100年俳句計画2月号(no.183)


100年俳句計画2月号(no.183)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
二月は逃げる春は好き 岩宮鯉城


特集1
第6回夏休み句集を作ろう!コンテスト
小・中学生対象による句集コンテストの結果報告&受賞作品一挙掲載


特集2
俳句対局龍淵王決定戦 後編



好評連載


作品

百年百花
 津田美音/杉山久子/森川大和/高橋白道


100年俳句計画作品集 100年の旗手
 蓼蟲/ふづき/香雪蘭


百年琢磨 平敷武蕉

雑詠道場 くらむぼんが笑った

初学道場 へたうま仙人

放歌高吟/夏井いつき

新100年への軌跡
 俳句/岡戸游士/原
 評/マイマイ/瑞木


読み物
Letter from spider garden/ナサニエル・ローゼン(訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
本家 慶弔俳句帖/桃ライス
ホンヤクサイホンヤク/翻田 訳蔵
一句一遊情報局
mhm通信

読者のページ
選句&投句欄 ザ・句会
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




表紙リレーエッセー


二月は逃げる春は好き
岩宮鯉城

 古来二月は逃げる、鯉城はしげる(鯉城の本名はしげると言う)と自分で言っている。
 二月はこれから暖かくなっていくにも拘らず寒いと感じ、「梅一輪一輪ほどの暖かさ」」と詠まれるほどである。また鯉城は三月生まれであることからいつき組の吟行句会名を「弥生句会」と命名させて頂いたのである。
 要するに鯉城は春が大好きで、出会いと別れのドラマがあり面白いと思う。
 その春の季語の中で特に好きな季語が「亀鳴く」で、愛媛新聞(小西昭夫選)への投句でも「亀鳴く」の句が一番多く詠んでいるので拙句を列挙させて頂く。

百歳を生きて亀鳴く朝かな
鳴きし亀剥製にして床の間に
人間は兎の仲間亀鳴けり
亀の声まだ聞きたくて生きてゐる


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特集1

第6回夏休み句集を作ろう!コンテスト


小・中学生対象による句集コンテストの結果報告&受賞作品一挙掲載

 第6回を迎えた「夏休み句集を作ろう!コンテスト」(主催 朝日新聞・マルコボ.コム・日本俳句教育研究会、共催 松山市教育委員会)。このコンテストは、全国の小中学生が、自分の一年間で作った俳句40句を、句集に仕上げて公募する企画です。今年は全国から、454点(小学生306点、中学生148点)、の応募がありました。
 審査は昨年11月、三浦和尚(愛媛大学教育学部教授)、氏家弘二(朝日新聞松山総局総局長)、夏井いつき(俳人)、キム・チャンヒ(デザイナー)の計四名で行い、「最優秀賞」、「優秀賞」、「学校賞」、「装丁賞」、「一句賞」の各賞を決定しました。


最優秀賞
『南天の明暗』
 松山市立道後小学校 5年
高橋凜太朗(たかはしりんたろう)

口下手な人間二人チューリップ
はきなれた靴春はまだ浅い
茎赤しほうれんそうの月曜日
春風にあおがれ生きるせんたくもの
春泥やタイヤの跡の二本線
春風やBOSSと書かれた販売機
かげろうが名もないいしをうかしてる
菜の花に細工をほどこしてみたい
陽炎や消えかけの注意書
オゾン層破滅の危機や春うらら
辻褄が合わぬ執事の万愚節
万愚節ウィンカーは4拍子
卯波とは地球と同化する気迫
チャンネルを変えたら初夏にワープした
信号をわたれば初夏がはじまって
万緑のごとく新陳代謝かな
夕立やなぜ今ぼくはここにいる
夕立や太陽なんてなくていい
梅雨の雷螺旋階段踏み外す
大空を食らう夏の日一人旅
現実を知らぬ男や雲の峰
生死の境を緑蔭で知る
夕立のごとく戦場カメラマン
蝉の羽の一枚光る気の重さ
山滅びそうな熱風終戦日
涼しさをカガミにうつす君のカオ
そうめんをすするインコのわめく声
叱られて味方がいない夏休み
余命三日力の抜けた油蝉
水澄んで消しゴム黒ずんで風
お盆のこづかいで太陽を買う
重力に逆らう秋の世界地図
からくりのような銀杏の黄葉かな
南天や真っ赤な嘘をついている
南天の実がポロポロと赤字かな
立冬やドッジボールのよける球
冬晴や歩車分離式青信号
群千鳥三百ピースのパズルかな
パンジーのことが気になる三が日
自画像や鉛筆一本折れて雪

コメント
俳句をはじめて3年目にして3回目の句集を作ろうコンテスト。今年もがんばりました。



優秀賞・子規博特別賞
『 Etude 練習曲 』
 愛南町立御荘中学校 3年
宮下優祈子(みやしたゆきこ)

教室へ四月の風はアンダンテ
クラス替えドロップ色の春の雨
しゃぼん玉今日はなんにもしたくない
若葉風を裂いて同点のゴール
スパイクを結び直して青嵐
敗戦のホイッスル五月の空へ
初夏の窓「子犬のワルツ」が溢れる
梅の夜母の知らない歌を聴く
梅雨晴間父はサザンを歌ってる
カタツムリ自分探しに行くところ
夜の金魚が聴いている「愛の夢」
中庭のホルンに映る雲の峰
虹二重ゆっくり渡る歩道橋
蝉しぐれ校舎耐震工事中
「月光」のピアニシモ烏瓜咲く
空港に忘れたカメラ夏終わる
自転車が秋風を追い越してゆく
秋空の中心を突くクレーン車
バス停にかたっぽの靴いわし雲
満月の電柱「回レ右、進メ」
菊びより台所から独り言
焼き芋の匂いの残る曲がり角
夕暮れの合唱練習落葉ひらり
ハロウィンの真夜中の街「キミハダレ。」
時雨のグランド走る走る走る
マラソンが好きです風になれるから
冬の蜂「エリーゼのために」は弾かない
連弾の以心伝心冬りんご
マシュマロは嫌いなんです冬青空
雪こんこ素直になりたい十五才
トンネルを抜けてラジオの除夜の鐘
「革命」のアルペジオ海に降る雪
帰り道肩にある雪消える雪
バッハの肖像画に春の気配
バレンタイン母のカレーは甘いだけ
早春の煙突もっと伸びなさい
三月の午後エチュードはすみれ色
校舎裏イヌフグリは空のかけら
春が自販機の陰に隠れている
本当の春は道の向こう側

コメント
趣味は“ONEOKROCK”の歌を聴くことで、特技は絵をかくことです。今は駅伝練習をしています。もうすぐピアノの発表会があるので、ピアノの練習もがんばっています。俳句のライバルは兄たち(航&樹)です。



優秀賞
『あさがお』
 松山市立みどり小学校 2年
田井綾乃(たいあやの)

春かぜがぼうしをぴゅーんととばしたよ
トントントンだれですか春ですよ
なの花や海がキラキラ光ってる
水の上タタタと走る鳥がいる
ひまわりや九九をいうからきいててね
自てん車を三キロこいで春の風
春の小川をにいちゃんととんであそんだよ
すいれんが風にゆらゆらゆれている
すいれんの黄い色花を見つけたよ
さるすべり小さなはちが中にいる
朝がおはつぎつぎさいてすぐとじる
葉ざくらやさるのこしかけいっぱいだ
つばきのみりんごみたいになっている
おさんぽで木かげでちょっとひと休み
くすの木のかげではいくを考えた
さか下る青い小さなみをひらう
なつ休みスタンプ四つおしました
わたしが歩けばこいもカメもついてくる
なつにはねどうしてはえがいるのかな
エンピツをけずってべんきょうなつ休み
サイダーをのんでスーット目がさめた
ほとけさまごはん大もり食べれるの
おぼんの日ぼうさんにこにこやってきた
星涼しグリムの話よみおわり
にゅうどうぐもが雨をふらすといってたよ
犬のはかダリアの花をかざったよ
プランターにまっ赤なたくさんミニトマト
大きいうりときねんしゃしんをとりました
グランドにゆうぐがないねなつのくも
おにやんまよこ目でギラッとにらんでる
ピアノコンクールきんちょうしたよかき氷
夕がおのつぼみがのびてぱっとさく
朝がおのたねをたくさんあつめたよ
二じゅうとび三十かいとべたなつ
あさがおやまい日一キロ走ってる
よる十時かえるゆかいな声でなく
ディズニーランドあせいっぱいであそんだよ
アメンボウ東京タワーの下にいる
せみしぐれポスターしあげがんばった
はだしで入る川がぬるっとこんにちは

コメント
ことしのなつは、ピアノのコンクールにチャレンジしました。かぞくりょこうに行きました。プールにも行きました。はいくもがんばりました。



優秀賞
『生命体』
 愛媛大学教育学部附属小学校 3年
八塚陽向(やつづかひむか)

タイムカプセル飛んでシャボン玉
山笑う電柱ノラ猫おどってる
地球そうじ大量発生春の水
春の風チャイムの音とわめいてる
バングセツ小さじ一杯のおそろしさ
失敗のはずが命中カメが鳴く
かなしい風車見つけたのは雲
春の雷ハガネの心のおうえん歌
二重跳びとんでみたいな花曇
風薫る目ざめよ公園モンスター
ウシガエルコントラバスの練習中
海遊館ヒメダカのバタフライ
最高レベルのにじ色夜光虫
太陽とケンカしているテントウムシ
女王アリ一人でジャンケンできません
ロボットの大群せまる雲の峰
雷警報解除うれしいのは宇宙
雲と友だちになりたい錦鯉
夏の海しずんだ宮殿よみがえれ
光のヤリ手にとどくまで泳げ
タコうかぶ海が近くの松並木
揚羽蝶海ギリギリまでおりてみたい
カワセミの世界をのみこむほどの口
ゲンバクキここからキオクとりもどす
日本という船秋へ出航す
すもう中タネどろぼうのモグラかな
秋の浜生命体の忘れ物
ワガママな守護神しかる秋のチョウ
ミミズ鳴く頭がギュウギュウづめになる
赤トンボ歌にもヒントあるかもよ
秋深し消えるのはいつひざのキズ
木の実ふる外国の街はずむ話
隼やキボウとキズナの伝説
冬の池引っかかったのはカメ
冬休み宿題消しカスあたり前
ぎゃく向きに三回まわす手お元日
初夢やしまうと全てとける箱
山ねむる緑の力フッカーツ
天かかる橋よび出す雪兎
シロナガスクジラは小人ボクはリュウ

コメント
この句集もがんばって作りました。学校では俳句のタネがたくさんあるけどすぐにわすれてしまいます。今年は最優秀賞をとりたいです。



優秀賞
『万華鏡』
 松山市立椿小学校 6年
三瀬未悠(みせみゆう)

揚羽蝶かき混ぜられて万華鏡
貝殻が吹き出している雲の峰
月涼し人魚は海の底の底
シュレッダー夏の魔法を切り裂いて
この歌を歌えばみんな雨蛙
夏草やてるてる坊主に描く眉毛
空白はうめずにおいておく夏野
革命の終わり赤い赤いポピー
向日葵やアンドロイドの取れそうな首
畑には地球のようなキャベツかな
ソロモン諸島ってドコダ夏帽子はドコダ
モナコモナコモナコ蝸牛
マダガスカル見のがして牡丹
山滴るセントヴィンセントグレナディーン
旗の色うすくてアフリカの優等生
熱帯魚ふわふわチャイニーズタイペイ
宇宙へ向け夏のにおいのする聖火
窓際の造花の花瓶さえ涼し
緑蔭の断面のぞく顕微鏡
海のつぶ虹になるためとびちった
八月の爆発してしまいそうな地球
流星のぽとんと海に落ちる音
アサガオの子葉は猫にちぎられた
犯人はピエロ三日月を盗んで
桃ノ実ヤ色ノ無イ夢ヲ見タ
ブリッジをして鰯雲探して
君の住む町のすみっこのコスモス
パレットに固まる絵の具レモン色
ハチマキを結んで運動会日和
応援の声秋天にのぼりゆく
神様のけんか蟋蟀は鳴くだけ
無月や無月亀から逃げている私
薄紅葉風のかたちが見えました
真っ直ぐなホルン冬の空晴れる
折り紙は赤冬薔薇のつくり方
落葉焚時計屋さんにいる小人
ホームズは笑っていない冬木立
凍星は人魚のうろこから出来た
クジラにも分からぬ海の気持ちかな
粉雪のしんしん子犬の飲んだ水

コメント
俳号・みゆう。代表句「たんぽぽのバスにまにあわなかったよ」
今年は最優秀賞を取りたいです。今までで1番良い句集が出来ました。



優秀賞
『Bookshelf 本棚』
 越谷市立桑原小学校 6年
宮井桃歌(みやいももか)

春うらら本棚の中秘密基地
花冷やシェークスピアは三段目
坊っちゃんにうぐいす餅を届けたい
宿題で調べた漢字土筆かな
シャボン玉地球をパラダイスにする
飛びのった草のじゅうたん山笑う
バラの芽やマリーアントワネットの恋
世界地図指でたどってクローバー
風光るドードー鳥の打算かな
呼び起こす去年の記憶チューリップ
「オペラ座の怪人」読んで梅雨の星
夏木立環状線の書店かな
大夕焼自分自身と会話する
アマリリス口までゆがむ顕微鏡
オムライス丘のパセリという名の木
アンズジャム作る匂いが二階まで
ひまわりや大声で呼ぶ夢の中
ラムネ瓶とじこめられた海があり
パリー祭トリコロールという名のパン
水中花「イワンのバカ」に出会った日
撫子や空に似ている海の色
そぞろ寒見えた涙の断面図
長き夜開いたままの「小公女」
小春日のポストへ落とす手紙かな
虫時雨誰も来るはずのない場所
一通の手紙を囲む黄菊かな
読みかけの推理小説秋深し
コスモスや感想文の誤字脱字
図書カードプレゼントされ葉鶏頭
世界中きれいに見える秋夕焼
努力家のキュリー夫人や冬入日
原発は孤独な巨人冬の雨
ポインセチア両手でポチの顔はさむ
玉子焼おしゃべりすると冬ぬくし
裸木や自分を好きになる努力
北風や鏡に向かい髪を編む
子規さんはいつも横顔冬リンゴ
青鬼が赤鬼想う実南天
手で包むココアのカップ寒波来る
レモネード飲みながら読む「三銃士」

コメント
読書が大好きな私です。本は、普段体験できない世界へ連れて行ってくれます。本を通して、泣いて、笑って、驚き、学んできました。本棚は、私の秘密基地です。今年は、その本棚の世界を、俳句にまとめました。



優秀賞
『命と晩夏』
 松山市立みどり小学校 6年
田井優希(たいゆうき)

カナカナのカナカナカナとカタカナ語
廃校のさびた鉄棒灼けている
妹が音符ばらまく夏休み
空蝉のへそのうのあと過去未来
みんみんシャオシャオバッチシ目覚め朝の蝉
散水の光の片へんうばいあう
氷の上に青く輝く魚の目
魚屋が涼し朝風運び来る
イーカードポアンと鳴らし夜店かな
魚飼う小さな瓶にほてい草
棺に入れる手紙とボール晩夏なる
猫の尾っぽがぴんと立ってる稲光
遊具の上の喚声夏の風を切る
さるすべりほろりほろりと池に散る
太陽に輝いている椿の実
すいれんの花からぬっと亀の首
背中が顔のような虫見つけ夏
くもの糸一本かれ葉ゆらしてる
背な割ってしろしろ蝉が生まれけり
驚愕という言葉を知ったシャボン玉
木のかげに一句読もうと立ち止まる
サイレンに合わせる黙とう原爆忌
夏空を飛行機雲が突きぬける
家族旅行で初めて宿の浴衣着る
雲海に思いふくらむ夏の旅
谺する夏の山なみ晴れわたる
舌かんで激痛はしる夏の果
石けりのつんつん夏を蹴りあそぶ
負けたけど汗汗汗に悔いは無し
悔いの無き戦い終わりシャワーあび
高速の灯り流れて夜涼し
決勝の暑さに負けぬ気迫かな
廃校に出入り自由な夏つばめ
廃校を我が物顔で蜘蛛が住む
球場にパァーンと虹でて雨あがる
夏の遠征みやげに買って島まんじゅう
スクイズにスタートをきる夏盛ん
手を合わす神社に雷雨稲光り
ぼくの夏野球野球で終わりけり
銃弾にひとつの命散る晩夏

コメント
今年は小学校最後の夏休みでした。ぼくは、小学2年生からこの俳句コンテストに応募しています。夏休みは旅行や勉強、お手伝いと充実した毎日を過ごしました。



装丁賞・優秀
『NYU DO GUMO』
横浜市立いずみ野小学校 4年
松下昇馬(まつしたしょうま)

『GENSO』
日本女子大学附属豊明小学校 4年
尾形綾香(おがたあやか)

『初秋の味』
枚方市立第4中学校 2年
若林綾(わかばやしあや)



装丁賞・佳作
『春なつあきふゆみんなたのしくはいくやろ』
松山市立和気小学校 2年
清水寿樹(しみずとしき)

『冬のタコ』
愛南町立家串小学校 5年
前田幸之介(まえだこうのすけ)

『想いの部屋』
今治市立桜井小学校 6年
野村有花(のむらゆうか)

『部活の神様』
松山市立道後小学校 6年
鈴木大河(すずきたいが)

『ゲージの中の世界』
松山市立双葉小学校 6年
小網柊哉(こあみしゅうや)

『春夏秋冬』
朝霞市立朝霞第三中学校 2年
藤井悠(ふじいはるか)



一句賞優秀賞
すいかかじってマンモスのかたち
松山市立味生小学校 1年
小笠原聡一(おがさわらそういち)

未央柳月をえがく時の色
松山市立日浦小学校 5年
金安理(きむあんり)

春夕焼机に残る墨の跡
愛南町立家串小学校 6年
浅野響次郎(あさのきょうしろう)

若葉雨酸素を作る理科実験
愛南町立家串小学校 6年
伊勢雄成(いせゆうせい)

倒木の腹にはりつくちっち蝉
松山市立生石小学校 6年
鈴村直樹(すずむらなおき)

春愁を与えた苗は育たない
Mater christi college 2年
金紗蘭(きむさらん)

嘘つきの僕は白木槿じゃないよ
江東区立有明中学校 2年
藤田茉莉子(ふじたまりこ)

どくだみよ月が落ちるぞ気をつけろ
松山市立雄新中学校 3年
吉岡優(よしおかゆう)



一句賞入賞
いわのあなくぐりぬけるとあおいうみ
松山市立石井小学校 1年
神村ありさ(かみむらありさ)

せんぷうきちきゅうといっしょにまわってる
松山市立東雲小学校 1年
越智汐音(おちしおね)

はるのかわめだか十ぴきおれのもの
今治市立下朝小学校 1年
越智勇人(おちはやと)

あさがおのつるのめいろにありすすむ
松山市立石井北小学校 1年
長谷部志歩(はせべしほ)

ひさしぶりパパにじゃんぷだなつやすみ
松山市立石井小学校 1年
三谷ふわり(みたにふわり)

かえりみちねこのこなまえつけてみた
愛媛大学教育学部附属小学校 1年
相馬怜奈(そうまれいな)

たんぽぽがとんでいきよったしょうごくんのせなか
内子町立田渡小学校 1年
寺岡大夢(てらおかひろむ)

お月さまかくれちゃダメよまだおによ
松山市立番町小学校 2年
栗田暖乃(くりたのんの)

春の空ピアニッシモのとりの歌
松山市立双葉小学校 2年
日高万歩路(ひだかまほろ)

ねこのこの足あとたどるひなたぼっこ
八幡浜市立日土東小学校 2年
石川真央(いしかわまお)

ひとつ目の花火トイレで聞く私
松山市立番町小学校 3年
栗田大愛(くりただいあ)

としのくれ二人の兄のうでずもう
茨木市立東小学校 3年
米山芽生(よねやまめい)

ストーブのおばけみたいなかげ一つ
鬼北町立愛治小学校 3年
芝彩花(しばあやか)

秋高し校長先生ホースもつ
鬼北町立愛治小学校 3年
岡田奈々帆(おかだななほ)

切りたてのふしぎなにおいは秋なす
鬼北町立愛治小学校 3年
井関稀琉(いせききりゅう)

草むしり今日二回目のシャワーする
松山市立みどり小学校 3年
西崎葵衣(にしざきあおい)

あいちゃんのどろのコロッケ春のくれ
内子町立天神小学校 3年
池田玲美(いけだれみ)

すきやきにおしゃべりまぜた春の夜
八幡浜市立双岩小学校 4年
横尾直澄(よこおますみ)

たすきがけ覚えて明日は春祭
今治市立桜井小学校 4年
野村建太朗(のむらけんたろう)

トカゲ聞け一番短い夜が来るぞ
なぎさ公園小学校 4年
長坂野乃子(ながさかののこ)

春の空音だけひびくヘリコプター
大洲市立喜多小学校 5年
岡田真巳(おかだまみ)

ふうりんも家族会議に参加する
松山市立清水小学校 5年
祝しずく(ほうりしずく)

水槽に魚はいない濃紫陽花
愛南町立家串小学校 6年
宮下龍(みやしたりょう)

遠足や交代で持つ班の旗
愛南町立家串小学校 6年
黒田千乃(くろだゆきの)

観覧車だれも乗せずに雪のせて
加須市立花崎北小学校 6年
阿部桃花(あべももか)

海藻の巻きつくボール汐干潟
松山市立味生第二小学校 6年
吉田哉汰(よしだかなた)

雲の峰剣道場の格子窓
松山市立西中学校 2年
鈴村綾音(すずむらあやね)

夏暁に覚めて外に聞く柱時計
横浜市立いずみ野中学校 2年
松下壮哉(まつしたそうや)

堂々と列車はカンナを連れていく
宇和島南中等教育学校 3年
山本真由(やまもとまゆう)

春泥を飛ばしてまわる三塁へ
大洲市立長浜中学校 3年
池田拳介(いけだけんすけ)



学校賞・最優秀賞
愛南町立家串小学校


学校賞・優秀賞(3校)
なぎさ公園小学校
八幡浜市立日土東小学校
内子町立田渡小学校


学校賞・奨励賞(4校)
宇和島市立小池小学校
八幡浜市立真穴中学校
八幡浜市立青石中学校
沼津市立静浦中学校



『第6回コンテスト選後評』
夏井いつき

 高橋凜太朗さん『南天の明暗』は、日々の生活を切り取った四十句ですが、季語を自分の身体で豊かに確かに感受した作品ばかり。「叱られて味方がいない夏休み」「パンジーのことが気になる三が日」のようにいかにも小学生らしい句があるかと思えば、「蝉の羽の一枚光る気の重さ」のように心の奥底を覗き込んだ句もあります。「山滅びそうな熱風終戦日」「自画像や鉛筆一本折れて雪」は季語への踏み込みも深く、強い感銘を覚えます。「はきなれた靴春はまだ浅い」「水澄んで消しゴム黒ずんで風」のように多彩な型を使いこなす力にも驚かされ、審査員一同を大いに唸らせての最優秀賞受賞です。
 宮下優祈子さん『 Etude(エチュード)練習曲』は「子犬のワルツ」「エリーゼのために」「革命」等の曲名を鏤めて構成された四十句。その間々に顔を出す十五歳の本音を詠んだ句にも高い評価が集まりました。作句力、構成力ともに、さらなる飛躍が期待される作家です。
 田井綾乃さん『あさがお』は、お話しした言葉がそのまま俳句になった可愛い四十句。実体験から生まれた言葉ならではの鮮度の高い作品でした。
 八塚陽向さん『生命体』は、自由でおおらか。一句ごとに絵本が一冊ずつできそうな豊かな世界が息づいています。声に出して読むのも楽しい作品でした。
 三瀬未悠さん『万華鏡』は、季語や型を理解し、表現の意志がみえる四十句。特に「粉雪しんしん子犬の飲んだ水」は愛唱句として心に深く刻まれる作品です。
 宮井桃歌さん『Bookshelf 本棚』は、読書をテーマに構成された四十句。思春期を前にした心の襞を様々な季語に託す表現は自在。読み応えのある作品でした。
 田井優希さん『命と晩夏』は、命というものを考え始めた六年生の夏を描いた作品。しっかりとものを見つめる目の向こうに、細やかな感受性が光る四十句です。
 装丁賞の傾向は大きく二つに分かれました。一つは非常に丁寧な切り紙や彩色、もう一つはシンプルなデザイン。どちらにしても、この句集を手に取って読んでもらいたい、という気持ちが強く籠もっている装丁が、審査員の目に飛び込んでくるのだなあと実感しました。
 学校全体で応募する場合、どうして句材が似てきます。多彩な季語体験、様々な型への挑戦が、類想類句から抜け出す突破口。来年に向けて是非チャレンジして下さい。



『装丁賞選考に寄せて』
キムチャンヒ

 今年も力作が勢揃いしました。
 優秀賞の松下昇馬くんは昨年に引き続きの受賞。受賞作「NYUDOGUMO」は、図案化された鴎と入道雲の対比が美しい。尾形綾香さんの「GENSO」は、コラージュが効果的で、デザインとして優れています。若林綾さんの「初秋の味」は、切り絵が精密で、中学生らしい作品。
 佳作の清水寿樹くんの「春なつあきふゆみんなたのしくはいくやろ」は、切り絵と筆文字を使った楽しい作品。前田幸之介くんの「冬のタコ」は、大胆に描いたタコが印象的。野村有花さんの「想いの部屋」は、毛糸や切り絵を貼り付けて可愛らしい。鈴木大河くんの「部活の神様」は、表面と裏面の表紙がシンメトリーとなっていて、斬新。小網柊哉くんの「ゲージの中の世界」は、シンプルな縦線のデザインが、美しい。藤井悠さんの「春夏秋冬」は、裏表紙の切り文字を表面で使うなど、工夫が見られました。
 優秀賞と佳作の差は、ほとんどないが、切り絵ののり付けが丁寧だったり、イラストを汚さないように描いていたり、といった最後の詰め。今年佳作の方も、フィニッシュに気をつければ、十分優秀賞を目指せます。
 次回も大胆で楽しい作品を期待しています。



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特集2 全酒類卸 山澤商店 杯

俳句対局龍淵王決定戦 後編



 《前回のあらすじ》
 初の「俳句対局」に挑んだ、烏天狗さん、加根兼光さん、瑞木さん、山澤香奈さん、蓮睡さん、渡部州麻子さんの6名。
 「秋の季語以外の使用、または、前の俳句の季語を季語として頂くとその場で負け」というルールが、あまりにも過酷で、失格者を生まずに終えた試合が一回もなく、一回戦を終了。
 果たして、無事に終えることができるか……。 
文 キム・チャンヒ


準決勝戦
 一回戦を終えた段階で、勝ち抜けたのは、加根兼光さん、山澤香奈さん、渡部州麻子さんの3名。この3名に敗者の中から、俳句点の最も高い方を一人加え、準決勝戦を行う。集計の結果、瑞木さんが準決勝戦進出を決めた。
 ルールの不安を抱えつつ、準決勝戦をスタート。席題句は、いずれも子規の俳句。

■準決勝戦 第1試合
表 先手 州麻子 × 後手 兼光
小錦の五人がかりの角力かな  子
小春日や机上は猫が占めてゐる 州

 ここで客席から「小春日は冬の季語!」という指摘。いきなり一句目で終了という自体に、どよめく会場。このままでは、まともに対局を終えぬまま大会が終了するかも知れない。
 ルールに不備があるのは明らかなので、急遽、ここでルール改正の提案を行った。
 「作句のルールから外れた俳句を作ってしまった段階で負け」というルールを、「作句のルールから外れた俳句を作ってしまった場合は、俳句点を0点にする」ということに変更。
 州麻子さんの一句目を0点にして、対局を続行することにした。

占領は明日に終わる柘榴の実  兼
ももいろの子豚ころころ秋日和 州
オリーブのころころ酒樽のころころ 兼子規の忌のオリーブ色に暮れにけり 州
チュニジアの石モンゴルの秋の色 兼

 1句目の0点を挽回すべく、作句のスピードを上げて行く州麻子さん。しかも、「子規の忌のオリーブ色に暮れにけり」では、8点を稼ぎ兼光さんをじりじりと追い詰める。4点差まで差を縮めて裏面に。

■準決勝戦 第1試合
裏 先手 兼光 × 後手 州麻子
桃太郎は桃金太郎は何からぞ  子
金風の何か音する森の中    兼
深秋や音楽室に星を見て    州
星たしか月を見ているように行き 兼
行く秋の応援席の野球帽    州
応答のとぎれ鮭颪の浜辺    兼
その辺のあれは南京あれは猫  州

 裏面では、兼光さんが反撃。作品展だけでなく、着実に時間点を稼ぎ、疲れてきた州麻子さんをかわし勝利した。
 紆余曲折はあったものの、はじめて、裏面の最後の句までいけたところで、会場から拍手が起こった。
 
■準決勝戦 第2試合
表 先手 香奈 × 後手 瑞木
色里や十歩はなれて秋の風   子
ゆらゆらと元色里の吊し柿   香
ゆらゆらと桔梗撫子女郎花   瑞

 季語を季語として頂けないルールを逆手に取り、「桔梗」「撫子」「女郎花」と秋の季語を3つも入れてきた瑞木さんの句。残るフレーズは、「ゆらゆらと」しかないのだが……。

女子更衣室とび出して猫暮の秋 香

 季語の漢字「女」と「子」を取ることで、回避。会場には「おーっ」というどよめきが起こった。

団栗や音楽室のベートーベン  瑞
月光の音楽会へいく切符    香
音楽のように芒の揺れる揺れる 瑞

 表面は、俳句点は互角、時間点でプレッシャーを与えた瑞木さんが一歩リード。

■準決勝戦 第2試合
表 先手 瑞木 × 後手 香奈
我書いて紙魚くふ程に成にけり 子
コスモスの揺れる恋文を書くように 瑞
恋を知る頃には草の実は風に  香
秋の風水琴窟をさざめかせ   瑞
曼珠沙華鞄の重き水曜日    香
朝寒や乳房の重さ愛おしむ   瑞
乳臭き我も赤子も月光に    香

 裏面はお互い時間を使い切り、点数は互角。表面で時間点が上回った瑞木さんが、勝利を収めた。

初代龍淵王決定!
 決勝戦は、兼光さんと瑞木さんとの戦い。この試合で勝利した者が、初代龍淵王となる。
 予定では、決勝戦も表面裏面、両方行う予定だったが、開場の時間の都合と、選手(および観客)の疲れ具合により、表面だけで勝敗を決めることにした。

■決勝戦
先手 兼光 × 後手 瑞木
枝豆ヤ三寸飛ンデ口ニ入ル   子
蛇穴に入る頂上は岩の山    兼
頂上を目指すリュックの落花生 瑞
マーラーの手の指長き九月尽  兼
柿をむく指の白さや東大寺   瑞
東西を決めぬ夜寒の計りかな  兼
味噌臭き計り夕月夜の土間   瑞

 俳句点はほとんど互角。時間点を使い果たした瑞木さんに対し、2点を残した兼光さんが勝利し、初代龍淵王となった。

 ルール上、様々な不備はあったものの、出場者はもちろん、会場にいた方全員が、充実した時間を過ごすことができた。既に次回の俳句対局開催に向け、準備を整えているところ。お楽しみに。


4月21日(日)
俳句対局龍天王決定戦開催予定!
詳しい内容は、次号にて発表します。乞うご期待。


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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2012年度 第三期 3回目


「黒き帆」津田美音

滅菌器唸る天皇誕生日
爪切りのばね強かりきクリスマス
黒き帆を掲げ聖夜のピアノかな
寒月光くずれ黒鍵号泣す
蓬莱や出自は星と返答す
初みくじ結ぶ高さへ傘傾ぐ
人日の上靴底の画鋲かな
みかん王国と説く和歌山に抜かれども
山積みの給食の手つかずのみかん
憂国や先割れスプーンの人参
鉄塔のごとし斜陽の冬蜂は
綿虫の喪のネクタイを照らす月


香川県さぬき市生まれ。松山市在住20年目。現在小学4年生を受け持つ教員。専門は音楽。
俳号 ピアノフォルテ




「雪降る街」杉山久子

星凍る音かと目覚め初旦
人日や杓文字擂粉木もたれあひ
つつがなく鱗に透かす冬日かな
菜箸をつかふしづけさ雪の昼
大根煮てゆつくり明日へちかづきぬ
もてあます母あり寒の土筆あり
みみづくを見るたび眠くなつてゆく
雪の夜の手紙束ねる紺リボン
雪原の奥へ着信音つづく
火事跡に会うて目を合はさずにゐる
鏡台の前に猫ゐる暮雪かな
産みたての卵雪降る街に買ふ


1966年生まれ。第二回芝不器男俳句新人賞。句集『春の柩』、『猫の句も借りたい』『鳥と歩く』。




「木屑」森川大和

クリスマスツリーの前の投票所
餅焦げる受賞写真のどれにも銃
芸人の百人こけて見せる除夜
初詣海香る子とすれ違う
手水舎の天井にたゆたう初日
さっぱりと賀状書きくる浪人生
雪となるはずの雨降る未明より
狗の日の校舎をひとつずつ開く
教え子に仕切られてゆく蟹鍋よ
応援歌特番やあやあの五日
四川から届く賀状と唐辛子
(前書き:センター試験直前最終模擬試験実施教室)鉛筆の木屑の打ち薫る七日


1982年生まれ。第二回俳句甲子園団体優勝、個人最優秀賞。第一句集『ヤマト19』(マルコボ.コム)。愛媛県立松山東高等学校俳句部顧問。




「家中一」高橋白道

一年を五分で話す年忘れ
寒卵小指の爪を伸ばしけり
聞き流すだけの独逸語冬の虻
体重を掛くる一枚畳替
餅搗の後ろに立つと危ないぞ
一社減り一寺増えたり納札
ペンだこと言ひえぬ太さ筆始
薬喰寝ぬも起くるも家中一
これ以上小さう出来ぬ寒灸
村人に混じる要人冬旱
水洟の子供だんだん寄つて来る
巻貝の身と入れ替る冬の砂


1954年生。愛媛県出身。
生物、特に昆虫が好き。




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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2013年1月号 〜 2013年3月号 2/3回目)


 待春 蓼蟲

冬紅葉下照る嵯峨の川門(かはと)かな
川中の礎石に優し冬日差し
シダ箒十本並ぶ暮の寺
テーブルに荒野ありけり年暮るる
筆立の鋏ひかるやお元日
数へるほどの雪片おりてくる
待春や古き醫院の隷書体  
帰らんとして外套重し八条口
日脚伸ぶゆつくり傾ぐ連結器
朝風や枯山吹を明るうす


焦土ノ余燼未ダ燻ブリヤマヌ頃、伊豫ノ國西條ニ生ル。長ジテ東京ニ遊学スルモ学ヲ遠ザケ遊ニ親シム。一勺ノ酒ヲ分ケ合フ友ヲ得ルモ今ヤ亡ク、一日一合ノ酒ト味噌ト少シノ麦酒ヲ友トシ日夜句作ニ呻吟ス。



 なづななづな ふづき

天狼あをあを仔牛の耳にバーコード
冬の田へ蹴る缶いぢめアンケート
木枯へ鎖骨を楯として進む
象の耳ひなたにひらく御慶かな
外遊の話ごまめのほぐれたる
なづななづな猫とはなれてすわる猫
松過の焼場に椅子を寄せあひぬ
非通知着信角折れてゐるカーペット
赤ん坊の母へ寝がへる冬りんご
立春のしづくを切つてたたむ傘


松山生まれの松山育ち。2007年9月土曜カルチャー入門。二匹の飼い猫のせいで我が家はジャングルのように成りはてましたが、困ったときの句材になってくれています。



 ゆらしたる 香雪蘭

スノーチェーンと誇らしげな軍手
病院の迷路の果ての冬日向
忘年会割り箸の棘とれぬまま
色褪せし四コマ漫画畳替え
寝る犬の鼻のヒクヒク年守る
交番の椅子に破魔矢の二本かな
新春作家放談ゆらしたるピアス
御降の赤々琉球瓦屋根
寝正月島の岬に風強く 
再建の白き総門淑気立つ


写真部所属。表紙写真も二年間担当。皮肉屋?と思われるふしもあるが実は「平穏無事」がモットー。現在は、山裾の野生児でいたかったのに突然都会に連れて来られた「狼少年ケン」のような心境。早く森に帰って安穏とした生活に戻りたい……。



読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

 「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(俳句の缶づめ等)/推薦者ご自身の俳号(本名)/住所/電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ/FAX/Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、誌上句会インターネット投稿フォームでも受け付けています。(アクセス場所は誌上句会コーナー末を参照してください。)なお、投稿フォームの場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 3月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 また、今回連載を行っている3名の方への感想もお待ちしています。よろしくお願いします。


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百年琢磨
先月号の「100年の旗手」に寄せて

冬の孤愁 平敷武蕉

「未来明るし」 香雪蘭
マフラーの踊り子つんとあげる顎
 ここでの踊りは日本舞踊ではなく、ファンダンゴであろうか。顎の表情で踊りの特徴と動きをよく表現できている。

闇雲の未来明るし日記買う
 日記を買うのは書きたいことがあるため。つまり、自分の生の営みを綴りたいという意欲のある証拠。そのような意欲が闇雲に生じた自分を身内に発見して、「未来は明るし」とした。日記を買うことの中に未来を予見したのがいい。

凍月や梯子はずしたのは我か
 寒空に月がぽつんと張り付いている。その孤愁の姿を作者は、梯子をはずされ下界との交通を遮断されたのだとみる。そして、梯子をはずしたのは自分かも知れず、孤愁の月に自分の姿を発見する。

「冬を見てゐる」 蓼蟲
撞球のぶつかる音や冬来る
止り木の友責めてゐる冷たさよ
殺到する冬雲の底死者の街
 一句目。不況で客も入らず閑散とした撞球場であろう。広いホールに撞球がぶつかりあって乾いた音を響かせる。冬を迎え不況の厳しさが一層身に滲みる。聴覚で不況と冬の到来を詠んだところがいい。二句目。止り木の友とは亡き友のことか。どうして自分一人を残して逝ってしまったのだと友を責めることで、自分を責めているのである。冬の孤愁がひときわ身に滲みる。三句目。多くの命を呑みこんだ3・11後の東北の街を詠んだ句であろうか。季節は残酷だ。死者の街にも寒々とした冬雲は容赦なく殺到する。それは、日本列島の現風景かも知れない。

「丘と谷」 ふづき
着信の点滅木菟の耳立つ夜
ピペットを極月の血の昇りゆく
荒星の砕け溲瓶に丘と谷
 木菟が耳を欹てるほどに静まり返った冬の夜、ケイタイがしきりに点滅している。何か凶事の知らせなのか。不安感がよく表れている。二句目。「火事遠しシャーレに卵子分裂す」と併せて医務に携わる現場の一こまを題材にしたのが新鮮。三句め。深夜の病室。耳で星の砕ける音を捉え、目は、溲瓶に溜まった尿の様子で患者の病状を推し量っている。研ぎ澄まされた感性がひきたつ。


平敷武蕉
1945年、沖縄県生。著書『沖縄からの文学批評』。俳句評論集『文学批評は成り立つか』で第三回銀河系俳句大賞を受賞。俳句誌『天荒』編集委員。文学同人誌『非世界』編集責任者。



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 雑詠道場は、「くらむぼんが笑った」か「へたうま仙人」か、どちらかへ3句1セットでの選択投句となります。選が厳しい「くらむぼん」に挑戦するか、必ず一人一句以上選評付きで載る「へたうま仙人」を相手に“巧すぎるのでへたの聖地追放”を目指すか。その選択も楽しんで頂けたらと思います。


雑詠道場 くらむぼんが笑った


夏井いつき選


今月の天
ゆたんぽのぶりきのなやみ二十四 えつの
 「ゆたんぽのぶりきのなみのあはれかな 小澤實」の本歌取りだが、ここまで無邪気にやられると大いに困惑する。「なやみ(悩み)」ではなく「なみや(波や)」の書き間違えか……と気にもなりだす。仮に「ぶりきのなみや二十四」だとしても、かなり挑戦的な詠みっぷりだ。本歌の「あはれかな」という詠嘆を、「なみ」の数を数える愚直な行為ではぐらかすのだから、大胆不敵な俳味。
 が、掲出句は「なやみ」とあるから正しく読まねばならぬ。夜な夜な悩みを抱える「ゆたんぽ」はとうとう波打つ形になってしまったよという擬人化の可笑しさ。「天」に推すべき佳句か否かの評価を完全度外視して、とうとう離れられなくなってしまったよ(笑)。


今月の地
鼻ひりし後の口元改めり 古殿七草
 「鼻ひり」とは嚏のこと。ハックションとやった後の「口元」を慌てて取りつくろうさまを「改めり」と表現したところにほのかな俳諧味が漂う。

出ていった。電気毛布は強のまま とりとり
 ちょっとした口喧嘩が発展してのマジな家出と読んだ。残された人物の視線が「強のまま」になっている「電気毛布」にいくところにリアリティーと可笑しみがある。俳句では禁じ手に近い句点もまた効果的。

寒風のバンク金網掴みおり 元旦
 「バンク」は競輪場と読んだ。季語「寒風」の感触が「金網」を掴んだ指先から伝わってくる。あと一周の打鐘(ジャン)が鳴ると、「金網」を掴む指に力が入り、しばし「寒風」を忘れる勝負の瞬間が近づく。

ベッド下より寒さ掃き出すモップかな 神楽坂リンダ
起さねば起きぬ家族と納豆と 不知火
 前句、「ベッド下」から埃を「掃き出すモップ」の動きやそれを持つ手から「寒さ」を感知する確かさ。後句、「起こさねば起きぬ」ものは?という三題噺のような発想の愉快。「家族と納豆と」の叙述に慌ただしい朝の光景も浮かんでくる。日常の家事は、視点を変えれば句材の宝庫。俳句の種探しだと思えば家事もまた楽し!だ。

抱かれて少し小さくなる兎 雨月
かたまつてねむる兎は星のいろ 緑の手
 前句、「抱かれて少し小さくなる」という描写は言い得て妙。腕からおろされた「兎」が不気味に大きく感じるのも事実。後句、「かたまってねむる兎」の色はもちろん、一羽一羽の息づかいのイメージも合わせて「星のいろ」と表現したのかもしれない。

赤子抱く師走の獄の面会所 浜田節
 作者の作品には獄舎の光景を詠んだものが散見する。仕事で出入りする折に、ふと目にとめた「赤子」を抱く姿。「師走」という時候が「獄」という場所の哀しさを際立てる。

水槽の魚の名習ふ十二月 むらさき
 季語「十二月」は年末の慌ただしさ、聖夜、開戦記念日、レノン忌などの断片を凝縮して私たちの想念の中に存在する。「水槽の魚の名習ふ」という小さな断片が、「十二月」という季語の世界に小さな灯りを点じる。「水槽」のぼんやりとした光と静かな「魚」の動きが印象的に感知される一句。

大年を烏の渦を巻きて増ゆ 樫の木
 「大年」の夕暮れを想像した。塒へ帰ってきた「烏」たちは、次第にその数を増しつつ旋回を繰り返す。不穏にも思える光景だが、「大年」という時間の「渦」もイメージされる。

砂漠越え兵士は眠るクリスマス 実峰
 砂漠を越えてきた「兵士」が停戦の眠りについているという場面と読むのが妥当なのだろうが、なぜか自分自身が「砂漠」という時空を越えて、眠る「兵士」を見届けているかのような気持ちになった。季語「クリスマス」が持つ連想力ゆえの幻影か。

チャイに注す冬日空耳のコーラン 野風
 甘ったるい「チャイ」は苦手だが、「チャイに注す冬日」と表現されると確かに「冬日」が溶けているからあんな色なのだ、とも思えてくる。「チャイ」の甘ったるさに舌が重くなれば、耳奥かすかに「空耳のコーラン」が渦巻き始めるかもしれない。


今月の人(じん)
凍る夜の赤き点滅電子音 さわらび
寒暁のしじま耳の奥じんじん
落葉してしかと膨らむ左心房  神楽坂リンダ
ぱちぱちと風生む赤きセーターよ
釣り堀の釣れない魚耳袋 もね
春隣次々と剥くゆで卵
大年の腕に輪ゴムの二本あり すな恵
ウッドベースくるくる大つごもりの熱
年の瀬の路地に光りて五円玉 じろ
年の暮木を次々と伐る話
弓形の列島荒星を放つ ポメロ親父
今朝はドラえもんの吐く息も白い
小雪の空ひるがえる日章旗 ほろよい
凩に仁王の大腿四頭筋
先生は褒め上手だった冬菫 のり茶づけ
新玉の年のチワワに吠えられし
空をはがれて一月の軽さかな 犬鈴
はつ雪をすふてのひらの静かなり
耳鳴りは我の生む音冬の暁 空
もらい湯の雲間の星の聖夜かな
大合唱終へて聖樹に解散す ふづき
行く年の眼鏡拭きたる膝に猫
天狼の煌めき刺さる黒運河 一心堂
極月の夜輪転機唸る唸る
子には子の部屋夜の雪夜の雪  西原 みどり
羽の無き鳥になりたる雪の夜
ぱつくりと割れ大年の聖護院 樫の木
荒星を容れて発泡する眼球
木枯の都大路のメロスらよ うに子
地球儀の日本を冬の陽にかざす
雪の日の記憶に母と万華鏡 ターナー島
葛湯吹く闇の向こうの怒濤音
寒夕焼青き瞳の人魚像 あおい
悴むや長に教はる左縄
適当に見繕ってと脱ぐ頭巾 亜桜みかり
牡蠣殻に牡蠣ぎゆぎゆと沸きはじむ
白菜の巻き絞む碧空の風ぞ 緑の手
鬼の目の如き紋持つ真冬の蛾
初日の出犬の頭を撫でて待つ 朗善
負ぶはれて雪を見てゐる眼がつぶら
さればこそ朽野に旅果つるべし みちる
厳冬や風音拾う拡声器 鞠月
寒三日月岬のマリアに傾きぬ 古殿七草
曾祖母は樹木希林似で山眠る あらた
寒波来る列島片肺欠けしまま 藍人
凍雲や墓地に散らばるマッチ棒  権ちゃん
階段を足音が来るクリスマス とりとり
ジャンボ機のちひさな車輪寒の雨  えりぶどん
国籍を問われた空風は何と 紗蘭
作業着の尻ポケットや日記買ふ 未貫
せっかちな舌湯豆腐をたしかめる  お手玉
年越しの蕎麦の海老天二匹買ふ 輝女
霜降れば子守唄などうたいたき  ぎんなん
利き足の靴音強き十二月 てん点
小春日へ叱った子らを送り出す 八十八
落日にユンボ傾く枯野かな 雨月
渋柿のつるされている誕生日 こぼれ花
論客を黙らせて沸く牡丹鍋 鞠月
アイロンや仕事納のシャツ二枚 不知火
園の窓園児の数の吊し柿 八木ふみ
短日の髪掻きあげし無言坂  西条の針屋さん
まがりゆく電車の消えて帰り花 迂叟
鹿の尻ゆらゆらゆらと草を喰む 春告草
宇宙から来たやうに孫着膨れる  ちろりん
方丈記半分開く鴨の声 人日子
人声のふいに降りくる枯木山 省三
寒晴のきりりと青き松葉かな なづな
老松に支柱十本空っ風 北伊作
女は狩りに出よ極月の空へ コナン
忍び寄る日暮の冷えや背を伸ばせ  えつの
畏まる新年髭の剃り残し カラ嵩ハル
酔っている今日は寒月目がしみる  ペプチド
酒宴抜け一服凍て星の見張り 青柘榴
鮪糶るころがしたまま糶り続く 鯉城
戦後史の右往左往や年暮るる 哲白
坐するシェパード銀杏落葉の王たるや  野風


今月の並選
冬うらら二人だけの秘密 ゆまるばたこ
凍空に心を投げ出し走り去る
赤×緑に恋するクリスマス
神戸では口語の気分冬帽子 青蛙
客引きの中華訛りよ冬神戸
見通しの悪き途なり師走風
大雪や思考停止のぽよよんと 洋子
黒く塗り叱られちゃった山眠る
狐火や二人の訃報突然に
女妻母を見事に通夜の月 松ぼっくり
無月ですブンナよ木から降りてこい
師走アルツハイマーの友よさらば
セメダイン使ひこなせし冬休み ゆき
クリスマス終われば普通以下の日々
八百屋さん魚屋はじける年の暮
呪術師のお祓い焚火に赤い花 和音
年末や母はいつもの朝昼晩
わたくしとともに乗り込む六花
妖精の卵隠して寒葵 一走人
空っ風ジャンボのへそを見つけたり
数え日や目の前を過ぐ救急車
髪の毛が指に吸い付く冬木立 磨湧
クリスマス営業時間の変更はなし
日記買う高望みなんてしないから
水茎踊る正月の凧の文字 樹朋
着ぶくれの膝に納まる長子かな
長旅に朽木となりて休む鴨
携帯電話ともども着ぶくれし 紅紫
冬の水歯に滲みあをき眼となりぬ
冬の水インスタント食べ仕事入る
画家、西村宣造に
春待ちの女道化師長き指 まんふく
女泣かせ人をたらして虚無を笑う
またひとり阿呆が何処へ年の暮れ
弔いの今年は寺へ初詣で カシオペア
初日待つ龍馬は異国を眺めおり
冬うらら一期一会の雲流る
水盤の氷に投げてみる小石 サキカエル
待ちきれず吊り紐寄せて食べる柿
一人鍋今日はハマったスンドゥブ
祝福の天使の涙は初雪 アンリルカ
くるくると巡る想いと木がらしと
大雪や感謝してもしきれぬ空
年賀状やめる続けるむずかしい 三竜
行動の精度がおちる高齢化
追い越してゆくマラソン男白い息
雪嶺の神神しきに涙する レモングラス
海に立つ百万本の水仙花
笑ひ漏る紙のお面の鬼やらい
背徳のごとく貪り喰ふ真牡蠣 みちる
冬薔薇は真紅疾風に翻る
悲しき事これで終わりと冬の雷 ぴいす
在りし日のじいちゃん思ふ日向ぼこ
すれちがふ散歩の犬も息白し
大人気ない体育教師に空つ風 あらた
開き直るテトラポッドや冬の雲
嘘つきも大嘘つきも年惜しむ 藍人
冬の雲辞職願を提出す
冬の雨郵便受けの領収書 権ちゃん
話せない過去ひとつなく日向ぼこ
四次元の中の絶頂大枯野 えりぶどん
寒きんの天使になりて空を舞ふ
神無月悲観の的へ矢を放つ 紗蘭
飲み干したあとの始まりの氷
除夜の鐘変へられる明日震へ居り 未貫
ジョンの声聴いて始まるクリスマス
赤丸を付け極月の仁川行き 元旦
「スタートは正常」寒潮蹴散らして
注連飾る銀座に青い瞳のお客 お手玉
湯豆腐のふるえて掬う木のしゃもじ
年用意半額シール待つてをり 輝女
数え日や予定にチェックマークつけ
月冴えて青墨そろりと含ませる ぎんなん
北風やひざっ小僧のばんそうこう
冬ざれや夕闇に光る里の海 ペプチド
年の瀬やみかん山にみかんなし
吹螺に雲消え入りて御元日 てん点
母の背の丸くなりけり冬茜
大年のスーパー日本中集う 青柘榴
残務処理悩めど遅々と冬至雨
年送る笑顔の再開約束し 八十八
泣いた日も笑うた日もあり大晦日
先を行く早足追って冬木立 実峰
後悔は書かないつもり日記買う
渋柿の日に日に細りゆく窓辺 こぼれ花
冬眠の蚯蚓起こしてしまいけり
新しきピザ屋の煙冬うらら 八木ふみ
数え日の修理屋帰る午後十時
幸薄き猫つまづきて冬ざるる  西条の針屋さん
千年のふるさと想う冬至の湯
色とりどり百円で買ふ小さき春 迂叟
償いのできぬ過ち春を待つ
電子音響く朝日の弾け冬 春告草
冬の田の轍に生るるナスカの地
セシウムの残る腐葉土冬眠す ちろりん
梅ふふむ障子一重の未来かな
御堂筋肩に一片いてふかな 人日子
寂しさを一つ忘れて牡丹焚
大岩の罅のたてよこ年詰まる 省三
ますぐなる匂ひ立ちくる水仙花
元朝のやをら開けをる雨戸かな なづな
サイフォンの並ぶ茶房や年の暮れ
クロサイの角に木枯し突っ掛かる 北伊作
シャッター押す指に木枯し引っ掛かる
みぞるるや時は無口に癌病棟 コナン
牡蠣好きのチーズ焼など愚の骨張
寒菊や父の笑顔の深き皺 浜田節
孤独死の話となりぬ息白し
年の暮十二キロの九絵お相伴 むらさき
置き去りの山川忘郷や年暮るる
バーゲンを二店三店去年今年 カラ嵩ハル
屠蘇祝うそれ手拍子の木遣り歌
ただ海を見てゐるだけの冬至かな 鯉城
小春日や河馬大好きのネンテン氏
豆腐屋の笛の音途切れ冬の雨 哲白
衆愚の世背く人あり冬薔薇
一命を取りとめしこと雪中花 さわらび
玄帝や 薄墨色に 日暮れたり 古殿七草
冬帽子しぶしぶ取って歯科の椅子 とりとり
トランプや大貧民となる炬燵 もね
クリスマスカクタス上げ底の箱こはす  ふづき
自転公転大つごもりを見失ふ すな恵
極月の電車が来ます危険です ポメロ親父
大胆に時を裁ち切り大晦日 じろ
シャキシャキと靴底冷える白き朝  のり茶づけ
雀来て遊ぶ小春のトタン屋根 ほろよい
去年今年きのふの息を吐きにけり 犬鈴
中年の顔になりたる冬帽子 雨月
山裾に宿坊へばりついて雪 鞠月
言わないで飲み込む小言着ぶくれる 不知火
半額と朱赤に大書大晦日 空
凩に神の寝息を聞きし夜 一心堂
人波をおよぐはやさや年の暮 うに子
十二月くる一本の火掻き棒 ターナー島
白菜の立たされ坊主赤茶ける 野風
手から手へ託する蜜柑被災地へ あおい
大晦日逃げも隠れもいたしません  亜桜みかり
子供らの静かに遊ぶスキー宿 朗善
学校の聖樹児童の写真吊る えつの



【雑詠句募集】
投句三句/俳号(本名)/〒住所/電話番号と、「○月末日締切分」を明記して、編集室「くらむぼんが笑った」または「へたうま仙人」宛にお送りください。
締切は毎月末日《必着》です。
※末日を過ぎたものについては、翌月分とさせていただきます。
※ひと月に複数の投句があった場合は、一番最後に届いた投句のみを有効とさせていただきます。同一内容での二重投句はご遠慮ください!
 投句は誌上句会宛のハガキ&メールとは別でお願いします。
雑詠専用Eメールアドレス zatsuei@marukobo.com
インターネットや携帯電話からも投句できます。
http://www.marukobo.com/kuramubon/


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初学道場 へたうま仙人


原案:大塚めろ
文責:編集室

 春は名のみの列島ぢゃが、みなさまいかがおすごしかの? 今年も1ヶ月が過ぎてしもうたが、今年はまだ11ヶ月も残っておる。しめしめぢゃ。へたうまの道は険しいが一歩ずつぢゃ。今月もお側に置いてくだされ。


兎冬の山色暖かに紅葉す 小犀
冬山の暖かき色や縫い走る
 冬山に暖かい色を見つけるとは詩人ぢゃのう。一体いつの季節の山かわからん句達は、猛烈にワシの好みぢゃ!

持久走最後の一人まで応援す 柊つばき
 無季の句ぢゃが、ランナーと応援者の白息まで見えてくるようぢゃ。作者の優しいまなざしにほろっときたぞ。

千年のふるさと想う冬至の湯  西条の針屋さん
 帰る場所があるだけでほっこりするのう。柚子の香りまでしてくるぞ。作者のシルエットは見たくないがの。

木枯や葉っぱ舞う日首すくむな たっ君
 自分への叱咤激励のようでええのう。ギクシャクしたリズムに木枯もたじたじぢゃ。これぞへたうまの王道!

鎌鼬透明人間現はれる おせろ
 全ての不思議な現象は透明人間属の戯れなら説明が付く。成る程そうだったのか。仙人とは無力な存在ぢゃ……。

ワタクシは旧正月です2月待つ  ケンケン
 新暦への違和感をもとに、現代の常識と非常識の境界を突いた異色作ぢゃ。ヘタウマ界の期待の新人ぢゃ!

大晦日細川茂樹叫び声  KIYOAKIFILM
新年やオムツは昨日買ったです 
 角度の違う社会性俳句ぢゃ。誰が使うオムツかで世界が変わってくるところなんぞニクイ。むりやり感もいいぞ。

悴みてフッと用件忘れけり 大阪野旅人
 悴むと忘れるの因果関係は無いが、あるある感がたっぷりあるのう。たいした用件でない事を祈っておるぞ。

病む人と暖炉の香り楽しめり 未々
寝息聴くここは浄土か梅の宿
紅椿空き家となりし庭に咲く
 しみじみとする連句の如き三句ぢゃ。一句目の「楽しめり」が見事にしてワシ好み。各地の梅は咲いたかのお。

どの影もうすっぺらなり冬の鯉  小木さん
 へたうまの奥義を極めつつあるぞ。ここまでくると真っ当な佳句にも見え……天才とバカは紙一重的妙味ぢゃ!


    以下、全て追放!

いけない恋のようにバター餅頬張る  今比古
 バターがいかにも「いけない恋」ぢゃのお。ただの餅ではいけない事を知っている作者は、浅き春的追放ぢゃ!

まがりゆく電車の消えて帰り花 迂叟
 残されたレールから帰り花へのカメラワークが映画のラストシーンのよう。職人気質の句は目貼剥ぐ的追放!

焚き火の浜石が夢見た形跡 親タカ
 歴史を刻んだ浜と、猛々しくもやがて消えゆく焚火との出会い。こんな悠久の句は春火鉢的追放ぢゃ!

勘三郎逝く霙を初雪にして だなえ
 時のかすかな流れを季重りに託すあたり心得ておるの。こんな心得者はこの場には不要。なごりの雪的追放!

看護師の靴音ひそか冬銀河 ひでこ
大晦日首輪を持たぬ犬がいる
 大晦日の言葉にならぬ孤独感がひしひし。巧みな暗喩もりもりのこんな句は春隣的追放ぢゃ!どうぞご自愛を。

十二月くる一本の火掻き棒 ターナー島
葛湯吹く闇の向こうの怒濤音 
 こういう肉体感覚を伴った写生句はワシの守備範囲を大いに出ておる。季節はずれの甘酒的、とっとと追放!


 寒の最中の急流下りの小船に乗ったような今月ぢゃったがお楽しみ頂けたかのう。これで満足せずにへたうまの道を脇目もふらず邁進してくだされ。くれぐれも油断召されるなよ。


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放歌高吟


頭突き
夏井いつき

最前列にまたあの冬帽が来ている
木枯や指名手配の名は龍輝
チルドレンの綴りと鷹の書き順と
太陽の笑う絵皿やペーチカ燃ゆ
狂う日程ブロッコリ固い
白菜に頭突きをしたきほどの快哉
皇帝ダリアくらくら白銀の太陽
泣き兎なかせて雨のぎんいろに
兎飼う男と星を読む女
冬帽のラメの高慢ちきな色
身の骨の鳴れり木枯かがやけり
咳き込めば胸の鱗のざらざらす


 日本俳句教育研究会(略称nhkk)第5回研究発表大会は、去る1月12日、松山市道後子規記念博物館にて開催された。大会終了後のnhkkホームページに、参加者のこんな書き込みを見つけた。

 遠路はるばる来て、見事な発表をしてくれた家串小の4人組に超感動しました。聞く・話す・読む・書く、興味関心態度、全てにAの力を持った頼もしい4人でした。態度や表情が凛々しくて、彼らに会えて、元気をもらいました。4人それぞれに違う色があり、あんな大舞台でも、気負わず、自分らしく発表する姿。老化現象か最近涙腺が緩くなり、彼らの発表を聞きながら、不覚にもうるうるしてしまいました。

 家串小だけでなく、今年の研究発表はどれも素晴らしかった。子どもたちが俳句というツールによってここまで変容し、豊かな心と言葉を獲得するのだという実践の数々に、胸が熱くなった。頭が下がった。
 日本俳句教育研究会の活動は「俳句の種まき運動」の柱の一つだが、本誌が取り組む百年俳句計画は、次の二点に要約することができる。

1:俳句のある人生の豊かさを伝え、俳句  のある人生を楽しむための提案。
2:百年後の未来の言葉と心を育むための  俳句教育研究。

 世間には未だに本誌を俳句集団『いつき組』の結社誌だと考え違いしている人が多い。改めて言わせてもらうと『いつき組』はこれといった冊子を発行していない。が、俳句集団として組員誰もが明るく豊かに志高く、俳句修行を楽しんでいる。ある人はラジオ番組への投句を勉強とし、ある人はネット句会の切磋琢磨に身を投じる。いずれかの結社で師弟関係を結びつつ本誌の集いを楽しむ人もいれば、ここを本拠地として学びつつ百年俳句計画の担い手となってくれる人もいる。皆、1あるいは2の志に賛同してくれる頼もしい句友たちだ。
 確かに結社誌でも同人誌でも総合誌でもない本誌の存在は特異だ。理解しにくい気持ちも分かる。が、もうそろそろ世間様も既成概念で分類する旧弊な考えを捨ててくれても良い頃ではないか。百年俳句計画の志を直球で受け止めようとしない勘繰りに、頭突きをかましてくれないものか。
 取り組む「俳句の種まき運動」の先に、家串小のような子どもたちが育つ未来があることを確信した今、私たちはますます胸を張って志を掲げたい。「自分のためだけの俳句」ではない俳句の未来を考える俳人が一人でも増えることを願い、百年俳句計画の旗を洋々と掲げてゆきたい。




夏井いつき公式ブログ「夏井いつきの100年俳句日記」

http://100nenhaiku.marukobo.com/


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新 100年の軌跡


第5回


腰据ゑて 岡戸游士 

遠巻きに鉄塔濡らす寒の雨
寒空の子が足放りよく遊ぶ
マフラーは縦巻き同じ足運び
急く息の丸まりながら白からむ
柚子風呂の柚子を沈めて真顔なる
口辺を隠して臨む吸入器
それぞれに使ふ大根の形あり
冬山の雲翳暮れるまま積もる
鳴く寒鴉ばかり群れゐる林かな
雲分つ晦日の月を引きずれり
地平線わづか傾く大旦
食紅の色おそろしや餅を搗く
初凪や沖は生簀の白光り
摺り足をひたひた寒の犬はしる
腰据うるほどにラガーの迫り来る


岡戸游士
1993年生まれ。愛媛県松山市中島出身。中学生の時に興味を持ち始めて以来、のんびりと続けています。現在は愛大俳句研究会を中心にのびのびと活動させてもらっています。




冬の日の底にメロディ 原

天球に貼り付くように冬の鳥
凍星やキーホルダーの白きこと
ぽっくりをまだらに染めて寒椿
菜箸に箸に白菜のてろろん
しゃくしゃくと葉葱を刻みいつか妻
待たされて5分 他人の庭の梅
すれ違う人のケータイに寒木瓜
レンジから取り出す皿の鱈の白
寒禽のシルエットだけ残る窓
ゆざめしちゃうよ 指先の擦る花弁
石段は人を支えて白き息
懐かしい声ばかり空 日向ぼこ
三日月がどこかでピシリ冬至風呂
都鳥 記憶ばかりの河をゆけ
冬眠の熊も目覚める挨拶を



俳号「原」。愛大俳句研究会所属2回生。短歌歴は4年。俳句歴は1年目。




虚と実と マイマイ

遠巻きに鉄塔濡らす寒の雨 岡戸游士
 読んだ瞬間「え、どういうこと?」と思った。しかしそれこそが作者の狙いなのだろう。何気ない言葉を重ね合わせて非日常の世界を紡ぎ出す。読者はいつの間にか現実と非現実の危うい境へといざなわれるのだ。

食紅の色おそろしや餅を搗く 岡戸游士
 実景の迫力ある句。餅撒きで拾った赤い餅は淡いピンクで慎ましい色だったが、実際その餅を搗く場面ではこうなのかと納得させられた。「おそろしや」に実感。

菜箸に箸に白菜のてろろん 原
 要するに白菜を煮すぎただけのことなのだが、「てろろん」のオノマトペが可笑しい。「菜箸に箸に」のリフレインも無意味にして軽妙。

寒禽のシルエットだけ残る窓 原
 「寒禽」と大掴みにしているだけで何の鳥を想像するかは読者に委ねられている。窓は高いのか低いのか、鳥は高く旋回しているのかそれとも降りてきて目の前をよぎったのか。もはや窓に鳥はいない。それは記憶の中だけに影を落とし続けるのだ。


1966年愛媛県生まれ。2003年頃からラジオに投句を始め現在に至る。第2回選評大賞優秀賞。



よい秋に 瑞木

マフラーは縦巻き同じ足運び 岡戸游士
 縦巻きとは、二つ折りにしたマフラーの輪に端を挟み込むコンパクトな巻き方と解釈した。速足で通り過ぎる二人連れのビジネスマンが目に浮かんだ。

柚子風呂の柚子を沈めて真顔なる 岡戸游士
 銭湯での光景か。私もよく柚子を沈めて遊ぶが、真顔で沈めるというのは柚子湯でも治らぬ憂鬱を抱えていると見て間違いないだろう。

天球に張り付くように冬の鳥 原
 地上からでは豆粒にしか見えないほど空の高いところを飛んでいる渡り鳥の群れを思った。彼らが遠い地から移動してきたことを考えれば天球という言い方も大袈裟ではないだろう。

しゃくしゃくと葉葱を刻みいつか妻 原
 葱を刻むという行為はその単調なリズムゆえか、色々なことを思い巡らせるのに向いているようだ。未来のことに思いを馳せている作者が羨ましい。私は過去のことを思うことが多い。


1963年生まれ。愛媛県八幡浜市日土町在住。第2回選評大賞最優秀賞。


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Letter from spider garden


ナサニエル・ローゼン(訳:朗善)
松山市在住の世界的チェリスト ナサニエル・ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.10

Sorry, no haiku
Too busy to think of words
Skiing fast downhill.

吟行の暇なかりけり直滑降

(直訳)
ごめん、俳句できない
言葉を考えるには忙しすぎ
高速でスキー滑降中


Our winter holiday makes us very happy, with ski school, tonkatsu curry, and warm sake. Snow falls steadily on the big mountains of Hakuba. Fog comes to the heights, ghosts appear, and we search for the right path.

冬休みはとても楽しかったよ。僕らはスキー合宿と、カツカレーと、熱燗とを満喫した。
白馬全山に、終日、連日、雪が降り続いてた。
山頂に濃霧がきて、俺は幽霊を見たよ。帰り道を必死で探したよ。

訳:朗善



ナサニエル・ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2011年より松山市在住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第23話
「ジャズ来るべきもの」オーネット・コールマン

 “理解されざる若者”として引退を余儀なくされたオーネット・コールマンだったが今、目の当たりにする彼の即興は明らかに進化している。3年半ぶりに聴くコールマンは紛れもなく前衛派の始祖として復活してきたのだが、そのブローから弾け出る音塊は、混とんの中にちゃんと大人の思考を孕ませている。65年12月4日夕刻、ストックホルムのクラブ「ゴールデン・サークル」には快いスリルと共感が満ち溢れていた。

講釈師見てきたような嘘をつき 馬琴

 と、まあ引退直前に残したコールマンの録音「タウン・ホール・コンサート」とカムバック後に発表され評判となった「ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン」の2枚のレコードを疑似体験的に聴き比べればこうなる。

春泥とジャズの不快こそ快楽 蛇頭

 しかし、フリーはフリー、前衛は前衛なのである。従来の即興演奏の規範であるコード進行と小節割に疑問を投げかけ、その支配から抜け出た処でジャズを芸術たらしめることは至難の業であり、これは同時に味わう(聴く)側の感性や思考回路へも変革も求めることとなる。
 我がジャズ句会でも一つ率直な感想が述べられた。「今回の音楽は聴いていると不快になり、ちゃんと聴いていません」と。それで良いのである。規範の中に聴くべき音楽は無数にあるのだから。

凍つる夜の凶器たらんとアルトサックス  光海

 今回の一番人気JAZZ句は、アルバム「ゴールデン・サークル〜」の秀逸なジャケットにも誘発され詠まれたに違いない。真ん中のトレンチ・コートにシルク・ハット姿の男がコールマン。その左、黒マントに丸いサングラス、奇妙な帽子を被り悪役然としているのがベースのデヴィッド・アイゼンソン。右のネクタイをしめた黒いオーバー・コートの男がドラマーのチャールズ・モフェットである。謎めいたこの図の謎説きがトリオの演奏とすれば、光海さんの句は絶頂期を迎えた前衛派超大物リーダーの当夜の意志ということになろう。

朧夜の女に絡みつく音符 マイマイ

 「ロンリー・ウーマン」におけるコールマンのアルトとドン・チェリーのコルネットのフレーズは、チャーリー・ヘイデンのベースとビリー・ヒギンズのドラムスが醸し出すスリリングな音空間の中で絶妙なズレを伴って絡み合う。得体の知れない二つの叫びが、不思議な調和を生み出しながらフェイドアウト。余韻と呼ぶには余りにも衝撃的な感情の高ぶりを残したまま2曲目「イヴェンテュアリー」が始まる。「ジャズ来るべきもの」のライナーノーツの解説を担当した粟村政昭氏は「完全な名盤ならぬ名盤としてジャズ史に残るべき不朽の問題作」とこのアルバムを評した。

人類の歴史にフリージャズの蒲公英 チャンヒ

 そう、オーネット・コールマンはフリージャズのタンポポなのである。



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第23話 文/俳句 らくさぶろう

『やかんはめ』
〜落語ならではの変わった噺〜

あらすじ
 梅の花が美しい季節、向島に梅見に来た奥方と女中の二人連れ。
 突然、奥方が持病の癪を起こして倒れてしまった。普段は癪の合い薬である愛用の銅でできた“やかん”を舐めればすぐに治るのだが、この日は持参していない。
 女中はおろおろして近くにやかんは無いかと探したがあるわけもない。
 ちょうどそのとき、向こうから頭髪の無いピカピカ光る頭のお武家さんがお供を連れて歩いてきた。
 その人を見た女中は奥方のためだと、武士のところに駆け寄り、「お願いでございます。うちの奥方が癪で倒れ、あいにく薬を持ち合わせていないのでお助けください。」と願った。
 武士は初め意味が分からなかったが、ストレートに「その頭をなめせていただきたい」と言われると当然カンカンにおこって断ろうとする。
 しかし人の命にかかわることだと思い、「そこまで言われたら仕方あるまい。忠義なその方に免じて舐めさせよう。」と頭を出し、奥方に舐めさせた。
 ベロベロ、ぺろぺろと舐めると、しだいに気が戻ってきたが、また途中で急に発作がおきたとみえ、頭を思いっきりガブリ。
 「ごめんなさい! どこかにお傷はついておりませんか?」
 「なーに、傷はつきましたが、漏るような傷ではありません。」



 もともとは上方落語の「茶瓶ねずり」が江戸に移され、現落語協会会長の柳家小三治師らが得意とする演目です。
 しかしまあツルツル頭を舐める……落語でしかありえないシチュエーションです。
 三年前、愛媛でもこの噺を聴く機会がありました。
 「若葉寄席」で来県された林家木久蔵師(笑点の木久扇師の息子さんのほうですよ)が演じられました。
 生で見るのは僕は初めてだったので、舞台袖から興味津々で見させてもらいました。
 お客さんも話の途中で「ひょっとしてこの武士の頭を舐めることになるのかしら」と思い始め、クスクス、クスクスと、全体がじわじわと笑いの渦に巻き込まれていきます。
 僕は「ああ、なるほど、こういうじわじわ来るのも落語のひとつだなあ」と感心しながら聴いておりました。
 ちなみにこの“向島の梅”なんですが、今はもうありません。
 かつて江東区の亀戸にあった伊勢屋喜右衛門の別荘「清香庵」の庭にあった梅のことだといわれています。中でも竜がとぐろを巻くように枝がうねっているところから、「臥龍梅」と名付けられた白梅が有名でした。この梅は吉原の名妓・初代高尾太夫から喜右衛門の先祖が譲り受けたもので、その命名者はあの水戸黄門こと徳川光圀だったといわれています。のち、明治43年の大水害で枯れてしまいました。


細胞の奥ふるへたり梅真白


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本家慶弔俳句帖 第53回


文 桃ライス

飲酒で老化した10年後の顔
 英スコットランド政府が飲酒量を減らすよう呼びかけるキャンペーンの一環として、アルコールによって老化が進んだ10年後の自分の姿を映し出すアプリを公開した。
 ネット情報によると、このアプリは、自分の写真をアップロードするかその場で撮影して、普段の飲酒量を入力すると、飲酒の程度に応じて10年後の老化した顔を表示する。キャンペーンサイトには、女性の顔の老化を示す写真が掲載され、その顔は、しわが深く赤ら顏で下膨れている。
 政府報道官は、「スコットランドはアルコールとの関係に問題を抱えている」と説明。過去のキャンペーンは男女両方を対象としてきたが、飲酒量のガイドラインについて知らない女性が多いとの調査結果が出たことを受け、外見を気にする女心に訴えかける狙いでアプリを開発したという。
 わしはお酒を飲まないのでピンとこないが、例えば、現在の顔と現在の代表句三句を入力すれば、10年後の俳句顔が見られるというアプリなら試してみたい。「あっ、あの人、俳句とか詠んでそう〜」と、見返り俳人になれているのか、知りたいのである。

春浅し顔ゆがみたる禁酒かな


米国人が苛つく言葉
 米マリスト大学が、米国人が会話の中で最も苛つく言葉を調べた。
 ネット情報によると、「whatever」(どうでもいい)が4年連続で1位に選ばれた。 同大学は1246人の成人した米国人を対象に電話で調査を実施。その結果、32%が「whatever」が最も苛つく言葉だと答えた。2位以下は「like」(という感じ)21%、「you know」(だよね)の17%、「just sayin'」(言ってみただけ)の10%と続く。
 蛇足だが、言語学者1000人が決めた世界の翻訳できない言葉ランキング3位に、関西弁の同意を求める時の「なあ」がランクインした。ちなみに1位はコンゴの"ilunga" 2位はイディッシュ語の"shlimazl"
 「なあ」は「だよね」とほぼ同じとちゃうか?!

春だよねどうでもいいという感じ


桃ライス…自分のことをワシとよぶ婦人グループ会員


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ホンヤクサイホンヤク


翻田 訳蔵

俳句暦0年のど素人俳人、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って、名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。


今回の俳句
赤い椿白い椿と落ちにけり 河東碧梧桐 

 まずは、エキサイト翻訳(英→日)

「a red camellia -- a white camellia and omission -- a kick」

 いつもどおり、「けり」が「a kick」になっていますねぇ。「落ちに」が「omission」と訳されているようですが、「omission」とはいったい……?
 さっそく、再翻訳してみましょう。
 
「赤いツバキ(白いツバキおよび省略) キック」

 「omission」を辞書で引きますと、「省略(する[される]こと)。遺漏、手ぬかり。脱落。省略されたもの。」と出てきました。
 庭先のツバキを乱暴に蹴りまくっているうらぶれた中年男性の姿が頭に浮かんでまいりました。

 さて、お次は、Google翻訳(英→日)

「Keri to drop and white camellia camellia red」

 再翻訳
「ドロップするケリと白椿椿赤」

 庭先でドロップキックしているうらぶれた中年のお名前は「ケリ」さん(もしくは「ケリー」)と判明しました。「白椿椿赤」という表現は斬新ですね。

 最後に、Yahoo!翻訳(英→日)

「I reject it for a camellia and the omission that a red camellia is white」

 再翻訳
「私は、赤いツバキが白いツバキと省略のためにそれを拒絶します」

 よく分かりませんが、「ケリ」さんのとても強い意志を感じますね。

 それでは、この3つを受けて一句

白椿椿赤ドロップキック以下省略 翻田訳蔵


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一句一遊情報局


一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成24年12月度


【湯ざめ】
立て籠もりニュース進展なき湯ざめ  潮見おばちゃん
くどくどと聞く右耳の湯ざめして よひら
愚妻とは湯ざめしやすきものなるや  だんご虫
添い寝して猫の心音聞く湯ざめ  風花会・さくら
湯ざめしてそそくさ閉じる帳簿かな かめ
掛取りの居座る土間の湯ざめかな 痛快
またひとりだから湯ざめやまだ独り  江刺乃カナ女
青蛇の這いのぼりくる湯ざめかな 紅紫
早朝の湯ざめ羽化直後も斯くや 海田
湯灌してもう湯ざめより自由なる たかこ
草案の屑積みあがる湯ざめかな 藤実

《天》
パリはまだ昨日の日付なる湯ざめ  さち


【星の入東風】
火を囲む星の入東風解禁日 妙
佐渡沖の星の入東風走る雲 花粉症
星の入東風少しく星を置いてゆけ もも
星の入東風砕けた星の寄せる浜  なでしこ
星の入東風鷺の冠羽は水平に 鯛飯
星の入東風道端に獣の死 まくわ
病人の眠らぬ星の入東風よ さわらび
星の入東風突堤の形に灯 マイマイ
星の入東風漁衣(りょうい)は紫貝の色  ドクトルバンブー
星の入東風モーセは海を切り分けて  藤実
星の入東風湖上の民の竹の家 あやね

《天》
星の入東風真珠は揺れて生まれたる  てん点


【初霜】
初霜を見て倉庫より籠下ろす チロリン
初霜にきらきら祝福されし朝 だんご虫
初霜や今日の卵は黄身ふたつ ぽぽんた
初霜や開拓村を追わるる日 松ぼっくり
初霜や鳥はいづこに眠るらむ とりとり
初霜や入るきつねの染物屋 なおき
初霜にちぢむモグラの髭二本 犬のコロ
初霜や小鼻縮めて鬼瓦 たま
初霜の吐く息あがるホイッスル わきち
初霜や墨あたらしき封を切る 朝日
初霜や轢死の猫に射す朝日  風花会・さくら
初霜や仏仕えの足白し ターナー島

《天》
初霜に野菜を甘くする祈り  日々草


【頭巾】
腰までもあろう嫗(おうな)の頭巾かな 烏天狗
深頭巾かぶり補聴器かくしおり みく
だんだんと眠くなりゆく頭巾かな  釣鐘娘
たばこ屋の硝子戸たたく頭巾の子  みいみ
縄跳びのとき草にぬぐ頭巾かな そも
頭巾まだ頭を納めるに慣れず めろめろ
奉天に生まれし夫(つま)の頭巾かな てん点
老斑の目尻の暗き頭巾かな ターナー島
なめとこ山に頭巾正して一礼す  冬井いつき
台詞なく斬られ頭巾2の屍 マイマイ
行商の頭巾始発にいりこの香 日暮屋

《天》
家訓の弐頭寒足熱頭巾脱ぐ  山野遊造


※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

2月3日
猟期終る【初春/人事】
猟期は原則として11月15日から翌年2月15日まで。地域や狩猟対象となる動物によっては異なる場合がある。

ネーブル【三春/植物】
ネーブルオレンジの略称。ミカン科ダイダイ類の品種のひとつ。ブラジル原産で、アメリカを経て日本に伝わった。

2月17日
開帳【三春/人事】
寺院で特定の期間に秘仏の厨子を開き一般参詣者に拝観させること。春に多く行われる。

小綬鶏【三春/動物】
中国原産のキジ科の鳥。飼われていたものが野生化して日本各地に広がった。鳩より少し大きく、色は赤褐色に、腹は黄褐色、胸は灰色。「ちょっと来い」と聞こえる甲高い鳴き声が特徴。


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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第24回 文/写真 暇人

まる裏宣伝“小”作戦
 まる裏俳句甲子園および翌日の吟行会「松山城に遊ぶ」は皆様のおかげで無事終了しました。ありがとうございました。これらの様子はまた次回以降に紹介します。
 今回は、まる裏および吟行会の宣伝に奮闘したmhmメンバーの様子をお届けします。
 前回の執筆段階では、まる裏とfacebookとの連動(facebook審査員)の方法が未確定だったため曖昧な表現にしておりましたが、先月号の発行直前で内容が決まったため、定期購読の方には案内のチラシを同封させていただきました。元日にはmhmブログでも内容を公表させていただきました。
 あねご代表も動きました。らくさぶろう氏から、ラジオの番組内で宣伝をしませんか?と誘いを受け、1月4日午前9時、応援団を引き連れて南海放送へ。そして9時半、あねご代表による宣伝が始まりました。
 まる裏はもちろん、facebookの事も宣伝してくれるのかなと期待をしつつ、私は所用で参加できなかったので、ウィットチャンネル(インターネットラジオ)をチェックしていました。緊張の様子ではありましたが、次第にいつもの伊予弁丸出しトークになり、軽快に宣伝をしていました。……軽快なトークは良いのですが、大事なことを忘れていたようで。放送中、「facebook」の文言は一言も無く終わってしまい、思わず椅子から転げ落ちてしまいました。
 facebookとまる裏との連動はうまくいくのか、かなり心配をしていましたが、最後にすごい応援が待っていました。それは、夏井いつき組長のブログ「夏井いつきの100年俳句日記」1月8日付けの記事「『まる裏』俳句甲子園を遠隔地から楽しむ方法」でした。この記事が出た頃から、静かだったmhmのfacebookページに動きが見えはじめました。ホームページでいう「ブックマーク」機能である「いいね!」登録者が、日を追うごとにどんどん増えていったのです。(※1月16日現在では、ほぼ倍の83人の方に「いいね!」ボタンを押していただいています。)
 さて。そんなところで、あとは当日本番という段になったのですが、実のところ私、急遽仕事が入ったため前日の打ち合わせにも参加出来ず、ぶっつけ本番の状況に陥っていました。
 当日は、いったいどうなったのでしょうか……?


次回は「mhm×facebookまる裏俳句甲子園」の予定です。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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選句&投句欄 ザ 句会


 このコーナーは読者による誌上句会。先月号に掲載された投句への、選句&選評(互選)を掲載しています。不肖編集室一同も参加しています。

第180回兼題
 「好きな植物名をいれて一句」をテーマに
 出題者 空さん

 今月の互選『鰯の歯ぎしり』

7点句
真日瑠、藍人、雪花、犬鈴、山ぐるぐる、ぜぶら、正人選
喧嘩した口で檸檬を齧っている 空山
  真日瑠  喧嘩してとがった口を檸檬の酸っぱさで押さえているのかなと思いました。
  藍人  喧嘩すると言わずもがなの一言を言ってしまうのは誰しも同じ。その時の歯はまるで牙のようになって。でも、檸檬を齧ると毒を吐いた口は柔らかく、牙は元通りの歯に。檸檬ってそんな力がありそうですもんね。
  雪花  おおっ酸っぱいと 口が尖がってしまいました。私も「ごめんなさい」の代わりに檸檬を齧ってみます。
  犬鈴  意地を張ってないで早く謝って仲直りした方がいいですよ、と思わず声を懸けたくなりました。
  山ぐるぐる  キュートな黄色い檸檬と、とんがった口が浮きあがって見えてきておもしろかった。思いっきり酸っぱくってさっぱりしたら意外に早く仲直りしそう。
  ぜぶら  檸檬を齧ればすっぱいと分かっているし、喧嘩したこのお口がいけないのだと知っている。胸の奥にできたおできがある限り、すっぱくたって、あふれたって、檸檬の果汁でいっぱいになりたいよ。
  正人  「喧嘩した口」という捉えかたがとても素敵な詩の感覚! 檸檬の酸味に少しの罪悪感も。

6点句
杉山久子、まとむ、とりとり、空、更紗、三月選
蝦蛄葉仙人掌一鉢あれが詫びだつたといふか  いつき
  杉山久子  相手は素直に侘びを言えない人か。蝦蛄葉仙人掌という鉢物の存在感、音の屈折感も作者の微妙な戸惑いを伝えているよう。
  まとむ  長い長いお詫びの手紙のような句にイラッとしながらいただいてしまった。蝦蛄葉仙人掌の字面が面白いし、シャコバサボテンという名前も反省してるんだかしてないんだかという響きだけれど、蝦蛄葉仙人掌の姿は詫びているようである。
  とりとり  蝦蛄葉仙人掌って厚かましそうな花ですよね。お詫びにはなりませんよね。でもこのなんとも言えない迫力が好きです。
  空  シャコバサボテンは、詫びの思いを知ってか知らずか、うなだれ貧相に咲いている。爆笑。
  更紗  蝦蛄葉仙人掌のギザギザした葉、垂れ下がって咲く小さな花を忌々しそうに眺める作者。こんなものをもらっても……と怒りが収まらない感じが妙に可笑しい一句。
  三月  シャコバサボテンの一鉢と作者のつぶやきがそれを持ってきたであろう人物を想像させてくれる。それにしても面白い字面の植物です。

5点句
みちる、青蛙、だりあ、めろ、瑞木選
鶏頭のゴワゴワ乾く恋をして 親タカ
  みちる   色々な鶏頭を読んできたが、「ごわごわ乾く恋」というのは始めて。恐い貌をした女性を思い浮かべました。
  青蛙  恋の気分なんてすっかり忘れてしまっているが、燃えるようなではなく、不安定な、不穏な恋なのだろう。鶏頭がゴワゴワ乾くなんて、大丈夫ですか?
  だりあ  強硬にゴワゴワで切って読みました。乾く恋と鶏頭が呼応しています。
  めろ  どこででも切れる句なので困ったな。切れがないと言われれば切れないし、もっと困ったな。鶏頭のような脳みそが乾く乾く。全く恋のせいだ。
  瑞木  鶏頭で恋の句とは……。

4点句
こてぞう、駝楽、人日子、オパール選
微笑みに微笑み返すれんげ草 権ちゃん
  こてぞう  ほのぼのと、ただほのぼのと。
  駝楽  ノリが良く、それでいて綺麗な印象が残りました。
  人日子  子供の頃れんげ畑の中で寝転んだり、相撲を取ったりよく遊びました。本当に花が微笑み返してくれるようでした。
  オパール  私も微笑みたくなりました。れんげ畑であそんだ昔を思い出しました。微笑みにれんげ草がいいですね。

多久美、ザッパー、理酔、兼光選
解散の合図にポインセチア置く あき
  多久美  総選挙近し正にタイムリーな句。
  ザッパー   何の解散だろう(笑)。
  理酔  以上解散的ではなく二度と逢わない的解散を思いました。皆がその事を覚悟している場にそっと置かれるポインセチア。どんな言葉よりも納得がいく行為ですね。
  兼光  マラソンのゴールなのかデモの終着点なのか。流れ解散する合図に置かれたのはこの時期を彩るポインセチア。赤いポインセチアは皆の心に何を点して解散して行くのか。ひょっとすると金曜の反原発デモの解散かもしれないな。

3点句
破障子、逆ベッカム、浜田節選
恋文や花柊のこぼれざる みちる
  破障子  今時、恋文というやつが、どれくらい流通しているものなのか。そこはかとないその言葉の佇まいに、心が騒ぐのはどうしたものか。花柊の奥ゆかしい香りに昇天してしまいそうな五十代のおっさんなるぞ我は。
  逆ベッカム  恋文と花柊の取り合わせが妙。恋文を渡すのかそれとも破り捨ててしまうのか、とりあえず葉の刺には気を付けよう。
  浜田節  下五を「こぼれたし」としなかった所にこの句のよさがある。恋文という古くさい言葉と純白で地味の柊の花が、作者の大切な心情をつないでいそうだ。

おせろ、すな恵、牛後選
猫じゃらし負けるが勝ちと言う家訓 瑞木
  おせろ  負けるが勝ち、なかなかむずかしい戦法です。でも引く事を知っているから家訓になり、家が続くのですね。猫じゃらしがおどけた感じでおもしろかったです。
  すな恵  好きな植物で猫じゃらしなんて答えるひとの家系はきっとこんな感じでしょう。
  牛後   実に微笑ましい家訓。実際には家訓ではなくて、座右の銘なのかもしれないが、未来永劫猫じゃらしのようにつましく生きるという覚悟が潔い。

雨月、たま、しのたん選
野仏と分かつおむすびお茶の花 清流子
  雨月  野仏とおむすびと茶の花の慎ましやかな取り合わせが好きです。冬空の下で野仏と茶の花はさまれて座って食べている景が見えました。
  たま   白い花が大好きです。暖かい一日おむすび(おにぎりでなく)持って吟行にでもいけたらいいとふと思わせる句です。
  しのたん  人の心の奥に流れる暖かいものを感じ、ほのぼのした気持ちになりました。庭の隅に一本あるお茶の花もっと大事にします。

紗蘭、よひら、ポメロ親父選
幸せを纏う感覚キャベツの葉 魔心地
  紗蘭  キャベツの葉のように何層にも幸せを纏っているというのが素敵だなと思いました。
  よひら  幸せとは、お札でも高級な絹でもなく、美辞麗句でもないキャベツの葉を纏うことだと共感しました。それが春キャベツなら嬉しいです。
  ポメロ親父  ぎゅっと巻いたキャベツの葉が幸せなら、ご飯の度に幸せなんだなあ

権ちゃん、まんぷく、ほろよい選
幸せにかたちがあれば冬苺 チャンヒ
  権ちゃん  夏に清楚な白い花を咲かせ、冬にはひっそりとではあるが、赤い実になる冬苺。齢を重ねるとそんな幸せが良くなります。
  まんぷく  今は冬が苺の一番美味しい季節で、それが当たり前になってしまった。そして冬に食べる真っ赤な苺は幸せそのものだと思います。
  ほろよい  クリスマスの真赤な苺、この形はきっと幸せの形です。私もそう思います。

2点句
不知火、一心堂選
つゆくさはやさしき人の好む花 さかえ
  不知火   やさしき人は強き人。清楚に見えるつゆくさは、なかなかどうして生命力の強い草です。
  一心堂  露草を見ると母を思い出します。

魔心地、KIYOAKI FILM選
パンジーの真ん中こびとのワンピース 実
  魔心地  思わず画像検索……ホントだぁ、ビックリ、感動!
  KIYOAKI FILM  パンジーとワンピースと真ん中という語が気持ち良く響く。清潔なイメージ。

エノコロちゃん、あき選
ゐのこづちきれいな色の夢を見る なゝ
  エノコロちゃん  いいですねえ。地味ぃ〜な緑一色のゐのこづちだからこそ、きれいな色の夢を見るのですね。よ〜くわかりますねえ。本当に名句です。
  あき  「きれいな色の夢を見る」ことは、自分の意志でできそうでできないわけで、意外に特別なことなのだなぁと実感しました。

たかこ、むめも選
人知らぬほくろのありか月下美人 ひかるん
  たかこ  月下美人の開花を待った時の事を思い出しました。セクシーな句ですね。
  むめも  あら、意味深……季語の月下美人が効果バツグンですね。

八十八、ちろりん選
オナモミを投げ合う子らに未来あり ぐみ
  八十八  青く澄んだ秋空の下、子どもたちが元気一杯に遊んでいる健康的な光景が浮かびます。
  ちろりん  自分たちの子供のころオナモミ(ひっつき虫)は友達でした。そんな自然が残る未来を子供達へもと思うのですが……。

もんきち、西条の針屋さん選
足蹴などされるもんかと猫じゃらし ゆき
  もんきち  足蹴にされているのは猫じゃらしか、あるいは足元にじゃれついてくる子猫か。どちらにも逞しさを感じました。
  西条の針屋さん  可愛い中に強さを感じます。1票!

七草、カラ嵩ハル選
水仙や勝手口より宣教師 杉山久子
  七草  長崎外海とドロ神父を彷彿とさせます。
  カラ嵩ハル  勝手口からいきなり外国の人。え! 互いにちょっとした戸惑いの空気。それを水仙の香がほぐしてくれた。そして笑いも生まれた。

キミミキ、コナン選
「沈黙」の海めがけ水仙の立つ 七草
  キミミキ  水仙が、一人佇む人のよう。明日に向かって凛と。【風とともに去りぬ】のスカーレットと名づけたいな。
  コナン  岬に自生する水仙群。その力強さ大好きです。

ターナー島、遊人選
その胸に指のピストル冬薔薇 元旦
  ターナー島  銀幕のマリリン・モンローを彷彿させる。男への「指のピストル」が女の妖艶さと自負を漂わせて、捧げられた薔薇の花束の存在を、より華やかにさせている。
  遊人  外国映画の一こまのようで楽しい。

亜桜みかり、いつき選
人参のスティック思案ほど囓る 不知火
  亜桜みかり  人参スティックを囓る音が聞こえてきた。「思案ほど囓る」という措辞がドラマチックで良かった。
  いつき  「の〜ほど」という叙述には推敲の余地がありそうだが、人参スティックをカジガジ囓るのはまさに「思案」の感触。

1点句
我が庭と言わんばかりの石蕗の花 カシオペア
  さかえ  私の家も庭一ぱいに咲いています。春の石蕗引きがたのしみです。

七歳のすずらんの香を忘れない 空
  迂叟  悲しすぎるけど、七歳の子どもを亡くした母親の句と読みました。その子はすずらんの香のように清楚で爽やかな可愛い子だったのでしょうね。ご冥福をお祈りいたします。

石榴裂けけりピカソの横顔かと ぎんなん
  レモングラス  ほんと横顔に見立てて石榴を割って歯のような実を齧りそう。

山茶花が好きだと言った人は空 依里
  柊つばき  山茶花が咲くたびにその人のことを思い出しますね。さみしさを感じます。

ひまわりの百万本に埋もれたし 輝女
  松ぼっくり   私と同じ体験をなさったようです。共感、同感、先ずは握手!ということで、清き一票を献じます。

フィリピンでバナナを育てお酒買う Sg374
  のり茶づけ  何だかこの飄々感がたまりません。

まゆちゃんがくれたから好きまゆみの実 ぜぶら
  チャンヒ  「好きな植物名」という兼題に真っ向勝負したのはこの句以外にないのでは?

艶聞も熟女ならではアマリリス 藍人
  樹朋  アマリリスには熟女の趣があります。特に赤花は、その鮮やかな色彩、肉厚の花弁、直立した茎、まさに熟女です。このような女性にとっては艶聞もまた一つの勲章となることでしょう。

始まりは十六年前嵯峨の菊 しのたん
  ペプチド  16年前に始まったのは恋だったのか、それとも別の何かなのか。いずれにしても人と人が関係するもののよう。人の手が加わって作られた歴史ある嵯峨菊のイメージと相まって、様々な思いを起こさせてくれました。

クマザサ揺れて初雪の滑り台 ザッパー
  洋子  クマザサは雪の重みで時々滑るように落ちますね。滑り台になってるなんて、素敵♪ 私も滑ってみたいです。

紫は高貴な色ぞ花菖蒲 多久美
  お手玉  紫色は私も大好きです。花菖蒲も紫があってこそ黄色も白もひきたちます。

母さんとスプーンで食べる熟柿かな ひでこ
  朗善   熟柿、母さん、スプーン、どの言葉も響き合って無駄がない。

秋桜やいちめんに咲く自衛隊 こてぞう
  ぎんなん  風にゆれる秋桜を愛するやさしい心を自衛隊の人たちには特に持っていてほしいと願います。

マツフグリ見上ゲコツコツツツク鳥 ふーみん
  ケンケン  カタカナが多くて良いですね〜全作品中で、最も目立った一句。

岩手より愛媛に届く大りんご 信野
  八木ふみ   愛媛からは岩手にみかんが届けられたのでしょうか。

木犀の花了へし路風すぎぬ まんぷく
  生糸  今年見たオレンジ色の落花が路いっぱい広がり、華やかでした。そんな風景を思い出す句です。

落葉松の枝の明るき冬の鵙 兼光
  一走人  「落葉松」という合唱曲がコーラスの定番曲にあります。いつか歌いたいネとコーラスの仲間と話していました。現在休部中なので、未だ果たせずです。落葉松と鵙の取合せが好きでした。

着ぶくれて椿三十郎を観る 南骨
  蓼蟲  観た、観た。着膨れて観た。黒澤明監督、三船敏郎主演の「椿三十郎」は昭和37年の正月映画だ。松山では、今はない三番町の国際劇場にかかつた。立錐の余地が無い程に盛況だつたが皆着膨れてゐたのだな。

エキストラ主役夢見てかすみ草 まるにっちゃん
  青柘榴   かすみ草、目立たなくて好きです。全く同感。

向日葵の中に屍投げ入れよ コナン
  猫ふぐ  ゴッホの絵。星守る犬。ひまわりのイメージは、不安や恐れや狂気。どこかに屍が転がっているかもしれないという不安や恐れは、期待に変わり、それは屍を投げ入れることによって満足するのである。

柊の花より刺を愛しけり 逆ベッカム
  元旦  確かに柊って、花より葉っぱのほうがインパクトあるような気がします。その「チクチクしてやだ〜」の葉っぱがいいなんて、ちょっとMっ気があったりなんかして(笑)。棘を愛しけりなんて、危ない恋を連想させます。

ゼロ戦の空もくれんの涙かな 一走人
  四万十のおいさん  大陸侵攻当時の零戦を見上げて中国の若しくは近い方が詠んだんではなかろうか、我が物顔で飛ぶ様を零戦の空とし、木蓮の威嚇飛行で落ちる様を蹂躙された民族の涙と感じたのだろう。

女教師の大根二つうずみけり 八十八
  えつの  子供達が育てた大根が見事です。さあ!! 明日の給食は「おでん」にしましょう。

三十万の向日葵の目のどよめけり 松ぼっくり
  まほろ  向日葵の目とは、ぎっしりと整列している種のことか。あれが全て目だとすると、向日葵畑に立つ自分に向けられる視線には、ある種の恐れさえ感じる。三十万という数、そのどよめきに圧倒される。

サルビアやメロスの頬につたう汗 りんたろう
  親タカ  かのメロスの汗ならば、たぶん赤のサルビアにまごう鮮やかさに違いない! ナットク。

節制す侘助の咲くあひだなら 破障子
  もね  本当でしょうか。ユーモアのセンスのあるお方だ。侘助の花ならば信じることにします。

カノン聞く出窓のひかり冬薔薇 亜桜みかり
  輝女  カノンのピアノの曲が聞こえてくるようです。レースのカーテンをかけた出窓からこぼれる光と冬薔薇がいかにも静かなひと時を感じさせてくれます。

青蜜柑嫁もだんだん好きになる 今比古
  ぐみ  朴訥とした感じの青蜜柑だけど、だんだん同じものを好むようになったという幸せを感じました。

爪噛めばさくら色なる秋思かな すな恵
  南骨  爪を噛むという幼い仕草。そこへさくら色の秋思ときたら、ちょいとくすぐったいのだが、悪い気持ちではない。作者が男だったら怒る。

地につきし小さき人生福寿草 ちろりん
  未々  まだ霜柱が立つような黒土の中からふっくらと黄色の福寿草が顔を出すと、思わず笑みがこぼれます。しっかりと地面に足をつけて、自分の人生を生きている。私もそのような潔い生き方をしたいです。

実石榴も弾けぬままぞ生きよ友 青柘榴
  カシオペア  友を思いやる気持ちが痛い程伝わります。

今月の無点くん
強き香を放ちて黙す吾木香 未々
茶湯座敷侘助一輪壁に添う 生糸
水仙は谷風の吹く方へ向く 正人
野菜苗を買った葉牡丹はこの次に お手玉
いろがみに溶ける秋桜ラヴレター 山ぐるぐる
小柄なる母の遺影や沈丁花 人日子
地の同じところは指さずゑのこ草 牛後
日に透けて百日紅咲く牛の胴 ターナー島
赤ままを歌え腹はふくれずとも 青蛙
転がってまだついてくる落葉かな 朗善
子が巣立つ寂しさ嬉しさ冬苺 駝楽
この島にコンビニは無い竹の春 ポメロ親父
シクラメンつやつやしているピンク色 平平
自惚れと恥じらいの間の水仙花 むめも
荒磯の風爽やかに石蕗の花 樹朋
冬の虹ローズピンクの紅をひく 雪花
無常なりセロリ齧って天に吠え たま
水汲みのみづの零れて草の花 遊人
ノラネコに取られた冬菫を思う 紗蘭
デイケアの妻を待ちをりサルスベリ 迂叟
愛と思ふ冬のダリアを抱へきて だりあ
そこここに金木犀に逢いしまち ペプチド
コスモスや頭の悪さ身に合いぬ 豊原清明
山茶花や授業は苦手古文なり もね
手のひらの厚く大きく冬薔薇 藤実
私をね優しくなでるもみじたち 希
夜な夜なに鼻のヒクヒク金木犀 洋子
十字架の墓石傾く秋桜 明日嘉
帰り花不幸せそうにするなよ めろ
薄紅葉小枝を卓に誕生日 えつの
白粉花の乳吸うて遊ぶ路地 たっ君
パンジーの植え替え終えて日向ぼこ おせろ
祖父送る右手に白き秋桜や 安
白木蓮の高きは荒星はげまさん まとむ
青空に貼りついているハイビスカス ケンケン
シクラメン八個並べしバースデー レモングラス
手を離る用心深き青蜜柑 八木ふみ
相席ノピアス縦ノリ俺モネギ カラ嵩ハル
あとづさるキャッチボールや銀杏散る ソラト
寒いのになぜだか赤いもみじの葉 樹
旧来の友に再会シクラメン 和音
半世紀前の校庭花樗 柊つばき
桔梗紋掲げ裏切りし枯野 まほろ
訪ね人のポスター古りぬ花は葉に たかこ
クリスマスローズ夢見る母となりにけり 更紗
烏瓜赤ければまた泣けてきて 浜田節
虹の森君と出逢いし曼珠沙華 西条の針屋さん
信念は貫いてこそ黄水仙 よひら
捨てられて青い目光る猫じゃらし もんきち
ころがった肩掛け鞄アケビ取り ほろよい
手折らんとて頑固一徹花芒 蓼蟲
紫は不良の色です冬薔薇 桔梗
大トリはナギナタコウジュ藤色に エノコロちゃん
日照雨降る谷間の湖の青紅葉 蓮睡
子は知らぬpの匂い美味し銀杏や キミミキ




第181回兼題
「SF」をテーマに
出題者 むめもさん

1 青写真アトムの世界すぐそこに
2 柿熟れて猿蟹合戦始まれり
3 星冴ゆるタイムトラベル二十四時
4 征服をたくらむカリフラワーである
5 寡黙なるネモ船長の冬帽子
6 火星には火星の小さき日向ぼこ
7 「SF」やローマ字読めぬ木ノ葉髪
8 SFの煤の臭ひや弥生尽
9 メーテルを乗せし列車や冬銀河
10 12月待っても来ないウルトラマン
11 満月はかごめかごめの輪の中へ
12 あの角であなたは消えた枇杷の花
13 冬麗の背の鱗の待つ島へ
14 24時パラッドクスQ炬燵の巣
15 猿の惑星票を数える暮の秋
16 念ずればどこでもドアや去年今年
17 ETの指とわがゆび冬燈
18 可能大UF紛れる流星群
19 冬の草宇宙船へとハイヒール
20 月あかくサンタが街へやってくる
21 火星まで行ったり来たりのお正月
22 パラレルワールドは寒月の向こう側
23 ポインセチアSF映画は3D
24 銀河丸窓宇宙ねずみをつまみ上げ
25 ゆく年やタイムマシーンは故障中
26 SFの小説読んで冬りんご
27 氷海や月より下ろす縄梯子
28 愛猫が主宰の句会冬館
29 渚にて霜夜の火星年代記
30 昼間より窓辺に近き雪だるま
31 寒昴ジューンベヌルはいかに見て
32 願い事しないでほうき星食べた
33 こたつ猫SFよりは時代劇
34 火星発真赤なマーチ降誕祭
35 恐竜の背にまたがりて月二つ
36 UFOを見たのは本当夏祭り
37 冬の月覗けば我の後頭部
38 狛犬に跨り噂の月旅行
39 風邪寝より目覚めてみれば蟻の街
40 照紅葉宇宙船から眺めたし
41 中空にうかぶヤマトや初御空
42 魔法とは高度な科学冬萌へり
43 御神渡耳を澄まして読む左京
44 巨大人型兵器に馬力星の冴ゆ
45 人類の最後の一人日向ぼこ
46 冬空にエイトマンの声聞こえるか
47 待ち合わせ場所はプルート星冴ゆる
48 うち上がる魚の泪と荒星と
49 初富士の噴煙拝む車窓かな
50 SFは20世紀に置いてきた
51 眠りの船を熾したり冬銀河
52 冬月や未来の我の手紙来る
53 オリオンへ行く約束のプロポーズ
54 同級会ウラシマ効果の花競ふ
55 手袋の片われいつも旅に出る
56 頭垂れ洗って頂戴冬北斗
57 理科室にラベンダーの香残りをり
58 裸木のプロファイルしてSF作家
59 星凍てて障子一重の未来かな
60 忘年会誰も名前を知らぬ人
61 大寒の惑星に降り立てば猿
62 雪はやがて最後のロボット兵士を
63 解きあかすメビウスの明日冬銀河
64 宇宙人となりし現し世冬銀河
65 E・Tもアトムも好きな寒卵
66 時間よ止まれミクロの旅へ大銀河
67 猿人の抛りし骨や冬山河
68 風呂吹や死ねぬ人間出現す
69 寒鴉9と 3/4 番線
70 冬銀河の釣り人猫バスで帰る
71 就活の基本は火星冬銀河
72 現代こそまるでSFクリスマス
73 年の空スターウォーズの永遠に
74 天凍つる生命の今やビーカーに
75 いそぎんちゃくの空想科学的な赤
76 時駆ける少女も熟女に冬すみれ
77 アトム号月面経由オリオン行
78 銀漢や途中下車する宇宙船
79 どこでもドア妻と漕ぎ出す冬銀河
80 冬銀河爆ぜて千億光年の彼方より
81 引き出しに宇宙人飼う春の宵
82 地の奥の白き世界や枯木星
83 振振の分析R2−D2
84 五万回廻るシナリオ今朝の冬
85 狐火燃ゆ独りは恐し貞子見る
86 冬晴れの四次元ポケット干す日向
87 ひょっとして私がクローン雪達磨
88 冬籠り笑ひ貌しか映らぬ鏡
89 冬北斗アトムに教えらるる事
90 今朝はドラえもんの吐く息も白い
91 ドアを開ければ若き日の母と梅


次々回兼題「婚」の字の入った句 出題者 朗善さん

【兼題の扱い方】
季語「xx」 … 副題含む季語を入れる。
「xx」をテーマに … 内容に沿って詠む。
「xx」の字の入った句 … 単語そのものを詠み込む。



めざせ!大漁旗(180号〜185号)
 誌上句会「ザ 句会『鰯の歯ぎしり』」では、選んでくれた人の数をすべて集計し、半年間で最も点数の多い方が「大漁旗」を獲得します。大漁旗を得た方は「最新十句」を本誌誌上にて発表することができます。

〈参加方法〉
 1 「今月の投句」から好きな句を選ぶ。(選句)
 2  その句の感想を書く。(選評)
 3 「次回兼題」の一句を書く。(投句)
 ※1〜3、俳号(本名)、〒住所、電話番号を明記して、編集室「ザ 句会」宛にお送りください。一人一句まで。選句は番号と俳句を共に記入して下さい。
  番号はお間違えなく!

  今回の締切は2月5日(火)必着です。
 Eメール宛先 kukai@marukobo.com
 インターネットや携帯電話から下記の場所にアクセスしていただくと、専用のフォームを使って簡単に投句&選句ができます。
 http://www.marukobo.com/kukai/


【現在の捕れ高】

18点
なゝ

11点
権ちゃん
親タカ

10点
空山

9点
いつき
瑞木
あき

8点
カラ嵩ハル

7点
八十八

6点
不知火
みちる
杉山久子
コナン
さかえ
ぎんなん
たま


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100年俳句計画 掲示板

 組長&編集長&組員さんの出演執筆一覧

テレビ/ラジオ
NHK総合・愛媛県域
「それいけ!俳句キッズ」
  2月2日(土)15時5分〜16時
 出演:夏井いつき、テツ&トモ、オジンオズボーン、チキチキジョニー
ゲスト:堀ちえみ
 ブロック大会を通過した愛媛県内の小学生30名との句会ライブ。

NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  2月5日(火)11時40分〜
  2月26日(火)11時40分〜

NHKラジオ第一
 大人の補習授業
  2月12日(火)21時5分〜55分
投句受付中!
 テーマ『あいさつ句』
 締め切り…1月29日(火)24時
https://www.nhk.or.jp/r1/otona/form2.html

FM愛媛
 バニラビーンズの俳句っちゃお〜!
 毎週日曜日深夜0時〜0時30分
※夏井いつきが俳句指南で出演

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「木の芽時・春光」(2月3日〆)
   「春三日月・木蓮」(2月17日〆)
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)・住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム・チャンヒのイラストポストカードが贈られます。



執筆
Pioneer Sound Lab. 音俳句
http://pioneer.jp/soundlab/
  ウェブサイト上に組長の選評が毎日一つ発表されます。投句も受け付けています。

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

愛媛新聞
 「集まれ俳句キッズ」毎週土曜日

愛媛新聞(キム チャンヒ)
 「ヘンデス俳談」毎月第一土曜日 兼題「日永」締切 … 2月19日(火)


句会ライブ/講演など

茨城県吉沢小学校句会ライブ
 1月31日(木)

今治市立近見中学校句会ライブ
 2月6日(水)

博多高校句会ライブ
 2月16日(土)

今治国際ソロプチミスト俳句キッズわくわくコンテスト表彰式(今治市民会館2F会議室)
 2月17日(日)

五十崎俳句凧審査会
 2月22日(金)

松山青年会議所主催「ことばのちからプロジェクト」句会ライブ(松山市立番町小学校体育館)
 2月24日(日)
  12時受付〜16時40分終了
 参加無料
 参加対象:小学生とその保護者
 申し込み締め切り2月6日(水)松山青年会議所
 089ー941ー0194

西条市市民大学卒業記念講演会
 3月3日(日) 午後1時開場
  講演1時45分〜3時15分
  西条市丹原文化会館
講演「100年俳句計画〜俳句を  知れば世界が変わる」
※参加は無料ですが入場に整理券が必要です。
お問合せ/西条市中央公民館0898ー65ー4030


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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

物申す!!
あねご 龍淵王決定戦前篇に物申す! なんで後篇と分けないかんのじゃ!? と怒りたくなるくらいおもしろい! 対局を実際に見ているような臨場感。写真の中に板倉卓人さんが! 「龍淵王決定戦」の品格が増す気がしました! 早く続きが読みたいっっ!
編 好評で良かったというべきか? 感想ありがとうございます。今月号の特集にて後編を掲載しております。春に開催予定の龍天王決定戦へのご参加・観覧などもぜひ。愛媛新聞2013年新年号に掲載された「俳句対局・ヘンデス杯」などを経て、ルールはさらに洗練されております。お楽しみに!

第2回大人コン選考中
ゆまるばたこ 次回の句集コンには応募できるよう頑張りたいです。俳句の整理術を参考に、俳句作りに励みます。
編 現在、第2回「大人のための句集をつくろう!コンテスト」は選考委員会の皆様による審査を行っている最中です。来月号では速報として最優秀賞の発表のみを行う予定。なお、今年も大花見大会の日にあわせて表彰式を子規記念博物館にて行う予定です。皆様、第3回コンテストへのご応募お待ちしております!

今年の雑詠欄
小犀 雑詠募集への投句です。これが私の投句の初回で不慣れですが、よろしくお願いいたします。
編 ようこそ雑詠欄へ。よろしくお願いいたしします。くらむぼんとへたうま仙人、お好みの場所で楽しんでいただければ幸いです。

春告草 ここ二回出せなくて反省しております。来年は毎月パーフェクト参加を目指しほどほどに頑張りますのでよろしくお願いします。
編 千里の道も一歩から、ということで。地道にがんばりませう。

ぴいす 年末は悲しい別れが続き中々俳句モードになりませんでしたが仙人のコメントに癒されました 今年も楽しいコメント待ってます。
編 人生いろいろ、ぢゃ。酸いも甘いも噛み分けて俳句のある人生を楽しみましょうぞ。

去年今年・スケジュール帳
洋子 2013年版の季語付スケジュール帳をありがとうございました。おかげさまで、うるう年の2012年は366句完成です♪ 心の軌跡宝物です。また、一年楽しく頑張ります♪
編 つけてみると意外と楽しい一日一句。俳句一句を書いてるだけでかなり記憶が蘇ります。句日記的な楽しみはまさに心の軌跡。

百年
和音 100年先の森林の存続を考え、山師の方々が若い山師を育てているテレビ番組をみました。組長が目指している100年と同じ。守り繋いでいく物は違えどもその志は同じ100年。その熱意と尽力に感動です。
編 今月号放歌高吟とリンクするようなお便り。家串小学校のこどもたち(@放歌高吟参照)のような森が育っていくのは本当に喜ばしく、楽しいものですね。

夕陽を背負うように
大阪野旅人 何とか全治、麻痺もなく回復致しました。少々トラウマ気味です。タバコは止めました。命が大事だったので〜ね。また、よろしく…。
編 俳号と相まって、無頼なハードボイルドっぽくて妙にカッコイイ。でも御身体は大切になさって下さいね!

俳号、変わりました
古殿七草 俳号を「七草」から「古殿七草」に改めます。宜しくお願いします。
編 よろしくお願いします。姓の読みは「ふるどの」であってます?

年末年始の挨拶アラカルト
編 年末年始時期の投句に寄せて、皆様からご挨拶お便りが届きました。十人十色ということで一挙掲載してみます。

ゆき たくさんお世話様になりました。俳誌が届く事は大きな楽しみであり、又、支えでもありました。エネルギーを頂きながら、来年も励みたいです。

おせろ あけましておめでとうございます。今年は欠席なく投句が目標です。

元旦 年の瀬切羽詰まっての投句です。皆さんよいお年を。いや、これを見る頃は、あけましておめでとう、ですかね。

だなえ 今年はお世話になりました。これからもどうぞ、よろしくお願い致します。

犬鈴 一年間、今年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。皆様、良いお年をお迎えください。

雨月 昨年も一年お世話になりました。今年もよろしくお願いします!

輝女 あっと言う間に1年が経ってしまいました。昨年は色々大変な年でしたが、今年はどうか良い年でありましように!と祈るばかりです。旧年中は大変お世話になり有り難うございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

柊つばき 元日生まれにとってうれしいような……ふくざつです。二十五年は一番上の孫が高校入試です。のんきな子で、このままでいいのかなと心配しています。

うに子 新しい年がいい年になりますように……。

まんふく 旧年中はいろいろお世話になり有難うございました。本年もどうぞよろしくお願い致します。

鯉城 よい年を迎えられます様に、来年もよろしく。

えつの 今年も大変お世話になりありがとうございました。

カラ嵩ハル 本年どうもありがたい。2013もどうぞよろしく! 何より元気で元気で元気で新年おめでたーーーーーい。

編 こうやって並べてみるとお便りにもそれぞれのカラーがあって面白いですね。
 そんなこんなで、2013年もHAIKU LIFE『100年俳句計画』は頑張って参ります。皆様よろしくお願い致します!


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鮎の友釣り



今月はちょっとお休み。
 誌上句会「ザ・句会」と連動しているため一回お休み。来月は三竜さんの友釣りです。お楽しみに。


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告知


2月10日愛媛マラソン吟行会

今年も愛媛マラソン吟行会を行います。
 マラソン部蛇頭部長をはじめ、ねこ端石さん、鉄人さん、きとうじんさん、ドンキーコングさんが参加予定(編集室把握情報)。応援は当日参加も可能ですが、事前に登録していただくと、事前に連絡が出来、大変助かります。
 多数の参加お待ちしています。

壮行会
(当日午前8時:愛媛新聞社前集合)
出発前の選手へオレンジハチマキ配布式と激励
主な応援ポイント
 1平田交差点付近(往復)
 2パルティフジ夏目店前(往復)
 3ゴール地点(堀之内)
各応援ポイントでは句会旗・手旗などで、応援します。
移動方法・防寒対策など各自宜しくお願いします。
情報はマルコボ通信やメルマガ、朧庵などで随時アップします。

100年俳句計画マラソン部 参加フォーム(ランナー&応援)
http://marukobo.com/marathon/




だれもが句集を出版できるかたち
句集スタイル

 「句集スタイル」は、全く新しい句集作りの提案です。
 複数の句集を半年ごとに一括で制作することにより、低価格を実現しました。増刷も簡単に行え、作った句集をマルコボ.オンラインショップにて販売*することもできます。
 はじめての句集としてはもちろん、卒入学の記念や、グループでの出版など、様々にご活用下さい。
*販売は当編集室にて校正を行った作品のみ対象

句集スタイル価格表
仕様:135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷、表紙PP加工

基本料金(30冊セット):20,000円(税別)
(専用ホームページより、Excelファイルをダウンロードいただき、表紙のデザイン、色、俳句、あとがき等の必要事項を入力して頂き、そのファイルを送っていただくことで、お申し込み及び入稿とします。)

オプション料金 *全て税別
・裏表紙画像加工料:5,000円(裏表紙一面に写真を掲載した場合)
・校正料:10,000円
(文字校正及び仮名遣いなどをチェックします。編集室にて校正した作品のみ「100年俳句計画」のロゴを付加します。)
・テキストデータ入力料:7,000円(デジタル入稿でない場合。俳句、あとがきなど)
・オリジナルデザイン料:25,000円〜
・増刷費:12,000円(30冊ごと)

2月1日(金)第1期受付開始(4月末日納品予定分)
専用ホームページ http://marukobo.com/style/




100年俳句計画大お花見大会
日時:3月31日(日)8時〜20時
場所:道後公園内(松山市)
参加費:300円(場所代など)
開催時間中ならば、いつ来ていつ帰ってもOK!
食べ物・飲み物は各自ご持参下さい。
雨天の場合も道後公園内のどこかで決行!




100年俳句計画投稿締切カレンダー

 
 1/31(木) くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 zatsuei@marukobo.com

 2/5(月)
  100年の旗手感想
  ザ・句会
   kukai@marukobo.com
  魚のアブク

 2/28(木)
 くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 100年の旗手推薦募集

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail magazine@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


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編集後記


今月号の特集は、第6回「夏休み句集を作ろう!コンテスト」の結果発表。そして、「俳句対局龍淵王決定戦」の後篇。
 先日行われた「夏休み句集を作ろう!コンテスト」の表彰式では、小さな俳人達が、誇らしげに賞状を受け取る姿が印象的だった。誰にやらされるわけでもなく、自分の意志で俳句に熱中する子どもたちが、沢山育っていることが、頼もしく感じられた。
 もう一方の特集、「俳句対局龍淵王決定戦」では、新しい俳句の企画に、嬉々として参加する仲間達の姿に、逆に勇気と元気を貰った気がする。
 「小・中学生が果たして40句も俳句を作れるはずがない」「一句2分で俳句を作るなんてナンセンス」なんて、考えていたら、一歩も進めない。まずは実行することが、「100年俳句計画」の精神なのだ。
 今回、小学生の作る瑞々しい俳句に感銘を受け、「俳句対局龍淵王決定戦」では、短時間に作られたとは思えない、俳句の出来に、舌を巻いた。そして、無謀と思える企画でも、やってみて良かったと改めて実感した。
(キム)


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次号予告 (184号 3月1日発行予定)


次回特集
第11回高校生以外のためのまる裏俳句甲子園結果報告


HAIKU LIFE 100年俳句計画
2013年2月号(No.183)
2013年2月1日発行
価格 600円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子