100年俳句計画5月号(no.198)


100年俳句計画5月号(no.198)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
誕生日おめでとう ヤッチー


特集
俳句で人は元気になれる! スマイル句会



好評連載


作品

百年百花
 天玲/理酔/門田なぎさ/平山南骨


100年俳句計画作品集 100年の旗手
 妙/八木ふみ/かのん


百年琢磨 平敷武蕉

新100年への軌跡
 俳句/仮屋賢一/雀子
 評/瑞木/マイマイ


選者三名による雑詠俳句計画
関悦史/阪西敦子/加根兼光


へたうま仙女/杉山久子

自由律俳句計画/きむらけんじ

詰め俳句計画/マイマイ



読み物
Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵
お芝居観ませんか?/猫正宗
百年歳時記/夏井いつき
mhm通信/暇人
第3回 大人のための句集を作ろう!コンテスト表彰式レポート
愛媛マラソン吟行会レポート
100年俳句計画活動報告記
写真俳句コンテスト結果発表

読者のページ
俳句ポスト365
一句一遊情報局
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




誕生日おめでとう
ヤッチー

五月の優しい風は
あなたの薄くなった髪を
容赦なく乱れさせます。
五月の美しい太陽は
あなたの皮膚のしみを
増やし醜くします。
五月の軽やかな雨は
あなたのテニス肘を
重く痛みつけます。
そして五月の私は
誕生日のあなたを
強く強く抱きしめます。

66歳を迎えるあなたへ
ヤッチーより


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特集

俳句で人は元気になれる! スマイル句会



 障がい者支援施設スマイルでの句会が始まってほぼ3年。
 毎月開催しているふくし句会のメンバーからの依頼で、mhmの会長でもあるあねごさんが、句会の捌きをつとめています。
 本特集では、句会の様子と参加者の言葉を紹介します。
取材 キム チャンヒ


 僕があねごさんから「スマイル句会も3年近く経って、すごくいい句会になったので、取材に来て欲しい」とお願いされたのが、去年の暮ごろ。そもそもスマイル句会の仲介をした縁もあり、「それはぜひともと」と返事をしました。
 スマイル句会が始まって間もない頃、あねごさんの都合が合わず、代打で捌きをしたことがあるのですが、参加者とのコミュニケーションがうまく取れず、句会を楽しんでもらえたかどうか、全く分からず終わったことがあり、期待と不安とが入り交じる中、取材当日を迎えました。

 約3年ぶりに訪れた障がい者支援施設スマイル(松山市)は、以前と同様明るく静かな雰囲気。ところが、「句会をしますよ」と声かけをする職員の声に、にわかに熱気を帯びてきます。
 ある方は車いすで、ある方はベッドのまま、ぞろぞろと句会のテーブルに集まって、あっという間に句座ができあがりました。
 手際よく職員が清記用紙を配り、選句の開始です。
 声を出すのも、指を指すのもままならない方もいらっしゃるのですが、清記用紙をじっくり眺めて、選んでいきます。
 選句が済むと、それぞれ発表を行い、選んだ俳句について、あねごさんが解説をしていきます。
 その解説に一言付け加えたい方は、テーブルに置かれたチャイムを鳴らします。俳句甲子園をまねて、チャイムを鳴らすことで、マイクを持つことが出来ます。
 そして、自分もその俳句について何処がいいと思ったか、ときには、俳句の技法についての質問など、活発に発言が行われます。
 特に、毎回最前列に陣取る力さんと理恵さんのマイク争奪戦は、観ているだけで楽しく、会場を沸かせていました。
 そして、この日の一番人気の俳句は、森田欣也さんの俳句。
 てっぺんのハゲたる山も笑いけり
 ちなみに欣也さんは、愛媛新聞の文芸欄でも常連、本誌編集室で行っているふくし句会のレギュラーメンバーでもあります。
 今回取材して、もっとも印象的だったのは、職員の方が、嬉しそうに句会に参加していることでした。それは恐らく、句会に参加されている方たちが、生き生きとされているのを目の当たりにしているからだと思います。
 3年前に捌きをしたときは、こちらが反応を求めすぎてしまっていたのだと改めて思いました。ゆっくり焦らず心と心を結びつける力が、俳句や句会にはあるのだということに、気づかせてくれました。
 参加者の俳句が、スマイル句会から飛び出して、もっと広い社会と結びつく日も近いように感じました。


俳句サークルへの思い

【参加者編】 森田欣也

私にとって俳句ってなんだろう
俳句よりかは、カレーライス、カツ丼
ラーメン、餃子の方が好きだし
のんびりと公園を散歩する方が
好きだし、かわいい、あおいちゃんの方が
もっともっと大好きだし
空気のように、なくてはならない
ものでもないし
残りの人生の方がはるかに短くなった齢
その時を振り返った時
その時を詠んだ俳句は
その時を生きた私の証なのかも知れない


【参加者編】 中崎孝行(力さん)

日本語の魅力と文化春日かな
永き日にのめり込むのは俳句だけ
うららかや前先生の教えあり
出来るだけ多く作れとうかれ猫
俳句とは日本の宝陽炎へる
サークルに賭ける情熱春うらら
サークルに魂込むる日永かな
雪解けや一句に賭ける思ひあり
俳句とは日本の誇りフリージア
俳句こそ日本の文化花菜かな
どっぷりと俳句の世界日永かな

本当の俳人なら俳句に対する思いも、
俳句で表現できるんじゃないかなと思って
挑戦してみました。

【職員編】 小泉なぎさ

 毎月、俳句サークルの日が近づいてくると、投句された俳句を入所者の方に選句をして頂くのが私の係です。皆さん、私がやってくるのを今か今かと待っていて下さいます。
 お一人おひとりに何回も何回も読み上げるのは大変な時もありますが、そのやり取りがとても楽しみでもあります。俳句に興味など微塵もなかった私がスマイルに入職して利用者の方に教えてもらったりしながら、「私も出来たよ〜」と一つ又ひとつと投句をするようになりました。
 2011年9月からあねご先生こと高須賀先生をお迎えしてから、先生の懐の深さに魅了され、ますます、力の入る皆さんです。
 これからも個性あふれる利用者の皆さんと愉快な俳句サークルであり続けたいと思います。
 最後に、初めて話しますが、私の大切な祖父は、小泉迷羽という俳人でした。その祖父とは俳句について何ひとつ語ることはなかったのですが、これも何かの縁かな……と感じます。この縁に感謝し、微力ながら入所者の方々の笑顔のお手伝いをしていけたら幸いです。

【職員編】 福宮沙也子

 今回でスマイル句会も30回目を迎えました。私も実際に今まで何度か参加させて頂き、多くの利用者の方と共に、俳句の面白さや奥深さを学ばせて頂きました。また、利用者の方が考えられた俳句に対する想いを聴いたり、句会での皆様のディベートを見させていただく中で、お一人おひとりの俳句に対する熱意を感じ、私自身楽しみながら勉強させて頂いております。
 このスマイル句会は高須賀先生はじめ、参加される利用者の方々、施設の職員等、様々な方の協力があって創られている貴重な場であると、回を重ねるごとに強く感じます。今後も50回目、100回目……とスマイル句会が益々発展していきますことを心より期待しています。

【捌き編】 高須賀あねご

 「楽しい句座を」と依頼されました。「楽しくなければ俳句じゃない」という旗印の元で修業している私としては二言はありませんでした。最初二回ほどは句友に一緒に参加してもらい二人で掛け合い漫才のように句を読み解いたり選評をしました。職員の方もおおいに協力してくださっています。ある職員さんは作者の発する一文字一文字を紡ぐように繋げて一句に仕上げてくれたと聞いています。またできる限り選者自身が選を発表するようマイクを持って気長に回ってくれます。ある時、「チン」と鳴る呼び鈴をテーブルに置いてくださいました。すると自然発生的に意見のある人はまずそれを鳴らし、俳句甲子園のディベート顔負けで熱く句について語ってくれるようになり、やがてマイクの取り合いになるくらい賑やかな句会になりました。句のとりまとめや清記はもちろんですが、職員の方の全面協力なくしてはスマイル句会は成立しません。
 二年目に入る時に句会報を作ろうと思い立ち、句の読み解きや季語についての説明、自虐ネタも盛り込んで書いています。句会参加者以外の方にも楽しんで読んでいただいているそうで嬉しいことです。
 私を受け入れていただけるのにほんの少し時間はかかりましたが、三年目を迎え、笑いの絶えない句会となったところでマガジンに載せていただくこととなりました。今この中で一番スマイル句会を楽しんでいるのは私自身だと思っています。楽しませていただいているお返しに、四年目にはプチサプライズを計画中です。


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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2014年度 第一期 第二回


「鉱山王」天玲

鉱山王の池に花筏の銀河
錬石の響くや花の散り始む
海渡る銅の重さよ花の冷え
つくばいや花びらに触れ風に触れ
草莽の志士待つ老木の桜
朽ちてゆく咎よ空を欲る花よ
望煙楼波うつ花曇りの硝子
連絡船桜の波の果ての島
廻り縁踏む春雪を呼吸して
老いて樹はひかりのために花降らす
霊峰に水の時間や花残る
夜を待たず夜桜と為す海の鼓動


山仕事と書道と家庭生活の黄金比をめざしています。45さいになりました。




「賛美」理酔

水の来る花の座敷に猫も来る
街宣車また街宣車桜咲く
車窓にはパゴダ囲みし山桜
ほろ酔いの東京タワーには桜
昼の酒桜延々太田川
桜山亜細亜情勢ケツに敷く
胃袋の酒と肴と桜かな
花弁を纏いてコンテナトレーラー
脈絡の無き夢のごと飛花落花
傘は要らぬ桜散らしの雨ならば
船腹に花をちらして出港す
花を賛美して戦争が始まる


1960年下関市生まれ53歳。いつの間にか組員人生が10年を越えていました。山を登っていたら海に遊んでいました、面白いねえ。




「剥がれゆく」門田なぎさ

父の名で交わすあいさつ花樒
貝殻のざらりと騒ぐ春の雨
蜜蜂や大事なものは仏壇に
蘂見せて小さき悔ありチューリップ
風を待つ港の路地や春祭
鹿尾菜刈る島のすっぽり濡れている
麗らかや箱より出して靴に艶
綿菓子の中の空気や桜咲く
海恋うて吹くハーモニカ桜の夜
暁の桜より風剥がれゆく
はなびらは人魚のうろこかもしれず
帰るのは月の浜辺ぞ蛍烏賊


愛媛県松山市生まれ。第2回大人のための句集を作ろうコンテスト最優秀賞。昨年暮れに我が家の一員となったゴールデン レトリバーと遊ぶことが目下の楽しみ。




「日を欲る」平山南骨

花冷えや余白少なき提案書
花屑に溢るる溝や手に掬ふ
みな帽子かむりて貧し花の下
剃刀を革砥に研ぐや春嵐
人麻呂忌なりけり耳の毛を剃れば
鶯や眼鏡外して爪を摘む
水音や風に霽れゆく芽吹き山
片栗の花林床は日を欲りぬ
桜蘂降る堤に復習ふサキソフォン
ポケットに嵩む小銭や水草生ふ
春笋の姫皮寿司や木の芽が透き
春深し値引きの札を貼るまで待つ


1968年生。高知市在住。「鷹」同人。




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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2014年4月号 〜 2014年6月号 2/3回目)


 ふくらかに 妙

ふくらかに潤みアスパラガスの朝
初つばめラジオは信仰の時間
万愚節母デナイ日モアリマシタ
花筏よけて汲む水液肥溶く
峡谷の闇は落花をまちわぶる
花の雨六角堂をよこなぐり
山迷ふ遊び馬酔木に招かるる
子猫もらひ来て孫と思へと言ふ
ウイスキーボンボンを吸ふ朧かな
春の夜を怖がる熱の手を握る


農業の合間にテキトーに家事をこなす五十四歳。ラジオ投句に心を吐き出す術を得、楽しく美味しいプリマスロック句会に力をもらい、日々笑って過ごしている。組員歴七年目。



 若葉風 八木ふみ

吊橋の主塔は昏し春の星
潮風は碧蒼青へ島遍路 
麗かや湖さざめかす舟一つ
初蝶の窓に紅茶を注ぐ音
花桃の空より汽笛潮の香
引き分けも是とす桜のスタジアム
花冷えの波頭引く浜広し
赴任地の風は慣れたか躑躅咲く
囀やマザークリスの託児所へ
ここちゃんのピアノで歌ふ若葉風


09年5月より、3人の子の巣立ちを機に木曜カルチャーで俳句を始めました。来島海峡橋の近くに住み、柑橘栽培に励んでいます。趣味は、スポーツ観戦と折り紙。



 陣の風 かのん

黒板に「春が来た」賢治は畑
囀りに引き寄せられて四十雀
初芹の香よ擂鉢の白和えは
落柿舎や一陣の風青麦へ
杉戸絵の白象二頭春の寺
隧道の出口光点康成忌
皆未亡人よと笑う竹の秋
蒲公英の身の丈や還暦白書
馬の仔や付録のようについて行く
泥警や躑躅の社宅駆ける子ら


夫の転勤で松山へ。組長の新聞コラム「えひめ日めくり歌暦」を愛読し、木曜カルチャーを受講。今は郷里福岡で「おらぶ俳人の会」を楽しみにしています。



読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(句会、誌面等)、推薦者ご自身の俳号(本名)、住所、電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ、FAX、Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、専用のインターネット投稿フォーム(http://www.marukobo.com/100kishu/)でも受け付けています。※投稿フォーム利用の場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 毎月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 今回連載を行った3名の作品集の感想もお待ちしています!


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百年琢磨

 法螺俳句を 平敷武蕉

「都府楼」 かのん

春の霧街は嗣治の乳白色

亀鳴くやシェイクスピアは法螺吹きか

春苑の騎馬像奮い立てる脚

 嗣治は藤田嗣治のこと。嗣治は日本画の巨匠として国内外で名を馳せるが、戦争礼賛画家としての一面を持つ。彼の乳白色技法は有名。見透しが聞かず霧の如くかすむ乳白色は、戦前に回帰するかに思える作今の日本の風景でもある。
 「法螺」を想像力の所産と解すれば、「ハムレット」や「ロミオとジュリエット」など世界に愛読される作品を残したシェイクスピアは確かに偉大な法螺吹きかも知れない。「俳句は季題を詠むもの」などという狭い観念を法螺で吹き飛ばし、大いに法螺俳句を詠もう。
 もう春だと思うと「騎馬像の脚」まで、力強く躍動的に映るから不思議だ。


「うねりて海へ」 妙

雉鳴くや農舎に据うる選果台

一万五千余人の忌日木々芽吹く

ラプンツェルに鍵手渡さん揚雲雀

 春の訪れを告げて雉が鳴く。農家は果実の出荷準備に追われる。春の到来を鶯で詠むのが普通。この場合、春はのどかなイメージを結ぶ。雉だとこれから働くという〈動〉のイメージが強い。それにしても選果とは苦い言葉。獲れた果実は皆大地の恵みであり平等ではないか。
 東日本大震災で死んだ人々を忘れてはいけないという作者の強い思いが伝わる。句を詠む時その内的必然が大事。句としての出来栄えは、後からついてくる。
 空高く揚がる揚雲雀を見てラプンツェルを発想する精神の自由さがいい。


「卒業」 八木ふみ

ねこやなぎ橋を渡れば小学校

卒業や手紙を添ふる新刊書

さよならが口から離れ白モクレン

 説明を排し身近な風景で春の到来に向かう心象が手際よく切りとられている。「小学校」がいい。中学校ではだめ。「新刊書」、「さよならが口から離れ」もいい。「離れ」は、花びらが散る意でもある。


平敷武蕉
1945年沖縄県生まれ。著書『沖縄からの文学批評』。俳句評論集『文学批評は成り立つか』で第三回銀河系俳句大賞を受賞。俳句誌『天荒』編集委員。文学同人誌『非世界』編集責任者。


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新 100年の軌跡


2014年度 第一期
第二回


四月馬鹿 仮屋賢一

駅の名にけものの名前凍てゆるむ
蛇穴を出て穴すでに日の下に
上も下も面ばかりなりつばくらめ
御影供の露店の杖は寝かしおく
薬局に菓子を買ひ込む四月馬鹿
雑用の多き休日竹の秋
苜蓿高をくくれる犯人役
目借時眼鏡はんぶん折りたたむ
とほくより始まりゆける茶摘唄
霊園を出で囀のはたと止む
遠足の教師に蝶の集まり来
蝶生るジャズは名演ありてこそ
紋白蝶花ひとつづつ揺らしゆく
種を蒔くつまり達磨に目を与ふ
くづれつつ盛りのままの桜かな


仮屋賢一
1992年生まれ。俳句甲子園出場を経て、現在京都大学工学部情報学科在籍。関西俳句会「ふらここ」代表、作曲の会「Shining」会員。




転校生はランドセル 雀子

入学の身長112cm
自転車に補助輪つけて1年生
いぬふぐりヘアピン曜日ごとに代え
新品の教科書こくごいいにおい
さえずりや壁のうしろの秘密基地
虫かごの蝶々にガムシロップを
はつ夏やうさぎ逃げ出したなら追う
母の日のバスの停め方帰り方
夏の朝植物にあるオスとメス
教室に冷房はない脱ぐしかない
掃除当番蝉になれない蝉がいる
青田風転校生はランドセル
猛犬に注意冷や汗が出るね
靴下を無理やり履いて登校日
プールから帰ってアニメ再放送


雀子
本名、木田智美。1993年3月24日生まれ。大阪府立吹田東高校出身、龍谷大学在学中。12、13回俳句甲子園に出場。関西俳句会「ふらここ」に所属。




集まり来 瑞木

駅の名にけものの名前凍てゆるむ 仮屋賢一

 「凍てゆるむ」という季語、私は使ったことがなかった。「凍っていた大地が春になってゆるんでくること」とあるから、北国ならではの季語だろう。となると、この「けもの」は熊か狐あたりだろうか。

遠足の教師に蝶の集まり来 仮屋賢一

 体格のよい男性教師を思った。ヘアトニックなどの整髪料には蝶の好むフェロモンが入っていそうだ。思いがけなく蝶が寄って来て困惑する表情に俳諧味がある。

入学の身長112cm 雀子

 最初にやったもん勝ちの句材だろう。ぴったり17音におさめたところがナイスだ。6歳の平均身長は116cmらいらしいので、少しおチビさんだ。背の順で並ぶと前から3番目くらいだろうか。

新品の教科書こくごいいにおい 雀子

 これといった季語は無いが連作の強みで迷いなく、小学校に入学して初めてもらった教科書の句と読んだ。わずかな匂いの違いを感じとれるほど、教科書を大事に手にとっている様子が微笑ましい。


1963年生まれ。愛媛県八幡浜市日土町在住。第2回選評大賞最優秀賞。



スケッチ旅行、時間旅行 マイマイ

駅の名にけものの名前凍てゆるむ 仮屋賢一

 熊とか猪とかそんな名前のついた地名はあるものだが、凍てゆるむという季語の登場で、読者は時空を越えて大地に根ざす生き物たちの息吹に思いを馳せることになる。

御影供の露店の杖は寝かしおく 仮屋賢一

 各地に杖伝説を残した弘法大師の命日に寝かせて売られる杖。見えない大師の杖と露天の杖の対比。

霊園を出で囀のはたと止む 仮屋賢一

 何てこともない情景だが、霊園だけに彼岸との微かな繋がりを感じてしまう。もちろん幻想だが。

新品の教科書こくごいいにおい 雀子

 後半のひらがな書きが新鮮。「いいにおい」のストレートな表現に共感した。

掃除当番蝉になれない蝉がいる 雀子

 殻を脱皮できないままに死んだ蝉でも見たのだろうか。掃除当番のちょっとうら寂しい気分に蝉が切ない。

プールから帰ってアニメ再放送 雀子

 プールのあとの気だるさとアニメの再放送がちょうどいい感じ。子ども時代の夏休みにタイムスリップ。


1966年愛媛県生まれ。2003年11月頃よりラジオに投句を始め現在に至る。第2回選評大賞優秀賞。第3回奨励賞。


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超初心者から中上級者まで楽しめる
100年投句計画

 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。今回の先選者は、阪西敦子さんと加根兼光さん。後選者は、関悦史さんです。

 「へたうま仙女」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は杉山久子さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。

 「詰め俳句計画」は、マイマイさんによる、二つのフレーズに合う季語を投稿するコーナーです。季寄せや歳時記さえあれば、全くの俳句初心者でも挑戦できます。
(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)
写真:白鯨


選者三名による雑詠俳句計画


先選者 加根兼光

 久しぶりに大阪に所要で来て、少しの時間、生地堺の駅や旧堺港辺りを歩いた。運河には鯉幟が岸と岸を結ぶように渡され、歴史を経た旧堺港灯台は春の海に小さく佇む。今はクルーザーの停泊地になっている港も人気は少なく海面は静か。ここに多くの外国船や商船が出入りした面影はない。春は間もなく夏を迎え堺大魚夜市や花火に彩られる。そんな晩春の一日。



身を容れてけものの匂ひ春の山 省三

 「容」という表記で現される状況に注目した。春の山に入った時に察知する獣たちの匂いは有る。ただ「容」の文字であらわされるのは春の山とそこに棲む獣たちに受容され許容されるモノとしてそこにあるということ。春は全ての生き物たちが再び生の現場に登場する。人も決して例外ではなくその一部である。作者は春の山に「身を」一体化することで春を獣とともに獲得したのだ。それは生命への純粋な共感であり共鳴である。



開け放す千のロッカー春休み  雨月
 開け放たれたロッカー。「千」だから大きな学校だろう。春休みの校舎は人影もなくただ陽光が空間を彩る。春へと開かれたロッカーは両の手で新しい生徒たちを受けとめるように静かにそこにある。

春の夜の赤きを灯す懺悔室   雨月
 春の夜の怪しい闇をも赤という色で現した。それは懺悔の心の沸々とした赤さでもある。懺悔室の小さな赤い光が懺悔の奥を照らしてゆくように春の夜も更け懺悔はまだ終わりそうもない。

薄桃に山膨らみぬ西行忌 緑の手
 西行終焉の広川寺を思った。ひっそりと佇む寺の裏山には控えめに桜が広がり、山全体を薄桃に染めてゆく。その季節の山を「膨らむ」としたことで冬に眠っていた山が花とともにふんわりと目覚めるさまを表現し得た。

軽傷で良かった春コートに泥  空
 交通事故か或は階段で転んだか。ともかくコートについた泥はそれ以上の大事に至らずただ少しの汚れを残すだけ。「軽症でよかった」という語で状況を的確に表現できた所もよい。コートも破れなかったのだろう。

光を返して春耕の一鍬 空山
 鍬のおこす黒い土塊を「光を返す」と現したことで正に鍬から生まれる春の瞬間をうまく捉えている。「一鍬」であるから耕しは始まったばかり。これから次々と土を光をかえしつつ田畑は春を旺盛に迎えてゆく。

牡丹の芽とがり少年変声期 ターナー島
 芽吹く前の牡丹の尖りと声変りを迎えた少年の淡い尖り様を心地の良い接点で取り合せられた。やがて牡丹を大きく花を咲かせ少年は野太い声の青年となり共に春を謳歌してゆく。その眼の早春に牡丹も少年も今居る。



春の夜のコックローチとトローチと 藍人
渇愛の修司この世に豆の花 幸
掛軸は唐の二行詩黄水仙 みちる
春の風メリーポピンズ来るうわさ 一走人
縄文の怒れる神や牡丹の芽 蓼蟲
武骨なる荷造り島の海苔あぶる 不知火
白魚と躍る山河を喰らひけり 一心堂
残雪と天使のローブにふれる夜 アンリルカ
春の暮空を見上げて笑った日 まこち
巨大タンカー眠らせている春の海 コナン


先選者 関悦史

 「ku+」(クプラス)創刊号が出ました。特集は二本で「いい俳句」と「番矢と櫂」。後者は、到来しなかった「夏石番矢 長谷川櫂の時代」を軸に俳句の現在を考えるというもの。初版が売り切れて急遽増刷中です。予約 問い合わせはメールで kuplus.haiku@gmail.comへ。執筆メンバーは高山れおな、山田耕司、上田信治、佐藤文香(以上編集人)、生駒大祐、阪西敦子、杉山久子、関悦史、谷雄介、野口る理、福田若之、古脇語、依光陽子。



薄桃に山膨らみぬ西行忌 緑の手

 西行の忌日は西暦でいうと1190年3月23日になるらしいので、梅や桃はすでに咲き、桜もそろそろというところでしょう。西行の辞世《願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ》の、つきつめた、大向こう受けがするような詠みぶりに比べ、800年以上経った現在の、気張りのとれた、柔らかくもおのずと大地の力と通じあった西行忌になっています。「薄」と「膨らみぬ」の、ぼかしが利いています。



ヒーローの交代告げる雛の市 小市
 地方のイベントでよくやる特撮ヒーローショーの光景でしょうか。季節がいつであっても成り立つ出し物ですが「雛の市」との取り合わせで、行楽日和の雰囲気。「交代」の場面に絞ったのが巧妙。

春の夜のコックローチとトローチと 藍人
 音韻上似ているという以外に何の関係もない薬剤同士を並べただけの句ですが、季語「春の夜」が両者を微妙に両者を包んで、違ったまま引き出されたどうでもいい共通項に妙な説得力を与えています。

シーソーに目玉描けり山笑ふ 瀬戸香
 季語は付きすぎな感じもするものの意外な物件の面白みあり。ただ「描けり」は自分の動作にも見えるので、公共物に落書きしたことになりかねず、「描かれぬ」等の言い換えを考えた方がいいかとも。

牡丹の芽とがり少年変声期 ターナー島
 牡丹は別名「花王」ともいわれる華やかな存在感のある花なので、変声期後の少年にもその印象が重なります。「とがり」は季語に対する修飾(つまり無駄)になるので、なくて済めばなお良し。

老遍路より金色の納め札 えつの
 納め札の色は巡拝した回数によって決まっているそうで、金色だと五十回以上百回未満になるようです。「老」だとそれも当たり前ともなりかねませんが……突然金色が現れた瞬間を掬って印象鮮烈。



渇愛の修司この世に豆の花 幸
中ほどに一塊の紫雲英かな のり茶づけ
風車止む紫の赤と青 ヤッチー
水温む夢から出たり入ったり 和音
開け放す千のロッカー春休み 雨月
若鮎や淡き不安を競ひをり うに子
青い目の親子遍路と出会ひけり 喜多輝女
ありがとうしか言えなくて卒業す おせろ
起き上がり小法師ひょこひょこ目借時 あい
大仏のふところ深く雀の子 あおい



後選者 阪西敦子

 一本電話に出たばっかりに特急に乗り遅れ、普通電車で帰ることになった。一時間四十五分の道のりの三十分ほどを過ぎたところで、沿線で人身事故のアナウンス。しばらくした駅で運転を見合わせるという。駅の名は高浜。駅の東で霞ヶ浦へ入る恋瀬川の河川交易で昔は栄えたが、現在は、筑波山まで田園が続くひろびろとした駅だ。しんとした中に携帯のアラートが鳴った。見ると蛇笏賞の速報であった。高野ムツオさんと深見けん二さんの同時受賞の知らせ。虚子を敬愛するけん二さんの姿が頭をよぎり、駅名との妙な符牒を一人喜びながら空を見上げた。雲は晴れて金星を従えた満月が現れた。


特選句
一式の用具託され社日来る 青蛙
 社日。あまりなじみがなくて、具体的な用具がわからないのだけれど、なにか細々として、しかし割と身近なものなのだろう。あるいはそのための事務用品や、次第も含んでいるのかもしれない。一式が細かくて、重たい。

春の水撒かれて終わる広場かな しんじゅ
 「終わる」が妙な位置にあって気になる。ちょろちょろ、ゆらゆらとゆるんできた春の水を撒いて、それが尽きるということであろうけれど、広場に人が途絶えて、しんと一日を終わるようでもある。春の浮遊感。

百艘の舳先揃ふや朧月 北伊作
 ボートかヨットか、クルーザーか、あるいはもっと大きな船だろうか。舳先の形の基本は同じ。それが朧に並ぶ。多くを言わずに、月光のうっすらと届く水面と、舳先の尖りが朧の中で浮きあがる様子を描き出して、美しい。


並選句
淙淙と和紙梳く人へ春日影 むらさき
赤ちゃんのにっこりえがおえくぼ花 エノコロちゃん
富士山麓桜前線通過駅 ひでやん
毛糸ぬぎぬいでまだぬぐ母八十路 杜木あわい
さくらんぼの初花二つ誕生日 えつの
裂帛の面一本や冴返る 哲白
春月の後からあいつも付いて来る 鯉城
「こんにちわ」走りなわとび春の空 あらた
春暁に合はす炊飯のタイマー もね
初雪や笑ふ羅漢の口の中 迂叟
取り寄する羊羹二本うららけし 杉本とらを
紙風船破れを塞ぐセロテープ はまゆう
母の忌のひ孫まご笑む青嵐 レモングラス
陽光に照る日くもる日白木蓮 野風
咲き敷きて勿忘草のなほ孤独 樹朋
春の蠅うつらうつらのディスプレイ ほろよい
ぶらんこの二つ夜を揺れ続く雨 ほろよい
春雨や行方不明の航空機 未貫
百合鴎首を傾げてぎいと鳴き 七草
しだれ桜小さき児までもふれてゆく お手玉
静電気走る手と手や猫の恋 ゆりかもめ
弁当を広げる輪あり海に春 八十八
指先の曲がらぬ朝や梅香る まんぷく
春雪と遊び疲れた靴の泥 八木ふみ
菜の花や鍬をころがしおやつ食ぶ ぴいす
法安寺眺めまはして牡丹の芽 人日子
誰が先に攫ふて行きしか蕗の薹 ポメロ親父
乳母車押す母と子の石鹸玉 瀬戸香
春光を纏ふ七百年の門 松ぼっくり
酸葉食む顔のゆがみて口すぼむ カシオペア
申告を終えふうわりと春ショール ひなぎきょう
髭面の庭師の前を鴉の子 あい
霜枯れや古き子の服子の匂い ターナー島



関悦史(せきえつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

阪西敦子(さかにしあつこ)
1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

加根兼光(かねけんこう)
1949年大阪生。俳句集団「いつき組」組員。第9回俳句界賞受賞。



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へたうま仙女


文 杉山久子

久々の晴れによろこぶ日曜日 ケンケン
 お出かけとか洗濯とかスポーツとか色々出来るもんね。日曜休日の人の共感を呼びまくる晴れ晴れさに仙女の羽衣も軽くなってくるわ。

深呼吸父教わりて病んでゐる! KIYOAKI FILM
浴槽に父ゐてあっ痛はあかん KIYOAKI FILM
他の誰にも真似出来ない句世界を展開するKIYOAKI FILM。含羞を帯びた父恋の句も痛くて切ない。

春ひよこ羽根付餃子の走る如 ちろりん
 そもそも餃子を鳥に見立てたのが羽根付なんじゃないの? 反転比喩が春らしい不気味な世界を創りだしてくらくらしてきたわ。

俎板に銀鱗ひかる桜鯛 たっ君
 めでたい色味がきらきらしてるわね。なんとなくデジャブな句かも? こんな句の料理の仕方が仙女は苦手。そろそろ板前修業に行かなきゃかしらね。

コンコンとノック中指春隣り 大阪野旅人
 春を呼びに来たノックかしらね? カタカナの連なりも軽やかに、心憎い中指め。

雛菊の色に雨粒弾かれて 台所のキフジン
 焦点を絞った描写で、雨に濡れた雛菊と周りの空気がいきいき。うまうま界へ追放よ。

山桜サクマドロップからからと ひでこ
 サクマドロップの楽しみは振って出す、何が出てくるか予想したり期待したりするわくわくを伴ってるところ。清楚な山桜の白さに淡い期待感が託されて。追放。……の前に一個からから。私は薄荷が出ると損したような逆に得したような変な気分になったものよ。

三月や立ち止まってもいいんです 柊つばき
 そうですそうです。時には立ち止まってへたうま句の将来についてふか〜く考えてみましょう。

病床の猫とながめる桃の花 青萄
 病気の猫に寄り添う光景。こんなほのぼの猫句は追放。追放……だけどかわええ(ハート)

尾道の坂に迷いて猫の恋 元旦
 こっちは迷っちゃってるけど、猫は元気そう。同時投句「騙されたふりしてあげる四月馬鹿」は大人の余裕ね。

地図拡げ思い出す路地壬生菜和 未々
 迷ったら地図を拡げたり人に訊いたり。そうすれば壬生菜和のような優しい出会いがあるかもよ。

春の宵付かず離れず二人連れ あきさくら洋子
 んまああ、羨ましいことね! のたりのたり勝手にやってちょうだい。道理で次のような人も出てくるわ。

水温む再婚相手募集中 小木さん
 えっ? 小木さんも新しい心境へ? ともかくも健闘を祈る。

虚子の忌の席譲られる始発便 南亭骨太
 俳句の基本形をちゃっかりと身に付けておられると見ゆる。こんな句は始発便に乗ってどっかへ旅立っておしまい! 追放。

 春だからかしら? 変化と新しい環境への旅立ちめいた句が多かったような。仙女もなんだかうずうずしてきたり。
 さて、皆さんに朗報よ! あのへたうま仙人が昼寝から覚めて戻ってくるわよ。へたうま界の益々のパワーアップ楽しみだわね〜。お役御免で追放の仙女は御無沙汰してたマブダチのさおりん(佐保姫)の所にでも遊びに行こうかな?
 では皆さんご機嫌よう。



杉山久子(すぎやまひさこ)
1966年生まれ。第二回芝不器男俳句新人賞。句集『春の柩』、『猫の句も借りたい』『鳥と歩く』。


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自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 「論文の体をなしていない」、「未熟な研究者」「徹底的に教育しなおさないと」……
 これはSTAP細胞の問題で渦中にある理化学研究所とその理事長(この方ノ―ベル賞受賞者)が、あの小保方晴子氏に発した言葉なのだが、まるで彼女はよその組織の人で自分達にはなんの関係もないというような無責任な印象を受けるのはワタクシだけなのか。長い間組織にいて、謝ってもらったり謝ってやったりして支え合ってきた身としては、いまさらながらびっくりなのである。一方いろいろ不備や不始末があったとはいえ、こうなれば小保方氏としては、論文を是正しSTAP細胞を再現するしか反抗の道はない。その再現を世界が認めた時、理研や理事長はどんなコメントを発するのだろうか。聞いてみたいのである。(これってノーベル賞受賞者にケンカ売ってることになるの? コワッ)



掃除機の吸い込む日永 不知火

 芝不器男の「永き日のにはとり柵を越えにけり」とは、時代感覚は違うが根底に流れる気配は同じような気がする……といえば言い過ぎか。一般的には、掃除機で掃除するのは朝だと思う。しかし寒い暗い冬を経て、なんとなく暖かく長くなってきた日中のゆとりが、思わぬときに掃除機を動かしてみることになる。うまく切り取った日永のワンシーンと言える。あえていえばややリズム(律)が悪い。「掃除機の吸い込んでいる日永」でも、良いのではないでしょうか。



春ショールそんなにはしゃぐんじゃない  ポメロ親父

 単純明快、あっけらかんとした素直さが良いと思う。妻なのか娘なのかひょっとして愛人なのか……一緒に出かけようとしているのだろうが嬉しくてしょうがない。気持ちはわかるが度が過ぎると、なんだかこっちがはずかしい。春ショールと相まって、そんな平和な春がよく伝わってくる。

花の下靴下に穴 ゆりかもめ

 花見の宴で、よく見れば靴下に穴が開いている……という珍しくもないシーンを詠んでいるのだが、言葉に無駄がない。靴下に穴が開いているのでどーのこーのとは言っていない。この凝縮されたギリギリの表現が自由律の俳句たらしめている。「花の下靴下」の韻もよい。

四月のスクランブル交差点に入り乱れて  大阪野旅人

 場所はこの際渋谷駅前のスクランブル交差点。時期は一月でも八月でもない、一気に春となる四月。まさにこの通り混沌と高揚が交差する。むかし「〜スクランブル交差点でかき混ぜてくれ」という句をつくったが、この句のほうがよい。「〜入り乱れる」のほうが句が締まる気がします。

だあれも居ない梅の木が一本 北伊作

 世の中どこを見ても桜が満開。しかしふと気がつくと、そこにはすでに時期を終えてしまった梅の木が取り残されたように一本だけ。忘れ去られたものの寂しさが、うまく表現できていると思う。目のつけどころがシャープです。

答えはぽんと出てくる風光る たま

 春の季節を詠んだたくさんの句の中では、ちょっと異彩を放っていた。たぶん「答えはぽんと出てくる」という表現だろう。あらゆるものが芽吹く春を連想させて上手い。「風光る」という季語に頼らずまとめてほしかったけど……。



次は何に生まれてこよう蓬よもぎ 緑の手
遅咲きのヒヤシンス白くて重くて 一走人
山笑う今日も一日生かされて 空山
居留守のはずが初音に窓ひらく もね
ザビエルの髭に蝶一頭 藍人
春の水でもやがて沈む一円玉 しんじゅ
春愁を抱きて乗るヘルスメーター たま
貝のぬた和え朧夜の底に 空
クレーン車の引っ張ってくる春の夕焼け あきさくら洋子
花待つは咲くを待ち散るを待つ 七草


並選
マスクを外し自分の顔が元に戻る ケンケン
記念日忘れとった夏めきぬよ レモングラス
幸せぶるパンジー あらた
帝国ホテルアンモナイトの群生す 小市
詫びできず白い菊供ふ 迂叟
片恋のありえぬ雛 幸
叩いても叩いてもハードディスク みちる
掌に椿落ちた のり茶づけ
遠足には茹で卵 ヤッチー
ラブホテルの灯り地虫出づ 元旦
ぎゆうつと目を瞑る KIYOAKI FILM
春雨の気まぐれに走る 和音
いやいやの春なのに 小木さん
もう朝寝とは言えぬ時刻 雨月
カーブ多し卵十個を守りきれず うに子
花を待てぬ鳥達よ唄ふに留めよ 七草
黒い鳥すずなりにくる桜かな お手玉
男ばかりの職場の大掛時計 ゆりかもめ
春の陽の沈むをテトラポット越しに見る 喜多輝女
地震に目覚め白湯啜りをる 空
携帯に異常着信迫り来る春の地震 一心堂
喰えば寝る哀しき習い桜はまだか?  まんぷく
しゃがみこむ春の背中の覗くもの 台所のキフジン
いつ来ても梅林裏切らず 松ぼっくり
ものの芽の息吹ビビビと土を割りにけり カシオペア
胃薬を美味と感じる自分が心配 瑞木
菜花の成すがままの中州 青柘榴
タミフル効く前に桜餅食べて寝る ザッパー
ロックンロール海越えて春の石 ちろりん
人生は自分できめろ 柊つばき
ネコノメソウガヒカッテル エノコロちゃん
夫の四点杖蹴飛ばして春愁 コナン
佐保姫が来ただけでこんなに楽しい 鯉城
春の雪当直医は饒舌 ひでこ



きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「層雲」同人。写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。


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詰め俳句計画


出題 文 マイマイ

今月の問題
 次の(  )の中に共通する春の季語を入れて下さい。
ほろ酔いの吾と(  )を連れ帰る
(  )のそれぞれ自転する地表

 今回のポイントはまずリズム。前句の「吾」を「われ」と読むと季語は3音が妥当となりますが、後句の上座が字足らずになります。そこで前句「吾」を「あ」と読み4音の季語を考えたいところです。
 とはいえ、まずは3音の季語を選んだ方々をご紹介……。

ほろ酔いの吾と若布を連れ帰る
若布のそれぞれ自転する地表
 KIYOAKI FILMさん。前述の通り後句のリズムが合わない。内容も変。7級。ケンケンさんは桜。前句花びらのことでしょうが、桜の樹を担いで帰っている図が浮かんでしょうがない。同じく7級。南亭骨太さん、緑の手さんは酒星。またマニアックな季語、しかも二人! 詳しくは歳時記などで……。前句、星を連れ帰る発想は楽しい。後句、星は自転するかもしれないがそれは地表ではないので意味が取れなくなる。笹百合さんは日永。前句、「日永」を連れ帰るのは無理だが、そこが少し面白くもある。6級。ひでやんさん、まこちさんは蜆。後句、自転する蜆を想像して笑ってしまった。5級。カシオペアさん、杜木あわいさんは落花。リズムの問題はあるが内容的にはほとんど正解。後句も自由律として捉えればそれほど悪くない。自由律で行くなら「の」は取った方が個人的には好み。3級。
 次は4音の季語の方々ですが、前句の「連れ帰る」と後句の「自転」とどう合わせるか……。

ほろ酔いの吾とふらここを連れ帰る
ふらここのそれぞれ自転する地表
 あらたさん。「連れ帰」れないし、「自転」したら超危険。7級。

ほろ酔いの吾と雪虫を連れ帰る
雪虫のそれぞれ自転する地表
 レモングラスさん。冬の季語の綿虫とは別種で雪の上にいるセッケイカワゲラのことと歳時記にありました。前句、昆虫学者が酔った勢いでつい採集? 後句は雪虫が転がったりしたのだろうか。ポメロ親父さんは恋猫だが、恋に夢中で連れ帰るのは無理な気がする。後句は恋猫の恋の様子を自転に例えたのだろうか。5級。たっ君の春蝶は前句かわいらしい。杉山久子さん、笑酔さんの春の蚊も実感があっておもしろい。が、どちらも後句の自転に無理がある。4級。

ほろ酔いの吾と春月を連れ帰る
春月のそれぞれ自転する地表
 藍人さん、未々さん、青柘榴さん。蓼蟲さん、空山さん、まんぷくさんは春星。前句、月や星を連れ帰るのはいい感じ。「春」も利いている。あきさくら洋子さんの春泥は前句に実感。元旦さんの陽炎、ほろよいさん、瑞木さん、コナンさんの朧夜、一走人さんの春暁、小市さんの春荒、小木さんのうららか、喜多輝女さんの春風、瀬戸香さんの初虹、いずれも前句持ち帰れないものを連れ帰ると言い切るところに詩を感じる。しかしいずれの季語も後句に無理がある。5級。大阪野旅人さんは春塵。後句、光の中できらきら舞う塵を「自転」と言ったのだろうか。ヤッチーさんは佐保姫。アクロバティック佐保姫軍団? 4級。迂叟さん、うに子さん、ゆりかもめさん、エノコロちゃん、ひでこさんは春愁。前句、自分の中にある感情を自分自身と並列においたのが面白い。後句は自身の煩悶を自転に例えたのだろうか。2級。

ほろ酔いの吾と菜の花を連れ帰る
菜の花のそれぞれ自転する地表
 ひなぎきょうさん。ちろりんさんはたんぽぽ。人日子さんは蒲公英。ほろ酔い気分で花を摘んで(というよりちぎって)帰ったのでしょうか。後句の自転をどう捉えるか。4級。

ほろ酔いの吾と田楽を連れ帰る
田楽のそれぞれ自転する地表
 妙さん。後句、焚火に翳した田楽をくるくる回すのを自転と例えたのかと思うと可笑しくて思わず愛してしまいました。2級。鞠月さんは風船。前句、確かに風船にはどこか「連れ帰る」感じがありますね。後句も現代アートのような少しシュールな情景。1級。

ほろ酔いの吾と花屑を連れ帰る
花屑のそれぞれ自転する地表
 れんげ畑さん、のり茶づけさん、空さん。ほとんど正解。なんと美しい「屑」であることか。初段。台所のキフジンさんは花影。これは写生というよりもぐっと虚の世界に近い。後句、自転を影絵として見せて幻想的。同じく初段。

ほろ酔いの吾と猫の子を連れ帰る
猫の子のそれぞれ自転する地表
 幸さん、雨月さん。前句、猫好きとしてはあるあるの実感。後句が可愛くて可笑しくて好き。初段。


今月の正解
ほろ酔いの吾と花片を連れ帰る
花片のそれぞれ自転する地表
 正解者なし。花弁の形を読者に思い浮かべてほしくて花片としましたが、前出の花屑と迷うところです。自己判定初段。
 この一年間投稿していただき、本当にありがとうございました。しばしのお休みを頂きますが、機会がございましたら復活したいと思っています。引き続き俳句修行は続けてまいります。
 では、いずれまた。



マイマイ
2003年11月頃よりラジオに投句を始める。割と生活派俳人。第一回大人コン「多面体」にて優秀賞受賞。句集『翼竜系統樹』マルコボ.コムオンラインショップにて販売中。将棋推定初段。棋友募集中。



【100年投句計画】投句方法
 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可)、俳号(なければ本名の名前のみ)、本名、電話番号、住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句までお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。
ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙女」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。

それぞれ締切は、5月20日(火)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがきFAXでも投句できます。


さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。(俳句ポスト365のページ参照)


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Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.10


waiting for blossoms
tiny buds, so pink, so red
more rain for new life

桜の芽真赤になりて雨を待つ


(直訳)
開花を待つ
小さな蕾 こんなに紅く 赤く
もう一雨で生まれる生命



We are home after our concert tour; relaxing, sleeping, and eating Chizu-san's home-made cookies. My hope is to resume our progress toward the summit of Fuji-san, but we don't know how much snow remains on the trail. Let's go up and find out!

演奏旅行を終えて家に帰った僕らは、くつろいで、眠って、千津さんの自家製クッキーを食べてる。
僕の望みは、富士さんの頂上へ向かって進み続けることだけど、登山道にどれだけ雪が残ってるかはわからない。どれ、登って見て確かめよう!



ナサニエル ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2013年7月より山梨へ移住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第38話
「スウェーデンに愛をこめて」アート ファーマー


 農政官僚、そして研究、教育者としての輝かしい経歴を知った今でも、みちるさんの肩書は断然「俳句コメンテーター」である、と僕は思っている。クールに、時にホットに、しかも瞬時に俳句を評するフレーズはテンションが効いて、まるで詠み手とのインタープレイの様。つまり、とてもジャズっぽい。
 そのみちるさんにリクエストしてもらい今回のメインテーマが決まった。

恋人の終わる会話のように初夏 チャンヒ

 改めて解説すると、我がJAZZ句会ではレコード・ジャケットから受け取ったインスピレーションを俳句にした時、それを「ジャケ句」と呼ぶ。つまり、チャンヒさんのこの句はジャケットに添えたいほどのジャケ句なのである。
 スウェーデンのトラディショナル ミュージック(伝統音楽)がズラッと並んだ「スウェーデンに愛をこめて」は、アート ファーマーのフリューゲルホルンとジム ホールのギターの会話(インタープレイ)が全曲で存分に楽しめる。ピアノレス カルテットとしたことも功を奏したのだろう、ジャケットと演奏が一体となった名盤。

春深し金色の死を良しとする みちる

 大学を退官され松山を離れるみちるさんの置き土産が、やはりジャケ句。みちるさん、JAZZ句会で大切に保管、活用させていただきます。
 サブテーマのアルバム「ブラス シャウト」のジャケット デザインは、かなり衝撃的である。金粉を塗布された女体。まるで「007ゴールドフィンガー」のような。金粉は「ブラス」? 開いた口は「Shout(叫び)」? 何とも意味深な構図である。

ゴルソンのサウンド効けば喜雨の街 蛇頭

 メインがスウェーデンのスタンダード ナンバーなら、サブは「ニカの夢」「枯葉」「モーニン」「パリの四月」「星影のステラ」等々ジャズ スタンダードの人気ベスト10モノが連なるアルバム。聴きどころは何と言っても「ゴルソン サウンド」と称されるベニー ゴルソンのアレンジで彩られたブラス群の分厚いサウンドだろう。僕はゴルソンの少々浮つきぎみにうねるテナーサックス ソロを好まないが、作、編曲者としての彼にはぞっこんである。ゴルソンが設えた音園から放たれる名手たちのソロも格別。幸いにも?このテンテットにプレイヤーとしての彼の名はクレジットされていない。

春みちるスタンダードに見送られ 猫正宗

 今回も猫さんが粋なごあいさつ句を詠んでくださった。それでは、みちるさん、近いうちにJAZZ句会でお会いしましょう。関東からの投句も待っています。再見!!



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第38話
『雛鍔』
〜 えっ? おひなさまじゃないの? 〜


あらすじ
 植木屋がある武家屋敷で仕事をしていたところ、昼休みにそこの若様とお付きの三太夫が出てきた。
 若様、落ちていた穴あきの四文銭を見つけ、三太夫にこれは何かとたずねる。
 三太夫はあえて銭とは言わず、「いっこうに存じません。」
若様「丸く、四角い穴が開いているし、字が書いてあるぞ。これは古いおひなさまの刀の鍔ではないか?」
三太夫「卑しい物ですのでどうぞお捨て下さいませ。」
 若様、言われるとおり捨てて行ってしまった。
 それを見ていた植木屋、びっくりして聞いてみると、若様は八歳になられるが、高貴なお方には汚らわしい銭のことは教えないという。
 家に帰り、うちの子供も考えなくちゃいかんと女房に話していたそばから息子は「遊びに行くから銭おくれ、くれなきゃぬか味噌ん中にションベンするぞ。」という始末。
 この息子、お屋敷の一件を立ち聞きしていたらしく、一旦外へ出て行ったものの、帰ってきながら「こんなものひろったー!」と、穴空き銭を拾ってきたようだ。
 仕事の話をしに来ていた店の番頭が、何拾ったんだい?」と尋ねると、息子は「何だろうなお父つぁん、真ん中に四角い穴が空いていて、字が書いてあるけど、おひなさまの刀の鍔じゃないかなあ?」
 番頭「店のお坊ちゃんでも銭の使い方はご存じだが、おまえさんの家では銭を知らないのかい? 坊や、銭はためにならない。おじさんが好きなものを買ってあげよう、何がいい?」
植木屋「ありがとうございます。やい、喜べ。拾ったものは汚ねえから捨てちまえ!」
息子「やだい! これで芋買うんだい」



 この噺、おひなさまの季節の噺として知られておりまして、タイトルもそのままなんですが、調べてみるとどうやら武者人形ではないかと思われるのです。
 まず、大きさ。四文銭ということを考えると、おひなさまの刀の鍔ではどうも小さい。武者人形くらいの大きさだとサイズがちょうど合う、ということ。
 そして、若様という設定なので、おひなさまより武者人形のほうがしっくりくる、ということ。
 ま、これだけで断定するのはいけないかもしれませんが、そのほうが自然であると、考え直している評論家もいるようです。
 上方から江戸へ移された落語はたくさんありますが、この噺は江戸で生まれたものと思われます。
 上方落語にもこの話が移されて出来た「お太刀の鍔」という話があることにはあります。しかし、設定は高家の息子がお金のことを知らないということで、商都 大阪の商売人の子供がお金を卑しいものだというのは首をかしげたくなります。
 故 古今亭志ん朝師の名演がCD化されています。
 また現在の若手ナンバーワン真打といわれる春風亭一之輔師の音源もありますので聴き比べてみては?

 名跡は次男に譲り武者人形


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ホンヤクサイホンヤク


翻田 訳蔵

 俳句初心者、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。


今回の俳句
 分け入っても分け入っても青い山 種田山頭火

 エキサイト翻訳(英→日)

It is a blue mountain, even if it divides and divides.

 では、再翻訳

分割し分割しても、それは青い山です。

 ある図形の断片を取ってきたとき、その形状と図形全体の形状とが相似である場合を自己相似図形というそうです。つまりどんなに拡大して細部の形を見ても、元の形と同じということです。このような自己相似は自然界に多く存在するそうです。たとえば、海岸線の形、山の形、枝分かれした樹木の形などなど。そんなフラクタルな句だったとは。さすが、山頭火です。

 続いてGoogle翻訳(英→日)

Blue mountains well into divided well into divided

 再翻訳

にうまく分割ウェルにブルーマウンテンは、分割された

 支離滅裂ですが、とにかくブルーマウンテンはうまく分割されたようです。

 最後に、Yahoo!翻訳(英→日)

The mountain which is blue even if I push my way even if I push my way

 では、再翻訳

たとえ私が押し分けて進むとしてもたとえ私が押し分けて進むとしても、青い山

 これは元の句に近い感じで再翻訳できましたよ。少し演歌の香りを感じるのは私だけでしょうか?
 それでは、この3つを受けて一句。


たとえどんなに分け入ってもたとえどんなに灯りがほしくても青い山 翻田訳蔵 


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お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第19回 「片づけたい女たち」
(グループる ばる公演、作 演出:永井愛、出演:岡本麗、松金よね子、岡田美也子、14年2月20日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール)


 高校からの友人で今や五十代の三人。連絡が取れなくなったツンコを心配して、新年早々部屋を訪れたおチョビとバツミが見たものは、荒れ放題のごみの山とそこに埋もれているかの様なツンコだった。ツンコを叱咤しながら、通路の確保だけでもと片づけ始める二人。片づけながら交わす会話から、三人それぞれの、人生で片づけたい、片づけられないものがこぼれだしてくる。そしてツンコは、部屋が荒れてしまった一因、高校時代に抱え、今また直面している「決して告発されない」ゆえに「最も重い罪」について吐露し始める。
初日記片づけられない片づけたい
 一見ステレオタイプな人物像が、物語が進むにつれ幾重もの層が現れてくることによって、生き生きとした生身の存在として立ち上がってきます。それは三人の女優の優れた身体性(掛け合いのタイミングの見事なこと!)と脚本の妙によるものでしょう。
 永井愛の作品は、松山市民劇場では、『ら抜きの殺意』『パパのデモクラシー』『見よ、飛行機の高く飛べるを』『日暮町風土記』を上演。沢口靖子主演のドラマ『シングルマザーズ』の原案としてご存知の方もおられるかも。
 さて、本作は「傍観者」であるという罪についての問いかけが、大きなテーマとなっています。無論コメディとして、それは声高に糾弾されるものではありません。しかし、自分が今まで観てきた永井作品にも、多かれ少なかれその問いはあったのではないか。何作も観ていながら自分はその問題に真剣に向き合ってきたのか。そう考えると笑いながらも慙愧に堪えない思いにも駆られるのです。
何歳になろうとも夏嵐の夜
 それにしても、人生も部屋も手のつけられるところからつけていくしかないのだよなあ。とわが部屋を見回してはため息の日々。



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。


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百年歳時記


第12回 夏井いつき

水槽の河豚が供養を覗きけり もね
 この句の季語は「河豚」ではなく「河豚供養」です。冬の季語「河豚」の美味しい時期が終わる4月末頃、【河豚を取り扱う業者らが河豚に感謝して行う追善供養】を意味します。
 僧の読経、お香の匂い、毎年読まれる似たような文言の弔辞、そして祭壇の「水槽」の中には堂々たる「河豚」が泳いでいるのでしょう。硝子越しの「河豚」の目がギョロリと大写しになっているような映像も見えてきます。ワシが供養されてる?なんて訝しい表情の「河豚」は、供養のあと、無事海に放生されるのでしょう。
 「河豚供養」という季語を分解しての語り口、生きた「河豚」がありありと見えてくる描写、いやはや楽しませて頂きました。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』4月18日放送分)

被災地のぎしぎし千と百日目 西条の針屋さん
 どれが季語かというと中七の「ぎしぎし」ですね。「羊蹄」と書いて「ぎしぎし」と読むこの季語は植物名。タデ科の多年草で全国の畦道や野原、やや湿った道ばたや水辺などに生えています。
 一読「被災地」の一語は、東日本大震災を想起させます。瓦礫の山が撤去されただだっ広い空き地は、まだまだ復興にはほど遠く、がらんと空疎な風が吹いているばかり。そこにいち早く芽吹き、はびこり始めたのが「ぎしぎし」です。震災から三年、人々が「千と百日目」の祈りを捧げている傍らで、「ぎしぎし」は旺盛な生命力を見せつけます。食用とも薬草ともなる雑草「ぎしぎし」の強さが、一句のバックボーンとなっていることは言うまでもありません。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』3月28日放送分)

雨の野や馬の子の名はルミエール 東ゆっこ
 「ルミエール」とはフランス語で「光」の意。こんな名前をつけるということは、生まれた「馬の子」はサラブレッド系でしょうか。
 中七下五の詩句をさらに美しくしているのが上五「雨の野や」という詠嘆。「馬の子」が春の季語ですから、この「野」は春草の芽吹く野原です。朝の雨を想像したのは「ルミエール」という言葉の余韻でしょうか。朝の雨が降る明るい野の美しさ。今朝生まれた「馬の子の名」を「ルミエール」と決めた瞬間の感動が、読み手の心にさざなみのように広がってきます。やがてこの輝く野を、光のような鬣をなびかせ、光のように疾駆する「馬の子」は、今やっと立ち上がって母馬の乳房に鼻をすり寄せているのでしょう。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』4月11日掲載分)

今飛んだの見た蘆の角揺れている 河合郁
 眼前にあるのは、揺れ残る「蘆の角」のみですが、「今飛んだの見た」という言葉が生き生きと映像を伝えます。「今飛んだの」がなんであったかは語られていませんが、鳥であったことは分かります。「今飛んだ」鳥を見つけたささやかな興奮が、春の岸辺の散策の楽しさを語り、揺れ残っている「蘆の角」が作者の心に春の印象的なシーンとして刻まれます。きらめく春を喜ぶシーンのなんと楽しいことでしょう。
 「今」見た? 青い綺麗な鳥! 翡翠かな。翡翠って夏の季語でしょ? うん、そうだけど、この辺りに翡翠の巣があるから、時々飛んでるのを見るよ。そんな会話が交わされたのかもしれませんね。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』 4月4日掲載分)

千仞に吊橋田楽の匂ふ 桜井教人 
 「千仞」は「千尋」とも書いて「せんじん」と読みます。「尋」も「仞」も長さの単位であり、【山などが非常に高いこと。また、谷や海などが非常に深いこと】を意味する言葉でもあります。
 「千仞に吊橋」は遠目の光景とも読めますが、「田楽の匂ふ」と続けば、吊り橋のど真ん中にいると読んだほうが楽しい。眩暈のするような「吊橋」の上で足もすくんでいるのに、鼻だけは「田楽」の香ばしい匂いをキャッチしている姿も滑稽。「吊橋」のど真ん中の臨場感を楽しんでこその一句ですね。吊り橋を渡りきって、ああ怖かった! 揺れたね! なんて話しながら、橋のたもとの田楽屋さんへとワイワイ向かう、そんな光景までもが見えてくる作品でした。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』3月21日掲載分)


*百年歳時記は、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』や
 松山市公式サイト『俳句ポスト365』(http://haikutown.jp/post/
 などに投句された俳句を紹介します。


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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第38回 文 写真 暇人

第3回 女川町の桜を復活させよう! チャリティー句会ライブ

 mhmでは今年も「100年俳句計画大お花見会」の会場をお借りしてチャリティー句会ライブを開催した。
 当日の朝、道後公園は時折大雨に見舞われ、ひとまず公園内の東屋へ。昨年に引き続きオープンした「純喫茶 恋猫だった頃」のママ、しんじゅさんの珈琲で暖をとる。
 やがて「大人のための句集を作ろう!コンテスト」表彰式の時間が近づく。今回集金担当の雪花さんに留守番をお願いし、子規記念博物館で行われる表彰式へと向かう。
 表彰式が終わり、会場に戻る頃には天候が回復。急いでいつもの場所で設営を行う。また、都合により句会ライブが1時間遅れで開催されることになり、Facebookやblogで告知を行う。
 それまでの間、お酒も入りいい感じになった頃、大塚桃ライス先生による「恋するフォーチュンクッキー俳人編」の撮影へ。シーンとしては映像の最後、繰り返し何度も撮影していた。
 場が最高に盛り上がったところでいよいよ句会ライブの開始。今年も「女川町桜守りの会」の藤中郁生氏から届いたメールをまず初めに紹介。その後、惜しくも決勝に残らなかった句を、いつき組 夏井いつき組長が読み上げる。新しい顔ぶれが多く、俳句の種まきが確実に広がっていることを実感した。
 決戦に残ったのはこの10句。

さくらさくらポストの口の闇太る ほろよい
来客に鳥の混じつてゐる桜 希望峰
みちのくの桜の波を見に行かん 妙
花ぐもり脚立の美女の声高し 大五郎
まなうらの海のかぶさる桜かな 樫の木
さくらさくら食べて話して生きている 門田なぎさ
ゆで玉子に塩を酒盃に花片を マイマイ
満開の桜手を打つたびに散る桜 一走人
雨上がり鳥 人 花の動き出す 雪花
来年は一杯酒ぞと桜花 蕃

 この10句による句あわせを行い、最終的に残ったのは、

さくらさくら食べて話して生きている 門田なぎさ

 実は毎年道後公園の一角を借りてこの句会ライブや大お花見会が行われるのですが、老朽化してきているソメイヨシノなどの桜を守るためバーベキューの禁止等を盛り込んだ条例が検討されています。条例の中身によっては今年までのお花見の風景が一変するかもしれません。でも状況がどんなことになっても女川の桜のために年に一度のこの句会ライブは継続していくでしょう。
 最後に、午前中は雨天という悪天候の中参加していただきありがとうございました。今回は20,655円のカンパが集まりました。皆様の熱い気持ちはmhmを通じて女川桜守りの会へ寄付させていただきます。


次回は「mhm動く(仮)」です。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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第3回 大人のための句集を作ろう!コンテスト表彰式レポート




 「大人のための句集を作ろう!コンテスト」は、81句の作品集で応募する俳句賞。この賞の選考はアカデミー賞のように、一般選考委員会による投票で行われるという画期的なもの。第3回の最優秀賞は、都築まとむさんの『塩辛色』に決定した。
 去る3月30日(日)、松山市立子規記念博物館にて、その表彰式が行われ、最優秀賞を受賞した都築まとむさん、そして、6名の優秀賞受賞者が出席した。表彰式では、賞の授与に続いて、各作品の魅力がスクリーンを使って紹介され、最後に、子規博の竹田美喜館長からお祝いの言葉が贈られた。

表彰式にて公開した第3回コンテスト一次予選通過作品一覧(12作品)を掲載致します。

「野あそび」 親タカ
「ひらいてとじて」 矢川ふづき
「ツンデレ」 みちる
「自画像」 大五郎
「星の歌」 ほろよい
「チチンプイプイ」 一走人
「念のため」 大塚迷路
「海未だ」 片野瑞木
「なんじやもんじや2」 もね
「セレナーデ」 てんきゅう
「薄荷」 空
「山桜」 中村遥


受賞式を終えて 都築まとむ

 介護予防教室のお年寄りのバスを見送っていたらケイタイにメールが来た。山蜜柑さんからだ。「大人コン最優秀賞おめでとうございます。すっごい ! 早くこの句集読みたい」えーっ! そうなん? 急いで家に帰り100年俳句計画3月号を開く。20ページに確かに『最優秀賞は都築まとむさんの「塩辛色」に決定!』とある。なーんか気が抜けた。
 昨年の大人コンの表彰式に出席して「来年は最優秀賞を取りたい」と強く思った。だいたい私にはガッツと根気がなくて、ほどほどのところで満足してしまうところがある。しかし今回は違った。思い立つとすぐに動かないと気がすまない性分。いつき組大花見大会から帰ったその夜に句の整理をした。今回は虫の句以外で81句揃えることに決めた。100年俳句計画、百年百花の連載からも使えそうな句を拾って6月頃応募したと思う。
 表彰式当日は、さえずり句会の瑞木さんと山蜜柑さんとぽぽんたちゃんが一緒に来てくれた。マンデーさんも高知から。会場でたくさんの方々から「おめでとう」をいただいた。挨拶では何を喋ったのかよく覚えてないが、翌日の朝日新聞に「地面にはいつくばりながら目に見えるものを詠んでいきたい」と書いてあったのでそのようなことを言うたのだろう。自分を虫に喩えるとしたら蟻だと思っていたので、こんな言葉が出たのかもしれない。
 今まで人のために俳句を作ろうと思ったことはないけれど、自分の句が誰かの心に漣くらい立てることができたらいいなぁと思っていた。そして今回の作品『塩辛色』には過分な評価をいただいた。それもこれもいつき組長をはじめいつき組の仲間に育てていただいたお蔭だと思っている。表彰式であねごさんが「いつぞ杖をついてでもここに来て孫が受賞するのを見たい」と言った。何十年か先のことまで思い描いているあねごさんの言葉に勇気をもらった。私も杖をつくようになっても表彰式を見に来たい。これからもずっとこの刺激的な俳句集団いつき組という広場で思い切り俳句を楽しみたい。最後にいつき組の皆さま、ありがとうございます、これからもよろしくお願い致します。


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愛媛マラソン吟行会レポート



愛媛マラソン吟行会(2月9日)

 今回で4回目を迎えた愛媛マラソン吟行会。ランナーとして参加したのは、鉄人、蛇頭、匠磨、曽我房市、一走人、チャンヒ、岡田美奈子、ほろよい、大坪香織、ねこ端石、ドンキーコング、大隈タダシ、NHK中澤アナ。
 今年は、俳句ポスト365と連携して、会場の城山公園に俳句のブースを作って頂きました。ブースは、いつきさんの選句やfacebookの更新、ランナーと応援団のふれあいの場(?)として機能し、愛媛らしい大会に一役買っていました。
 当日は奇跡的な晴天に恵まれ、ランナーにも応援団にも優しい日となりました。そして、愛媛マラソン吟行会初のメンバー全員完走というめでたい結果に。
 ランナーが力を出せるのは、応援団のおかげです。今回も沢山の方に応援頂き、ありがとうございました。
 個人的には、完走したと言っても、後半膝が痛くなり、1時間ほど歩いてゴールするという不本意な結果でした。蛇頭さんからは「次回は走ってゴールして下さい」とだめ出しを出される始末。次回は頑張ります。

マラソン部に集まった吟行句を紹介(一部)

 ランナーの走った跡に風光る まこち
 走れぬと折れる心に春の風 ひでやん
 号砲はまだか雪掻きスタートす 青柘榴
 風光る鉄人さんは翔ぶ如く toku229
 紙吹雪のごときランナー春の風 あねご

 また、マラソン部では、去年の秋から定期的に、合同練習会を行っています。場所は、愛媛マラソンのスタート&ゴール地点でもある、城山公園。マラソン部部長の蛇頭さんが一周二キロのコースを発案し、それを参加者それぞれのペースでぐるぐる回ります。1時間ほど走ったら、ビールと唐揚げで打ち上げ。打ち上げの時に、次の練習の日を大体決め、そして各自練習、合同練習、打ち上がる、というのをここ数ヶ月続けています。
 その練習会にて、ランナー同士に友情めいたものが生まれて来ており、愛媛マラソンだけではなくほかの大会への出場や独自のマラソン大会の計画などもすすめているところ。
 ちなみに次回の合同練習は、5月10日(土)14時城山公園集合で行います。
 興味のある方は編集室キムまでご連絡下さい。
(文 キム チャンヒ)


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100年俳句計画活動報告記



第2回地方版クールジャパン推進会議(3月22日)
愛媛県松山市

 平成26年3月22日(土)。ひめぎんホールにて第2回地方版クールジャパン推進会議(座長 後藤田正純内閣府副大臣)が開催された。地方版会議が行われるのは京都府に続き、愛媛県が2番目となる。
 この会議は国が提唱する「クールジャパン戦略」を推し進めるための意見交換会……なのだが、そもそも「クールジャパン戦略」という単語を耳にするのが初めてだという方も多いのではないだろうか。
 「クールジャパン戦略」とは、かみ砕いて言えば「日本の文化やライフスタイルの魅力を世界に発信していこう」という取組みである。この会議の特徴は、民間の有識者を招き、それぞれの分野の意見を直接汲み上げる点だ。招聘される人物はファッション、伝統工芸、食、観光等の各従事者、また在住外国人からも意見を求める。文化、コンテンツ分野のコメンテーターとして俳人、エッセイストの夏井いつきが招聘された。
 俳句は英語で「HAIKU」。「柔道(JUDO)」や「寿司(SUSHI)」と並んで、日本語がそのまま英語として通じる単語の一つ。世界最短の短詩文学HAIKUには世界中にファンがいる。かつて本誌でも紹介したが、俳句をきっかけとした松山市とベルギー ブリュッセルとの交流の発端となったヘルマン ファン=ロンパイ欧州理事会議長も熱心にして高名な国際俳人だ。
 「四季のある国 日本」そして「俳句のまち 松山」が世界中のHAIKU愛好家に対して持つ価値は大きい。「俳句を中心としたまちづくり」が観光、経済の分野をはじめ、どんな効果をもたらすのかを夏井は語る。世界の俳句愛好者にとって日本の四季こそが「クール」であり、一度に終わらない日本来訪をもたらす魅力の源なのだ。
 松山市は現在、海外に向けた「俳句のまち 松山」のPR活動を行っている。この第2回地方版クールジャパン推進会議を一つのきっかけとして、「俳句のまち 松山」のさらなる発展が期待される。
 なお、クールジャパン推進会議では民間からの意見を募るホットラインが設けられている。利用はクールジャパン推進会議webサイトから。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cool_japan/index.html

レポート 正人


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写真俳句コンテスト結果発表



第3回 瀬戸内松山写真俳句コンテスト

入賞作品公開
 募集内容は、写真も俳句もオリジナル作品で応募する【自由句部門】、5点の課題写真のいずれかにオリジナル俳句で応募する【課題句部門】【英語俳句課題句部門】の3部門。【海を感じられるもの】を作品テーマに寄せられた作品は、『自由句部門』255点、『課題句部門』1377点、『英語課題句部門』696点にのぼりました。
 審査は、【写真俳句】の提唱者でもある森村誠一(作家)、夏井いつき(俳人)、デビッド マクマレイ(国際俳人)、山口亜希子(俳句編集者)、キム チャンヒ(本誌編集長)の5名により行われました。
 平成26年3月16日、松山市立子規記念博物館にて行われた表彰式には全国より約200名が参加。森村氏と夏井氏の掛け合いで、優秀賞作品それぞれの魅力が語られました。


自由句部門最優秀賞

枯れきって花は海星になりたくて
愛媛県 松本だりあ
(撮影地:大三島 道の駅)


自由句部門優秀賞

海亀となりし少年夏の果て
愛知県 岩田暁子
(撮影地:ハワイ)

厳寒の岸壁に猫脚太く
東京都 上田みの
(撮影地:横浜)

民宿の雑魚の味噌汁夏合宿
福岡県 宗澤美子
(撮影地:福岡県遠賀郡芦屋町)

冬凪の終わるを知っている鴎
愛媛県 門田佳菜
(撮影地:愛媛県大洲市長浜町)

舳先まで勇み踊りの祭船
静岡県 小宮 里
(撮影地:沼津市戸田)


課題句部門最優秀賞

赤海胆を喰らう独りの終戦忌
東京都 鮎川郁夫
(課題写真:松山市忽那諸島津和地島 赤うに)


課題句部門優秀賞

春ショールときどき枷となる誓ひ
北海道 黒田美貴
(課題写真:今治市大島 亀老山展望台)

初孫の祝い話やひじき採る
香川県 本條秀行
(課題写真:松山市忽那諸島 怒和島)

立ち泳ぎして古里を眺めけり
京都府 八朔良一
(課題写真:松山市忽那諸島 津和地島)

五百年前の争ひ帰り花
岐阜県 板垣道代
(課題写真:今治市能島)


英語課題句部門最優秀賞

Up to the fisherman's knee
the world under
the ocean

直訳
漁夫の膝まで
海底世界の迫りくる

United States of America
Gary Hotham


英語課題句部門優秀賞

Ferry ride …
a little girl tells me
her secret

直訳
連絡船にて
少女に告げられた
秘密

Germany
Ramona Linke


morning calm--
a ripple from him
reaches her

直訳
朝凪に
漁夫の立てたさざ波が
触れる

India
Kashinath Karmakar


The padlock
many lovers in Japan
with a prayer

直訳
南京錠に
閉じ込められた
恋人たちの祈り

Kagoshima
Hanako Okamura


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俳句の街 まつやま
俳句ポスト365


協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


優秀句
平成26年3月度


【ぶらんこ】
《地》 
しののめ公園ふらここ同盟また明日  めいおう星
跳びおりてぶらんこがらがらと笑う  ひで
ぶらんこや地べたに俺に空が青い  くろやぎ
ぶらんこや我と鉄鎖を磨り減らせ 牛後
ふらここの匂ひ左右の手に熱し 福家
ぶらんこに泣くか籠もるか飛び出すか  ぐわ
もどらないことだつてあるふらここよ  小市
解剖を終へぶらんこを漕いでみる 音絵
酢こんぶ銜へてぶらんこ漕いでをる  もね

《天》 
凶暴なるぶらんこの王者は二歳  カリメロ


【春菊】
《地》 
春菊の香り渦巻く排水口 むすびめ
新薬のやうに春菊匂ひけり  クズウジュンイチ
そこらぢゅう春菊の香よ取材の日  ばるこら
買い忘れたのは春菊夫へTel みちる
春菊の海で肉片拾いけり ヤモリ
中年の危機はひたひた菊菜喰ふ  やのたかこ
春菊をざくざく私も姑 ぐわ
春菊の塊二つ相撲部屋 四万十太郎
春菊と煮るは雄鹿のアキレス腱 ちとせ
春菊喰うて君は春の動物 三重丸
春菊や近くて遠き国の記事 紗蘭
ワグナーを聴いた春菊とはこれか  桜井教人
わたしには浪花節的な春菊 桜木レイ

《天》 
母という魔女春菊も食えと言う  ミル


【田楽】
《地》 
田楽や強力背負ふ当り鉢 蘭丸
粉挽き節のテープ伸びたる田楽屋  初蒸気
鬼のやうに美味い鬼嫁の田楽  ポメロ親父
素性わからぬ田楽の種ひとつ  毛利あづき
二股の田楽串の翠かな みちる
田楽と辛口地酒死神と もね
べとべとの味噌田楽や山頭火  ときめき人

《天》 
千仞に吊橋田楽の匂ふ  桜井教人


【伊予柑】
《地》 
伊予柑ひとつ一草庵の勝手口 蓮睡
困るほど晴れ切って伊予柑の島  大塚迷路
魚やれば伊予柑貰ふ浜の暮 天宮風牙
さきほどの車夫より伊予柑を貰ふ  るびい
伊予柑や生涯訪はぬ本籍地 七七子
チェーンソー止める伊予柑一個食う間  不知火
帰りこぬ亭主伊予柑二個目剥く 十猪
伊予柑の転がり出づる玩具箱 山菫

《天》 
指相撲に勝った指なり伊予柑むく  奈津



5月の兼題

投句期間:5月1日〜5月7日
麦【初夏/植物】
イネ科に属する、大麦、小麦、裸麦、燕麦、ライ麦などといった植物の総称。日本では、主に稲の裏作として、稲刈りを終えた後の田で栽培されてきた。

投句期間: 5月8日〜5月14日
シャワー【三夏/人事】
水や湯をじょうろ状の噴出口から浴びる装置。また、その水や湯のこと。入浴や行水などに用いられる。

投句期間:5月15日〜5月21日
ごきぶり【三夏/動物】
かつて「油虫」とも呼ばれた、ゴキブリ科に属する昆虫の総称。夏になると台所などに出て人に嫌われる。“御器噛り”が転じた名だとされている。

投句期間:5月22日〜5月28日
植田【仲夏/地理】
早苗が植えられた後の田んぼ。苗が根付き、その先が田んぼに張られた水の水面からわずかに出て並んでいる。


《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成26年3月度


【雛市】
幟押す風やわらかく雛の市 風
今日は見るだけですのよと雛の市  ポメロ親父
同じ曲ばかり流れて雛の市 八幡浜発
雛市や耳傾けるオルゴール 野地菊
雛市の隣仏壇セールかな もね
曽祖父の値切った話雛の市 更紗
雛市や三代そろう困り眉 不知火
雛市や勘当解けて父娘 妙
顔も名も知らぬ姉あり雛の市 紫水晶
雛市に千代紙買うて帰りけり 雨月
緋の彩は万葉の彩雛の市 大阪の旅人

《天》
雛市の牛車の角が空を突く  恋衣


【若布和】
若布和今朝は時化たと笑う皺 ほろよい
丼に海の男の若布和 マイマイ
浜貧し村また貧し若布和 ターナー島
厄災の日より三年若布和 鍛冶屋
青柳を咲かせ上総の若布和 野風
若布和添えて画竜点睛とす 不知火
若布和お猪口に練るは鬼がらし  亜桜みかり
吉日や甘さ過ぎたる若布和 蓼虫
若布和卒婚という選択肢 逆ベッカム
退職の日の花束と若布和 大五郎
巡礼の夕餉や阿波の若布和 とうへい
明朝は一番札所若布和 樫の木

《天》
金比羅歌舞伎来る話して若布和  イーちゃん


【彼岸潮】
彼岸潮はるかぜ丸は修理中 太郎
バス停は海抜わずか彼岸潮 ぼたもち
巻き貝の笑い転げて彼岸潮 ひなぎきょう
彼岸潮見ゆる県庁十一階 ちろりん
彼岸潮犬泳がせていたりけり 朗善
火の番に星降る海よ彼岸潮  宇和島風花会 五月
春分潮墓参の舟とすれ違う 樫の木
彼岸潮あれは僧乗るチャーター船  ドクトルバンブー
彼岸潮の寺に昼餉や三回忌 たま
俗名は伊勢松とだけ彼岸潮 笑吉

《天》
僧を乗せ花嫁を乗せ彼岸潮  風


【羊蹄】
ブーメラン曲がりそこねて羊蹄へ  不知火
売地千坪羊蹄眩し風眩し 菜々枝
羊蹄を刻む老婆や鶏六羽 更紗
羊蹄を食うてウサギの耳長し お手玉
羊蹄の前さびさびと馬の顔 ターナー島
羊蹄の波押し分けて牛の足 ほろよい
羊蹄や水に蠢く牛の舌 樫の木
羊蹄は茂るは喧嘩は始まるは 青萄
天敵の母逝きてのち羊蹄生う 一村
羊蹄を賢治の帽子遠ざかる 緑の手
羊蹄の傍で笑った小石かな  かなた 中1

《天》
被災地のぎしぎし千と百日目  西条の針屋さん


※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

5月11日
麦嵐【初夏/天文】
「麦の秋風」とも呼ばれる、麦秋の頃に野を吹く風。麦の熟れた畑が広がる光景が想起される。


季語ではない兼題です。「砂」という字が詠み込まれていれば、読み方は問いません。また、季語は自由に選んでください。

5月25日
煮梅【三夏/人事】
青梅に砂糖を加えて煮込んだもの。酸味と、ほろ苦い甘さがあり、茶請けなどに用いられるほか、食あたりに薬効があるとして珍重された。塩を用いて作るものもある。

夏服【三夏/人事】
夏に着る洋服全般を指して言う。裏地をつけず、通気性が良く、肌触りのさらっとした生地が用いられている。かつては麻服が多かったが、現代では合成繊維の服が中心。



《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


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100年俳句計画 掲示板


 組長&編集長&組員さんの出演執筆一覧

NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  5月20日(火)11時40分〜

あいテレビ(TBS系列、全国)
 『プレバト!!』
   隔週木曜 19時〜20時49分
※組長がゲストの俳句ランキングづけで出演! 放送日番組欄を要チェック!

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FM愛媛
 バニラビーンズの俳句っちゃお〜!
 毎週日曜日深夜0時〜0時30分
※夏井いつきが俳句指南で出演
※FM大分でも毎週月曜21時〜放送中

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「夏の波 毛虫」5月11日〆
   「桐の花 緑陰」5月25日〆
 2月18日よりインターネットでも配信開始。詳しくは番組webサイトへ。
  HP http://www.baribari789.com/
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)、住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム チャンヒのイラストポストカードが贈られます。


執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」
※ 毎週日曜発刊タブロイド判8ページ



句会ライブ、講演など

五十崎俳句凧表彰式
 5月5日(月、祝)13時〜
 場所 … いかざき大凧合戦会場内

NHK「それゆけ!俳句キッズ」句会ライブショー
 5月24日(日)13時〜
 子規記念博物館4F講堂(入場無料)
出演:ブロック大会を通過した小学生俳人30名、夏井いつき、野々村真(ゲスト)、オジンオズボーン、チキチキジョニー、テツandトモ
 観覧申込は往復葉書で
【往信用裏面】
 1:郵便番号 2:住所 3:名前 4:電話番号
【返信用表面】
 1:郵便番号 2:住所 3:名前
[あて先]〒790ー8501
 NHK松山放送局「俳句キッズ」観覧係
[しめ切り]平成26年5月9日(金)必着
 申込 … NHKプラネット四国
 TEL 089 ( 921 ) 1163
 NHK松山放送局
 http://www.nhk.or.jp/matsuyama/

垣生中学校句会ライブ
 5月30日(金)13時30分〜



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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

お詫び
 先月号の特集「大人のための句集を作ろう!コンテスト結果報告 「第三回選考評要約」」(4ページ)において、表記の誤りがありました。

亜桜みかりさん

誤 愁思ノタマゴ
正 秋思ノタマゴ

選考評内の表記が上のように誤っておりました。正しくは「秋思ノタマゴ」です。大変失礼いたしました。


祝、初天!!
西条の針屋さん 大お花見大会が行われるほんの2日前の金曜日に、普段なら仕事場で「一句一遊」を感心しながら聴いているのですが、その日は松山からの帰りでラジオが聴けていなかったのですが、「いつき組」の組員の方からメールが入り「天」の知らせ! 思いがけない「初天」の知らせ本当に嬉しかったです。まだまだ未熟な私ですが、これからも精進したいと思いますのでよろしくお願いします。大お花見大会にも四万十のおいさん、わがまま姫さん夫妻らと今年も出席の予定です。
編 お花見でいろんな方に祝福されてました。改めておめでとう!

3月号へのお礼
のり茶づけ 元旦さんへ、お礼のお便り遅くなってしまいましたが三月号での魚のアブクコーナーで、私の拙い句への感想を有難うございました。間違いなく同じ月を見ていたんだろうなと、感慨深かったです。
編 終わりの一文が歌の一節みたいでなんだかすてき。

これも春、あれも春?
エノコロちゃん 春が来そうでなかなか来ませんねー。
編 編集中の4月末現在、さすがに暖かく春らしくなってきました。

八十八 昨夜、飲み会から帰って慌てて送りましたが、酔って寝ぼけ眼で送ったため、うまく届いているかどうかわかりません…後略…
編 歓迎会の類? 春は飲み会も多い。

柊つばき 孫達も学校生活に悩んでいます。
編 新生活の悩みも春の風物詩?

杜木あわい 初めて投句いたします。宜しくお願い申し上げます。
編 新顔の登場も春であります! どうぞよろしくお願いします〜。

めろ 対局とても面白かったです。このまま引き下がれないので、修行を積んでまたチャレンジしていいですか?
編 春の俳句対局 龍天王決定戦。試合の結果は次号特集にてお届けいたします。


100年俳句計画誌上編集会議

今月の提案 相談
1:マガジンの「まる裏俳句甲子園」の特集を見ての感想ですが……予選の句会ライブの「あんたは俳人」句一覧がないのがどうにも惜しいです。あれだけの句を5分で作れるすごさ、あの予選を勝ちぬけての本選ですので、句を並べるだけでいいので紹介してもらいたいものです。それに、当日会場に行きたくても行けない方も多いことですし、ぜひ来られなかった方々のためにも句だけはぜひとも載せて頂きたいと。

2:また、組長の「放歌高吟」がマガジンに掲載されなくなったのはお考えがあってのことと思います。ブログに載せられるようになり、それを覗ける者はいいのですが、パソコンを触らない年配の方々で組長の句を楽しみにしていた方はまったく見ること ができなくなって、さぞかし残念に思っておられるでしょう。視覚障害の方々には配慮がなされているこのマガジンだけに、なんとか方法がないものかと思いますが……。 (更紗)

 おたよりありがとうございます。
 まる裏俳句甲子園の「あんたは俳人」の句の一覧、確かにスゴイ句が並んでいましたねぇ。来年はぜひ掲載したいと思います。
 それから「放歌高吟」の件ですが、現在、今までとは違う形で誌面に出来ればと思っています。企画が整いましたら、またお知らせします。ご期待下さい。
(編集長 キム チャンヒ)

 この欄への提案、質問、要望、その他は、100年投句計画投稿時のフォームに書き添えてお送り下さい。また、メールでの投稿も可能です。メールで送る際は件名を「魚のアブクへ」としてお送り下さい。
メールアドレス magazine@marukobo.com(編集室)


2014 小倉書道教室 子どもたちの作品展

小倉書道教室からのメッセージ

小倉揮代 今年も盛会のうちに作品展を終えることができました。御社の皆様には、お忙しい中いろいろとお力添えいただきましたこと、大変感謝しております。
 1年に1度ではありますが、「代表句集」の中でお会いできるお名前に、子どもたちも「昨年書いた人だ」とか「前に手紙をもらった」とか、親しみを感じるようになってきました。
 また来年も成長した姿をお見せできるよう、今日からこつこつと日々の練習が始まりました。
 句をつくった方々には、少々イメージと違う作品に仕上がっていることがあるかもしれませんが、それも一興と、楽しんでいただけたら幸いです。
 どうぞ、句をお借りした皆様、会場に足を運んで下さった皆様にもよろしくお伝え下さいませ。
 本当にありがとうございました。
編 今年も力作をありがとうございました! 写真だと伝わり難いけど各2m弱あります。来年も楽しみ!



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鮎の友釣り

190
俳号 野風

日暮屋さんへ シャイで愛妻家の日暮屋さん。愛妻は笑顔のチャーミングなマーペーさん。昨年、聞き逃した日暮屋さんの絶品な唄声を是非、近いうちに聞けますように。

のんべえ雑感 酒豪を吹聴しておりましたが寄る年波のせいか、お酒がめっきり弱くなった今日この頃です。が、麦酒を一番おいしいと感じる五月到来。「夏きざす」「薄暑」の候、生ビール大好き人間であります。
 俳句を始めて四回目の夏。俳句の神様、麦酒の名句の降臨を、お願いどうか。

写真 文法講座で勉強中。

次回…笑松さんへ 笑松さん、日暮屋さんとの百年の旗手は楽しくて、良い刺激になりました。今年も沢山、俳都松山へお出かけください。満面の笑顔で。


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告知


7月26日ボーリング大会開催

 7月26日は、愛媛新聞カルチャースクールの合同ビアガーデンの日ですが、このビアガーデンのスタートまで、カルチャースクールに関係ある人も関係ない人もボーリングして打ちあがろう、という企画です。ボーリングで一汗流した後のビヤガーデンは最高です!もちろん「お酒は飲めない」っていう方もボーリングだけの参加もOK!俳句友達が大勢集まる貴重な交流会、みなさん参加してみませんか?

日時 7月26日(土)14時〜16時30分
場所 ファーストボウル(予定)【松山市大街道2丁目※現地集合】
参加費 1500円(靴レンタル代込み)
問合せ 申し込み
 (有)マルコボ.コム
 電話 089-906-0694
 ※当日の飛び入り参加はできません。必ず事前にお申込ください。
申込締切 【7月21日】
※ボウリング終了後、17時30分ごろからはカルチャースクールのビアガーデン(いよてつ高島屋)に合流して打ち上げも行います。



100年俳句計画投稿締切カレンダー

5/20(火)
 100年投句計画
http://marukobo.com/toukou/
 魚のアブク
 100年の旗手推薦募集

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail magazine@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


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編集後記


 今さらだけど、今年に入って怒濤の4ヶ月が過ぎた。
 1月のまる裏俳句甲子園。その翌日の道後吟行会。2月の愛媛マラソンに。3月の写真俳句表彰式に、大人コン表彰式、大花見大会。4月は、第2回龍天王決定戦。
 そして5月にはmhmの道後俳句フォトライブなどなど。
 あまりに企画が多すぎて、読者にとっては消化不良になっていないだろうかと、心配にもなる。
 とは言え、100年俳句計画というからには、俳句でできることなら何でも挑戦するのが、この雑誌。
 ほとんどの俳句雑誌が、俳句の投稿と選句、文芸としての俳句に視点を当てた誌面が主なら、それにチャレンジしてこそ、次の100年に挑めるとも思う。
 今回の特集、スマイル句会は、俳句という文芸の魅力を伝える誌面というよりは、俳句や句会のコミュニケーションツールとしての魅力を再認識するものだ。スマイル句会の参加者の笑顔が、豊かな100年後の俳句の姿を予見するものとなればとも思う。今後もそんな企画を立てていきたい。
 なんて気がつけば、次の子どもコンの準備やら、俳句甲子園の準備やら、次の大人コンの準備やら……。頑張ります!
(キム)


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次号予告 (199号 6月1日発行予定)


次回特集
俳句対局 第2回龍天王決定戦報告


HAIKU LIFE 100年俳句計画
2014年5月号(No.198)
2014年5月1日発行
価格 617円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子