回の節目を迎える事を記念した事業を実施する計画が持ち上がりました。俳句の基本音数と同じ大会に発信すべき事は何なのか。様々な内容を検討しましたが、これまで積極的には言ってこなかった「俳都松山」を改めて宣言し、俳都に相応しい活動を活発化するスタートラインとして、この機会を逃す手はないと考えました。早速、俳都松山を宣言するイベントの企画に着手し、俳句甲子園全国大会の翌日に記念シンポジウムを開催して、「俳都松山宣言」を発表する事としたのです。
 しかし、俳都を宣言するという事は、当初思っていたよりもずっと奥が深く、内容を問われるものでした。何故なら、一般に言われる「俳都」とは、近代俳句の祖正岡子規を育んだ都市としての呼称であり、過去の事実に基づいて俳都を宣言しても、大部分の方々が「今更」と思われるでしょう。また、正岡子規の様に、今後俳句文学の芸術的革新を松山が中心となって興すというのも違うと感じました。今回宣言すべき俳都とは何なのか? 地元俳人の皆様とも協議を重ねて見つけた答えは、やはり俳句甲子園の中にありました。
 俳句甲子園は、それまでの結社俳句と全く異なり、芸術作品を提出する場というよりも、むしろ、俳句を通じた人間教育の場として成立している部分が中心です。個人競技である俳句にチームという概念を持ち込む事で、参加者には仲間の俳句を理解するためのコミュニケーション能力が求められるようになりました。特に、対戦における最大の特徴「ディベート」では、対戦相手の瞬間的理解という、大人でも困難な作業が待ち受けているのですが、そこに勝ち負けの概念が加わる事により、真剣勝負の喜びや悲しみ、そして何より楽しさが生まれ、高校生を俳句に熱中させています。地元9チームで始まった大会は、今や約30都道府県から100を越えるチームが参加するようになり、俳句甲子園に参加した高校生たちは、大会終了後も様々な形で俳句に関わり続け、中には俳句を生活の糧にする者も出現するなど、俳句甲子園に関わる事で俳句愛好家や俳句ファンがどんどん増えて来ています。
 今、松山で起きている革新は、子規が起こした芸術性の革新とは異なるものですが、間違いなく子規の精神を受けついだ俳句の“楽しみ方”の革新です。俳句を楽しむ松山市民の気質が俳句甲子園を生み出し、俳句の裾野を拡大する原動力となっているのです。今後、松山が俳都の名にふさわしい都市であり続ける為には、100年後の未来に向けて、俳句の裾野拡大に向けた活動を継続的に実施していく事が不可欠であり、その様な街であり続ける!という力を込めた決意表明が俳都松山宣言なのです。
 そのような考えの下、夏井先生やマルコボの皆様のお力添えのお陰で、俳都松山宣言は完成。記念シンポジウムも大盛況の中、幕を閉じました。これからは、宣言文で謳った俳都の姿を実現するための企画作りが待っています。我々は、正岡子規が生まれ、高浜虚子や河東碧梧桐が俳句に触れた近代俳句発祥の地としてだけではなく、今も歩みを止めず新たな俳句の楽しみ方を提供し、俳句の裾野を拡大する「俳都」としての姿勢を積極的に発信し、俳句の風を絶やさず起こし続けたいと思います。


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特集2

愛大俳句研究会
秋季合宿 IN 高知県


武井 望

 九月二十日二十一日に高知県で行われた、愛大俳句研究会の秋季合宿の模様をお伝えします。今回の合宿には部員八名が参加しており、大変賑やかなものとなりました。
 合宿初日の朝は、八時三十分に松山市駅の高速バス乗り場に集合でした。ある人は眠たげに目をこすり、ある人は朝から謎の怪我を負って現れましたが、無事に全員で高知県へ向かうバスに乗り込むことができました。
 バスに揺られること、約二時間で高知県に到着。昼食をとった後に、私たちは桂浜に向かいました。浜辺に立つ坂本龍馬像が見据えるのは壮大な太平洋。その力強さに圧倒され、部員の間にはしばしの沈黙が広がります。

太平洋の太の字を知る渡り鳥 水月

 しかし、砂浜に一歩足を踏み入れた途端、その雰囲気は一変。砂浜を走り、跳びはね、とにかくはしゃぎ回る。その様子があまりに異様だったのか、桂浜の監視員の方がこちらの方ばかり見ていたような気がします。

秋の雷常に監視をされていて 赤瀬

 途中からは、太平洋そっちのけで浜辺の石をいじっていました。誰かが玉子のような形の石を見つけてきて、何故か健匡郎先輩が三つも持たされていたり、少し荒れ模様だった海に向かって水切りをしたり……。

秋の浜玉子のやうな石ぬくく 堀ぴー

流星や一回二回海を跳ね 健匡郎

 二日目は、市内をゆっくりと観光しました。活気あふれる市場や朝市を巡り、高知のおいしい味覚に舌鼓を打ちました。午後からは、高知県立文学館と高知城を訪れました。文学館においては、高知に縁のある作家や作品を通し、高知の歴史と文化を感じることができました。高知城では、長い石段を登り、眼下に広がる高知市内の風景を楽しみました。城から降りる時には、なぜか鶏と遭遇し(どこからか脱走してきたのか、遊歩道の真ん中を歩いていた)、逃げる鶏 追う部員という奇妙な鬼ごっこを繰り広げました。結局、鶏には逃げ切られてしまったのですが。

 一泊二日の、しかし密度の濃い合宿で疲れ果て、帰りのバスではみんな眠り込んでいました。あの合宿から半月ほど経ちますが、今でもあの時に触れた自然を―例えば道端に咲いていた彼岸花の鮮やかな赤色を―思い出すことができます。実際に触れ合うことでしか、体験することでしか詠めない俳句があるということを、そしてそういう句の魅力を改めて感じました。今現在、大学では後期の授業が始まり、慌ただしい毎日ですが、来年の合宿を楽しみにして乗り切っていこうと思います。


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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2014年度 第二期 最終回


「ひともして」 眠

バス停にバスの収まる秋の雲
呆けつつ釣瓶落としの中である
ひともして後の月とて薄みたり
霧晴れて霧の名残を愛でにけり
サイフォンを溯りたる秋の水
ひと雨の来さうなる日の楓かな
一声のすぐに終ひぬ秋の蝉
かりがねや水を運ぶにコップあり
順々に囮へ来るやその後や
栗飯に塩の決まりし日和かな
鳴らせたくある桐の実や鳴らずあり
秋の暮森どつしりと重くなる


「ありがとう」とは「有り」が「難い」ということですね。ありがとうございました。次はどこかで。
第32回現代俳句新人賞受賞。




「ヴァチカンおよびニンフェンブルク」 夏井正人

押し売りは苦手冬瓜ばりと裂く
秋薔薇揺れて猫八匹の庭
ベランダのぶだうの色を書く手紙
秋映ゆる空よヴァチカン美術館
忌憚なき意見とはこの落花生
栗売りのスコップに浮く赤き錆
戻り来て重陽の雨振り落とす
白帝や巨獣の角のごとく塔
ジーンズも蓮も破れてしまつてゐます
褞袍着て開く拷問大図鑑
手袋にニンフェンブルク城の羽根
荒星照るよガラガラドンの行く先を


1986年生、愛媛県出身。第5回俳句甲子園予選リーグ三戦三敗敗退。「いつき組」。2012年第3回北斗賞佳作。各地の句会を転戦し武者修行中。




「奴隷」 キム チャンヒ

溢れる不幸に椋鳥がよく群れる
鍵穴の奥に子どもが住む月が
小鳥来る豊かな国を見下ろして
白露が象の心に触れて落ち
花野は生殖器の群れだから、ああ
温めますか? 暖められますか?
青春はこんなコスモスほど無様
サヨナラは明るく秋の虹ほどに
ゴスペルの震わす銀河そして闇
奴隷という生き方はない散れ銀杏
過ぎ去った日とは秋夕焼のこと
戦争が始まる爽やかすぎる空


1968年生まれ、愛媛県出身。本誌編集長。句集『COSMOS』(マルコボ.コム)。『桝形浩人とキム チャンヒの超俳句入門』(マルコボ.コム)。




「るろんらるろん」 井上さち

月光や大産卵の夜のあぶく
カーテンのゆらぎや月とドビュッシー
透き通っている好きと言ってみる薄月
ボンニュイと鍵を受け取る子望月
満月や狂った象の行進す
キリストを囲むイスラム石柱や無月
昼の月城も絵画も修復中
幻玉の口がぽかんと十六夜
十三夜橋を渡れば歴史地区
皆既月食やスカイツリーは青青青
三つ編みの少女のチャナン夕月夜
ガムランのるろんらるろん雨の月


「いつき組」「街」俳人
季語の宝庫日土に暮らす。




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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2014年10月号 〜 2014年12月号 2/3回目)


 秋空 てん点

連弾のリボン水色小鳥来る
ガンダムの脚伸びらかに風爽か
秋澄むやブルーインクにある濃淡
反戦の十字銀色秋澄めり
秋蝶の翅やアンネの日記閉づ
校正の声静やかに銀木犀
木の実雨井戸に残れるお七の名
観音の在す大岩秋の空
微かなる水音葉音秋の蜂
青蜜柑供へて母の部屋澄みぬ


愛媛県宇和島市生まれ。2009年3月「一句一遊」に恐る恐る初投句し、以来俳句のある生活へ。
現在「東京俳句の穴〜通称ロマンチカ〜」等で勉強中です。



 緑青の馬 幸

片方の翅垂直に秋蝶死す
秋の声緑青の馬ふり向きぬ
乙女らの真赭の芒分け入りぬ
紺菊の修道院を囲みおり
教皇の武骨な指輪秋燕
秋光や子を抱き入りぬ懺悔室
サフランの赤き蘂売る風車小屋
レモンツリー女主人の頬に影
仕立て屋の小さきテーブル秋黴雨
螺旋階見上げる人の黒ショール


1948年東京生まれの東京育ち。退職後、季語を知っていくこと、心に染み入る俳句に出会える事が喜び。
今後は「色」をテーマにした句集を出すことを目標に日々励んでいきたいと思っています。



 母 杉本とらを

ビル街の十一月の花屋かな
地下鉄のC-2階段黄葉降る
東京に降り立つ母の嚔かな
子の残す柳葉魚の頭摘まむ酒
大根煮て窓といふ窓曇らせる
参道を流れて匂ふ酒饅頭
夜話の狐はいつも悪き奴
冬の蜂母の箒に掃かれけり
枯芝の匂ふ駅前ロータリー
おでん屋の壁の品書き誰も見ぬ


1960年生れの自称江戸っ子。せっかちで慌て者で心配性。川柳の本が無くて、たまたま買った俳句の本が切っ掛けで、だらだら10年。パイオニア音俳句で組長に惚れて、いつき組を名乗っている。



読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(句会、誌面等)、推薦者ご自身の俳号(本名)、住所、電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ、FAX、Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、専用のインターネット投稿フォーム(http://www.marukobo.com/100kishu/)でも受け付けています。※投稿フォーム利用の場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 毎月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 今回連載を行った3名の作品集の感想もお待ちしています!


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百年琢磨

 安寧の中の屍 平敷武蕉

「実柘榴」 杉本とらを

見廻りの巡査見て居る運動会

野良犬の屍浮かぶ秋の川

実石榴や癖ある父と暮らす家

 秋晴れの下の運動会、子ども達の歓声がきこえる。見廻りの巡査も自分の役割を忘れ、つい子どもたちの元気な姿に目がいってしまうのどかな風景が浮かぶ。ただ、昨今の痛ましい幼児虐殺事件を思うと、楽しいはずの運動会にも巡査の見廻りを必要とする時代への憂欝を詠んでいるともとれる。二句目、秋と言えば、秋晴れ、羊雲、紅葉などさわやかな景色が目を引くなか、作者の目はしかし、川に浮かぶ野良犬の屍を見逃さない。安寧の中の屍。三句目。柘榴は確かに匂いといい形状といい癖がある。反面、薬用、治療薬として重宝がられる。癖のある父親と暮らすのも変化があっていいものだ。


「おかあさん」 てん点

おかあさん秋蝶けふも来てゐます

朝霧や吊橋だだだだと少年

 秋蝶は春の蝶に比していかにも地味で小さく影が薄い。その小さな命が今、目前に居るという平和な風景。「けふ」「ゐます」は古風で地味な秋蝶にふさわしいとの用法かと思えるが、何故「きょう」「います」の現代語表記ではいけないか、考えてもいい。二句目。山之口貘の「紙の上」という詩に「飛び立つ兵器の群れをうちながめ/群れ飛ぶ日の丸を見あげては/だだ/だだ と叫んでゐる」というのがある。この句の「だだだだ」も、吊橋を走る少年の元気な足音というより、動乱の地で爆撃にさらされて逃げ回る少年の足音に聞こえてくる。


「琥珀の夜」 幸

銃弾の痕ボスニアの夏燕

コンソメの琥珀深まる夜半の秋

マルセイユの卓にパエリア月上る

 夏燕が軽快に飛び交う風景はいかにも平和。だが、家々の壁を見ると銃弾の痕が激しい戦闘の様を生々しく刻んでいる。旅行中の作者にとって、それは心の傷跡にも映る。二句目。秋の夜半、物思いにふけっているさまを「琥珀深まる夜半の秋」と素敵な詩情に昇華した。「琥珀深まる」はコンソメスープにも掛る。コンソメスープを啜り、孤愁に浸っている様子が目に浮かぶ。三句目は一幅の絵のよう。



平敷武蕉
1945年、沖縄県生。著書『沖縄からの文学批評』。俳句評論集『文学批評は成り立つか』で第三回銀河系俳句大賞を受賞。俳句誌『天荒』編集委員。文学同人誌『非世界』編集責任者。


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新 100年の軌跡


2014年度 第二期
最終回


 悪女 ローストビーフ 

白萩や遺骨にはなき泣きぼくろ
性愛を匂はす科白ぶだう食ふ
ラ フランス邪推をしたいならすれば
穂薄や具合の悪きとき弱気
白桃の甘さは他人の破局ほど
ぶだう酸つぱし職業に貴賤なし
後輩はでもでもだつて鰯雲
秋夕焼親といふ字をばらしけり
くたばつてしまへを号に鰯雲
マスカット美談嫌つてゐたりけり
騙されて騙して甘つたるき葡萄
鬼灯を吹くや傷つくなら二人
秋風にあつさりと死にたき心地
心臓に部屋四つあり彼岸花
葡萄食ふ姿を見せつけて悪女


ローストビーフ(羽田大祐)
1988年生まれ。吹田東高校にて俳句を始め、第7回、第8回俳句甲子園に出場。4ヶ月間よろしくお願いします。本名、羽田大佑。




 白雪姫 藤田夕加 

赤い羽根シールの痕はいたずらに
風吹くや神在月と云ふ国へ
税込九十八円しめじ買ふ
野菜室開ければ林檎林檎林檎
消えてゆく小指の指紋にごり酒
サディスティックな作曲家蔦絡む
受け身なる生き方なりし落花生
数珠玉や集めて母の帰り待つ
休日の学び舎にも木の実時雨
抹茶ラテミドリムシにも秋の声
デパートの観覧車タルトには栗
小鳥来て白雪姫はうたうたう
転がして兎も追ひし実南天
案山子泣くダメよダメダメ日が暮れる
残すにはまだ青すぎて夕紅葉


藤田夕加
1987年2月生まれ。愛媛県新居浜市出身。愛媛新聞「ヘンデス俳談」において注目される。週活句会句集『WHAT』vol.1、vol.2に参加。




退廃と神聖 マイマイ

ラ フランス邪推をしたいならすれば ローストビーフ
 やや露悪的ともいえる色香が『悪女』には漂っている。掲句の開き直った物言いは多分、女のものだろう。洋梨の甘い芳香や人の横顔にも似たフォルムに退廃的な美を作者も恐らく感じているのだろう。
秋夕焼親といふ字をばらしけり ローストビーフ
 この句だけが句群の中で毛色が違って見える。親への感謝なのか屈託なのか、作者は語っていない。「親」そのものではなくその「字」という距離の置き方に独特の魅力がある。

風吹くや神在月と云ふ国へ 藤田夕加
 十月を神在月と呼ぶのは出雲だけ。地名を言わずに読者にその風土を想像させている。上五の「風吹くや」はさりげない措辞だが、神在月という言葉の力によって、その風がとても神聖なものに感じられる。
消えてゆく小指の指紋にごり酒 藤田夕加
 グラス(あるいは瓶)を握ると指紋がつくが、それは一瞬のことですぐ消えてしまう。そのわずかな時間を句に読み込んでいて印象深い。


2003年11月頃よりラジオに投句を始める。いつき組選評大賞2007年優秀賞、2008年奨励賞受賞。句集シングルに『翼竜系統樹』。



抹茶ラテ 瑞木

白萩や遺骨にはなき泣きぼくろ ローストビーフ
白萩の白、遺骨の白、泣きぼくろの黒と、色の対比が印象的な一句。モノトーンに、静かな悲しみが表れている。
後輩はでもでもだつて鰯雲 ローストビーフ
言い訳ばかりしている後輩と、雲の中でもとりわけ掴み所のない鰯雲との取り合わせが楽しい。
心臓に部屋四つあり彼岸花 ローストビーフ
死後を連想させる彼岸花と、生の象徴の一つである心臓との取り合わせ。生きていることの不安定さを感じさせる。

野菜室開ければ林檎林檎林檎 藤田夕加
茄子でも胡瓜でも成立しそうな句であるが、野菜室と言いながら果物が出て来るちょっとした意外性と、赤くて丸い林檎がひしめく様子が可愛い。
抹茶ラテミドリムシにも秋の声 藤田夕加
中七下五が好きだ。単細胞藻類のミドリムシにもしみじみ秋の気配を感じる心があるとは。でもなぜ抹茶ラテ?
デパートの観覧車タルトには栗 藤田夕加
どちらも嬉しい組み合わせだ。せっかく二組並べるのだから、格助詞を統一してもよかったかも。


1963年生まれ。愛媛県八幡浜市日土町在住。第2回選評大賞最優秀賞。


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超初心者から中上級者まで楽しめる
100年投句計画

 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。今回の先選者は、阪西敦子さんと加根兼光さん。後選者は、関悦史さんです。

 「へたうま仙人」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は大塚迷路さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。
(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)
写真:白鯨


選者三名による雑詠俳句計画


先選者 加根兼光

 そろそろ榠の実るころ。我が家の近くではなかなか榠を見かけることも無いのだが少し足を延ばすと色づき始めた榠を見ることが出来る。毎年とは言わないが榠酒を漬ける。3年前のモノが飲み頃になっていて濃い琥珀の液体が瓶に横たわる。もうずいぶん前にひどい咳が続き、その時に榠酒を飲んだら殊の外効き目があった。それ以来思い出しては漬ける。今年もその季節が来た。


秋灯下詩集の余白より羽音  みちる

 深まる秋の夜、灯の下で開く詩集には昔から幾度となく読み返している詩の行が並ぶ。ヴェルレーヌ、ランボーいや吉増剛造か。読み進むことなく文字に眼を落としていると羽音が聞こえる気がした。いや聞こえた。それは現実の飛翔体ではなく詩が生まれる音なのだ。ふと忘れていたころのことを思い出す。詩は身近にあり心に満ちていたころ。今はどうだ。そんな欠片も有りはしない、と思っていた。しかし羽音は聞こえたのだ。詩の。



遺失届書く初秋のパイプ椅子 野風
 遺失届を書くのだからそれは大切なもの。派出所の冷たい椅子に腰かけ居心地悪そうな体で慣れない書類の項目を埋めているのであろう。秋になって初めて感じる冷やかな感触を肌と心に感じながら失くしたものを思い。

月にだけ話したいことないですか  小市
 話したいことは山ほどあるのではないか。その中でも月にだけ話したい。夜も更け月光を辿り、そこにある月に密やかに話す。話の中身は冷え冷えとしたことか、いや逆に暖かなものか。誰かの共感を得たい独り言の夜。

桐の実のころんと象の滑り台 もね
 いつもの公園の象の滑り台に腰かけた。普段は子供たちでいっぱいだが今日は静か。高々とそびえる桐の木。葉を落とした枝から大きな実だ。滑り台を滑るように落ちてきた。今日は誰も見ていないので滑ってみるか。

古物屋にペルシャの楽器十三夜  大塚迷路
 時々のぞく古物屋に掛けてある楽器。店の親父に聞くとペルシャのもの。自分もギターを弾くがペルシャの楽器は弾くことが無い。飾や形も独特。きっと懐かしい音を出すのだろう。十三夜の月の少し欠けたような音を。

カンナ咲く母は記憶を白くする  ミセスコナン
 「燃える」と表現されることもあるほどに咲くカンナ。母は対照的に記憶を白紙に戻すように失う。花色が強烈であればあるほど母の姿は切ない。しかし記憶を失いつつも母はカンナのように凛とした立ち姿なのだろう。

大夕焼俘虜のごとくに影曳きて  哲白
 真赤に焼ける空。斜光に伸ばす影は長く黒い。それが己の影であれ他人の影であれ。「俘虜のごとく」という比喩からは曳かれてゆく者の項垂れた姿が見える。頭を垂れ足を引き摺り、体と心の重みに耐え、それでも影は進む。



黒猫の軽き鈴音星月夜 杉本とらを
屋上の横も屋上秋夕焼 のり茶づけ
満月の西へ傾く振り子かな 一走人
鎮座する鯛の目優し秋祭り 七草
月今宵星の名の酒ならぶ棚 緑の手
曼珠沙華印度映画は何故踊る うに子
満月やモンゴロイドの分布絵図 空
秋の夜悲鳴をひとつたずさえて アンリルカ
記念日の写真砂色草雲雀 あい
行く秋の息吹きかけて押す朱印 あい


先選者 関悦史

 この十一月号が出るころには終わっているはずですが、イベントをやることになっています。鴇田智哉句集『凧と円柱』刊行記念で、鴇田智哉、榮猿丸、私の三人で何かしゃべるというもの。
 それで発売日前に鴇田さんの新句集を読んだのですが、作風的には従来の路線とさほど変わらないし、発表時に見た記憶のある句もいくつもある。にもかかわらず異様に迫ってくるものがあり、一驚。ぜひご一読を。


大仏のやうに眠る子秋暑し 恵馬

 「大仏のやうに」が赤子の容貌を言いとめていますが、単に可愛いとばかり見ているわけではなく、物体として突き放したような写生にもなっていて、そのリアリティと距離感が、あざとくないユーモアを生んでいます。眠らせるまでに手がかかったのかもしれません。季語「秋暑し」が、そうした生活の中での赤子の存在感を、むやみに美化せず定着させています。赤子の重い存在感がやりきれないものにまではならないのは「大仏」の功徳。



屋上の横も屋上秋夕焼 のり茶づけ
 屋上は普段用のない余り物のような空間。そこに夕焼けのなか上がってみると隣にも同じ無用の場所。しかし間には飛び越えられない深淵がある。路地も何もなくなっていく都市の中のちょっとした異界という風情あり。

「塩 切手」「たばこ」の看板酒舗の秋 青蛙
 これらは八十年代前半頃まで煙草屋などでのみ売られていました。コンビニはまだなく、専売公社が塩や煙草を管轄していた頃の看板。古びた看板が、高度成長期どころか八十年代ももう郷愁の彼方と示しています。

曼珠沙華印度映画は何故踊る うに子
 インドは世界一の映画大国。ミュージカル仕立ての娯楽作品が多く、その過剰さ、にぎやかさはまさに「何故踊る」としか言いようがない。曼珠沙華の鮮烈さを意外な方向に繋げて、なおかつ日印の距離をも思わせます。

登り這い照らし夜業の倉庫番 樫の木
 「夜業」が秋の季語ですが、これは現代の倉庫番の夜間労働。「登り這い照らし」の動詞三連続が、懐中電灯や脚立や倉庫の空気や体の重さまで感じさせ、物に囲まれた孤独な作業ゆえの詩情もあります。

吾を拝す悪僧めくや秋の蜂 樫の木
 歳時記には「秋の蜂」を活発でないとした解説もありますが、「悪僧めく」となると、秋になって攻撃性の増したスズメバチという風情。「吾を拝す」は、いつ刺されるやらわからぬ中、蜂の王を気取るぎりぎりの滑稽。



マネキンの白き指先赤とんぼ 杉本とらを
絵屏風のにわとりの足駆けだしぬ レモングラス
秋灯下詩集の余白より羽音 みちる
みやげもの不要の旅やいわし雲 樹朋
猿酒ニーチェに注いでみたきかな 藍人
満月やモンゴロイドの分布絵図 空
古物屋にペルシャの楽器十三夜 大塚迷路
大夕焼俘虜のごとくに影曳きて 哲白
秋の雲鳥の形で島の上 鯉城
椀の蓋はづれぬままや新松子 瀬戸 薫


後選者 阪西敦子

 守らなくてはならない約束があって句会を断ったのに、仕事が残業になってしまって、疲れ果てたからすこしだけとおもって遊びににいってしまって、きっと罰が当たると思っていたら、思わぬ人に会えて嬉しかったりする。すると人は反省しない。後悔はするけど、成長もしない。幸か不幸か、吉か凶か。


特選句

木槿咲く水汲む母がそばにいて 恵馬

 木槿はなぜか水によってしばしば描かれる。水辺にあることもあるが、必ずしもということでもない。ひょっとしたら、その咲いている風景が、今よりも水に親しい時代から変わらないからかもしれない。

立待や上ってきたる滑り台 迂叟

 滑り降りるべき滑り台に昇って来るという、遊びの中ではよくみられる形。降りるはずのものを昇ってくる人の姿は一種新鮮である。いつも背中の見える位置に、正面が見える。立待の意外性もそういうものかもしれない。

ひまはりに昼の太陽漲れり むらさき

 昼の太陽というのは、言わずもがなのことで、朝でも、夕方でもなく、「昼の太陽、夜の月」という程度のこと。漲るというのもまたそうであって、そのいわずもがなのことがとくに今回言われることに、ひまわりの力が描かれる。



並選句
吾亦紅われもかうにて死ぬるかな 空見屋
秋風へ火花を飛ばし溶接す みちる
林檎擂るあの頃は母今私 幸
虫の秋耳奥の螺旋弛緩する 南亭骨太
鶴の子の菓子の甘さや銀杏の実 喜多輝女
川底に蝉の響きの触れるかな 富士山
赤き空機影を映す秋の潮 和音
宵闇や竹刀打ち合う足の音 かのん
秋の雨ベンチに残る求人誌 ほろよい
一人居のランチ優雅や秋の蝶 おせろ
棟梁の鉋止まるや秋の空 小雪
石榴割る上人坂の案内図 八木ふみ
一筆箋余白に描く栗二つ 八十八五十八
老犬の顔窪みけり稲つるび 蓼蟲
白熱の演劇論や落花生 ゆりかもめ
軽トラにえのころ草のごきげんよう  ポメロ親父
久しぶり山崎くんです法師蝉 あきさくら洋子
なにもない島の暮らしや蚯蚓鳴く 空山
父の歳越して三年の秋の中 まんぷく
高層の礎石の月日秋夕焼 人日子
解きし穂の濡るるばかりや花芒 省三
重力があるから今日の空高し ひでやん
早世の二人の姉や花睡蓮 北伊作
月光のクール宅急便となる 遊人
江戸の風吹いてとんぼの浜御殿 あおい
爆心へかしげる塔よ秋隣 春告草
糸瓜忌のラジオが告げる子規の展 カシオペア
どよめきて打球へ視線望の月 松ぼっくり
どんぐりのすわりのあしきこととはず  大阪野旅人
聴き耳を立てた兎の夕月夜 西条の針屋さん



関悦史(せきえつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

阪西敦子(さかにしあつこ)
1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

加根兼光(かねけんこう)
1949年大阪生。俳句集団「いつき組」組員。第9回俳句界賞受賞。



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へたうま仙人


文 大塚迷路

 秋真っ盛りの地上ぢゃのう。みなさまいかがお過ごしか?
 ここ最近霞の味もめっきり落ちてきて、さすがに昔ほどの食欲は出んが、それでも秋空の下ではここ一番食が進んで、秋を十分に満喫しておりますぞ。
 それぞれの秋にそれぞれの句が届いておるぞ。今月も芒原をかき分けて前進ぢゃ。


青田原産んだお腹に臍の緒ありや KIYOAKI FILM
母憤る秋園トイレに並ぶ阿保 KIYOAKI FILM

 相変わらず素敵に飛んでおられるのう。経験上、成層圏あたりで詠むとこういう句ができるのぢゃ。句読点を打つ場所によって意味が何種類にも変化する技は、荒行の域を飛び越えてもはや聖域付近に近付いてをる。おそらくとてつもなく深い句であろうが、「おそらく」が付く句にはまったら抜け出せなくなるぞ。はまってみたい気もせんではないが、注意注意。

コスモスやフォークシンガー加川良 小木さん
三十五番成願寺法師 小木さん

 確かそんな題名の歌を加川さんは唄っておられたのう。あっ、今も唄っているか。とにかく、簡潔な俳句形態での情報ご報告ありがとうございますぢゃ。
 雲に乗って調べたら、日本各地、成願寺の多いこと多いこと。その中で三十五番成願寺というと……あったあったぞ南知多にあったぞ。法師とローカルさがもの寂しげで、フォークソングにベストマッチングぢゃ。

あぜ道に曼珠沙華の花紺の道 石井京子
毬栗がひとつふたつと落ちにけり 石井京子

 郷愁を誘うのう。唱歌「里の秋」がふとよぎったぞ。朝から晩までの里の時間の流れをたどっているようで、ふくよかな気分になれたぞ。曼珠沙華の鮮やかで毒々しい色と、紺色の道とのギャップがお見事ぢゃ。
林檎が落ちれば法則になるし、椿や毬栗が落ちたら落ちたで俳句になるし、いやはや、世界はネタの宝庫ぢゃのう。

池さらふ庭師の背に見惚れけり 未々

 池普請は冬の季語で、池さらい(井戸さらい)は夏の季語らしい。まったくもって俳句は面倒くさいのう。それにしても庭師を必要とする庭の池とは、豪邸にお住まいぢゃのう。これが公園の光景ぢゃったらなんの面白味もないが、限られた空間での庭師の背だと、日差しの陰影もたくましく、また怪しげにもなるというもんぢゃ。まるでモノクロの写真を見ているようぢゃ。


人生は猫の目のごと秋近し 柊つばき
生きてればいいこともある夏終わる 柊つばき

 このあきらめにも似た達観さが潔いのう。年の暮れに人生を思っても、そこには詩は感じんが、「秋近し」頃に思う人生はポエムポエムするぞ。さすがツボを心得てござるのう。
 夏というのは基本的にいいことがないほうが多い季節なんぢゃ。過大な期待をかけられる夏には気の毒ぢゃが、夏なんて奴は昔からそんなもんなんぢゃ。深まりつつある秋に大いに期待しようではないか!!


身にしむや片方なくしたイヤリング ひでこ
いつみてもどきどきとするおにやんま ひでこ

 片方残った同士のイヤリングを片耳ずつに付ければよさそうぢゃが、どうも違うらしい。全部無くすより、片方が残った喪失感のほうが辛いらしい。まさに「身にしむ」ぢゃ。あまりにも似合いすぎる斡旋で、ちょっと身にしみたぞ。
 大自然に立ち向かう悠然毅然としたおにやんまには、ワシもいつもどきどきして、ほんのちょっとちょっとたじろいでもおりますぞ。おにやんまにいつもどきどきされるとは、いつまでもお若いですのう。ちょっとちょっとうらやましいぞ。

ねぷたっこ見てけの父の声遠し 台所のキフジン
朝の露ふんで人なるひとになる 台所のキフジン

 故郷の祭りを思い出すと、必ず誰かの声がしてくるのう。父の声を無視するかのように都会へ帰ってきたことを後悔する日々も、また祭りのひとつの姿ぢゃ。故郷への時間は近くなったが、やはり遠いものは遠いのう。
 朝の露を踏んで、はたと正気に戻る瞬間を思ったぞ。スカートやズボンの裾を濡らして、露はひととき朝日に輝いておるんぢゃろうなあ。


五百マイル越え山寺の蝉聞きに 元旦
そんなにも伸びずともよし秋桜 元旦

 立石寺をも彷彿とさせる遠いという象徴の五百マイルがエエ味を出しておるのう。「百里超え」とか「幾山を越え」では堅すぎて味が出んけんのう。この和洋折衷、無節操、賑やかなのか静かなのかようにわからん感が、独特のエアーを発生させてをるぞ。
 そんなに伸びたら風に倒れるぞ、ほどほどにしておけよ、とコスモスを慈しむかのようなその心にうるっときたぞ。おっと、こんな旅情哀愁人情派を野放しにしとったらどんな佳句を作るとも限らん。鉄は冷めた時に持て! 今のうちにコスモスの彼方へ追放ぢゃ!


 今月も、精鋭たちの放つ句の矢面に立っていただき、まことに恐縮いたしてをるぞ。
 これからますます火が恋しくなる季節ぢゃが、へたうまの火は四季を通して点けたままで、このまま匍匐前進してまいろうぞ!
 ぢゃが、くれぐれも油断召されるなよ。



へたうま仙人
 年齢 卑弥呼がおっぱいを飲んでいた頃、ワシは青春真っ只中ぢゃった。
 好きなもの 霞のシャーベット(PM2.5抜き)
 嫌いなもの 上手な俳句
 将来の夢 大器晩成


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自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 テレビで大リーグの野球中継を見ていると、たまにカメラがベンチを写すときがあるがその汚さにビックリする。水呑んだあとの紙コップはすべて足元に捨てられ、うがいの水はその場に吐き、ついでにツバも吐き、食べたひまわりの種殻もぺっぺと吐き、東京の山谷も大阪のあいりん地区も、あそこまではとてもいかないゴミ溜め惨状なのだ。ひきかへ日本のプロ野球のベンチはあんなことはない。スポーツ選手を応援するとき、「ガンバレ!」という国民と、「リラックス!」という国民の違いだろうか……。



花カンナ旧姓にかえらんとす ミセスコナン

 カンナといえば鮮やかな赤とか黄とか、秋の風情のなかで際立っている。もっというなら、前向きに堂々として生命を謳歌しているイメージの花ではないか。……なのにその花を眺めている本人は、いまや旧姓に戻ろうとしている状況にある。このギャップがこの句の生命線といえる。と同時に「旧姓にかえる」という、いわば古風な表現が押し出しの強い花のイメージとの対比で、なおさら味わい深い。一体どんな事情なのだろうか……余計な想いがふくらみます。



葡萄剥くこと夫愛すること 和音

 葡萄を剥くという行為自体、リンゴとか蜜柑とかを剥く行為とは少し違う非日常の気配がする。その行為と極めて日常である夫を愛することを同列に置いて、作者は何も語っていない。読み手に問題提起したまま……それがかえって句に深みを与えている。

強引になっていく赤子 幸

 腹が減れば泣き、気に入らなければ泣き、夜中であろうが泣き,ウンチは好き勝手に垂れ、好きに眠って好きに起きる……まあ強引といえば強引なのだ。赤子の日々の成長を「強引」というひと言にまとめきったところが、この句のお手柄です。

ちんちろのりんのあたりが深秋 もね

 ちんちろ(松虫)のちんちろりんと鳴くりんのあたりが……ということなのだろう。どうしても「たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ(坪内稔典)」が気になるが、影響されてないと信じて選句。「深秋」は、全体のトーンから考えれば「秋だ」くらいでよいのでは……。

いろいろに使える紐なら怖い怖い 大阪野旅人

 自由律のムツカシイところのひとつは、定型が無いのでヘタすれば何かのタイトルみたいだったり、メモみたいだったり、散文になってたり……するところです。選者によっては揚句は、散文ととらえるかも。しかしたかが一本の紐のことを、こんな風に詠める視点がよいと思う。

鳥が運んでいるレジ袋 ほろよい

 創作にせよ写生にせよ、ありそうで実際はなかなかお目にかかれない光景。木の枝とか虫とかではない、俳句からいかにも遠そうなレジ袋に、意外性と面白味がある。俳句らしさをまとわない素っ気ない言い切りが、かえってよい。



大夕焼老犬といるこの橋の上 迂叟
棘も一緒に育てている 多満
月光を得てきれいな影 のり茶づけ
ペンギン舎に「貸間アリマス」の看板 みちる
曼珠沙華まつすぐに立たない 小木さん
つくばいの月は壊せない もね
ほら溺れてみろと潦の満月 緑の手
秋風に猫が恋しくなる 樫の木
死体に月光を塗る 大塚迷路
ホームランを呑み込む名月 松ぼっくり


並選
下駄箱の中に居る虫 杉本とらを
浮寝鳥の揺るゝにまかすは極意かも 藻川亭河童
十一月の足音たてず速攻す レモングラス
赤い羽根森下仁丹の匂ひ ヤッチー
老年よ大志を抱け寝待月 空見屋
衣担ぎ上手く喰えぬ夜 南亭骨太
ため息のあとは秋風を吸う 藍人
まんまん満月口あんぐりと開けて観る 喜多輝女
あの時すでに終わっていたのだ 小市
芋煮会窒息しそうなボクの息 KIYOAKI FILM
夜の海に呑み込まれてく夕焼けにバイバイ  一走人
魂の抜かるる無月鬼神阿形 七草
竜淵に潜む金庫の捨て所 ゆりかもめ
龍淵に潜む掛け軸の字が読めぬ ポメロ親父
宵闇にあのそれあれよ飛び交う あきさくら洋子
あまりにも上手く啼きたる山寺の蝉 元旦
かげる月からめる息 うに子
猪へ無断入園禁ず 空山
吾悩む故に吾在りサンマか蕎麦か まんぷく
稲雀朝となく夕となく 人日子
知らぬ顔して秋の蝶 北伊作
同窓会あれ?誰だっけ秋深し 柊つばき
キラキラ星のごとハキダメギクは エノコロちゃん
いちねんの今が一番秋の雲 鯉城
団栗のころんと並ぶ無人駅 あおい
ガソリンスタンド次次消える彼岸花 カシオペア
彼岸花抱き危うく歩く女いる たま
漆黒の闇に瓜実顔の月 台所のキフジン



きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「層雲」同人。写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。



【100年投句計画】投句方法
 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可)、俳号(なければ本名の名前のみ)、本名、電話番号、住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句まで、詰め俳句は季語を一つのみお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。
ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙人」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。

それぞれ締切は、11月20日(木)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがきFAXでも投句できます。


さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。(俳句ポスト365のページ参照)


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えっ?日暮屋が句集を出すってよ! 3


文 日暮屋

 敗れたとはいえ、日本の若者がテニスの大舞台で、世界中をあっと言わせたその日、事もあろうに自分自身、またもやのぎっくり腰にあっと言った。
 なすすべも無く仕事を休み、かといってすっごく退屈。何とかパソコンまで這って行き、もがきながら着座すると、句集に向けたファイルをクリックして、見直しを始める。並べた120句、すべて通しで読んでみるとなんだかとても疲れる。途中で休憩を入れないといけないと判断。しかし、どこで休憩をいれるか判断に困る。であるならばと、お試しで章立てしてみた方を読んでみた。すると、こちらの方は30句ずつ、4章で区切ってあるので1章ずつのタイミングで休憩を入れることが、簡単にできる。さらに、載せたくても、同じ季語で続けざまに2句というのは避けたいところだが、違う章で生かすことができる。こりゃあいいぞ!よし、こちらで行こうと思う。そしてそれように句の構成を進めているうちに、さらに欲張りな魂胆が沸いてきた。1ページ2句ずつという考えで並べていたが、あるページは1句、またあるページは3句でも良いのでは? 力を込めた句とか、注目してほしい句、メッセージ性を秘めた句とかを1句、関連性のある句を3句ワルツのリズムで並べるとか、そうでないときは坦々と2句ずつとか、そうすることで作者が、読者の読み進むスピードをコントロールできるのではないかと。早速、そういった編集は可能かどうか、キム編集長に電話で確認。その結果、それは可能との事、早速そのように句を分けてみる。この方がなんだか面白い、これをマルコボに送信。
 その夜、キムさんが試作のパーツを持ってやって来た。実は偶然にも同じ町内に住んでいて、互いの家まで500m以内の距離なのだ。そこで驚いたのは、ページを開いたとき、次のページとの間隔はどうするか、ページ表記の位置取りはどうするかとかmm単位でひざ詰めの協議をする作業。普段そんなことなにも考えず本に接していた僕には、さすが編集長だとあらためてキムさんにプロの片鱗を見た。そして数日後、マルコボの帰りにその全ページの試作を家に届けてくれた。ますます高まるわくわく感、なんだか嬉しい。
 そもそも句集はこれが最初で最後なんて、これっぽっちも思っていない。それもこれも句集スタイルという、意外なほどお気軽なシステム。これがなかったら僕のような、小市民が本を出すなんて絶対無理な話だろう。このシステムがある限り、機会がある度に句集というスタイルで自分の作品、また句会特有の特徴で溢れかえる句友たちと共同での作品などを発表して行きたい。
 今その仕上がりを心待ちにしている。この世に生まれ、生きた僕の爪あとを先ずはこの句集に託そうと思う。残念ながら、その確認はできないが、今一度願いをこめて、どうか

100年後、何処かの町の、誰かの本棚に、この句集がありますように……。



日暮屋 1959年2月生まれの野村町出身。吟行の旅好きで、ギター、自転車、写真、蕎麦等とにかく多趣味。毎日浴びるほどの酒を飲む。


というわけで、
日暮屋の第一句集
『デカパンのピカソ』
(妻 マーペー命名)
11月1日発売!

仕様:135mm×135mm、
72ページ、オンデマンド印刷
定価:1,300円+税

お求めはマルコボ.コム
http://shop.marukobo.com/
まで


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Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.16


Deer caught in headlights
Hello King with antlers
May we park here too?

前照灯(ヘッドライト)の輪に囚はれし鹿の王


(直訳)
ヘッドライトが 鹿を捕えた
ごきげんよう 角を生やした牡鹿の王様
私めも ここに駐車させて頂けますか?



The cold weather has caused the big spiders to move inside our cabin. We try not to bother them and they are good roommates, most of the time. However, we scream if they crawl on our faces.

寒さのため、大きな蜘蛛たちが僕らの山荘の中へと引っ越してきた。僕らが邪魔しなければ、彼らはよい同居人なんだ、ほとんどの場合はね。とはいえ、顔の上に這い上がって来られたら、僕らも叫んじまうけどさ。(訳:朗善千津)



ナサニエル ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2013年7月より山梨へ移住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第44話
「メディテーションズ」
ジョン コルトレーン


 チャンヒさんの表現を借りると、ポップだが「音の洪水」のようなCTIシリーズのジャズに続き西海岸テイストのシンプルな「ポール ウイナーズ」。で、今回のテーマ アルバムが南行ひかるさんご用命の「メディテーションズ」である。「至上の愛」で一つの頂点を極めたジョン コルトレーンが、ひたすらフリー フォーム ジャズに身を投じた晩年の代表作。何とも振れ幅の大きいここ数カ月である。

踏み入れば還るすべなしジャズ瀑布  マミコン

 季語が夏ではあるが、この一番人気句は排除できない。65年9月30日、つまり「ライヴ イン シアトル」でテナーサックスのファラオ サンダースがレギュラー メンバーとなった以降のコルトレーン サウンドを見事に描写した句である。

賛否両論秋麗を真っ二つ かずみん

 シアトルでの演奏から約2ヶ月後にレコーディングされたアルバムが「メディテーションズ」である。実はこの組曲、マッコイ タイナー(ピアノ)、ジミー ギャリソン(ベース)、エルビン ジョーンズ(ドラムス)を従えたカルテットで65年9月2日に録音されていたのだが、何故か10数年間お蔵入りしてしまった。先にリリースされたのは、同年11月23日に行われた2回目のセッションである。先のメンバーにサンダースとドラムスのラシッド アリを加えたセクステット編成による音源の評価が見事に分かれた。象徴的だったのはダウンビート誌で肯定派の批評家が最高点の5つ星を献上したのに対して、否定派の一人は1つ星だった。

冬よメロディのような魂のような チャンヒ

 良く言えば「魂の叫び」とでも表現できるのだろうが、コルトレーン信仰者でなければサンダースの音は正に「ノイズ」だろう。コルトレーンは、とことんやってしまうこの青年に嫉妬していたという説もある。が、僕は円熟期に入ったサンダースのバラード演奏を聴く度に、実はサンダースの音の美しさにコルトレーンは嫉妬していたのだと密かに確信している。

ドルフィーの遺品フルートにある秋思  光海

 以降、コルトレーンはサンダースとアリを重用することで、のっぴきならない世界に突き進んでいく。その反動だったのか不動のメンバーであったマッコイ タイナーとエルビン ジョーンズがバンドを去る。そして、新たなピアニストとしてアリス マクロードが迎えられた。アリスの星雲のようなピアノは、コルトレーンの最期を飾るにふさわしいサウンドだったと思うが、共演者としても人生のパートナーとしても、その期間は僅か2年足らずだった。
 今回のサブテーマのアルバムは、コルトレーンの遺作「エクスプレッション」である。彼が亡くなる年にレコーディングされたあまりにも静謐な4曲が並ぶ。コルトレーンは2曲目の「To Be」で珍しくフルートを吹いている。64年、親友のエリック ドルフィーが亡くなったとき、彼の両親から贈られたものだという。

さよならの前の無月やコルトレーン  蛇頭



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第44話
『崇徳院』〜 ワンフレーズだけ季語が出てきます 〜


あらすじ
 ある大きな家の主人、出入りの職人熊さんを呼ぶ。
 用事というと、息子(若だんな)が患いついてしまい、医者に診せると「これは心になにか思い詰めているので、誰かに話し、かなえてやれば治る」と言われたという。しかし、誰にも話そうとせず、仲の良い熊さんになら話してもいいと言っている。
 熊さん、若だんなに訊いてみると、先日高津神社にお詣りに行ったとき、ものすごく美しい女性と茶店で一緒になり、あまりの美しさに見とれているとその女性、茶袱紗を忘れて席を立ってしまった。
 それに気付いた若だんなは、追いかけて手渡そうとすると、女性はこう書いて渡してくれたという。
 「瀬を早み岩にせかるる滝川の」
 下の句が無い崇徳院の和歌であった。
 「われても末に逢はむとぞ思ふ」
 この下の句が無いということは、別れてもいつかは逢いたい……という意味だと考え、それから何を見てもその女性に見えて寝込んでしまった。
 主人、熊さんからその話を聞くと、ぜひその女性を探し出してくれと熊さんに頼む。
 しかし、手がかりは全く無い。人が集まるところを探そうと、風呂屋や床屋をかたっぱしから回るが、どうしても見つからない。
 嫁におこられ、「その崇徳院の歌を大声で叫びながら探したらどうや」と言われ。その通りにしてぐるぐると歩き回っていたところ、床屋に急いで入ってきた客が
 「うちのお嬢さんが恋わずらいで寝込んでいる。どうやら高津神社で逢った若だんなが……」というような話を始めた。
 びっくりした熊さん「うちへ来い!」とつかみかかるが向こうは向こうで「いやこっちが先や!」と、二人は店でもみ合っているうちに鏡にぶつかり割れてしまった。
店主「どうしてくれるねん!」
すると熊さん「心配せんでええ、割れても末に買わんとぞ思う。」



 今回の季語は「障子貼る」なんですが、この落語にとって大きな意味を持つ季語ではアリマセン。
 熊さんが若だんなから高津神社の出来事を聞いてきて、主人に伝えようとするのですが、これが落語によく出てくるスカタンでちゃんと覚えてきてない。
 また、熊さんはうまく口も回らない。「ひしおぜの茶袱紗」と言おうとするのに「ひしょぜのちゃふくちゃ」とか言います。
 大事な、和歌の部分もなかなか思い出せず、「石川や浜のまさごは尽きるとも」と言ってみたり、「しょ、しょ、しょじょじ」と言ってみたり。
 なかなか「瀬を早み」が思い出せない。
 そこで「しゃ、しゅ、しょ…あ、しょや。しょ、しょうじはる、か。」
主人が「ほう、しょうじはる? つづきは?」
熊「やぶれたらまたはれ」というボケっぷり。
 そう、この崇徳院の歌の思い出すためのワンフレーズが登場するんです「障子貼る」って。
 しかし、この件は爆笑を誘います。特に故桂枝雀師のこの噺は何度聞いても笑ってしまいます。
 ただ、オチ(下げ)が駄洒落っぽく、噺の筋はとてもいいのにオチが下らないと考える噺家も多く、最後の部分だけ「大騒ぎでございます。一組の夫婦が出来上がる、崇徳院というおめでたい一席でございます」とおわるやり方もよく見られます。
 それにしても最近、なかなか季語の現場に出会えなくなりましたなあ。
 まだまだ絶滅寸前ではないと思いますが。

 身に入むや割れた鏡のその行方


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ホンヤクサイホンヤク


翻田 訳蔵

 俳句初心者、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。


今回の俳句
 冬を待つ用意かしこし四畳半 正岡子規

 さっそく、Nifty翻訳(英→日)から

Preparation overlending four and half-mat room where winter is waited

 再翻訳

冬が待たれる、4を貸し越す準備と半分マット部屋

 半分マット部屋?? やばい、少し18歳未満立ち入り禁止の香りが……。急いで次の翻訳へ。

 Google翻訳(英→日)

The Tatami Galaxy overdraft prepared to wait for the winter

 再翻訳

畳ギャラクシー貸越は、冬を待つように準備

 畳ギャラクシー貸越!? 金融機関の新しいサービスでしょうか? それにしても、四畳半を銀河に見立てるなんて素敵です。たしかに、4畳半の部屋というのは小宇宙的な感じがします。
 とにかく、マットから遠ざかってくれてよかったです。

 最後に、Yahoo!翻訳(英→日)

Lend preparation to wait for, and spend winter; a four-and-a half-mat room

 では、再翻訳

準備が冬を期待して、過ごすことを貸す; 4、そして、2分の1-鈍い部屋

 鈍い部屋? ぼんやりした感じでしょうか? 2分の1は、はっきりしない部屋でしょうか?
 なんにせよ、マットから離れてくれてよかったです。

 それでは、この3つを受けて一句。


冬を待つにぶんのいちはマット部屋 翻田訳蔵


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お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第25回 「女たちのジハード」

(劇団朋友公演、原作 篠田節子、脚本 篠原久美子、演出 宮崎真子、出演 加藤忍、勝部祐子、桐原史佳、他、'14年9月19日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール)

 篠田節子の直木賞受賞作が原作。芝居の進行中にも変形五角形の2つのユニットとロッカーが、回転し開閉することで、シンプルな舞台が、次々と、様々な場面へと変わっていきます。セットも役者たちと共に芝居をしているよう。舞台ならではの見どころでした。

初嵐起こせ世界よ躍りだせ

 損保会社の5人のOL。高校卒業後十六年、地道に、しかし目標もないまま働いてきた康子。結婚を考えていた男のくだらなさに一人で生きていくためマンションの購入を決意するも、時はポストバブル。コツコツためてきた投信も転換社債も半分以下に。それでも必死の思いで競売物件として出ていたマンションを、ヤクザと渡り合って手に入れる。
 条件のいい男を捕まえて寿退職を狙うリサは、やっと見つけたと思った東大出の医者がネパールの無医村を目指しており、英語力を生かして独立したい沙織は、業界の慣習や自分の実力という壁に突き当たる。妊娠の責任を取られて結婚した紀子はDVにさらされ、会社に骨をうずめる覚悟だったみどりは夫の昇進と引き換えにリストラ要員に。
「自分の道を歩く力を自分につけるため」それぞれの闘いが始まる。

 彼女らが歩きだした道は、どれも危うさを含み、また、その歩き方も万人が共感できるものではないかもしれません。それでも、そこに一陣のさわやかな風が吹くのは、自分の人生を誰かや何かのせいにしないために、「本気で自分の居場所を見つけ」ようとしているからでしょう。そして、自分の居場所を大切にできる人は、きっと誰かの居場所も守れるのだと思います。康子のマンションが紀子の避難所になったように。
 今、一見、多様な生き方が認められているようですが、実は、細分化され分断されているだけなのかも。戦わなくてはいけないのは、他人事としての「女たち」ではない。
 この「私」自身なのです。

トマト熟る「戦え!何を!?人生を!」



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。


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百年歳時記


第18回 夏井いつき

 有名俳人の一句を紹介鑑賞するページは世に数々あれど、「市井の逸品」とも呼べる一句を取り上げ鑑賞する記事はそんなに多くありません。
 百年先に残したい佳句秀句奇々怪々句を見いだし、皆さんと共に味わおうという連載は、名づけて「百年歳時記」。夏井いつきの目に触れた様々な作品を毎月ご紹介していきます。

遠泳のみな折り返したる合図 永山敦彦
 岸から泳ぎ始め、沖合に浮かんでいる小船を折り返して戻ってくるのが、この「遠泳」のコースなのでしょう。学校名物の夏の鍛錬行事でしょうか、臨海学校のプログラムかもしれませんね。
 沖へ行くに従って早い遅いの差がでてくる「遠泳」の列は、次第に長く延びていきます。先頭集団が折り返した後も、後続集団はなかなか折り返し点まで到達しません。小さな点のようにしか見えない最後尾の様子を心配げに見つめる作者の目に飛び込んできたのが、全員折り返したという小船からの「合図」。ホッと安堵の息をつき、今度はぐんぐん岸を目指して力泳を続ける先頭集団に目をやる、そんな「遠泳」の一コマが見えてくる、臨場感ある作品でした。
(徳島県俳句連盟第五一回大会大会選句集)

栗落す竿青空を滅多打ち 村尾芦月
 「栗」の実を「落す」ための「竿」が描かれているだけなのですが、愉快にして痛快なのが「青空を滅多打ち」という措辞です。
 相手は、トゲトゲの毬をもった「栗」ですから、優しく打ったところで簡単に落ちてくれるわけではありません。握りしめた「竿」を振り回し「栗」を落とす動作が、まるで「青空」を「滅多打ち」してるみたいだという作者の感知そのものがユーモアですね。
 「栗落とす竿」という措辞で、季語「栗」の映像から「竿」へ、さらに「青空」へと映像が広がり、下五で「滅多打ち」の動きが見えてくる、この語順が巧いですね。秋の抜けるような「青空」と「栗」の茶色のコントラストも鮮やかな楽しい一句です。
(徳島県俳句連盟第五一回大会大会選句集)

岩塩に舐め痕残し牧場閉づ 烏天狗
 「岩塩に舐め痕」という映像をクローズアップし、さらに「残し」とくると、一体これは誰が舐めた痕なのだろう?という小さな謎が浮かびます。下五「牧場閉づ」という季語の出現によって「岩塩に舐め痕」を残していたのが牧場で飼われていた牛や馬であることが分かる、という語順がこの一句の巧さです。
 夏の暑い盛りには牛や馬がしょっちゅう寄ってきては舐めていた「岩塩」。残る窪みは「舐め痕」だったのかという認識が、読者の心に静かな光景を広げていきます。秋が深まった牧場は閉ざされ、放牧していた牛や馬たちは飼い主の元に返されます。「牧場閉づ」頃の風が「岩塩」の色のようにも思えてくる作品でした。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』9月26日放送分)

海溝のごとき渋谷を後の月 音絵野あよ
 「海溝」の一語が深く暗い海底の亀裂を思わせた瞬間「〜ごとき渋谷」という言葉が飛び込んできます。「海溝」がビルの屹立する「渋谷」に転換する意外性と納得。「海溝のごとき」という比喩が暗く冷たい海底を想起させますので、下五「後の月」の夜という時間がそのまま一句を支配していきます。
 「渋谷」の駅前から多方向に伸びる路と屹立するビル群を「海溝」だと感じ取る作者の心にあるのは殺伐たる都会人の淋しさでありましょうか。「〜を」という助詞は、経過していく時間や場所を表現します。「海溝のごとき渋谷」を彷徨う作者の淋しさは、季語「後の月」の本意が持つ淋しさへ深く静かに重なってゆきます。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』10月10日掲載分)

不知火を灯せさびしき王のため とおと
 「不知火を灯せ」は命令形。誰が誰に向かって何のために命令しているのか?と一瞬の疑問を掻き立てます。「さびしき王のため」という措辞は、その疑問をはらい尚且つ一句の世界を押し広げます。「さびしき王」とは戦いによって海に逃れ、船を沈められた王でしょうか。朝廷から追放され、遠流の刑に処された王かもしれません。
 「不知火」という季語が内包する暗い海、潮の臭いは「さびしき王」の人生を彷彿とさせ、さらに彼の魂が赤い火となってゆらゆらと彷徨い出すさまに孤独の匂いが漂います。「王」という存在は、生きている時も死んでからも「さびしい」人なのだという思いが、読者の心にひたひたと滲み通ってきます。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』10月3日掲載分)


*百年歳時記は、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』や
 松山市公式サイト『俳句ポスト365』(http://haikutown.jp/post/
 などに投句された俳句を紹介します。


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会話形式でわかる
近代俳句史超入門


その5
文 構成 青木亮人

 大学で俳句を研究する青木先生と、その教え子で俳句甲子園の出場経験もある大学生の俳子さんが雑談を交えながらの近代俳句史超入門。

虚子の三つの金字塔 その1

 道後温泉本館で語らっていた二人は、日を替えて大学で話を再開しました。

場所を変えて
青木先生(以下青) 先日は失敬。道後温泉で半日以上喋ったので、もう疲れて。
俳子(以下俳) 突然泣き叫んだり、歌い出したり……色々大変でした。
青 それ、全部あなたじゃないですか。
俳 バレましたか。子規さん絡みの話だったので冷静に聞けなかったんです。で、今日は虚子さんのお話なんですよね。子規さんが「升は清さんが一番好きであつた」と言ったとか。ちなみに私の一番好きな食べものはキュウリとせせりよ。
青 食通気取りの河童みたいな好みですね……それはそうと、今のは『子規居士と余』((解説1))の一節。子規が亡くなった時に母堂の八重さんが虚子に話したというくだりで、虚子の回想録に見えるお話。虚子自身の回想なので実際にどのような状況での一言かは慎重に考えるべきですが、子規が虚子に大きな期待や信頼を寄せたのは間違いない。
俳 子規さん、日清戦争の従軍で身体を壊して帰国した後、自分は何年生きられるか分からないから、虚子さんに後継者になるようお願いしたんですよね。
青 でも虚子は拒否し、子規は絶望的になる……いわゆる「道灌山の決裂」((解説2))事件。とはいえ、書簡などを見ると、子規はその後も同郷の後輩の中で虚子を一番買っていた節があります。
俳 ……顔も好みだった?
青 まさか。「行春や横ざまに見る虚子の顔 子規」といった句があれば話は別ですが、そんなはずもないですし。虚子の雰囲気や人柄は実際に会わないと分からないところでしょうねえ。虚子は人に好かれたらしく、子規や夏目漱石といったクセのある人々にも信頼されましたし、女性にモテた逸話もけっこう残っているので、人を惹きつける人柄だったようです。
俳 子規さんは分かりやすく英雄的というか、カリスマとして人を集めた感じがあるけど、虚子さんはその辺が分かりにくいのよね。
青 大学に場所を変えたことですし、今回は彼についてじっくりお話しましょう。虚子を語ることは近代俳句史を語ることにもなるので、少し細かくお話します。

虚子の凄さ 作品編
俳 イェイ! 楽しみです。先生、ズバリ虚子さんの凄さは?
青 顔です。
俳 うそでしょ?
青 ウソです。で、虚子が凄いのは何かというと、「作品、選句、結社経営」全てに金字塔を打ち立てたところでしょうね。この三つを史上に残るレベルで達成できた近代俳人はおそらく虚子一人。再び現れるかどうかという凄い俳人です。
俳 ……最初にかわしてから本題に入るとは、敵ながらあっぱれ。ならば、虚子は具体的にどう凄いのじゃ? わらわにとくと聞かせよ。
青 なぜに姫気取り……気圧のせいかな。それはさておき、まずは作品から行きましょうか。虚子といえば、「桐一葉日当りながら落ちにけり」((解説3))等の「写生」句を思い浮かべる方が多いと思いますが、俳子さん、この句はどこが「写生」なんでしょう?
俳 フフ、松山で生まれ育ち、俳句甲子園にも出場した私にそんな愚問を……「写生」とは現実のありのままを見つめること。虚子さんの句は、「桐一葉」のありのままを素直に詠んだから「写生」句というわけ。
青 フムフム。他には?
俳 もちろん、まだ終わりじゃないわ。ほら、「一葉落ちて天下の秋を知る」というのがあるじゃないですか。昔から漢文で使われたような格好いい言い回し。そういう漢文や和歌とかの伝統的な美しい表現や自然の見方に囚われず、虚子さんは自分の眼で実際に起きた現実をそのまま詠んだから新鮮な「写生」句だったのよ。
青 おぉ……もはや師として伝授することは何もないようだ。さぁ、この窓から早く旅立って組織を倒しに行きなさい!
俳 何の場面ですか。というよりここ、四階ですよ! どこの世界に旅立たせる気ですか!
青 あ、うっかり……あまりに答えが見事だったので、つい盛り上がってしまいました。すいません。
俳 まったく……そういえば、先生、以前に仰っていましたよね。「『写生』とは『現実のありのままを見る認識』というより、『現実のありのままを見つめることで頭の中の先入観やイメージを崩壊させる認識』」(本連載3回目)だと。「桐一葉」の句は、いわゆる「月並」じゃない新鮮なところが良かったんじゃないかな。

「日当りながら」の妙
青 まさにその通り。ただ、こういう「写生」を頭で理解できても、実際に詠めるかどうかは難しい。虚子は若い頃からなぜか詠めた上に、他俳人にあまりないセンスを持っていました。
俳 ほほう……どんな?
青 まずは観察力の確かさ。まなざしの粘り強さといってもいい。先の「桐一葉」の句でいえば、俳子さんは実作者としてこの作品をどのように見ますか?
俳 句の評価は別として、私だったらそう詠まないかもと思うのは、中七「日当りながら」かなあ。桐一葉が落ちるのを見たことがあるけれど、実際は「あっ、葉っぱが落ちてきた」と思ったらもう落ちていたという感じで、この句の印象と何か違うのよね。「日当りながら落ちにけり」だとスローモーションのように葉が落ちる感じで、こんな風に詠めるのは桐の葉の様子を食い入るように見つめたりとか、よほど強い印象が残ったりじゃないと難しそう。私は葉っぱマニアじゃないので、そこまでじっくり観察したことがないです。
青 ということは、そういう風に詠める虚子には「まなざしの粘り強さ」があったということでしょうか。
俳 そうかも。あと、桐の葉が落ちる状況って他にも題材がたくさんあるはずなんですよ。木々や空の様子とか、落葉の踏みしめる音とか、風とか……そういうのを全部消して「桐一葉」だけに絞り、「日当りながら落ちにけり」とだけ詠んでハイ終わりというのは、勇気が要りそう。私のようなレベルだと、桐一葉と全然違う何かを取り合わせて意外性を出したり、思わせぶりに仕上げたり、あとは表現に工夫を凝らしたりとかして、いかにも「作品」です、と強調しないと不安になっちゃう。「だから?」と言われそうな軽い内容だけを詠んで句をふっと終わらせるのは、虚子さんに多いですよね。「桐一葉」の句もそうですし、何であんな風に詠めたんだろう。
青 俳子さん、今日は凄いですね。いや、今日「も」。
俳 突っこまれないうちに訂正しましたね。
青 いやいや、ハハ。「桐一葉」句はとても軽い内容の、さらっと詠んだだけの叙景句と取る人も多いんですよ。でも、中七「日当りながら」のブレーキのかけ方や「落ちにけり」のあっけない終わり方などは、普通の俳人にはなかなか詠めないんじゃないでしょうか。
(続く)


青木亮人(あおき まこと) 1974年、北海道生まれ。現在、愛媛大学准教授。著書に『その眼、俳人につき』(邑書林)など。



解説

解説1
『子規居士と余』 虚子が明治後期〜大正初期に発表した回想録。子規との出会いからその死に至るまでの二人の交情を描いた。
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解説2
「道灌山の決裂」事件 明治28(1895)年、病後の子規が虚子とともに東京の道灌山に連れ立ち、虚子に自分の文学上の野心を継いでほしいと伝えたところ、虚子が断ったという出来事。
 子規は激しく動揺し、余命のある内に独力で文学革新を断行するしかないと思いつめることになった。
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解説3
「桐一葉日当りながら落ちにけり」 明治39(1906)年作。虚子流「写生」句の典型。
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もうひとつの俳句のまちづくり


岐阜県大垣市役所俳句文化推進グループリーダー 高田雅章(俳号:がしょう)
第4回

 第4回目にご紹介するのは、第17回俳句甲子園全国大会です。
 全国大会初出場の大垣東高校は、6月14日から全国大会までの約2か月間、俳句の作成、鑑賞、ディベートの練習など一生懸命頑張りました。
 全国大会の兼題が「夜店」「梅干し」「飛魚」と発表され、「飛魚」に関しては、岐阜県には海が無いため、生徒たちは戸惑っていました。戸惑いはありましたが、1句1句先生を交えて話し合いや推敲を重ね、全国大会に提出する俳句が完成しました。
 そして、とうとう全国大会の8月22日(金)がやってきました。
 初日は、松山大学でウェルカムパーティーが開催され、明日の予選会の抽選も行われました。抽選会が始まり、出場校が順番に抽選くじを引いていきます、大垣東高校は36チーム中、25番目にくじを引きます。昨年優勝の東京開成高校はA〜Lブロックのうち、Bブロックを引きました。その後なぜか、Bブロックを引く高校が無いままに、大垣東高校の順番が来ました。
 緊張のなか大垣東高校の引いたくじに「B」の文字が……。初出場で初戦から開成高校との対戦に決定しました。なんというくじ運の無さかと、私はがっかりしましたが、生徒5人は東京の開成高校と対戦できることを喜んでいました。
 その日の夜、宿泊先のホテルで、先生と念入りに明日の対戦に備えたミーティングを行い、生徒5人それぞれの松山での初日が終わりました。
 そして、大会当日8月23日(土)、会場は松山市の中心街である大街道商店街で行われました。大垣東高校が参加するBブロックは、広島高校、開成高校と2校とも強豪校のため、観客は多く、テレビカメラも来るなど注目のブロックとなりました。 
 多くの観客中で、大垣東高校は初戦からがちがちに緊張し、沈黙する場面も多々あり初戦は敗戦。2戦目からは平常心を取り戻したものの、広島高校から1勝することが精一杯で、開成高校には全敗の1勝5敗で予選敗退となりました。予選を終えた生徒たちから、開成高校にひるまずディベートが出来てすっきりした気持ちと言ってくれて、私はほっとし、ほっとしたと同時に、生徒たちは、この俳句甲子園を通じて普通の高校生活では味わう事の無い経験ができたことを、嬉しく思いました。
 8月24日(日)の決勝戦は、優勝「開成高校」準優勝「洛南高校B」という結果になりました。
 試合後に、松山大学で、俳句甲子園のOB、OG企画 運営のフェアウェルパーティーが開かれました。会場内は、別の高校の生徒がそれぞれのテーブルに座り、パーティーが始まりました。俳句という同じ目標を持った高校生同士ですので、すぐに打ち解けあい交流の輪が広がっていました。大垣市の俳句甲子園は、今年スタートしました。今後、多くの大垣の高校生をこの松山に送り出し、この感動を味わってもらいたいと切に思える大会でした。


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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第44回 文と写真 暇人

今回もやります! Facebook審査員

 今回の「まる裏俳句甲子園」でも5人の審査員枠のひとつは、数年前から企画実施して好評をいただいている「Facebook審査員」として、Facebook登録者が投票を行うことになりました。
 ところで「Facebook審査員」とは何じゃそれ?という方のために、改めてご説明を。Facebook審査員とは、Facebookというインターネット上のサービスに登録されている方に、さらにmhmのグループに登録していただき、そこで大会当日、赤、白どちらか気に入った俳句を「ポチッと」投票していただき、票数が多かった方の旗を、審査員席に座る代表者(多分今年も私かと)が挙げる、というものです。
 今回は、投票の仕組みが一部変更となります。従来Facebook審査員の投票には、Facebookの「ページ」内の、「質問する」という機能を使っていたのですが、Facebook側でシステムが変更され、その機能が使えなくなりました。そこで「ページ」ではなく「グループ」(www.facebook.com/groups/mhm575/)で投票を行います。投票にはFacebookの登録とグループへの参加登録が必要です。現在、登録手続きをやりやすいよう、一部規制を解除していますので、どうぞお誘い合わせの上、登録を宜しくお願いします。
 前回からちょっとほのめかしております、まる裏の映像配信ですが、ひとまずUstream配信用にアドレスを習得しました(http://www.ustream.tv/channel/18783052)。基本的には音声なし、定点映像で予選のみを出来れば配信したいと思っております。今後は随時試験映像を流す予定です。もしかしたら、mhm定例会の様子なんかも配信したりとかしなかったりとか……!? 配信機材持ちの皆様、今からでも遅くありません。ご協力をお待ちしております。
 そういえばまる裏のキャッチフレーズ、私が所用で休んでしまった9月の定例会で決まったようなので発表しましょう。

「裏を取れ!」  作者 大塚迷路

 おめでとうございます。景品等はございませんが100年俳句計画などの広告に大々的に紹介されます。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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俳句の街 まつやま
俳句ポスト365


協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


優秀句
平成26年9月度


【秋草】
《地》
秋草を好きに名付けて母の恋 とおと
秋草のひかりに裾の濡れにけり  山上 博
右手には秋草左手にワルツ あおい
秋草に火の粉降らせて窯の守 江口小春
秋草や戦記に遺る空の青 蓼蟲
秋草や父は千島列島兵 大塚迷路
被爆死の軍馬千頭へと千草 稲穂

《天》
マチボウケと名づけますこの秋草に  るびい


【名月】
《地》
名月や酒交わし舞う神と民 紅の子
名月やアミタボーリの低き声 まどん
名月の今宵百句を還すべし ポメロ親父
名月や象舎の如き変電所  クズウジュンイチ
名月と向き合ふ深夜警備員 大阪華子
名月へ延伸セヨ都営大江戸線 ぐわ
名月や眞犯人とその家族 葦信夫

《天》
名月のうたげ麗妃は産室へ  中原久遠


【秋燕】
《地》
さざなみがうまれて秋の燕ゆく 有櫛
秋燕の旅装整ふ日和かな とおと
いづこにも富士ある日本あきつばめ  ハラミータ
そらがかなしいからあれも秋燕 魔王
秋つばめハトロン紙のカバーかさと言ふ  ねこ端石
文豪の筆を旅立つ秋燕 緑の手
秋燕や動物園にキリンの死 奈津
秋燕や牧駆くる仔のたくましく 勿忘草
歓声を背に乗る列車秋燕 つるちゃん

《天》
るうるうと秋燕はいま海の朝  紆余子


【落し水】
《地》
水をはることより易し水落とす お手玉
落し水入れて太るや信濃川 樫の木
一枚は小用ほどの落し水 大塚迷路
水落す星座増えたる朝より 三島ちとせ
水落ちて干からびてゆく雑魚田螺 もね
落し水ぐぁと鴉の息匂う てぃ
あしびきの山犬睨む落し水  ちびつぶぶどう

《天》
落シ水臭クテ手賀ハ豊穣ナリ  土井探花



11月の兼題

投句期間:10月30日〜11月5日
ジャケット【三冬/人事】
ワイシャツやブラウスなどの上に羽織る、丈の短い上着。素材はさまざまで、デザイン性にも富んでいるため、カジュアル着として男女問わず広く着用されている。

投句期間:11月6日〜11月12日
冬の鵙【三冬/動物】
鵙は秋に平野に下りてきて越冬する。冬になると、なわばりも決まって他の鵙と争う事もなくなるためか、秋に比べて猛々しい高鳴きをすることもなくなる。

投句期間:11月13日〜11月26日
鯨【三冬/動物】
哺乳類クジラ目に属する魚形の動物で、胎生である。現存する動物の中で最大のものも含まれる。主に南北両極の海に生息し、日本近海へは冬季になると回遊してくる。


《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


11月17日(月)〜11月21日(金)の週は、「俳句ポスト365」の更新をお休みさせていただきます。この週における新たな結果の発表、ならびに11月19日(水)の投句締切や、その翌日の募集兼題の切り替わりはございません。


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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成26年9月度


【別れ烏】
やけに今日別れ烏の鳴く日和 不知火
別れ烏よ甘やかな霧雨よ 亜桜みかり
鉄路黒く別れ烏に降る雨よ マイマイ
別れ烏明日はも少し腹が減る  ポメロ親父
烏の子別れ神木鎮まりぬ 鞠月
空閉じて別れ烏の鳴くばかり 朝日
子別れの烏儀式は知らんぷり 一走人
何とまあ別れ烏のあっけらかん 烏天狗
別れ烏よそ目に唸る変圧器 唐平
海に痣別れ烏の目の虚ろ 理酔
別れ烏どっちに飛んでも明日は明日  猫端石

《天》
別れ烏や屈強の山正面に  ターナー島


【菊の酒】
父のこと思えば菊の酒苦し だんご虫
菊の酒知らずに父を逝かせけり  やのたかこ
ゴールデンバット亡父に供えて菊の酒  青石榴
シベリアのことは語らず菊の酒  マイマイ
長老の良き声とおる菊の酒 ターナー島
晩学の坂はゆっくり菊の酒 ほろよい
これやこの鯛の鯛とや菊の酒 ねこ端石
拒むなどもつてのほかの菊の酒  亜桜みかり
若冲の鶏は金色菊の酒 空見屋
天皇のとなり皇后菊の酒 大阪の旅人
唐の国より山姥の菊の酒 緑の手
標高二百この酒菊の酒なるぞ 不知火
菊の酒最上階のバーの窓 更紗

《天》
  ※該当句無し


【敬老の日】
花生けて一日はじまる敬老日 紫式部
敬老の日や母の名の花生けて 土佐っ子
まず国旗掲げ敬老日和かな 朝日
敬老の日の銭湯のやや熱し もね
てらてらと敬老の日の結び昆布  マイマイ
敬老日小兵力士の勝ちにけり みさき
敬老の日や水晶の念珠欲し 菜々枝
敬老の日ふるさと合唱して終える  とうへい
敬老の日のなだらかに国老いる 不知火

《天》
敬老の日突っぱねゴクリと生卵  日暮屋


【岩】
正面に岩置く役場菊匂う 大阪の旅人
岩屋寺は空への関所竹の春 鞠月
稲光二十五噸の奇岩かな あおい
岩田帯河原撫子摘みし日の  ひなぎきょう
岩おこし噛んで相撲の桟敷席 不知火
白岩の雨飾山天高し なおき
さみどりの雲母片岩草の秋 ほろよい
岩塩の淡き桃色小鳥来る ねこ端石
岩塩を舐めJINを干す秋夜かな 理酔
岩塩に戦地の名前そぞろ寒 更紗

《天》
岩塩に舐め痕残し牧場閉づ  烏天狗



※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

投句締切:11月9日

季語ではない兼題です。「砕」の字が詠み込まれていれば、読み方は問いません。季語は当季を原則として自由に選んでください。

木守【三冬/植物】
柿の実の収穫後も、その柿の木を守護するかのように、一つだけ実が枝に残されることがある。小鳥のためとも、来年の実りへの祈りのためともいわれる。

投句締切:11月23日
隼【三冬/動物】
タカ目ハヤブサ科の鳥の総称もしくは特にその中の一種をいう。日本では本州以北で繁殖し、冬季には全国で見られる。先端のとがった翼をしており、主に鳥類を補食する。

生姜湯【三冬/人事】
おろし生姜に熱湯を注ぎ、砂糖などで甘みを加えた飲み物。発汗効果があり、風邪をひいた際の民間療法としても伝わってきた。



《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


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100年俳句計画 掲示板



NHK総合テレビ(四国四県)
 しこく8「学生俳句チャンピオン決定戦! 2014 俳都松山の陣(仮)」
  10月31日(金)19時30分〜

NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
   11月4日/18日(火)11時40分〜

あいテレビ(TBS系列、全国)
 『プレバト!!』
   隔週木曜 19時〜20時49分
  11月13日(木)予定
※組長がゲストの俳句ランキングづけで出演! 放送日番組欄を要チェック!

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「膝掛 鯛焼」11月9日〆
   「十二月 梟」11月23日〆
 インターネットでも配信中。詳しくは番組webサイトへ。
  HP http://www.baribari789.com/
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)、住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム チャンヒのイラストポストカードが贈られます。


執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」
※ 毎週日曜発刊タブロイド判8ページ

朝日新聞愛媛俳壇(9月〜夏井選開始)
 投稿は葉書1枚に5句以内(未発表句)。裏面に作品と共に住所、氏名、電話番号を明記。朝日新聞松山総局(790ー0003 松山市三番町4ー9ー6 NBF松山日銀前ビル)まで。

愛媛県《吟行ナビえひめ》句&写真
 俳句選者:夏井いつき
 写真選者:キムチャンヒ
【募集期間】毎月1日〜 25日前後締切
【応募先】http://www.iyokannet.jp/ginkou/
 各季節上位4句(年間16句)には「愛媛県の旬な贈り物」をプレゼント。
【テーマ(兼題)】11月のしまなみ
(当地周辺でみつけた季語なら何でも可)
【問い合せ】愛媛県観光物産課
TEL 089ー912ー2491


句会ライブ、講演など

俳句対局龍淵王決定戦
 11月1日(土) 子規記念博物館

いい歯の日イベントはぴかちゃん俳句大賞決定イベント
 11月9日(土)13時〜
松山市総合コミュニティセンター 1F コミュニティプラザ
※入場無料 当日投句賞あり

テレビ朝日ミュージック句会ライブ(夏井)
 11月13日(木)東京第一ホテル

愛知県立東海商業高校句会ライブ(正人)
 11月13日(木)子規記念博物館

第19回「草枕」国際俳句大会句会ライブ
 11月22日(土)熊本市総合体育館

第8回句集を作ろう!コンテスト審査会
 11月24日(月 祝)朝日新聞松山総局

トレッキング ザ 空海あいなんへんろ道俳句大会&句会ライブ
 11月30日(日)9時〜16時
※柏坂へんろ道 嵐坂ポケットパーク風園
 申込 … 内海公民館0895-85-1021



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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

テレビで俳句
元旦 告知?のとおり、8月のラストは『俳句王国がゆく』に行ってまいりました。大人チーム対高校生チームという取り組みは、なかなか面白い趣向でしたね。俳句甲子園で注目の高校生たち、何と言ってもディベートで鍛えられた鑑賞は、さすがと唸らせました。その切っ先をのらりくらりとかわす大人たちの老獪さ。笑いと感心の楽しい収録時間は、あっと言う間に過ぎてしまいました。奮発してスーパージェットで駆けつけた甲斐があったというものです。松山では、収録の前後に伊丹十三記念館と坂の上の雲ミュージアムなどを、訪ねてまいりました。一方『俳句甲子園』は、Eテレ観戦でした。それにしても開成強し。なぜ強いんでしょうね。来年こそは、連勝にストップをかけるチームが現れるのか。今から楽しみで、眠れません(笑)
編 俳句王国から俳句甲子園まで。NHK大満喫ですなあ。

ゆりかもめ 本日Eテレで俳句甲子園の番組を見ました。高校生の並々ならぬ俳句作りに感動しました。番組内で紹介した俳句以外も見てみたかったです。
編 俳句甲子園実行委員会が発行している「公式作品集」には大会に寄せられた全作品が収録されてます。希望があればお問合せ下さい。

あきさくら洋子 プレバトの組長に笑顔と励ましをいただいてます♪ 添削で言い過ぎ文字の削除に痛く納得……なかなか奥が深いですね。夏の暑さに逃げていて、怠惰なままに秋が来てしまいました。老化軽減のためにも、また少しずつ復活です。よろしくです。
編 好評オンエア中の「プレバト」。感想ありがとうございます。書籍化の企画が進行中なのでそちらもお楽しみに!

北伊作 毎回プレバトを楽しみにしております。しかし組長を毒舌先生と言ったりババア等と呼ぶことに不快感を覚えます。組長は真面目に添削指導をしておられるのです。とても残念です。
編 憎まれ口叩きながらも、梅沢さんとのコンビは観てていい味出てますよね。

投句再開
大塚迷路 せっかく一流の選者に選をしていただいているのだから投句しないと大損だと、今さらながら心を入替えました。今月から投句再開するぜよ。よろしくお願いしますたい。絶対やで。
編 よろしくお願いいたします。天の句いろはカルタもよろしくやで。

名前、変わります。
岡田一実 これまで藤実、岡田眠、などなどと名乗ってきましたが、これからは岡田一実で統一したいと思います。今後ともよろしくお願い致します。ふじみんこと岡田一実。
空 同名の方もいらっしゃるらしいので、苗字をつけます。「越智空」だと、どこかのお坊様のようなので、「越智空子」にします。句会とかでは、相変わらず、空です。よろしくお願い致します。
編 はい、お二方よろしくお願いします。……でも実際に顔合わせると絶対旧俳号で呼んじゃうよなあ。

手作り句集!
藻川亭河童 やっと手作り句集『割烹着』の原稿ができました。パソコンがクラッシュしないうちに印刷しないと心配です。なにせ前歴がありますから……。外付けしてもCDファイルがなくなるんです。情けない管理能力の無さに哀しくなります。風光明媚な近くの散策道に表紙の写真でも取りに行きますか……。
編 河童さんのクラッシュの嘆き、当時のアブクでもご紹介させていただいた記憶が。バックアップは超重要! クラウドサービスを使うと安心感増すのでオススメです。

それぞれの生活
喜多輝女 変な天気の夏が終わったようで急に涼しくなりましたが皆さんお元気でしょうか? 先月は締切の日をすっかり忘れていて気が付いたのが23日、いくらなんでも滑り込めないと情けない思いをしましたので今月は忘れないようにと思い深夜、投句しております。早く寝なければ明日の朝寝坊すると困りますので、おやすみなさい……。
編 気温変化と夜更かしのダブルパンチでお風邪召されませぬよう〜。

うに子 いつのまにかすっかり秋。祭り練習の太鼓の音が止んだこの時間は、怖いくらい静かです。
編 ギャップってやつですね。なんだかこの感慨が俳句にできそう。

柊つばき 二番目の孫の体育祭がありました。中三最後、娘と婿は涙が出てしかたなかったと言ってました。
編 最大のイベント卒業式も泣くね!


天の句いろはカルタ
兼題「ん」
投句一覧

1 ンジャメナで続くしりとり春炬燵
2 ンジャロンジャロキリマンジャロの雪光る
3 ンジャメナの月を眺むる駱駝かな
4 んで始まる言葉遊びや天高し
5 んの言葉言ひて負けたや汀女の忌
6 んに似る也の草書や鰯雲
7 「ん」と言うたきりで西日の治療室
8 ンジャメナの意味は安息レモン切る


〈参加方法〉
1:「投句一覧」から好きな句を選ぶ。(選句)
2: その句の感想を書く。(選評)
3:「次回兼題」の音から始まる句を一句書く。(投句)
※1〜3、俳号(本名)、〒住所、電話番号を明記して、編集室「天の句いろはカルタ」宛にお送りください。一人一句まで。選句は番号と俳句を共に記入して下さい。
※番号はお間違えなく!

 今回の締切は11月10日(月)必着です。
Eメール宛先 magazine@marukobo.com



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鮎の友釣り

196
俳号 光海(名付け親 樫の木君)

てんきゅうさんへ 「言葉の魔術師」てんきゅうさんに指名されると断りきれない。僕の尊敬する俳人です。

俳句との出会い 定年を機に、これまでの理系から文系の事に関わりたいと考えていた時、樫の木君からJazzと俳句を融合させた“jazz句会”の話を聞きました。大好きなjazzが聴けて俳句も作れるとあって、早速参加。これが楽しい。席上、ねこ端石さんから組長のカルチャーに入って勉強をしなければ駄目だとアドバイスを受け、土曜カルチャーに入門、現在に至っています。

写真 昨年のカルチャービアガーデンです。みちるさんと、組長、兼光さんが写っている僕のお宝写真です。

次回…マミコンさんへ 次回はjazz句会の重鎮であり、ドラマー、マジシャン、フォトグラファー、DJをこなすスーパーおじさんです。


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告知



生まれてから現在までの代表句募集!

 1月号特集は、毎年恒例、皆さんからの自選三句を掲載した「代表句集」です。沢山の方の参加をお待ちしております。

募集内容
 あなたの生まれてから現在までの代表句三句(一人一俳号まで)
 代表句についてのコメント
 ※コメント全体で100字以内厳守
 お名前、俳号(ふりがな)、年齢、住所、電話番号を必ず明記の上、宛先 件名を「代表句集2015」として本誌編集室までお送り下さい。

※俳号と俳句には、よみがなを付けてお送り下さい。年齢は鑑賞の参考とするため句集に掲載させていただきます。御了承下さい。

専用ホームページ
http://2015.marukobo.com

締切 11月30日(日)必着
なお、応募対象はハイクライフマガジン『100年俳句計画』定期購読の方のみとさせていただきます。ご了承下さい。



誰もが無料で参加できる
インターネット句会
開催中
次回は11月6日(木)一般募集開始

 ハイクライフマガジン『100年俳句計画』が運営しておりますインターネット句会「象さん句会」&「週活句会」の2014年6thシーズンの参加者を募集します。
 どちらの句会も参加無料。それぞれエントリー開始から定員まで、先着順で参加出来ます。

俳句を増産したい方のための象さん句会

「百年百花」や「100年の旗手」など、本誌に作品集を連載される「俳句を増産したい方」を中心に、毎週5句出しで4週間行う「本気モード全開」の句会です。もちろん一般参加も可能です。


20代のための
週末俳句活動句会、略して
週活句会

 俳句甲子園出身の方や、大学のサークルで俳句をやっている方など20代の俳人を中心とした句会です。この句会から「100年への軌跡」連載者も輩出します。また、交流の場としても楽しめます。


どちらも2014年11月6日(木)一般募集開始
詳しくはブログマルコボ通信まで
http://info.marukobo.com/



夏井いつきとあなたも一句!
俳句新聞いつき組
復刻創刊
2015年1月発刊!

A4サイズ8ページフルカラー仕様
参加登録料(※初回のみ)1,000円(税込)
年間購読料 3,500円(税込)/年4回発行
*年1回、夏井いつきの句集シングル付録あり。

2015年1月の発刊に先駆けて
俳句新聞いつき組0号を無料でお届けします!

無料の創刊準備号でひと足先に『俳句新聞いつき組』に参加しよう!!

俳句新聞いつき組0号(創刊準備号)
A4サイズ1枚両面フルカラー仕様

0号はこんな内容
1 番組プロデューサーが語る「プレバト!!」の裏も面白い!
2 夏井いつきの俳句とエッセイ「放歌高吟」
3 1号に向けて読者から「雪」の俳句を募集 「雪の座」投句募集
……などなど、お楽しみ満載!

「0号」お申し込み方法

0号申し込みの旨、本名(ふりがな)、俳号(無ければ不要)、郵便番号、住所、電話番号を明記して、下記のいずれかの方法で申し込んでください。また、『俳句新聞いつき組』へのメッセージ等ございましたら、ぜひ書き添えてください。(メッセージは紙面上で紹介させていただく場合があります。ご了承ください。)

 ハガキで申し込む
  790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
  有限会社マルコボ.コム
  「『俳句新聞いつき組』0号申込」係

 FAXで申し込む
 FAX番号:089−906−0695

 メールで申し込む
 kumi@marukobo.com
 (件名を「いつき組0号申込」としてください。)

※『俳句新聞いつき組』1号以降をご購読いただくには別途のお申し込みが必要です。お申し込み方法についての詳細は0号ならびに今後の俳句マガジン『100年俳句計画』誌上でご案内いたします。

※本誌をマルコボ.コム直販で定期購読されている方には、お申し込みの有無にかかわらず次号のお届け時に0号を同封してお届けします。
※既に0号をお申し込みいただいている方にも、お申し込み頂いた分とは別に別途同封いたします。また次号への同封以降も、お申し込みいただいた方には別途お届けいたします。なお、いち早く0号を入手したい方は、本誌次号の発送前に0号の発送が開始される予定となっておりますので、ぜひ事前に0号をお申し込み下さい。



HAIKU LIFE 100年俳句計画
第4回
大人のための句集を作ろうコンテスト
作品募集

主催 マルコボ.コム 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

 第四回「大人のための句集を作ろう!コンテスト」(通称「大人コン」)の作品募集がスタートしました。
 「大人コン」は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』が開催する俳句コンテストです。
 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

「受賞作品が句集になるってホントですか」
 最優秀賞作品は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』の付録冊子として読者諸氏に広く読んで頂きます。付録とはいえ、お洒落なデザインの句集だと評判です。
 受賞者には一切の金銭的負担をかけず、読者にとっても安価な句集をどんどん生み出していきたいという志を一つの形にしたのが、この企画なのです。

「俳句マガジンを購読してないんですが、コンテストへの応募はできますか」
 どなたでも応募できます。購読の有無は一切関係ありません。勿論、応募は無料です。

「審査は誰がするのですか」
 本コンテストの受賞者は、「大人コン」選考会員の投票によって決まります。「大人コン」選考会員は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』購読者の内、各総合誌等の俳句賞受賞者あるいは最終選考に残った実績のある人たち等によって構成されます。第二回の有資格者は三十二名。年々選考会員数は増えていくことになります。
 多くの目利きの力を借りて「百年先の未来に残したい作品と作家」を見い出し顕彰していくことが「大人コン」の目的。我こそは!という皆さんのご応募を、心からお待ちしております。

既作新作を問わず81句の作品集を募集。
最優秀賞作品は句集にし、本誌付録として配布します。

募集要項

応募資格
15才以上(高校生以上)の方なら、本誌購読の有無に関係なく、どなたでも応募できます。

応募方法
1:Eメールでの応募の場合
応募用のエクセルファイルに必要事項を全て入力し、Eメールの添付ファイルにして、応募して下さい。
応募用ファイルのダウンロード先
http://81ku.marukobo.com/

2:郵送の場合
B4判四百字詰め原稿用紙に81句とその表題、俳号、本名、年齢、住所、電話番号を必ず明記して応募して下さい。

締め切り 2014年12月10日(水)必着

賞 賞状および応募作品による句集20冊
*賞品句集は縦横135ミリメートル 36ページとなります。句集は本誌付録として配布します。

発表 本誌2015年4月号誌上(予定)

送り先
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16ー1
有限会社マルコボ.コム
月刊俳句マガジン『100年俳句計画』編集室Eメール:81ku@marukobo.com



第三回 
俳句対局 龍淵王決定戦
出場者&観覧者募集中!!

 俳句対局とは、囲碁や将棋の対局戦を模した、一対一の句合わせ対決の句会です。只今、出場者を募集しています。

日時:11月1日(土)14時〜(13時30分開場)

場所:松山市立子規記念博物館4F和室
 ※出場が決まった方は、当日はスーツや着物にてお越し下さい。観覧のみの方は、服装の指定はありません。

参加申込 問い合わせ先
 氏名〈俳号〉 連絡先 申込み人数をお知らせ下さい。
 申込はinfo@marukobo.comまで



第13回
高校生以外のためのまる裏俳句甲子園

第13回キャッチコピー
「裏を取れ!」 作者:大塚迷路

日時 2015年1月11日(日)
   予選:午前9時30分集合
   本戦:午後1時〜(12時30分開場)
場所 松山市立子規記念博物館
   松山市道後公園1-30
エントリー料 1000円
観戦料 500円

主催:まつやま俳句でまちづくりの会
共催:松山市立子規記念博物館
問合せ:089-906-0694



最新句集情報
11月11日発売!

句集『55』
朗善千津

世界的チェリスト、ニックを夫に持ち、俳人夏井いつきの実妹にして自身も文筆家の朗善千津さん。彼女の瑞々しく伸びやかな最新55句の第一句集。

仕様:135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷
定価:700円+税


JAZZ HAIKU Vol.1
白方雅博(蛇頭)&ジャズ句会
PHOTO 堤 宏文

ジャズ句会に登場した俳句をエッセイと共にまとめたジャズオムニバス句集。ジャズジャイアンツを納めた堤宏文氏の写真も秀逸!

仕様:135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷
定価:700円+税

お求めは http://shop.marukobo.com/ まで

誰もが句集を出版できるかたち
句集Style

あなたの句集を 20,000円(税別)〜 制作します
2014年 第4期 12月10日 申し込み締切(原稿締切12/15、1月末納品)
詳しくは http://marukobo.com/style/ まで



12月の第1土曜日は恒例の
100年俳句計画大忘年会のお知らせ

毎年12月の第1土曜日は「大忘年会」の日。今年も盛大に開催いたします。
抱腹絶倒まちがいなし。たくさんのご参加をお待ちしています。

日時
平成26年12月6日(土)
18:30〜21:00(予定)
※正式な時間は次号、及びハガキで
ご確認ください。

場所
いよてつ高島屋
9F ローズホール
愛媛県松山市湊町5丁目1−1
089-948-2111(代表)

会費
 大人 6,500円
 大学生以下 4,000円
 小学生以下 2,500円

参加申込締切
11月21日(金)必着!

参加方法
 忘年会参加希望の旨と、郵便番号 住所 氏名 俳号 会費区分(大人/大学生以下/小学生以下) 連絡先電話番号を明記して、ハガキ、FAX、Eメール、または電話にてお申し込み下さい。ご家族等複数でお申し込みの場合は、代表の方の〒住所 連絡先電話番号に加え、全員の氏名 俳号 会費区分をお知らせ下さい。

★投句 投稿に添えてのお申込はご遠慮ください。
※受付対応が遅れる場合があります。

 お申し込みをいただいた方には順次、受付完了をお伝えするハガキを郵送いたします。
※締切までにお申込いただいた方で、11月28日(金)までにハガキが届かない方は、お手数ですがマルコボ.コムまでご連絡ください。

問い合わせ 申し込み先
(有)マルコボ.コム
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
TEL 089-906-0694
FAX 089-906-0695
E-mail magazine@marukobo.com


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編集後記


 今回の特集は、俳句の17音にちなんで第17回俳句甲子園を記念して開催されたシンポジウム「俳都松山宣言」。俳句甲子園をきっかけに起こった俳句の風を、もっと大きな風とするためのさまざまな提案がなされた。そして、本誌編集室もその企画に関してお手伝いをさせて頂いた。
 本誌でおなじみの俳句対局のエキシビションマッチやオープニングに上演された、松山にゆかりのある俳人達の俳句映像とジャズライブとのコラボレーションがそれである。
 ありがたいことに、どちらも約500名の観客には、大変好評であった。
 特にジャズライブと俳句とのコラボレーションは、新しい試みだった。この企画が実現したのは、ジャズドラマーの堤宏文さんのご協力があってこそだし、その元を辿れば、蛇頭さん主催のジャズ句会のおかげ。更に言えば、この企画の実験をさせて頂いた、5月のmhmの道後でのイベントの開催。そのイベントを句会仲間であるダンサーの三好直美さんが紹介して下さらなければ実現しなかった。
 100年俳句計画という志は、沢山の方々の思いなのだとつくづく思う。
(キム)


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次号予告 (205号 12月1日発行予定)


次回特集
選評という名の創作!
選評大賞2014

毎年年末と言えば、選評大賞。
今年も力作が揃いました。
優秀賞の発表とその審査の模様をお伝えします。


HAIKU LIFE 100年俳句計画
2014年11月号(No.204)
2014年11月1日発行
価格 617円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子